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自治体病院再編への圧力 [医療行政]




今朝の読売新聞の3面です(オンライン記事はないためデジカメにて掲載、お買い求めください?というのは冗談で、リンク先はこちらです)。この記事、ざっと読むには「よく出来ています」。自治体病院の経営が何で直面しているのか?民間病院との差、コストのこと、役人の経営戦略なんて全くないこと・・・についても書いてあります。
実例として小樽の二つの市民病院再編+新築計画があがっているのですが、あの街を歩くたびに、こんなに観光客が集まる街なのに、年々商店街に活気がなくなっており、病院の赤字だけでなく、自治体そのものの赤字財政、これから第二か第三の夕張市民になるかもしれない小樽市民が気の毒でなりません。

仕方ありません。そういう首長を住民が選んできたのですから(お笑いタレントなどを首長に選んだり、国会議員にしてきた大阪もよく似ていますけどね)。

 今後はこういう「赤字自治体病院=お役人の無責任経営」のような記事(半分はあたっている・・・残り半分は間違いなのは後述)が当分、並ぶんでしょう・・・総務省も「赤字財政の自治体」の監督する役目を果たさねばなりませんからね。
 今は民間病院も大変な時期ですが、自治体病院の75%が赤字、「赤字なら全部つぶしてしまえ!」にはならないことを願うばかりです。
 実は国立病院が独立法人化したのですから、地方自治体の病院がいつまでも自治体の支援(税金による赤字補填)を受けながら、いつまでも続くとは思ってなかったのですが。

自分の勤めていた某公務員系病院も小泉内閣時代に5年間で補助金打ち切りが決定して大慌てで経営戦略を見直し、間尺にあわせた医療資源の集中(何のことはない現場の医療従事者は給料は増えずに仕事が増えただけだったのですが・・・汗)により、補助金なしでも黒字化するようになりました。
そのおかげで、CTやらMRIの台数が二倍に増えたのですが、これは画像診断件数が増えて現場の医師が犠牲になっているように思います(患者さんの待ち時間は短くなりますが、医者の数が増えてない場合、見事に現場の医師や看護師さんの負担が増えていることになります)。

もちろん、独立採算がとれなければ、自治体や国などの母体の財政に負担がかかるので、「財政的」には「可」ではなく「優秀」そのものとなります>僕のいた某公立系病院。

さて、公立病院の再編はもちろん、お役人の経営センスのなさ(2-3年おきにズブのど素人が事務長を交代でお勤めになる)もさることながら、公立病院は住民へのサービスとして「小児科」「救急」などの採算がよくない診療部門を抱えずには居られないからですが・・・。

 さて、日本でも有数の良好な財政基盤をもつある自治体でも、メスが入ることになりましたが・・・そういえば、この前1000億円もの住民からの貴重な税金をドブに捨てたのに、また400億円ほど追加でドブに捨てることを決心した自治体でしたな。読売新聞も、気の毒な住民の声もきいて欲しいのですがね・・・まともに取り上げるのは赤旗や医療系メディアです。実は「小泉流改革」がまだ地方自治体ではこれから本格化するのです。
ぽち

  なかのひと



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「清瀬小児病院の存続を」住民ら訴え

2008/02/18 18:39   キャリアブレイン

 東京都府中市に移転・統合されることが決まっている「清瀬小児病院」(東京都清瀬市)の存続を求めるシンポジウムが2月16日、清瀬市内で開かれ、地域住民ら124人が参加。同病院を受診する子どもの家族らが存続を訴えた。(兼松昭夫)

シンポジウムは「都立清瀬小児病院を守る会」(小野幸子代表)が主催した。

小野さんは「今は小児医療こそ充実させていかなければならない」とあいさつ。また、近隣の東久留米市に住む主婦は「8年前に引っ越してきたが、引っ越しの日に1歳(当時)の子が熱を出して清瀬小児病院にお世話になった。この土地で安心して子育てができると喜んだ」、「地域唯一のNICU(新生児特定集中治療室)がなくなれば、この地域で子どもを生むことが難しくなってしまうのではないか」などと述べ、存続を求めた。

このほか「10年後のオリンピック招致よりも目の前の子どもの命を」と訴える声もあった。

清瀬小児病院は、これまで50年にわたり小児医療を提供。現在では清瀬市や東久留米市、東村山市のほか、隣接する埼玉県所沢市や新座市の患者も受診している。

都による「都立病院改革」の一環で、八王子小児病院(八王子市)や梅が丘病院(世田谷区)とともに09年度末に移転統合し、「小児総合医療センター(仮 称)」(府中市)として整備されることが決まっているが、移転が実現した場合、近隣地域にNICUがなくなることもあり、地域から存続を求める声が高まっ ている。

同会が展開している第3次署名活動では、これまでに3,600人分以上の署名が集まった。6月の東京都議会に提出する。

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400億円、新銀行東京に 東京都、追加出資案を提出

朝日新聞 2008年02月20日

 東京都は20日、1000億円を出資して設立しながら経営難に陥っている新銀行東京に、400億円を追加出資する議案を都議会に提出した。銀行の資本強化を図るが、経営再建につながるか不透明で、新たな都税投入に都議会から反発があがりそうだ。

 同日午前、都は議会運営委員会に来年度予算の補正予算案を提示。石原慎太郎知事はこれまで追加出資を否定してきたが、銀行側が経営計画の見直しを前提に当初300億円程度の増資を都に要請。調整を進め、都は経営安定化のため400億円の拠出を決めた。

 関係者によると、新銀行東京は現在の6店舗を1店に統合し、約450人の従業員を約120人に減らして経費削減を図る。現在約4000億円の預金残高を圧縮する一方、融資も大幅に減らす。都の公共事業を請け負う企業への貸し付けを拡大するなど都の政策との連動も強化し、11年度の単年度黒字を目指すという。

 新銀行東京は石原知事が中小企業支援策として2期目の公約に掲げ、05年に営業開始。無担保無保証融資を売りにしたが審査が甘く、多くの貸し倒れが発生。昨年9月中間決算で累積赤字が936億円に膨らんでいた。同日会見した新銀行東京は、3月期末決算で累積赤字が1000億円程度になる見込みを示し、将来は減資も検討する方針を示した。


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「日本の中国依存症候群」に警鐘ならせ! [医療]

 「農薬入り」の毒餃子事件は、個人的にはすでに「大きな問題」ではないのです。同じ事件を防止するために、安価でも危険な毒物混入した輸入食品の危険性を回避するように、関係する外食産業が「中国以外」からの調達ルートを開拓したり、政府がしかるべきルートで「外交ルート」で解決を図ってもらっていくしかない問題で、個人は騒ぐ前に自衛です。

むしろ、これからです。「餃子問題」を一つとっても、食料の輸入が米中へ大きく依存しているのが判明したのです。そのほかに目をやるべきでしょうね。

「福島記者」もとても優秀で、産経新聞ではとっても愛読していますが、自分としては産業・経済のことを考えたら、もう少し別の切り口を見せて欲しいところです。

レアメタルというのをご存知ですか?自分もあんまり専門外なので、馬脚を現す前にこちらへ・・・

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新素材用語辞典(10)ではレアメタルの要件として、
(1)賦存量が少ない元素
(2)広く分布しているが、採掘可能の鉱床の品位が低いため製錬コストが高くつく元素
(3)元素の形に還元するのが困難な化学的・物理的性質をもち、製錬が技術的に難しい元素、

これらのいずれかに当てはまるものとしている。
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実際には色々とあるのでしょうが、中国にすごーく依存しているのです。これらは携帯電話やハイテク家電の部品を作るのに必要だけど、「地球上にダンプカー 3倍分」とか「スイミングプール数杯分」しかないというものも含まれていますが・・・まぁ、産経新聞は「経済」新聞なので読者の方は、きっと大切だというのはご存知だと思います。
ただ、ライバルである日経に比べると劣るところは、そういう「チャイナリスク」をあまり取り上げてくださらないことですね。だから、日経を購読してるんですけど・・・ね。

レアメタル・ショック[前編]

鉱物資源にも広がる中国の影
争奪戦激化で価格が急上昇


レアメタル・ショック[後編]

日本企業が直面する危機
“脱中国依存”は成功するか?

中国頼みの供給体制で、先端産業を守れない
十市勉 氏 (といち つとむ)
財団法人日本エネルギー経済研究所 専務理事・首席研究員



希土類元素(きどるいげんそ、Rare earth elements、レア・アース)レアアースとは
レアアースは、周期律表第Ⅲ族に属する原子番号57番から71番の15元素に21番のスカンジウム(Sc)及び39番のイットリウム(Y)の2元素を加えた17元素の呼称である。、レアアース元素は、その存在度に差異はあるが、イットリウム(33 ppm)やセリウム(60ppm)は錫(2ppm)や鉛(12.5 ppm)よりも多く存在し、少ないルテチウム(0.5ppm)などでも金(0.004ppm)、銀(0.07ppm)などの貴金属に較べればその存在度は大きい。レアアース元素はその相互の分離精製が困難な上に、多種類の岩石中
に微量に広く含まれているという特徴から、純粋な単一の元素を入手することが難しいため、“レアー(希)な元素”とされている。これらレアアースは、原子核を周回する電子の軌道が特殊なため、他金属にはない独特の機能を発揮する。

これらの元素は化学的性質が互いによく似ている。性質を若干異にするスカンジウムおよび天然に存在しないプロメチウム以外の元素は、ゼノタイムやイオン吸着鉱などの同じ鉱石中に相伴って産出し、単独で分離することが難しい。そのため、混合希土として利用されることも多い。金や銀の貴金属に比べて地殻に存在する割合は多いが、1つの元素の分離精製するのが難しいため2007年の現在でも「Rare=稀」な元素である[1]

日経スペシャル「ガイアの夜明け」 10月26日放送 第132回

「宝の山を掘り当てろ!」
~レアメタル争奪の4000キロ~

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間違えてもバラエティ万歳、視聴率至上主義の娯楽番組てんこ盛りの「フジTV」では流れません。かつて、サンケイ新聞は経済分野も強かったかもしれませんが、今や言論紙の趣きです(それも路線としてはあるとは思うが)。ただ、日本は「産業立国」です、輸出するハイテク製品のおかげで、他のアジア諸国よりも先に豊かになりました。

大切なのは「自分の国」が何で食べているのか?難しいのですが、ギョーザ問題は物事の一つの断面にしか過ぎません。むしろ、レアメタルの問題のように「根幹」には、中国に首根っこを握られているという認識のなさ。
危機管理が出来ていないために、食料以外もやばいことになっている・・・その認識を産経新聞は啓蒙すべきでしょうね。

もちろん、他の一般紙に比べ、中国・韓国・北朝鮮に強いのだから、独自性を出す必要性はなく、ゴシップ紙のような芸能ニュースで紙面やイザ!の巻頭を埋めたり、「朝日新聞」のような平和ボケをさせるような存在に堕ちていくことも簡単ですが、それを目指すのがいいのかはまた別次元でしょうが、「産業立国にっぽん」のためにまだまだ努力して欲しいところです。

『修正』:下記の記事ほか、フジサンケイビジネスアイには記事はありました。ただし、ギョーザ事件で「レアメタル」をからめて、もっと中国依存について「考える」ような論調は・・・見なかったなぁ。すみません>タイトル変更しました(「産経新聞が報じない『日本の中国依存症候群』から「産経新聞『日本の中国依存症候群』に警鐘ならせ!」)。

【正論】加藤尚武 枯渇見据えレアメタル政策を

2007/10/29

レアメタル開発“脱中国”へ 中央アジアに商機あり


ps:医療について考えてないから・・・一つ。

[外国人医師の導入]簡単じゃない  2008/02/16 13:00

で書いていますが、この事態を予見させるようなことをしっかりと「ssd先生」のブログで書いておみえでした。

ぽち

  なかのひと

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岩手医大、中国人産科医続報


NHKクローズアップ東北の今朝の再放送「中国人医師招聘 ~岩手県・医師不足解消への模索~」を見ました。
その中の岩手医大に招聘される瀋陽の中国人医師の勤務先の紹介ビデオ。
全部で4000床で、電子カルテ、最新の検査機器、真新しい手術室などいわゆる後進国を想像したら、大間違い。
まあ、医学の教育は日本語でというのは、要するにソフトウェア文化的には中国語で講義ができるほど成熟していないって事なんだろうけど
「日本に行く」というのを目をキラキラさせながら語ってるんですよ・・・。
それが行く先は、岩手の盛岡。まず、新幹線の駅を降りた時点で衝撃を受けるのが想像できます。(瀋陽は外資が入っていて高層ビルの建築ラッュ)
そして、肝心の大学病院。マンパワーの差に驚き、数少ない指導医は憔悴しきった表情で淡々と働いている。
そんな光景を目の当たりにした彼らが帰った後に、日本の医療をどう語るのか・・・。

岩手医大、東北大学の産婦人科教授が出演し、微妙なコメントを出していました。
彼らが、知事の奇策に苦慮しているのが見え見えで苦笑を禁じ得ませんでした。

瀋陽の医科大学では、英語と、日本語のコースがあるそうです。
中国には実際に日本の統治を受けた土地の方が親日家が多いという不思議な傾向があるそうで、
日本語で医学を学んだ招聘医師はおそらく親日的な方なんでしょう。
この留学で少しは得るところがあることを願っています。
その後、この中国人医者の次に来日予定だった二人の医者は、先に来日した医者の情報で来日をキャンセルした。

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まぁ、中国人にも「選ぶ権利」があります。仲良くても、それは別、ちゃんと金をよこせというやり方もあります。
いずれにせよ、中国に依存しすぎることが「健全」ではなく、上手に資源外交もやってくださいね。あ、ブッシュ大統領は最近アフリカに行かれましたが、日本の福田さんは・・・アメリカへのご挨拶が去年済んだので、このあとはロシアとヨーロッパですかね?

首相、英独訪問を検討 大型連休中、訪ロ後に サミットの地ならし

北海道新聞 02/17

 政府は十六日、福田康夫首相の五月の大型連休中の外遊について、ロシア・モスクワ訪問に加えて英国とドイツを訪問し、ブラウン、メルケル両首相と首脳会談を行う方向で検討に入った。


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「市場原理と医療費抑制」参入する人が増え過当競争へ [医療]

 開業医だけでなく、弁護士さんの卵は大変なようです。ロースクール(法科大学院)を卒業して、司法試験合格者が増えましたが、お仕事がないようです。

新人弁護士の年収減少、出来高払いも…司法試験合格者増加で

 読売新聞 2008年2月20日

 日本弁護士連合会(日弁連)は20日、弁護士の採用状況についての調査結果を発表した。

 昨年就職した新人弁護士の年収は減少傾向にあり、固定給のない出来高払いの新人弁護士も7・85%に上るなど、司法試験合格者が増加する中、厳しい状況が裏付けられた。

 調査は昨年8~9月、全国1万1686の弁護士事務所を対象にアンケートを行い、3399事務所から回答が寄せられた。

 調査結果によると、新人弁護士の平均年収は、2006年は600万円台が59・62%と最も多く、次いで500万円台が14・56%となっていた。しかし昨年は600万円台が36・15%に減少する一方で、500万円台が27・1%に増えるなど、減少傾向がくっきり。今回初めて実態調査を行った「出来高払い」の弁護士も7・85%に上った。

 1事務所当たりの採用者数は昨年は平均0・41人で、前年の0・29人に比べ約1・4倍に増加した。しかし、今年の採用予定数は0・26人と減少に転じる見通し。大規模事務所でも採用予定数を減らしており、日弁連は「採用の勢いが弱まり、今年は昨年以上に厳しい」と分析している。

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 さて、開業医がまだ増えるという記事はこちらです。

ソネット・エムスリー、診療所・クリニック開業向け情報提供サイト「m3.com医院開業」を開設
診療所・クリニック開業のための情報提供サイト
「m3.com医院開業」が3月にサービスを開始
~日本最大級の医院開業情報ポータルへ~

http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=182395&lindID=1

 ソネット・エムスリー株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:谷村格 URL:http://www.so-netm3.co.jp)は、日本最大級医療従事者向けポータルサイト「m3.com」内で、診療所・クリニック向け開業情報を提供する「m3.com医院開業」を2008年3月に開始することを発表します。

 日本全国で年間約5,000件の診療所・クリニックが開業※しています。ソネット・エムスリー会員15万9千人の中の勤務医に対してアンケート調査を行ったところ、開業を検討している医師は37%で、そのうち3年以内に開業を検討している医師は49%(想定約13,600人)という結果が得られました。これらの開業を検討している医師にニーズに応え、「m3.com医院開業」を展開していきます。
(※厚生労働省:平成18年医療施設調査の概況 引用)

 開業に関わるサービス、製品、企業の情報を収集する際、利用頻度が高かった情報源として、インターネットも高い評価を得ていますが、現状では、開業を検討している医師が開業準備に関わる情報の入手を効率的にできていないと言われています。「m3.com医院開業」は、開業を検討する医師を支援するべく、偏りのない開業情報の選択肢を提供することで、医師が自ら比較検討をして自身に適した開業サービス、情報を選択し、開業準備を効率的に行えることを目的にしています。

 「m3.com医院開業」では多くの医師の登録がある会員サイトという特徴を生かし、開業を検討している医師は匿名で、既に開業している先輩開業医約5万人に対して開業に関わるさまざまな質問をすることができ、実体験に基づいた生の意見が得られる仕組みも提供します。また、開業セミナー情報を検索して、自分に適した日程、場所、内容のセミナーを選び直接申し込むことができます。その他、ソネット・エムスリーが製作する開業マニュアルなどの編集コンテンツや医師の興味に応じた製品・サービス、セミナーを薦めるレコメンド機能もあり、開業を考える医師の視点に立った仕組みを盛り込んでいく予定です。

 一方で、開業する医師にサービスや製品を提供している企業は、「m3.com医院開業」を通じて、開業を検討する日本全国の医師に対して、効率的に自社の情報を提供することが可能になります。3月のサービス開始に向けて、すでに大手医療機器メーカー、コンサルティング会社、電子カルテメーカーなどの医院開業に携わる15社以上の企業が参画を表明しています。


<会社概要>
 社 名:ソネット・エムスリー株式会社
 所在地:東京都港区芝大門2-5-5 住友不動産芝大門ビル
 代表者:代表取締役 谷村 格(たにむら いたる)
 URL:http://www.so-netm3.co.jp/ 

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 つまり、クリニックが9.5万から、一割強増えることになります、医療費は抑制が続いておりパイの切り分けは厳しくなっています、開業医の先生がたにとっては、「うれしくも
ないお話」でしょうが、患者さんにとって福音かは謎?です。

 開業している同級生の先生からは、後期高齢者保険制度の導入もあり、患者の激減に直面するかもしれず、「大変だ・・・」という声が聞こえてきました。都市部はどこも過当競争気味で、いよいよ緊急避難的な「安易な開業」も危険です。新規参入する時は、設備投資にお金をかけすぎると、採算はますます厳しくなるかもしれません。

 開業医といえども、今後の医療は「専門性」がキーワードになると思います。自分の周囲でもみえますが、往診専門や、この疾患は任せておけ!といった、他に真似ができない治療、診療分野を持っていないと、大規模な病院や専門施設だけでなく、すでに開業されている先輩の開業医の先生方に負けてしまいます。

 逆に、他の先生が手がけにくいところに着目すれば、自由診療もそうです。東京以外ではまだ目だって居ませんが、実際は「競合」で共食いにならないためにも、開業する時に「特色」を出し、患者さんに売り込める技術をもつ工夫をしないと厳しいかもしれません。
 そして、「診療内容」や「技術」を売りにするためには、生き残る方策かなぁ?って思ったりしていますが・・どうでしょうかね。最終的には「患者さんのニーズ」を的確につかんだ先生が、生き残りますし、その他大勢と同じような競合のはげしい分野に入ると、ちょっと厳しくなりますよ・・・としかいえません。

ぽち

  なかのひと 

 

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[変わらぬ医の形]ルールも、時代も変わったが・・・ [医療]

あんまり「医療ネタ」ばかりだとつまらないので、最近読んだ2/17付けの日経新聞の最終面に掲載された、工藤美代子さんのエッセイを紹介します。

工藤さんは1991年に『工藤写真館の昭和』という作品で講談社ノンフィクション賞を受賞され、その後も数々の作品を書いている個人的に注目している作家さんです。

タイトルは「原宿はらはら」と題して、彼女が生まれ育った地である原宿の思い出と、その別離(一昨年までずっと50年近く住民だったそうです)を語ったものでした。

彼女は6歳の時から原宿にすんでおり、昭和30年代初頭の原宿は今よりもずっと淋しい街で、表参道にさびしげに水銀灯が立ち、明治神宮の前には明治天皇と昭憲皇太后の肖像写真を売るようなしもた屋や魚屋さん、家政婦紹介所などが軒を並ぶ風景があったそうです。

それが東京オリンピックを契機に様々な形に変わり、のんびりとした住宅街だった竹下通りまで若者が占拠し、景色が一変し、若者の町へと変貌を遂げました。それでも残っていた八百屋も魚屋も近年にはなくなり、昨今は「平日の昼間」からお化粧をバッチリした中学生がコンビニでお昼を買って、その辺でたむろするような街となりました。
行き交う人も様変わりし、20-30万円もするようなブランドバックを持った若者が闊歩するにつれ、普通の商店があった場所には高給なブティックが立ち並び、生活の必需品を扱う店は少なくなってしまいました。
工藤さんは「あの頃が原宿の一番美しい時代だった。昭和三十年から四十年にかけてである」と語り、今や欲望の街になってしまった原宿を、離れたとのことです。

もちろん、これは「原宿」に限った描写でなく、週刊文春のエッセイを書いておられる小林信彦さんが東京オリンピック前の六本木の姿も同じように今と大きく異なることを指摘されていました。

自分もふと昭和40年代とかの病院や、指導してくれた部長のお話を思い出しました。当時は病院には下足番のおじさんがいたり、病院の薬は1包づつ紙でつつまれたり、水薬がメモリが入ったガラス瓶で受け取っていました。今では、「それホント?」って思うかもしれませんが、そんな時代だったのです。

これが自分が研修医時代に亡くなられた名誉院長が書き残したエッセイ集(図書室に寄贈されていました)をそっと読むと、昭和20年代は、自分のいた病院も今のように700床もなく、100床前後の小さい規模で、午前外来、昼間は往診、夕方から夕診を普通に行っており、お金がない家庭へは医師が赴くことが普通でした。

また、入院治療はとても高価なため、結核性腹膜炎でさえ自宅療養でした。今じゃ信じられませんでしょうが、超音波もCTもまともにない時代、腹水が溜まって患者の苦痛を取り除くため、3~7日おきに患者さんのもとへ医師が往診し、医師が患者さんの自宅でそのまま腹水穿刺を行う・・・というのが普通だったようです。

もちろん、重症となるといよいよ入院となるのですが、満足に救急車などなく「戸板」で運ばれ、入院したはいいが、まともな検査も治療もできず、2-3日でお亡くなりになっても、最後に病院で家族と医師に見守られながら、なすすべもなくそのままベッドで亡くなる・・・と患者さんのご家族からとても感謝されたそうです(当時は結核が国民病で30歳未満の若者も大勢死んでいましたが、当時はそういう時代で訴訟はありえません・・・患者さんも貧しかったのですが病院も貧しかったのです)。

もちろん、これはすべて昔話です。今は昔のお話です。もちろん、それを懐かしがるのではありません。

自分が見ているのは現在の医療の姿です。昔のように患者さんを「戸板で運べ」とか、患者を家で・・・なんていいません。

やはり病気の時に「適切」な治療を受ける権利もありますし、病院側も最先端は無理でも、標準的な治療を行う義務があります。

ただ、気をつけて欲しいのは、患者さんたちも我々医師たちも気づいていません。戦後60年の間に、医師は高額な医療機器に囲まれ、いつでも行える頻回の血液検査は、医療技術の向上を示すのにふさわしいのですが、昭和20-30年代は血液検査をすれば、検査技師はおらず、医師が遠心分離機を回し、血沈を測定したものです。

今は、逆に高度に進化したために、病院の業務の業務分担が進み、血液検査は技師さんへ、レントゲンは放射線技師、リハビリは理学療法士さんなど、お願いしています。ただ、患者さんにとっては「医師」や「看護師」さんが遠くなってから、訴訟が増えたのかもしれません。

昔より、飛躍の進歩をとげた画像診断により、診断や治療技術もはるかに進みました。ただ、患者さんとの距離が遠くなってしまったように感じます。しかし、この距離を「普通」に感じている若手の医師も増えました。しかし、患者さんは人間です、その距離を少し近づける努力を少しするだけで「気持ち」や「こころ」も少し、伝わります。

自分は、患者さんとの気持ちの交流の断絶が「医療危機」の裏側にあるのを感じずには居られません。

もちろん、当直明けでまともに回らない頭で、救急患者を診察したり、手術を行うような現状は「患者さんの安全」のため、好ましくないこと限りなしですが、それでも自分は自分の入院患者さんがリハビリに行ったりしていると、リハビリ室に足を運んだり、ちょっとした時間が出来れば病棟の看護師さんに変わったことがないか?という風には気を配っていましたが・・・。

今の救急病院ではそれが許されないくらい「厳しい現状」であることを理解しつつも、やはり患者さんとの「相互理解」がない限り、医療崩壊を押しとどめることは難しいのではないかと思います(クレーマーにはちゃんと対応する必要がありますが)。

今の日本の資金に限りがあります、工夫をしなければなりません。厚生省のルールは時代とともに大きく変わっています。そして医療技術も日進月歩です。

ただ、病気になった方の心をいたわりながら、医師が診察するのは今のところ不変なので、そのあたりをもう少し考えて行きたいところです。今日はなんとなく、いつもと違う「東京日和」ですみませんでした。

↓:私鉄の駅の改札口も変貌し、伝言板は消えましたが・・・「心」は不変ですね。
私鉄沿線 by:野口五郎

ぽち

  なかのひと


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[救急車有料化を!]現状を放置すれば犠牲者がまた増える・・・ [医療]

気の毒な事件が発生してしまいました。これは「救急医療の限界」あるいは「交通整理」がなされない、大渋滞の状態の救急病院の「システム不良」です。

「患者さん」やご家族の気持ちを考えると、本当に不憫でなりません。しかし、これが「救急医療を放置してきた厚生行政」のツケを国民が払う羽目になっているのです。現場の医師の限界までの、患者さんの集中、東京でもついに「本格的な医療崩壊」です。

これを直すには「医師」や「病院」を責めても無駄です。根本には「安易な救急車利用」が他の本物の患者さんの受け入れを困難にしていることは…すでに指摘したとおりです。

さて、マスコミはどのように報道しているのでしょうかね?

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15病院が搬送拒否 通報から3時間後 小平の61歳女性死亡

中日新聞 2008年2月19日 朝刊

東京都小平市の無職女性(61)が今月十四日、救急搬送される際、十五カ所の病院に受け入れを拒否され、一一九番通報から約三時間後に死亡していたことが十八日、分かった。都内では、清瀬市でも先月、救急搬送患者が十一カ所の病院で受け入れを断られ、死亡している。この時、受け入れを断った病院の一部は、今回も受け入れを拒否していた。

東京消防庁などによると、十四日午後五時三十五分ごろ、女性がベッド脇に倒れていることに夫(67)が気付き、一一九番通報。約十分後に救急車が到着。救急隊員は、搬送先の病院を電話で探したが、小平、立川、三鷹各市や練馬区など十五カ所の病院で満床などを理由に断られ続けた。

同七時二十五分ごろ、十キロ以上離れた昭島市内の病院での受け入れが決まり、搬送を始めたが、同八時ごろ、女性の容体が急変。心肺停止状態になったため、高度救急医療を担う国立病院機構災害医療センター(立川市)に女性を運んだが、同九時すぎ、女性は急性虚血性心疾患で死亡した。

女性は先月、かかりつけの病院で心臓に異物が見えると診断され、同二十九日から五日間、「公立昭和病院」(小平市)に検査入院。しかし、今月十四日午前、異状は見つからなかったと診断され、帰宅した後、倒れた。

夫は公立昭和病院への搬送を希望したが、満床を理由に拒否されたという。夫は「午前中に診断しているのに、なぜ、受け入れないのか」と怒りを表す。

公立昭和病院は清瀬市の患者の際も「専門医が他の患者を処置中」を理由に、受け入れを断っていた。同病院は「希望は理解できるが、当直医が重症の入院患者の治療に追われ、対応できなかった」と話している。

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15病院が受け入れ拒否 61歳女性、容体急変し死亡

産経新聞 イザ! 2008/02/19

東京都小平市の女性(61)が14日、救急搬送中に15病院に受け入れを拒否されて心肺停止状態になり、約3時間半後に死亡していたことが19日、分かった。

東京消防庁などによると、14日午後5時35分ごろ、女性の容体が悪くなったことから、家族が119番通報。8分後に救急車が到着したところ、女性は意識があり、呼吸や脈は安定していた。救急隊員が搬送先を探したが、15病院が「ベッドが満床」「処置が困難」などを理由に受け入れを拒否したという。15病院の中には女性が同日まで検査入院していた小平市の公立昭和病院も含まれていた。

搬送先が決まり、午後7時25分ごろに出発したが、女性の容体が急変。心肺停止状態になったことから、救命対応ができる立川市内の病院に搬送したが、午後9時すぎに死亡したという。

公立昭和病院は「当直医が重症の入院患者の治療にあたっていたため、受け入れができなかった」としている。

 東京の消防署の公表している「出動台数」の伸びも・・・当然「増加」していますが、病院に受診できないような重病人が増えたり、交通事故が倍増もしていない世の中です。この増加は大半が「軽症者」による、他人が迷惑するかもしれないという思いやりや配慮が欲しいのですが、「無料だから利用するという利用者」によるものだと思います。



とうぜん、こういう状況を放置しつづけると・・・もっと、犠牲者が増えるでしょう。気の毒なお話ですが、あなたの救急車のご利用が「本物の病人」の搬送を邪魔しているのです。そんな現状を理解していただかねば、「救急医療」は持続不可能でしょう。さて、これからは大学生の救急についての発表資料を引用しましょう。

新聞記者の人たちはほとんど利用しませんが、学生が調べた資料を活用しない手はありませんね。

横浜市の救急医療は安全なのでしょうか?

横浜市立大学 大学祭ホームページより

日本以外での救急車の事情
 

日本では救急車は完全無料ですが、海外ではどうなっているでしょうか?下の表をご覧下さい。これを見ると、日本以外で救急車が無料の国は意外に少なく、特に多くの欧米の先進国では高額の費用を請求していることがわかります。救急車の有料化が最善とは限りませんが、日本でも救急車出動一回につき、約45000円の費用がかかり、すべて税金でまかなわれていることを忘れないで頂きたいと思います。



 救急車の有料化については2005年に四国新聞が記事を載せていました。記事としてこれ以上に秀逸なものを最近の大手新聞社は掲載しているんでしょうかね?
 あ、昨日のように、他社の社説の引用ごっこにお忙しいのですか?それなら、仕方ありませんな

  なかのひと




増える救急車出動/有料化は必要か?


 『救える命』も危なく

(2005年7月17日四国新聞)

 「一年間に五十回近く救急車をタクシー代わりに呼んだ男逮捕」(三月)「公務執行妨害や傷害の罪で同男に懲役三年六月の判決」(七月)―。高松発のショッキングなニュースが全国に流れたばかり。折しも総務省消防庁は、増える救急車出動の対策として有料化や民間活用をテーマに専門家による検討会を五月に発足させた。緊急度の低い不適切な利用のために、本当に必要としている人が「後回し」になる懸念が現実味を帯びているからだ。救急の現場はどうなっているのか。県内一出動件数の多い高松市消防局の救急出動の現場を密着ルポするとともに、専門家たちの話から有料化をめぐる問題に迫った。

最前線で 後を絶たぬ迷惑通報 到着遅れ、司令室ジレンマ

 高松市宮脇町一丁目、高松市消防局四階の「指令管制室」。七月のある夜、職員の案内で中に入ると、まず目に飛び込んだのが前面の大型モニターだ。そこには救急・消防車両の運行状況や防災情報、七十倍ズーム機能を持つ高所カメラによる市街地の映像が表示されている。
 「ここで一一九番通報を受け、救急車の出動を指令するんです」とは、常時待機する六人の中でもベテランの指令管制員。説明を聞いている間にも続々と通報が入る。「呼吸してますか」「家の前の道は救急車入れますか」。指令管制員は通報者に事情を聴きつつ、瞬時に手元のモニターに付近の地図を表示、最も現場に近い救急車に指令を出していく。
 午後六時からの一時間で、交通事故や居酒屋での急病、子供のけがなど八件に救急車を出動させる慌ただしさ。その間、病院の照会やいたずら電話も少なくなかった。

 多い“常連”
 「えらいんや。来ていたあ」。午後八時ごろ、年配の女性から通報が入った。中堅の指令管制員は、即座に最寄りの救急車に出動を指令。ただ、ベテランはさえない表情を浮かべ、つぶやいた。「実はこの女性、いわゆる“常連”なんです」。
 案の定、現場に到着した救急係は女性に搬送を拒否され、やむを得ず引き揚げたという。「万が一の場合もあるんで、出動はしますよ。姿が見えんと判断は難しいですから」とベテラン。中堅も「困ったことに常連は二十人近くいますね」。
 通報が一段落した時間帯、指令管制員らは「単なる骨折り損で済まないんですよ」と、こんな迷惑通報に熱弁をふるう。内容はこうだ。市消防局は委託も含め高松市と国分寺、綾南、綾上の三町を管轄。これを救急車両十台(高松北消防署が二台、エリアごとの三署・二分署・三出張所が各一台)を運用して網羅している。
 このため、出張所などの救急車が出動すると、本来の最寄り車両が使えず、次に近い車両を「繰り上げ出動」させざるを得なくなる。「特に繰り上げが連鎖した場合、後発がどんどん遠方からになり到着が相当遅れるんです」と強調する中堅。心肺停止などの一刻を争う事案も想定されるだけに、訴えは切実だ。

崩れる前提
 この夜、午前零時までの救急車の出動件数は四十五件。うち軽症は十七件で、不搬送は年配女性のほかに一件あった。夜に「遊具で遊んでいた娘が出血した」として、親が通報。現場に向かう途中に再度、「もう大丈夫です」との連絡が入ったのがそれだ。
 軽症と不搬送が目立つ点を別室で待機中の救急係に指摘すると、「血を見て気が動転することもあり、一概に軽症の通報が悪いとは言えない」。つまり、本人や家族には“重症”であり、「安心を支えるサービスの意味でも出動しなければいけない」(同救急係)。
 消防行政は、「通報者は善意」が大前提だ。それは取りも直さず無料制度の前提でもあり、利用者が崩せば制度の根幹が揺らぐ。善意でない通報が増加し、「サービス」よりも優先すべき「救える命を救う」という業務を脅かしている今が、まさにその時だろう。
 翌日未明、取材を終え指令管制室を出る際、指令管制員の一人がこう嘆いた。「いつでも、誰でもが安心して頼れる存在でありたい。でも、このままだとその維持が難しい。大きなジレンマを抱えてるんですよ」

現状は 軽症4割タクシー代わりも

「コンタクトレンズが外れない」。そんな女性の通報を受け、高松市消防局の救急係は女性宅に急行、病院に搬送した。しかし、タクシーでも行ける状況だったと指摘すると、「対応が悪い」と抗議されたという。
 ほかにも擦り傷や虫さされ、歯痛、さらに検査のための通院など“タクシー代わり”に利用する通報が目立っており、救急車の出動件数はうなぎ上り。なかには▽夜間に病院への問い合わせが面倒▽待たずに受診できるとの思い込み―など、極端なモラルハザード(倫理観の欠如)もあるようだ。現状を数字で検証してみると…。

10年で7割増
 高松市消防局の二〇〇四年の救急車の出動件数をみると、前年比千件増(6・7%増)の一万五千八百二十六件で過去最多を更新。うち入院の必要がない軽症は五千八百三十九件に上り、全体の約四割を占める。
 十年前と比較すると、出動件数は六千三百十八件増(66・4%増)と激増。高齢化を背景に基礎的需要が増大したのに加え、「一部で安易に呼ぶ傾向が強まり、パンク寸前になっている」(市消防局)という。
 一方で、消防庁の基準に基づく救急車の台数は変わっていない。このため現場到着までの所要時間は、十年前に全体の29・4%だった「五分未満」が〇四年は25・2%と4ポイント以上も低下。平均所要時間は十年前が五分台後半だとされるのに対し、約六・三分にまで延びている。
 心停止時間は「六分が生死の分かれ目」といった目安もあり、こういった傾向が続けば「市民の命綱」がますます危うくなる。

毅然と対応
 「一年間に五十回近く救急車を呼んだ中で、身勝手な要求を拒否され隊員に暴行を加えるなど犯行は極めて悪質」。七月初旬、高松地裁。公務執行妨害や傷害などの罪に問われた男に懲役三年六月が言い渡された。
 契機は、市北消防署の告発だった。冨永典郎市消防局長は「今後も悪質なケースには毅然(きぜん)とした対応を取り、不当な通報を抑止していく」との方針を強調。一方で地道な啓発にも取り組み、現状に理解を求めるという。
 ただ、七月中旬で前年同期比約四百七十件増と、前年に引き続き一年で千件程度増えるペース。啓発には即効性を期待しづらいのが実態だ。
 このままではアメリカのほぼ全土やヨーロッパの一部都市のように、救急車の出動に数万円を支払う状況も現実味を帯びてくる。果たして、現行制度を守れるかどうか。それは、「タクシーや自家用車で病院に行ける場合は救急車を呼ばない」という、当たり前のモラルにかかっている。
 誰かの生死がかかっているかもしれないと想像すれば、そう難しくはないはずだ。今それができなければ、失うものは余りにも大きすぎる。


インタビュー 県立中央病院救命救急センター部長 長野修

現行制度の周知が先 “無駄遣い”排除へ知恵を

 ―中央病院救命救急センターへの救急車による搬入患者の動向は。
 長野修部長 概算だが二〇〇四年の救命救急センター外来は月平均約千人。そのうち救急車による搬入が二百三十人前後で、およそ四人に一人の割合になる。救急車で搬送された約半数が入院している状況だ。

 ―緊急度の低い救急車利用が問題になっているが、最近の特徴は。
 長野 外来受診日に救急車でやって来て、歩いて診察室へ向かうお年寄りもいた。急に熱を出した幼い子供を抱きかかえて救急車から降りてくる母親もいる。母親は昼間は大したことないと思っていたが、夜帰宅した父親が気が気でなくなったような例だ。昔から言われているが、核家族化が進み、相談できる年配者が周囲にいないのも一因かもしれない。

 ―不必要な使われ方も少なくないということだが、分秒を争って九死に一生を得たような例もあるのか。
 長野 交通事故で外見は大したけがには見えなかったが、腹腔(ふっくう)内出血を起こしているのが検査で分かり手術で助かったケース。建設現場で転落し鉄骨が数本体に刺さったまま運ばれて来たが全治したケース。いずれも処置が早かったのが好結果につながった例だ。

 ―増え続ける救急需要対策として消防庁は緊急度の低いケースの有料化について検討を始めた。救命救急の現場からはどう考えるのか。
 長野 有料化に対しては反対ではない。少なくとも緊急度の低い軽傷者の利用が減るメリットはあるだろう。しかし問題点も多い。▽救急隊の業務(料金徴収)が増える▽制度変更に伴うトラブルも増える▽有料、無料の線引きが難しい▽有料、無料の決定を病院に求められても現場の新たな負担になる―。これらは受け入れる側から考えた実務的な問題点。
 また、利用者の立場から考えれば、▽有料化すれば逆にタクシー化して本来の使われ方ができない懸念▽料金が払えないからと緊急時にも(必要とする人が)ちゅうちょする懸念―がある。
 むしろ、現行制度の中で、いかに不必要な使用を減らすかに全力を尽くす方が先だと思う。ちょうど渇水で節水の大切さが呼び掛けられているように、もっと住民に周知する方法があるのではないか。不必要な使用によるコストの浪費など数字を示して無駄遣いを減らすべき。どうしても改善が見られないなら、受益者負担(有料化)を考えざるを得ないだろう。

 ―住民としてはどう対処すべきか。
 長野 救急や医療サイドが敷居を高くしてしまうのは良くない。「軽めに考えて近くより、重めに考えて遠くへ」という考え方がある。疾患を軽く見ず、高次医療病院に搬送することは救急隊の判断でも許されている。万が一に備え万全を期す意味からだ。
 急病人や周囲の人にとっても同じことは言える。病状の判断、緊急度の判断がつかない時は「一一九番」するのは基本的に許される。その際、パニックに陥らず冷静に現状を話し、指示に従ったり、自力で病院に行けるかどうかを判断するのも大切になる。緊急時に相談できるかかりつけ医を持っておくことも重要だ。

 ◆ながの・おさむ 1957年愛媛県生まれ。岡山大学医学部卒、専門は救急医学。91年から岡山大学付属病院に勤務。04年から県立中央病院救命救急センター部長。

 佐竹圭一、岩部芳樹が担当しました。

(2005年7月17日四国新聞掲載)


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[産経を見習う・・・朝日・毎日・読売・にジャーナリストの資格はあるのか?] [マスコミ]


 まぁ、すでに僕の愛読しているブログ「カーリング漬け」や「伊関友伸のブログ」でも指摘がなされているように・・・非常に悪質な[社説の剽窃]あるいは「単なる複写しただけ社説」が目立ちます。


2/15読売 「診療報酬改定 中途半端に終わった勤務医対策(2月15日付・読売社説)」

2/2[朝日社説]  再診料下げ―見送りは既得権の温存だ

2/14[毎日社説]  診療報酬改定 意気込みが腰砕けではないか


2/14産経 【主張】診療報酬改定 十分といえぬ勤務医対策 (2008/02/14)


 オリジナルは2/2の朝日の社説ではなく、おそらく「[医療崩壊]マスコミが報じない格安医療費」でトラックバックをした・・・1/20の産経新聞の社説とまったく一緒の論調です。

【主張】診療報酬改定 開業医も痛み分かち合え
産経新聞 2008/01/20

 来年度の診療報酬改定の個別点数配分の議論が中央社会保険医療協議会(中医協)で始まった。今回の改定の大きな課題は、過酷な労働を強いられている勤務医対策だ。医師不足が深刻化する産婦人科や小児科、救急医療などに手厚く配分することを求めたい。

 厚生労働省が開業医の再診料引き下げを提案した。再診料は、開業医(710円)が病院(570円)よりも140円高い。厚労省はこれが、病院の夜間外来に患者が集中する一因になっているとみている。開業医の引き下げで浮いた財源を、勤務医の待遇改善策に充てようというのだ。

 厚労省がまとめた医療経済実態調査によると、開業医の平均年収は2500万円で勤務医の1・8倍だ。限られた中でメリハリを付けるためにも、思い切った引き下げが必要である。

 厚労省は再診料引き下げと同時に、開業医の夜間報酬を上げることも提案している。夜間救急を開業医にも分担してもらい、勤務医の仕事を減らそうとの狙いだ。開業医は夜間診察をすれば、再診料の目減り分を補えるわけで、積極的に協力すべきであろう。

 ところが、日本医師会(日医)はこの提案に強く反対し、中医協の答申案骨子から「引き下げ」の文字が削除された。エゴむきだしの主張だ。今回は、日医が政府・与党に強く働きかけて、医師の技術料にあたる診療報酬本体部分が8年ぶりに0・38%のプラス改定となった。産婦人科や小児科など医師不足対策を理由としていたことを忘れてもらっては困る。

 しかも、診療報酬本体部分の引き上げは、結果的に健康保険組合がその財源を肩代わりする形で実現した。大企業のサラリーマンは平均年5000円の保険料アップになるという。

 医師不足対策はサラリーマンら国民に押し付けておいて、自分の身を切るのは嫌だというのでは、とても理解は得られまい。開業医も応分の痛みを分かち合うべきだ。

 ただ、勤務医に手厚くしようとしても診療報酬を受け取るのは病院だ。勤務医にどう配分するかは病院経営者の判断にかかっている。引き上げ分が勤務医の待遇改善にきちんと反映されるよう、国民がチェックできる仕組みの導入も必要である。

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 つまり、各社まったく同じ「勤務医の救援のために、開業医は血を流せ・・・」なんです。どうですかねぇ?開業医が儲けすぎだから、労働環境が大変な勤務医を助けるべきだ?年収2500万円もらっている?この中には「設備投資の返済資金」も入っているのですが・・・いいんですか?個人事業主として全員が月収200万を越しているのではなく、平均値というのは現実を「正しく」表現していません、グラフをみてください。おかしくない?





>赤字診療所が136件、約13%ある。
>平均収支差の1/4である50万円以下の診療所が283件、約27%ある。
>平均収支差の半分のである100万円以下の診療所が454件、約43%ある。
>平均収支差の200万円以下の診療所が658件、約65%ある。 

-------------------------

 それなのに、各社の論調には、ほとんど「差」が見えません。ひょっとして、産経新聞のまねをしたんですかね?産経さん、「オリジナル」は御社ですよ。

 もっともオリジナルの1/20の論調は政府よりの論説を展開しがちな産経新聞に相応しい内容ですが・・・これは誰がお書きになったのでしょうかね?いえ・・・これ以上申しますまい。産経新聞の「痛みを分かち合え」というのは、医療崩壊について「国民」の目を「開業医のせい」にしようという「どこか」の意向に従って、同じ社説を繰り返し掲載する方が問題です。 

某掲示板で見かけた書き込み↓ 

 日本の医療費は先進国中、他の追随をゆるさないほど安いんだよ。 初診料日本2400円に対して、アメリカ平均20000円。 物価がはるかにやすい
中国よりも日本の方が安い。  これでもまだ高いっていう奴が多いけど、 

水道トラブル5000円トイレのトラブル8000円で、おまえの体のトラブル2400円
だぞ。  便器のトラブル以下って事を知ってるの? 

 まさに、安さにかけては便器以下なのが、日本だ。その数百円をめぐって[開業医が儲けすぎだ]とか見苦しい話である。いずれにせよ、
 過度の「価格抑制」が医療崩壊を招いていること、
 医療費が少ないことが患者さんの安全には向かない

 こと、すでに日本の常識だと思うが、マスコミの手にかかると、政府のメッセージを垂れ流すことに無批判すぎると思う。
 そして新聞など読んでも医療については「非常に危険」な傾向がみとめられることについて、警鐘を鳴らし続けます。


 ちなみに、「開業医が儲けすぎ」というのは、誤謬というより悪意に満ちたものであることは・・・2/18のアピール活動でもコメント欄がすごいことになっている「新小児科医のつぶやき」の「
2008-02-03 また朝日の社説」に詳しいのですが図表だけ転載して掲載させていただきます・・・診療報酬を巡って、

「産経」も「朝日」も「読売」も「毎日」も同一の論説というのは異常すぎ

 です。数字を捻じ曲げ、世間の目を欺くのに協力している・・・こういう「捏造社説」を各社同時に載せる・・・マスコミって明らかに異常です。気をつけましょう・・・あなたの購読している新聞は腐っているかもよ!

ぽち

 

  なかのひと 


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[忘れない・・・]2.18企画 我々は福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します [医療]


 今日は二年前の「福島県大野病院の産科医の不当逮捕」の日であります。産科医として正しい治療を行ったのに、刑事事件として書類送検ではなく逮捕され不当な取調べを受け、その病院から産科診療を停止させた福島県警の事件です。

 テレビカメラを呼んでの医師の逮捕劇はあきらかに「異常」でした(誰がテレビカメラを呼んだのかは知りませんが、マスコミは喜んで取り上げましたね)。これは海外ではありえません、日本はこの件だけで、法治国家ではなく「法痴」国家です。医療ミスがあったら民事訴訟となるのは仕方ありませんが、今回は「刑事事件」としたのです。

 刑事罰となるのは、「医療行為そのものが、悪意によってなされた場合」にのみですが、この医師は全身全霊をかけて患者を救うために努力をしました。それを捕まえた法曹界に対し、医師たちは「団結」して、この不当な司法の介入に抗議しつづけます。

 「胎盤癒着」という、極めてまれで難しい症例の産婦さんを担当し、救命できなかった廉で福島県警に逮捕されました。現在も刑事裁判は進行中です。

 現在、日本全国で、お産の出来る病院が激減しています。この逮捕が与えた悪影響を考えない法曹界の悪意を感じます。

 少子化の日本では、産科医は大切な存在です。医学的事実を無視した警察の手によって、1人の熟達した産科医が現場から引きはがされているだけでなく、この事件の影響で、全国のお産の現場から、医師が立ち去り、産科志望の若い医師が減っています。

 不幸な病死がすべて、「医師による過失死」だと認められるようなことがあれば、日本のすべての医療現場で、命に関わる治療を懸命に続けている先生達は、やがて立ち去らざるを得なくなるでしょう。

(一部天漢日乗さまの文章を改変しました)
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賛同ブログ

新小児科医のつぶやき

産科医療のこれから

ななのつぶやき

君の瞳に恋している眼科

天漢日乗

ある産婦人科医のひとりごと

「健康、病気なし、医者いらず」:福島大野病院事件から2年

誰に投票する?

モントリオール帰りの脳外科医の日々

さあ 立ち上がろうー「美しい日本」にふさわしい外科医とは

今日手に入れたもの

勤務医 開業つれづれ日記

へなちょこ内科医の日記(当直日誌兼絶望日誌)



 医師である限り、自分たちも「同じような不当逮捕」をされる可能性のある日本・・・みんなで日本の医療を守りましょう!ぽち

  なかのひと 


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厚生労働省の「労働行政」がおかしいのだ [医療崩壊]

バス運転手「勤務時間終わり」と放置プレイ
産経新聞 2008/02/16

米テキサス州で女性運転手がハイウエーのコンビニ前でバスを止め「私の勤務時間はこれまで。交代が来る」と言い残し、バスと40人の乗客を置き去りに。

 バスはチャーター便で、乗客は刑務所を出所したばかりの元受刑者。目的地ダラスへはまだ100キロ近くも。

 コンビニの店員から通報を受けた警官が駆けつけたところ、乗客はバスの周囲をぶらぶら。約3時間後に交代の運転手が到着するまで混乱はなく、乗客の行動は「模範的」(警官)だった。(AP)

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まぁ、海外ですとこれは当たり前かもしれませんが、日本だと「サービス残業当たり前」でしょうし、大手企業の会長さんが、「スキル向上のために残業代なしで土日も出社したいという若い人が沢山居るが、ホワイトカラーエグゼンプション制度がないために出社許可が出せない」といった発言がなされるように、残業代なしでも働かせたいというのが「企業側」の考えだと思います。

 日本のファーストフード業界の「何ちゃって管理職」(管理職権限なし、残業代なし)の店長さんの問題だけでなく、医療業界も「残業代」の未払いも問題です。

 また、医療業界では「当直(宿当直)」がいわゆる、夜間診療行為を行うようなものじゃないのに、当直=寝ないで仕事--->これは残業扱いならば「夜間の割増賃金手当て」の対象なのに、いまだに支払いなどを受けている医師はほとんどいません。

 まして、翌朝の続けての勤務など、24時間以上起きていたり、仮眠2~3時間で手術や診療に当たられたら「医療事故」や「指示ミス」も出て患者さんの生命をおびやかしかねない状態だのに、「残業代なし」「代休なし」「年中無休」のようになっています。これは政府のせいですね。ホワイトカラーエグゼンプション(残業代さっぴき法案)は一旦は撤退されましたが、これが導入済みなのが、医療業界です。そういう意味では自分たちの生活がそうなったら・・・仕事やめたり、残業代がもらえなくなる人が増える可能性がいつでもあるということです。

「天漢日乗」さんでも取り上げていますが・・・

2008-02-17

産科崩壊 大阪の市立豊中病院で常勤産科医2人が相次いで病気で倒れる 労基法違反の過重労働のせいじゃないのか


 それだけではなく、未払いも実績がある業界です。
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宮城・大崎市民病院が600人に残業代6千万円未払い

産経新聞 2008.2.16

 宮城県大崎市の市立大崎市民病院が、看護師や事務職員らに残業代などを一部支払っていないとして、古川労働基準監督署から昨年5月に是正勧告を受けていたことが16日、分かった。同病院によると、未払い金は総額約6000万円という。

 同病院は勧告に従い、時効の成立していない過去2年分の勤務記録を調査。未払い対象の職員は退職者などを含めて約600人に上った。未払い金は一人当たり平均10万円で、最高約170万円。総額は約5930万円だったという。

 同病院は未払いが発生した理由について「業務日報の記入などの残務処理が時間外勤務にあたらないと解釈していた」などとしている。

 病院側は昨年8月から未払い金の支給を順次始めており、来月中には完了する予定だという。


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 ここで、ちょっと長くなりますが・・・当直の医療について問題がまとめて載っている
2005/04/23本音医療!メルマガ ~No. 19~当直の夜間勤務化」を転載しておきますね。


2) 日本の夜間休日救急

重病や大けがというのは突然起こるものです。

夜間休日に具合の悪くなる患者はたくさんいますが、コンビニがこれ程普及する以前は、一晩様子をみてみるということもあったのでしょう。

尋常でない症状を伴う「重病」では、緊急処置が必要である可能性もあり、早く受診すればそれだけ救命される可能性が高くなることもあります。

そうした「重病」の他に、「念のため受診」、「かぜっぽい」、「夜だけ受診」を含め、緊急性がないのに夜間休日に受診する患者が急増しています!

こうした夜間休日診療のために多くの病院では「当直」という体制で対応してきました。

そこに大きな問題があったわけです!!

3) 労働基準法第41条に定める「宿日直勤務」

平成14年3月19日付で出された「労働基準局長通知(宿日直勤務に係る許可基準に定められる事項の概要)」ですが、「勤務医」がみると「あぜん」とするような内容です。

(勤務の態様) 常態としてほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、病室の定時巡回、少数の要注意患者の検脈、検温等の特殊な措置を要しない程度の、又は短時間の業務を行うことを目的とするものに限ること。したがって、原則として、通常の労働の継続は認められないが、救急医療等を行うことが稀にあっても、一般的にみて睡眠が充分とりうるものであれば差し支えないこと。なお、救急医療等の通常の労働を行う場合、法37条に基づく割増賃金を支払う必要があること。」

どういうことかといいますと、宿日直業務は、基本的に診療することが想定されていないということなんです!

コンビニ化した夜間休日の「救急」患者診療は、決して「突発的」ではなく「常態的」です。それを「日当直業務」の延長で対処してきた古い体質に問題があります。

さらに、労働基準局長「通知」から続けます。

「(睡眠時間の確保等) 宿直勤務については、相当の睡眠設備を設置しなければならないこと。また、夜間に充分な睡眠時間が確保されなければならないこと。」

「(宿日直の回数) 宿直勤務は、週1回、日直勤務は月1回を限度とすること。」

「(宿日直勤務中に通常の労働が頻繁に行われる場合) 宿日直勤務中に救急患者の対応等が頻繁に行われ、夜間に充分な睡眠時間が確保できないなど常態として昼間と同様の勤務に従事することとなる場合には、宿日直勤務で対応することはできません。したがって、現在、宿日直勤務の許可を受けている場合には、その許可が取り消されることになりますので、交代制を導入するなど業務執行体制を見直す必要があります。」

つまり、「救急」患者がたくさん受診するような救急医療機関は、「交代制」を導入しなさいということなんです。

4) 日本医師の32時間連続勤務

たとえば、朝から夕方まで通常勤務したあとに、「当直」という名目で朝まで夜間通常勤務を行います。その後も夕方まで8時間勤務すると「32時間」、昼まででも「28時間」になります。

こうした長時間労働を強いられている「勤務医」が実際、全国にいます!

睡眠不足に強い医師ならともかく、弱い医師なら体をこわします!!

5) おわりに

日本には、ドラマ「ER」に出てくるような「救急専門医」が非常に少ないことは、第18号でも触れました。

「救急専門医」が少ない「しわよせ」は一般の「勤務医」にきています。

実際、「勤務医」も少ないから問題です!

医師法第19条には、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」といういわゆる応召義務規定があります。

応召義務規定に基づき、押し寄せる「救急」患者を劣悪な環境で診療する日本の「勤務医」にかかる「しわよせ」は並大抵のものではありません。

このような診療を「当直」という形で対処するには無理があります!!

しかし、「交代制」を導入するには、圧倒的に「勤務医」が足りません!!!

このような環境から「勤務医」がバーンアウトしていき、さらに環境が悪くなるという悪循環を呈しています。

みなさんは、「当直中」あるいは「当直明け」で「フラフラ」あるいは「ちょっとハイテンション」の医師に「命」を預けられますか??

---------------------------
↓労働局長宛の厚生労働省基準局長の通知
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%82%B0%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

この通知を守らず、きちんと「取り締まり」をしない各県の労働局長を一度、裁判所に告発する医師もいてもいいでしょうね。そろそろ官僚の「不作為」は現場でどうにもならないことになっています。

この通知をまもらせたら、どうなるか?知っているからしないのです。「医師不足」を認めても、開業医を苛めれば勤務医を辞めなくなる?そんなことはありません。現場の過酷な状況をかんがみれば、すんなりと「美容形成外科医」になったり、「怪しい健康食品屋」と結託している医師、別に医学部を出てから外資系コンサルタントに勤める医師も出てもおかしくありません(実際に東大や京大の医学生が十人以上、大手コンサルタントに願書を出したとか聞くと驚くに値しません)。

今後、高齢化が一気に進みます。あと15年もすると、今の1.5倍くらいの人が亡くなります。財務省と厚生労働省は「家で死ねばいいじゃん」といいますが、在宅死を看取る人が昔の大家族の時代ならまだしも、今は老人世帯の2人とか1人で住まう人も多くなっています。そういうことを言う前に受け皿はない、開業医には「負荷」を・・・というと、どうなるか?「孤独死」が増えるでしょうし、病院はもっと忙しくなるでしょう・・・だって今よりお客は増えて、病床数が減るん(厚生労働省は国策で病院つぶしをやっていますからね)ですから。

今後、誰もが病気になってもかかれなくするのが政府の考えでしょう(だって医師が足りなくなっても「増やします!」とは言わないのだもの)。
救急医療が崩壊し、病院に受診するにしても予約が必要になるでしょう(開業医の先生を通してしか受診させないと言う風になるでしょうね)。
↓これ読むといいですよ。日本の医療がどういう風になるかよくわかります

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鎮火:マスコミとお役所が共同で作りあげたブーム [医療]

鳴り物入りだったPFIの空港も、やはり・・・うまくいっていないようです・・・

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無駄だった!?中部空港3周年、需要伸びず暗雲

産経イザ!2008/02/14

(前略)
 空港会社は14日、2本目の滑走路について(1)1本目に並行し、長さは同じ3500メートル(2)建設予算は2000億円以下-との基本的な考え方を明らかにした。

 だが、国が増設の前提とする需要は伸び悩みが顕著。空港会社がまとめた19年度上期(4~9月)の利用状況では、旅客数が約603万人で前年よりやや減少。発着回数は約5万3000回で前年比3%減、国際貨物取扱量は約10万7000トンで9%減だった。全日空が今年から国際貨物を関西空港に集約することも大きな打撃だ。
(後略)
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 ま、二本目の滑走路を作っておきたいのは、関西空港と同じでしょうが、結局は、国際空港である成田と関空を中心に国は動いています、需要がないのに2本目滑走路を作ってしまえば、採算悪化は誰が見ても明らか(関空で大赤字を作った、大阪府の二の舞だ・・・)。
 新しい空港は、アジアを中心にとか、格安航空会社の受け入れをよくする、インバウンド(入国者)の受け入れ態勢の拡充など、戦略的をターゲットを絞り込み、積極的に動かねば、結局トヨタ流のコスト削減などはあくまでおまけ、そして需要がないのに、まだ土木工事が必要なのか?という立場からすりゃ、もう・・・PFIとかで余計な箱物いらんだろってのに、お役所のムダは多すぎ。あまっている金なら、もう少しまともな使い方してほしいですね。

 さてと、空港も病院もそして団地も道路も土木工事で出来上がります。違うのは、出来上がったらおしまいじゃないのが「病院」です。医療技術の向上のために、新規投資もありますし、スタッフの教育、 周辺サービス(介護や検診、健康相談など)も含めて福祉の一環で行うべきですが、箱物行政ばかりが目だって、行政が赤字削減のために出すと、地域医療に悪影響が出るような事態が目につきます。

 銀行は銀行屋がやるべきでしたし、駐車場は民間業者がやるべきでした。病院も民間?。あ、これは例外でしょうね。保険屋さんとかにお願いしてもいいけど、彼らは「利益」を得るために、「損失」(=治療費の出費)を嫌います。

 福祉を民間の資本を導入して行う場合、悪質な業者への指導も必要でしょう。そしてその権力を行政は持っています。ところで、行政の「暴走」を誰が見張っているんでしょうかね?

 え?マスコミ・・・?期待していいんでしょうかね?僕は、マスコミの偏向報道が時としてミスリードしていることがありませんかね?と常々指摘してきました。

 医療についてもちろんプロではないが、報道のプロであれば、読者に間違えた情報を垂れ流すのは「非難」されてしかるべきでしょう。

 医療費の報道も「過去最大」とか「医師会が利権を手放さない」(手放せば医療が復活するのか?本当?)といった、財務省とか厚生労働省が発表する大本営の情報をそのまま流すのであれば、監視には役立たず。

 石原都政の影で「公立病院の再編」が進みつつ、都知事がぶちあげた「銀行」へは補助金追加で救済・・・どっちが大切なんでしょうかね?役人のメンツ?それとも住民の命?

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都立病院11を8に   再編・統合の中期計画策定

しんぶん赤旗 2008/02/01

 東京都は三十一日、都立病院の新中期計画「第二次都立病院改革実行プログラム」を策定しました。二〇〇八―一二年度の五年間に、現在ある都立十一病院を八病院に再編・統合し、民間資本を導入するPFI方式で施設整備をすすめるほか、地方独立行政法人化を検討する方針を盛り込みました。

 新計画は、「医療水準の向上」「医療サービスの充実」をかかげ、医師の養成、患者相談センターの設置などを盛り込みましたが、都立病院をリストラする従来計画を踏襲しています。

 計画は、八王子(八王子市)、清瀬(清瀬市)の都立小児病院、梅ケ丘病院(世田谷区、小児精神)を〇九年度末で廃止し、府中市に新設する小児総合医療センターに統合する計画です。

 都立豊島病院(板橋区)は、東京都保健医療公社に移管し、同院の新生児集中治療管理室(NICU)を廃止します。

 未収金対策として入院預かり金制度導入の検討を盛り込みました。

 また、都立病院の経営形態として、一般地方独立行政法人(非公務員型)が「制度的に最も柔軟な形態」であるとして、今後検討することを明記しましたが、具体化に踏み込むことはできませんでした。

 都立病院をめぐっては、住民、医療関係者らが各地で「直営で存続し拡充してほしい」と運動を広げています。

 PFI 民間資金活用による社会資本整備。「民間活力の導入」手法のひとつで、国や自治体の施設の建設や運営を民間企業に任せる仕組み。

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 いえ、もうPFIは成功の方程式ではなく、失敗のお手本らだけではないでしょうか?(5年前にわかっていた「日本版病院PFI」の失敗・・・? )。高知医療センターと近江八幡市民病院でこりてないんですねぇ>東京都って。お役所って本当に素敵です。民間の知恵は確かに借りねばなりませんが、PFIで上手にいったお手本をどこにお探しでしょうかね?そして誰が責任をとるんですか?地域住民は「都立病院の再編」には賛成しているのでしょうかね?
 住民からの貴重な税金の無駄遣い・・・(--メ)。マスコミも鳴り物入りで報道するだけでなく、ちゃんとあとで「責任」とってよね。ぽち

  なかのひと 

 ちなみにPFIの鳴り物入りで始まった高知医療センターの実情については・・・地元の高知新聞で先々週の連載
「医師が危ない 密着、高知医療センター脳外科-第一部 残業200時間の世界」
に詳しいです。

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東京都、新銀行東京に400億円追加出資へ

日本経済新聞 2008/02/14

 東京都は14日までに、都が1000億円を出資しながら赤字が続いている新銀行東京(東京・千代田、津島隆一代表)に対して、400億円を追加出資する方針を固めた。週内にも発表する。都は20日から始まる都議会に関連議案を提案する。

 新銀行東京は中小企業の貸し渋り対策として2005年4月に開業したが、07年9月中間期末で累積損失が936億円にまで膨らんでいる。新銀行は都による追加出資で財務基盤を安定させる一方、店舗や職員数の削減などにより収支の改善を目指す考えだ。ただ、経営不振の新銀行に対して都税で増資することには、都議会で批判の声が出る可能性も高い。(17:04)

道路財源で整備の地下駐車場ガラガラ 天下り法人運営

朝日新聞 2008年02月14日

 国土交通省が道路特定財源を使って全国14カ所の国道の地下に整備した駐車場の多くで、駐車スペース1台分の年間収入が20万円程度だったり、1日のうち1時間20分しか使われていなかったりと、利用が低迷していることがわかった。約995億円の国費で整備後、同省の天下り先でもある所管公益法人が管理・運営を担っている。「民間では考えられない低い収益率」との指摘もあり、道路整備を本来の目的とした特定財源の使い道として批判を呼びそうだ。

 国道の地下駐車場は、国交省が97~03年にかけ中心市街地の路上駐車の解消や渋滞緩和を目的に整備。建設費は道路特定財源で賄われている。

 国が用意したスペースに財団法人・駐車場整備推進機構(東京)が駐車用機械などを設置。管理・運営を一手に担う。1時間200~600円で、駐車可能台数は計2495台。

 同省によると、06年度の事業収入は計約12億7000万円で、総利用台数は約185万8000台。駐車スペース1台分あたりの年間収入でみると、東京都八王子市の八日町夢街道パーキングが約16万円、三重県四日市市の四日市地下駐車場が約20万円、名古屋市の大曽根国道駐車場が約21万円と、特に低迷。東京、大阪の2カ所以外は100万円を大きく下回っていた。「八日町」の収入は1日にすれば約400円で、1時間20分しか駐車されていないことになる。

 1台分のスペースの1日の利用台数を示す回転率も「八日町」が0.79台、横浜市の羽衣・伊勢佐木地下駐車場が0.81台など、7カ所が平均2台も止まっていなかった。大手駐車場運営会社は「いくら地方都市でも1台分の収入が年20万円では話にならない。税金で整備したからこそ成り立つ『お上の仕事』だ」と指摘する。

 同機構は、国道の地下駐車場の整備に合わせ93年に設立。常勤役員4人は同省と警察庁からの天下りで、鈴木道雄理事長は建設事務次官、日本道路公団総裁を歴任している。

 〈国土交通省道路交通安全対策室の話〉 民間駐車場の経営を圧迫しないためにも利益を目的としない公益法人が管理・運営にあたる必要があった。渋滞解消などの効果は数量的にとらえにくく、995億円の税金投入に見合うか批判もあるかもしれない。しかし、回転率は平均で2.0台あり、一定の効果は上がっている。


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ルネサンス?医療改革?いずれも美名のもとに行われる・・・ [医療]

 最近「○×改革」とか「ルネサンス」といった美しい響きでもって報道されることが多いですね。いえ、別に公務員とか医療とかだけでなく・・・

ルネサンス:再生を意味するイタリア語の『リナシタ』から派生した呼称である。

 ルネサンスっていうと「刷新」とか「再生」「復興」だと思っている人が多いですが、この記事を読んで、未来が見えてくるのでしょうか?

 いや、地方版だけでなく、今後やってくる日本の医療の未来のイメージをごまかしてません?もちろん「報道」は悪くないのですが、見出しに「ルネサンス」とか使うと・・・どうでしょうかね?

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<医療ルネサンス> 2500療養病床 1990へ

12年度末までに県、削減案進める 患者行き場に懸念も

 手術や治療後に長期療養が必要な高齢患者などを受け入れている「療養病床」について、県が2012年度末までに約2500床から少なくとも2割減らし、1990床とする削減案をもとに医療機関と調整を進めていることがわかった。本県は全国的にみて療養病床の数が少なく、在宅医療の環境が不十分なため、行き場を失う患者が出る懸念もある。(鈴木幸大)

 療養病床は、治療を必要とし医療保険が適用される「医療療養病床」と、介護保険の対象となる「介護療養病床」に大別される。

 自宅に介護者がいないなどの理由で長期入院する「社会的入院」が医療費増大の一因になっているとして、厚生労働省は2006年2月、療養病床を4割削減し、介護老人保健施設(老健施設)や在宅療養への転換を図る方針を打ち出した。

 県福祉政策課によると、06年10月現在、県内の療養病床数は2496床(うち医療療養病床1929床、介護療養病床567床)。

 県は12年度末までの5年間に療養病床を506床削減し、1990床とする削減案を作り、医療機関と調整している。3月に削減数を決定し、削減計画にまとめる方針だ。

 県は、療養病床の削減に伴い、患者を、特別養護老人ホームなどで受け入れてもらう一方、医療機関に対しても療養病床の一部を老健施設に転換してもらうよう促すことで、削減案を実現したい考えだ。

 しかし、1月末までに県内の医療機関で療養病床を老健施設へ転換する意思を示しているのはわずか1割ほど。療養病床を維持するとしたのは約4割。残りは態度を決めかねており、病床再編は不透明なままだ。

 一方、県が目標に掲げる2割削減は、厚労省が目標とする4割削減より少ない。しかし、県内の療養病床数は06年10月現在、65歳以上の高齢者人口でみると、1000人当たり8・0床で、全国平均の13・0床を大幅に下回り、全国44位の低水準にある。また、県内を8区域に分けた2次医療圏別では、大館・鹿角が同13・6床なのに対し、横手では同2・3床と地域によっても大きなばらつきがある。

 このため、県は、病院が遠く往診や通院に時間がかかることや、深刻な医師不足、在宅医療体制の不備なども考慮して、2割削減にとどめたい考えだ。

 療養病床の減少について、脳卒中を患い、横手市内の病院に入院中の男性(71)は「家族のいない自宅に戻っても、ご飯も作れないし、トイレに行くこともままならない。何もできず途方にくれてしまう」とため息交じりに話す。

 県福祉政策課の担当者は「もともと療養病床が少ない県内の実情などを踏まえ、現場の医療機関と調整したい。療養病床の減少を補うために、地域医療の連携体制を強化していくことが不可欠」と話している。

(2008年2月11日 読売新聞)
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 改革とかルネサンスという言葉を使うことは・・・時として「事実」をゆがめます。医療を刷新したいのはわかります。そのためにイメージを変えたいというのもわかります。でも、具体的には病気が治っても、帰る場所がない老人が追い出されるようになることを「医療再生」の美名のもとに行うのがはたして、「美しい日本」なのでしょうか?
 あ、もう「美しい日本」の首相がいなくなったから、美しくない国になってしまったのでしょうかね?

ぽち

  なかのひと 


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