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救急医、交代勤務制へ? [医療行政]

 朗報というべきでしょうね。ただ、救命センターだけが「救急」をやっているんじゃないんですよねぇ・・・汗。

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医師、交代勤務制なら加点。救命センターの評価法見直しへ

http://japan.techinsight.jp/2008/03/satou200803072138.html



Techinsight 2008年03月07日 21:23



全国で妊婦が病院をたらいまわしにされている問題が相次いでいるという実態を受け、厚生労働省は、全国200箇所余りある、救急救命センターの評価法を見直すことを決定した。

新しい評価法では、救命センターに勤務する医師が、夜間や休日に当直勤務制ではなく交代勤務制であれば点数を加える。7日に開かれた「救急医療の今後のあり方に冠する検討会」で了承された。



救命センター評価法は1999年度に開始。これまで救急医療に携る医師数や、重症患者などの受入れ状況などを、各施設からの報告に基づいて点数化し、厚生労働省が3段階で評価してきた。

しかしながら、直近2年の2006年度および07年度は、全ての施設で「A」評価だった。そのような中、07年8月に、奈良県で救急搬送された妊婦が病院 をたらいまわしにされ、救急車が事故を起こし死産の問題が発覚。これを契機に、全国各地で同様の問題を抱えていることが表面化した。このことから、評価方法が現状に合わないことが露呈したため、」厚生労働省が見直しを検討していた。

妊婦だけではなく、重症患者で、病院から受入れを拒否され、最悪死に至るケースが後を絶たない。現場の現状に則した評価法の検討と、医師には、人の命という重たく大事なものを扱う認識をもって、現場に立ってもらいたい。



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↓同じニュースがこちらでも(ソースは同じみたいです)

http://news.livedoor.com/article/detail/3544195/



記事のうち、最後の太字にした「医師には・・・」は十分承知していると思いますよー汗。誰も怠けたいのではないと思うんですけどね(というか、野戦病院を知らないからかけるんでしょうな・・・)。まぁ、これくらいで目くじらたてるなというかもしれませんがね汗。



もちろん、記事を読んで、救急センターの交代制は理想的です。ただ、どうなんでしょう・・・ちゃんとこれで「救急センター」が回るように、ただでさえ不足している医者を集めると・・・他の二次救急とかが、ますます大変なことになるかもです。



例の看護師の7:1で生じた「看護師不足」と同じような・・・汗([急募]フランス料理つき説明会?)。



 救急医療を救うためには、「需要抑制」(患者さんの救急受診を減らすこと)」と「供給増加」(医師数増加)の両車輪がないとなぁ・・・というところで、ついに時間外診療について英断を下した自治体がでてきています。ぽち

  なかのひと








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時間外加算:緊急性低い患者対象、実費に--志太・榛原地域4総合病院 /静岡




毎日新聞 2008年3月7日



志太・榛原地域の4総合病院は、夜間や休日に救急患者を診察した際、診療代に上乗せする「時間外加算」について、緊急性がない患者に限っては保険の適用 外にする方針を固めた。軽い病気でコンビニエンスストアに行くように時間外診療を利用するケースを実質的な「値上げ」で減らし、医師の負担を軽くするのが 狙い。焼津市立総合病院が来月1日から実施し、榛原総合、島田市民、藤枝市立総合の3病院も順次実施に踏み切る見通し。



現在の保険制度では、「緊急の受診の必要がない場合」は時間外加算には保険を適用しないとされており、それを厳格適用する。



今回の措置の背景には、全国的に地方病院で医師が不足する中、軽い腹痛などで体制が手薄な夜間などに救急外来に来る患者への対応が負担になり、医師不足 加速の一因になっているとの指摘がある。実際、焼津病院では内科医1人が診る救急患者数は県平均の約2倍に上り、激務が原因で辞めた医師もいたという。



しかし、「昼間に病院に行けない」と軽症で夜間診療所代わりに救急外来を利用する患者は多く、4病院の救急外来に自力で来た患者で、直後に入院したのはわずか9%だけ。特に焼津の入院率は県内最低水準だという。



そこで、軽症患者の実費負担を増やすことで、緊急性のない患者の来院に歯止めをかけることにした。例えば午後10時以降に診察した場合、通常の診察代に 時間外加算(初診4800円、再診4200円)がかかる。これまでは原則7割が保険で賄われていたが、新たな仕組みでは、医師が「緊急性がない」と判断し た場合は、時間外加算の分は全額が患者の実費負担になる。



同様の仕組みを06年11月から導入した磐田市立総合病院では、月間約2000人ほどだった救急外来の患者数が、導入後は軽症患者を中心に100人ほど 減ったという。同病院の北村宏院長は「診察が必要な救急患者はいつでも診察することを徹底しており、救急直後に入院した重症患者は逆に増えた」と話してい る。【稲生陽】



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県立小児医療センター:時間外受診の軽症患者に、診察料4200円上乗せ検討 /埼玉



毎日jp 2008年3月6日



 県病院局は、県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)で時間外(夜間・休日)に受診する軽症患者に対し、診察料金に4200円を上乗せして徴収する検 討を始める。軽症患者の急増で重症患者の診療に支障が出ているため。伊能睿(さとし)・県病院事業管理者は「いろいろと努力している最中なので、あくまで 最後の手段」と話している。上乗せ分は保険対象外のため、軽症患者は全額を窓口で支払うことになる。時期や軽症と重症の判断基準などは決まっていない。
同センターは本来、地域の医療機関では対応できない最重度の患者を医療機関からの紹介で受け入れる三次救急病院。しかし、小児科医不足などで県内各地の 救急体制が整わなくなったため、02年から紹介なしの外来患者の受け入れを開始した。その結果、06年度の患者数は1万1180件と02年度比2・7倍に 増加。このうち75%を占める紹介状なしの外来患者のほとんどが軽症だった。同センターはホームページなどで「時間外診療はまず他の医療機関に相談くださ い」と患者に理解を求め、関係医療機関に軽症患者の受け入れを求めている。

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自治体病院再編への圧力 [医療行政]




今朝の読売新聞の3面です(オンライン記事はないためデジカメにて掲載、お買い求めください?というのは冗談で、リンク先はこちらです)。この記事、ざっと読むには「よく出来ています」。自治体病院の経営が何で直面しているのか?民間病院との差、コストのこと、役人の経営戦略なんて全くないこと・・・についても書いてあります。
実例として小樽の二つの市民病院再編+新築計画があがっているのですが、あの街を歩くたびに、こんなに観光客が集まる街なのに、年々商店街に活気がなくなっており、病院の赤字だけでなく、自治体そのものの赤字財政、これから第二か第三の夕張市民になるかもしれない小樽市民が気の毒でなりません。

仕方ありません。そういう首長を住民が選んできたのですから(お笑いタレントなどを首長に選んだり、国会議員にしてきた大阪もよく似ていますけどね)。

 今後はこういう「赤字自治体病院=お役人の無責任経営」のような記事(半分はあたっている・・・残り半分は間違いなのは後述)が当分、並ぶんでしょう・・・総務省も「赤字財政の自治体」の監督する役目を果たさねばなりませんからね。
 今は民間病院も大変な時期ですが、自治体病院の75%が赤字、「赤字なら全部つぶしてしまえ!」にはならないことを願うばかりです。
 実は国立病院が独立法人化したのですから、地方自治体の病院がいつまでも自治体の支援(税金による赤字補填)を受けながら、いつまでも続くとは思ってなかったのですが。

自分の勤めていた某公務員系病院も小泉内閣時代に5年間で補助金打ち切りが決定して大慌てで経営戦略を見直し、間尺にあわせた医療資源の集中(何のことはない現場の医療従事者は給料は増えずに仕事が増えただけだったのですが・・・汗)により、補助金なしでも黒字化するようになりました。
そのおかげで、CTやらMRIの台数が二倍に増えたのですが、これは画像診断件数が増えて現場の医師が犠牲になっているように思います(患者さんの待ち時間は短くなりますが、医者の数が増えてない場合、見事に現場の医師や看護師さんの負担が増えていることになります)。

もちろん、独立採算がとれなければ、自治体や国などの母体の財政に負担がかかるので、「財政的」には「可」ではなく「優秀」そのものとなります>僕のいた某公立系病院。

さて、公立病院の再編はもちろん、お役人の経営センスのなさ(2-3年おきにズブのど素人が事務長を交代でお勤めになる)もさることながら、公立病院は住民へのサービスとして「小児科」「救急」などの採算がよくない診療部門を抱えずには居られないからですが・・・。

 さて、日本でも有数の良好な財政基盤をもつある自治体でも、メスが入ることになりましたが・・・そういえば、この前1000億円もの住民からの貴重な税金をドブに捨てたのに、また400億円ほど追加でドブに捨てることを決心した自治体でしたな。読売新聞も、気の毒な住民の声もきいて欲しいのですがね・・・まともに取り上げるのは赤旗や医療系メディアです。実は「小泉流改革」がまだ地方自治体ではこれから本格化するのです。
ぽち

  なかのひと



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「清瀬小児病院の存続を」住民ら訴え

2008/02/18 18:39   キャリアブレイン

 東京都府中市に移転・統合されることが決まっている「清瀬小児病院」(東京都清瀬市)の存続を求めるシンポジウムが2月16日、清瀬市内で開かれ、地域住民ら124人が参加。同病院を受診する子どもの家族らが存続を訴えた。(兼松昭夫)

シンポジウムは「都立清瀬小児病院を守る会」(小野幸子代表)が主催した。

小野さんは「今は小児医療こそ充実させていかなければならない」とあいさつ。また、近隣の東久留米市に住む主婦は「8年前に引っ越してきたが、引っ越しの日に1歳(当時)の子が熱を出して清瀬小児病院にお世話になった。この土地で安心して子育てができると喜んだ」、「地域唯一のNICU(新生児特定集中治療室)がなくなれば、この地域で子どもを生むことが難しくなってしまうのではないか」などと述べ、存続を求めた。

このほか「10年後のオリンピック招致よりも目の前の子どもの命を」と訴える声もあった。

清瀬小児病院は、これまで50年にわたり小児医療を提供。現在では清瀬市や東久留米市、東村山市のほか、隣接する埼玉県所沢市や新座市の患者も受診している。

都による「都立病院改革」の一環で、八王子小児病院(八王子市)や梅が丘病院(世田谷区)とともに09年度末に移転統合し、「小児総合医療センター(仮 称)」(府中市)として整備されることが決まっているが、移転が実現した場合、近隣地域にNICUがなくなることもあり、地域から存続を求める声が高まっ ている。

同会が展開している第3次署名活動では、これまでに3,600人分以上の署名が集まった。6月の東京都議会に提出する。

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400億円、新銀行東京に 東京都、追加出資案を提出

朝日新聞 2008年02月20日

 東京都は20日、1000億円を出資して設立しながら経営難に陥っている新銀行東京に、400億円を追加出資する議案を都議会に提出した。銀行の資本強化を図るが、経営再建につながるか不透明で、新たな都税投入に都議会から反発があがりそうだ。

 同日午前、都は議会運営委員会に来年度予算の補正予算案を提示。石原慎太郎知事はこれまで追加出資を否定してきたが、銀行側が経営計画の見直しを前提に当初300億円程度の増資を都に要請。調整を進め、都は経営安定化のため400億円の拠出を決めた。

 関係者によると、新銀行東京は現在の6店舗を1店に統合し、約450人の従業員を約120人に減らして経費削減を図る。現在約4000億円の預金残高を圧縮する一方、融資も大幅に減らす。都の公共事業を請け負う企業への貸し付けを拡大するなど都の政策との連動も強化し、11年度の単年度黒字を目指すという。

 新銀行東京は石原知事が中小企業支援策として2期目の公約に掲げ、05年に営業開始。無担保無保証融資を売りにしたが審査が甘く、多くの貸し倒れが発生。昨年9月中間決算で累積赤字が936億円に膨らんでいた。同日会見した新銀行東京は、3月期末決算で累積赤字が1000億円程度になる見込みを示し、将来は減資も検討する方針を示した。


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医療の実態に驚く司法関係者・・・ [医療行政]

 Medical Tribuneという、医療関係者しか読まない媒体があります(たいてい医局の机の上やゴミ箱によくおちているものです)。その電子版にMTproというものがあります。たまたま、こんな記事があったので、ご紹介しておきます。

 ちなみに、技術が進歩しても、医療事故はゼロにはなりません。これは人が人間であるから必ずエラーは発生します。その原因を追究&再発防止のために必要な手段として調査は必要です、しかし現在の日本の場合「魔女狩り」のように個人の医師をターゲットとして責任を個人におしつける風潮があります。

 残念ですが、医療はとっても複雑なんです。○×式でセンター試験のようにクリアに判定つかなかったり、さまざまな要因(スタッフの知識、マンパワー、設備、患者さんの状態・・・)がからまっています。一人の患者さんを診る多忙な医師、また同時進行で他の患者さんを看る看護師さん・・・現場はもうすごいことになっています(特に救命救急などの現場では)。

 これに刑事罰を課すことが、現場にとってどれほどマイナスなのかは医療側は良く知ってます。では、お読みください。

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MTpro 2008年1月21日掲載

医療関係者の刑事訴追における多くの問題点

 医療と法律の関係が大きく変わる出来事が続発し,現場で働く医療関係者に混乱と困惑が広がっている。特に医療事故における刑事訴追件数の増加が医療現場に大きな影響を及ぼす要因の1つとなっている。1月19日,東京都で開かれた第13回日本脳神経外科救急学会で東京医科歯科大学(研究開発学分野)教授の高瀬浩造氏が,医療従事者の刑事訴追に対する理解と取るべき対応に関し,学会特別企画として講演を行った。

不明確な「過失」の定義

 高瀬氏によると,日本の医療事故に対する刑事訴追の最大の問題点は,民事と刑事の「過失」の定義には形式的な差がないばかりか,検察の運用によってのみ実質的な差が生じていることだという。

 これはすなわち,医療事故が起きた際に民事での主な争点となる「注意あるいは説明義務違反」と,医療事故に事件性があるかないかを争点とする刑事の「業務上過失傷害あるいは業務上過失致死」が法制度上の重みが同じと見なされているに等しく,「検察の判断いかんで,被告となった医療従事者は民事,刑事において同じスキームにより,二度罰せられることになる」と同氏は指摘。

有罪かどうかのみが争点に

 民事では医療事故の医療側の責任の有無と原告側の患者が受けた損害の因果関係について,双方の弁護士および裁判所の三者が審議を行うが,刑事訴追ではいったん起訴が決まれば,被告が有罪か否かが最大の争点となる。

 さらに,専門性・特殊性の高い知識を必要とする医療案件では,民事あるいは刑事を問わず多くの場合,裁判官や検察官らは医療関係者への参考聴取を行う。民事では,専門委員の発言内容は証拠としては採用されず,原告・被告双方の言い分を中心に裁判が進められるのに対し,刑事ではすべて検察官の判断において公判時の証拠として提示されるだけでなく,検察側が被告の有罪を主張するのに有利な証拠を重点的に集めることも考えられる。刑事訴追を受けた被告は,起訴された時点で弁護士を依頼し,その時点でようやく検察側の主張に相対することになる。

 これでは,医療事故が起きた背景や事情については,真に公平な視点で事実関係が明らかにされるとは言い難く,現行の法制度下で医療事故を刑事事件として取り扱う矛盾と言えそうだ。

患者や警察への初期対応は慎重に
 医療事故における刑事訴追増加の背景には,患者あるいはその関係者による警察への訴えが容易になったことに加え,警察あるいは検察側の,患者側の意見を特に重視する指向が強まっていることがある,と同氏は分析。しかし一方で,「患者の不信感が強い場合」と「医療機関側が当事者である医師を非難した場合」に患者側が医療行為の犯罪性を強く訴えることが多いことが明らかになっているとした。

 実際,同じような事案にもかかわらず,刑事訴追されるケースがある一方で,刑事事件として取り扱われないといった事態がいくつも起きているが,民事ですでに示談が成立している,あるいは患者側,医療機関側双方で合意が得られていれば刑事訴追の可能性は極めて低くなるとの報告もあるという。

 高瀬氏は医療事故における刑事訴追を見直すために,医療における事件性あるいは刑事上の過失の明確な定義を確立することをはじめ,検察側への医療に対する啓発活動の必要性,医療関係者の取り組むべき点を提言した(表1,2)。


 特に表2の「医療事故での守られるべき医療者」については「以前は,"医療従事者同士はすぐにかばいあう,助け合う"といった周囲の声に,われわれ自身が過敏に反応し,当事者の有利性に寄与するような証言はしにくいという風潮が見られたが,大部分のケースで医療従事者は患者を助けるため,日夜,懸命に医療を行ってきたことを忘れてはならない。そのためにも,医療機関側は,患者や警察への初期対応において,真摯な対応,協力を行うのはもちろんだが,当事者である医療従事者が"犯罪"に関与したかのような誤解を与える軽はずみな行為,言動はすべきでない」とした。

略式起訴は受けるべきでない

 また,同氏は医療事故訴訟における,略式起訴の実態にも言及した。現在,略式起訴は医療事故の刑事訴追の約半分を占めるまでになっている。その背景には,刑事司法制度改正による公判手続の簡略化による影響もあるようだが,決定のプロセスには「罰金を払えば解放される」と当事者があたかも免責されるかのような誤解を与える説明が行われる場合があったり,当事者が弁護士や法律に明るい医療関係者などの同席もなく一人で検察官と面談し,略式起訴を受け入れざるを得ない状況に自らを追い込んでいることなど多くの問題があるようだ。

 しかし,略式起訴の安易な受け入れは,特に医療事故においては検察側の一方的な尋問により「過失」が「罪状」として認定されることを意味し,医療事故における刑事訴追をさらに助長することにつながる。同氏は,「万が一,検察側から略式起訴を勧められても決して受けないように,と私ならアドバイスする」との見解を示した。

(坂口 恵)

 先ごろ第13回日本脳神経外科救急学会の特別企画において,医療関係者の刑事訴追における多くの問題点に関する講演が行われた(既報)。演者の東京医科歯科大学大学院(研究開発学分野)教授の高瀬浩造氏 注1は,「医療は一つの切り口で表現できるものではなく,常に包括的で総合的な認識を必要とするもの」との見地に立ち,医療者側の立場から医療と司法の相互理解推進に努めている。講演にあたっては,「刑事訴追の問題が医療従事者の熱意をいたずらに削ぐことがないような内容を心がけた」という同氏に,変わりゆく医療と法律の現状ならびに医療関係者が求められる対応について聞いた。


検事・判事補の医療機関研修・・・医療の実態に驚きの反応

―医療従事者として法曹界への関わりを持ったきっかけと現在の状況を教えてください。
 医療従事者として,あるいは医学教育を担当する者として,医学教育・医療制度・医療訴訟の改革は避けて通れないものと考えていました。法曹界との接点は6年ほど前に,東京地裁の民事医療集中部への協力を依頼されたことが契機で,現在は,大学病院として,法務省刑事局が行っている検事の医療機関研修も担当しています。これは先に始まっていた,司法研修所が大学病院で行っている判事補の医療機関研修での成果に基づき,私が法務省に要望し,実現したものです。
 具体的には,医療事故を担当している,あるいは担当することになる検事たちに,1週間にわたり大学病院で研修を受けてもらいます。研修内容は,見学・実習・講義・討論の4部で構成されており,検事たちに医療現場の実態を見てもらいながら,医療に携わる人たちの現実,価値観,意識を理解してもらうことを目標としています。この制度をきっかけに,検察と医療の間のコミュニケーションがよい形で進めばと思っています。

―実際の研修を終えた判事補・検事の方たちの反応はどういったものでしたか。
 ほとんどの感想は,「医療の現場がこのようなものだったとは知らなかった」というものです。それまでどのように思っていたのかについては,話したことはありませんが,おそらく医療が科学的に実行されていると考えていたのでしょう。
 さらに,判事補も検事も,自分たち同様に医療従事者の労働環境が劣悪なことに驚いているようです。また,診療における判断がきわめて困難なだけでなく,短時間での決断が求められること,医療が医療従事者の技術に大きく依存していることへの驚きや,患者への説明が予想以上に丁寧,といった反響があります。判事補の医療研修は,すでに6年ほどの実績があるので,研修に参加した先輩から事前に話を聞いているため,最近は以前ほどの驚きはないようですが,検事研修の場合は,それまでの医療に対する考え方が大きく変わったという声が多いです。
 いずれにせよ,医療研修制度が判事補および検事の医療に対する認識を少なからず変えることに貢献していることは事実です。私たちも,彼らとの接触で司法に対する認識を新たにしただけでなく,講演で話した刑事訴追における私の見解も,検事研修での議論により得られた部分が少なくありません。

―講演では医療事故が刑事事件として取り扱われることの危険性をお話しされていました。実際,法曹,特に司法関係者側は現在,こうした傾向をどのようにとらえられているのでしょうか。
 司法関係者のなかでも温度差があるように感じています。従来,関連事案を数多く担当してきた民事領域では,医療が持つ構造あるいは意識の特殊性がある程度は理解されてきたように思います。その一方で刑事では「法の下の平等」ということもあり,「医療だけを特別扱いはできない」という意識が強いように思います。しかし,医療をほかの領域と同様に扱うことによる弊害,特にリスクの高い医療行為が潜在的に犯罪となる可能性があるという医療側の認識は,医療を受ける国民にとっても,とんでもない損失となる危険性があります。

医療側の司法に対する認識の向上や働きかけも重要

―「医療事故で守られるべき医療者」について提言されていましたが,具体的取り組みとしてはどのようなことが考えられますか。
 医療機関によって,まだ格差はあるかと思いますが,医療水準の重要な要素としての安全管理についてはかなり啓発が進んでおり,意識も高まっていると思います。ただし,医療の評価ができる専門家はやはり医療従事者であるため,自分たちがどこまで評価できるのか,してよいのか,さらにはそれが社会と乖離していないのか,など問題は残っています。その一方で医療は,社会が医療に対して不信感を持っている以上に,社会に対して不信感を持ち始めています。
 このため,今後医療事故の公表制度あるいは第三者機関による事故調査などは,医療側の不信感が払拭されないと実効性あるいは実行性がないかも知れません。この医療側の不信感が「医療従事者の意識の崩壊」の本体ですので,この部分を解消できるような教育が肝要です。

―医療裁判上の問題として司法解剖および,参考人として選ばれる医療関係者の全体的なレベルアップが必要で,そのためには医療従事者側の司法に対する積極的な働きかけも重要と提言されていましたね。
 全国の医学部では法医学の専門家の絶対数が不足しています。このため司法解剖に十分な人的資源が投入できていません。診療現場でも人的資源の不足は重大な問題ですが,至るところで問題が起きているわけです。問題の唯一の解決法は,この問題を十分に認識するとともに,優秀な後継者の育成へとつなげる努力をすることです。
 以前の私もそうでしたが,医療関係者は全体的に制度としての法律に興味がありません。しかしそれでは問題は解決しませんので,法制度に関心を持ち,教育を受けることが必要です。東京地裁の医療集中部ではカンファレンス鑑定 注2とよばれる新しい鑑定方式を導入し,数多くの大学をはじめとする施設で働く医師を,鑑定人として裁判に関与させてきました。この鑑定経験者たちは医療訴訟に対して実体験としての理解をしており,その後それぞれの医療機関においても,重要な役割を演じています。これらの人材の中から,司法側への提言ができる専門家が生まれてくるものと期待しています。

(坂口 恵)

注1:高瀬 浩造 氏
 1980年,東京医科歯科大学医学部卒業,その後同大学小児科助手を経て,コロラド大学医学部NJC小児科リサーチフェロー,リサーチアソシエイトを務める。1998年,東京医科歯科大学医学部附属病院医療情報部教授。2000年,東京医科歯科大学大学院医療政策学講座研究開発学分野教授。また,同大学医学部附属病院院長補佐,大学院医療管理政策学コース担当教員のほか,最高裁判所司法修習委員会委員,東京地方裁判所医療機関,弁護士会および裁判所協議会幹事を併任し,司法研修所による判事補ならびに法務省刑事局による検事の医療機関研修を担当している。>>本文へ戻る

注2:カンファレンス鑑定
 医学部を有する東京都内の13大学のうち,当該訴訟に関連のない3施設をランダムに選び,当該疾患を日常診療している准教授,講師クラスの3人が鑑定人となり,裁判所や弁護士の同席のもとでカンファレンスを行い,鑑定結果を報告するシステム。現在,東京地裁医療集中部で運用されている。>>本文へ戻る
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 個人的な意見ですが、医療事故調査は、理性的な判断を行うところだと考えます。そこに遺族代表が入り込むのは奇妙ですし、医療のプロと法律のプロが考えるところであると考えます。
 飛行機事故や船舶事故でも同じで、個人責任ばかりを追求しても、再発防止につながらないので、「明確」に法的な訴追の場所ではないことを明記した場合のみ、ファンクションするかと思います。
 医療関連死の届出を義務化し、医療機関が届出しなければ罰するような仕組み自体がご無体な・・・という気がします。

 あくまで金銭的救済は法廷でも民事であって、刑事罰を行うと誰が進んで「ハイリスク」なことをするでしょうかね?というか、もしも報道の人が記事を書いていて、あとで間違っていたとして「新聞条例」とかで、ミスや誤報の都度、事故調査にかけられて、届出をしなかったら罰せられたら、自由な報道などできますか?そういう観点からも自分たちの筆が及ばないことがあるように、医療は完全なものじゃありません。ブラックジャックだって、失敗するように、医療はこの時代になっても結果は不確実です。処罰されるのは高度な違法性が高いものであり、ミスなどは民事にてその妥当性を法的に弁償するしかないのではないでしょうか?内科学会や外科学会、医師会などは大賛成なようですが、本当に現場に即しているのか?もう一度、見直す必要があると思っています。
ぽち

  なかのひと 



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刑事手続きとの関係6割が「懸念」

 

更新:2008/01/28   キャリアブレイン

 

 厚生労働省が今国会での法案提出を目指す医療事故の死因究明制度に関して、医療関係者の7割以上が制度の趣旨に賛意を示す一方、刑事手続きとの関係については6割以上が懸念していることが、日本病院団体協議会(日病協、議長=鮫島健・日本精神科病院協会会長)が実施した調査結果から分かった。

【関連記事】
四病協、死因究明制度に前向き

 調査は、昨年末から年明けにかけて、日病協の運営にかかわる幹部らを対象に実施。厚労省が創設を目指す死因究明制度の趣旨や新制度の骨格、刑事手続きとの関係などに関して賛否を聞き、194人分を集計した。

 その結果、新制度創設の趣旨に対しては全体の7割超にあたる148人が「賛成」と回答する一方、同制度と刑事手続きとの関係については62.3%(121人)が「反対」と答えた。「賛成」とする回答も22.2%(43人)あった。

 このほか医師や法曹関係者、患者・遺族の代弁者らが加わる「医療事故調査委員会」(仮称)が事故原因などを調査することには、全体の約半数にあたる100人が「賛成」と回答。また、調査委員会が再発防止を提言することには86%(167人)が賛成した。

 厚労省によれば、死因究明制度の創設は医療死亡事故の原因を究明し、再発防止につなげることが目的。医療事故による死亡が疑われるケースについては現在、医師法21条に基づき警察への届出が義務付けられているが、新制度創設後は調査委員会に事故を届け出る。調査委員会は事故原因などについて報告書をまとめ、再発防止策を提言する。

 死因究明制度をめぐっては、制度の創設自体には医療現場に前向きの受け止め方が多い。ただ自民党案では、事故が故意や「重大な過失」によるものと調査委員会がみなした場合などには警察に通報する方向を盛り込んだほか、報告書が刑事手続きに使用される可能性にも言及しており、この点には反発もある。

 今回の調査結果は、新制度と刑事手続きとの関係について病院団体の懸念が強いことを改めて裏付ける形になった。

 調査委員会のメンバー構成について「死因究明を重視するなら医師など医療関係者を中心にすべき」という意見もあり、日病協は厚労省などに働きかける方針。


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もう逃げるしかない?処方箋なき医療崩壊 [医療行政]

さて、ある新聞社では、アンケート調査を行い、その結果について淡々と乗っけているのですが、おわかりでしょうか?産経新聞さん。医療崩壊は開業医が儲けすぎだからじゃありませんよ。今日も俎上にあげておきます。
 アンケートの結果だけで書いた記事は、医師の不足の解決方法については一切、書いてありません。こういう新聞会社にとって、医師が足りないのはもう常識になっている医療従事者からみれば、「時代遅れ」だと思いますが、いまだに「救急車で運ばれたら必ず助かる」という幻想を打ち砕いてくれるかもしれません。 

 まぁ、新聞の記事や社説を見るにつけ、日本の医療の未来が悪くならないよう、新しい建設的なお話を期待しています。

ぽち

  なかのひと



産科医だけでなく内科医も不足 医師会アンケート

産経新聞イザ! 2008/01/26
 
医師不足問題を中心に地域医療について産経新聞は近畿、北陸、中国、四国地方の府県単位の18医師会に調査を実施した。診療科別の医師不足で最も深刻なのは「産科」などとあげた医師会が大半だった。しかし、大阪府や兵庫県では「内科」が最も医師不足に陥っていることがわかり、診療科の細分化で全般を診る総合的な内科医不足が心配されている。
医師不足の診療科5科の回答では「産科」、「産婦人科」をトップにあげたのが中国、四国全県を含め15府県。島根県医師会の中島雪夫会長は「当直、日直という仕事も多く、訴訟も生じるリスクも大きい」とし「なり手も減り、手が足りなくなれば、さらに負担がかかる」と産科医不足が進む悪循環を指摘。「産科」などに続いて医師不足が深刻なのは「小児科」で奈良や和歌山県など12府県が第2位にあげ各地で「産科」、「産婦人科」、「小児科」の医師が足りない全国的な現状を裏付けた。
一方、大阪府や兵庫県では「内科医」不足を深刻度第1位に回答。大阪府医師会の酒井英雄副会長は「内科でも消化器内科、循環器内科など多くの科があるが、内科一般を診る医師が少なくなった。専門化が進むと医師が分散され、全体としては手薄になる」とした。また、三上裕司理事は「産科、小児科だけでなく生死にかかわる内臓関係の科目は敬遠され、過重労働は深刻な問題となっている」と話した。両府県のほか、「内科」や「内科循環器科」を5位以内にあげたのは京都、和歌山、岡山、広島で、医師不足による「産科」医療などの疲弊のかげで、最も身近な「内科」にも危機が忍び寄っていることがわかった。
調査では、「麻酔科」の医師不足を石川が第2位にあげ、広島や高知など8県が第3位に回答。「救急科」を5位以内にあげる医師会も目立ち、「産科」や「小児科」に続き医師不足が深刻になっていることが判明。広島県医師会の碓井静照会長は救急医療で「麻酔医や救急医が不足しているときは対応できない」とし、麻酔、救急医不足が救急病院の患者受け入れ拒否に絡んで今後、課題となりそうだ。
このほか、看護師不足についても回答を求めたが、全医師会が「不安を感じる」とした。中島会長は「高卒女子の10人に1人が看護師にならないと県内の看護師養成学校の定員を満たさない事態になる」と窮状を訴えた。

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まぁ、この記事の下にあった広告が笑ってしまいましたが・・・

 まぁ、特に下のように「刑事罰容認」という立場の新聞を読んだ医師は「逃げなさい」ということなのかもしれませんが。

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【主張】医療事故調 信頼取り戻す制度とせよ

産経新聞 2008.1.23

 「医療事故調査委員会」制度の厚生労働省原案が固まってきた。医療事故の原因を究明して再発防止に結び付けるのが、この制度の趣旨である。今後、政府・与党の最終合意を得て法制化し、平成22年度までにスタートさせるという。

 現在、医療事故を調査する専門の第三者機関はない。医療事故は、警察の捜査や刑事・民事の裁判で原因は明らかになっても、再発防止策にまでは結び付きにくいのが現状だ。

 近年、医療事故が続き、民事訴訟が増加している。医師の刑事責任が問われるケースも目立つ。医療事故調を早く制度として確立しなければ、医療に対する信頼回復は難しいだろう。

 医療事故調は、事故原因を報告書にまとめて公表し、再発防止策を提言する中央委員会を厚労省内に置き、その下に医療事故ごとに調査を行う地方委員会を設ける。委員会のメンバーは、医療従事者、法律関係者、遺族代表者らで構成される。

 委員会には調査権限が与えられる以上、当然ながら中立性や公平性、秘密保持の義務が課される。

 医療事故の原因解明には、高度な専門知識が求められる。それだけに、警察の捜査に対しては医療関係者が強く反発するケースもある。民事訴訟は、遺族に費用と時間の両面で重い負担を強いることになる。

 専門知識を持つ医療事故調が機能するようになれば、患者側、医療側の双方にメリットは大きいはずだ。

 ただ、制度運営にあたっては、なお解決しておくべき課題が残っている。ひとつは、事故調の調査と警察の捜査との関係をどう整理するかだ。

  原案では(1)死因がはっきりしない診療関連死は、まず事故調が受理する(2)診療関連死については病院に届け出を義務付け、怠った場合は罰則を科す (3)故意や重大な過失、悪質なケースは事故調から警察に通報する-となっている。だが、刑事責任の追及などはこれで問題がないのだろうか。

 原案では、医療事故調の調査対象は死亡事故に限っている。しかし、大事故の背後には多くのインシデント(一歩間違ったら大事故になりかねない事例)が隠れている。死亡以外の調査も医療事故を防ぐには必要だろう。これも検討を求めたい。

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 きっとこの記事を読んだ人は・・・この広告をみて、どこかに逃げることを考えるのでしょうかね?気のせいか。
 事故調での運用次第で、崩壊が加速するに10カノッサですね。そして義務付けられた事故調査委員会には「病院で死んだ」という通報が山のように。それも医療過誤だったとかに関係なく診療中の死亡は全例届出とか。

 審査には、中立性や公平性、秘密保持の義務が求められつつ、他の医療事故の被害者家族が入ってくるなど・・・つまり「近所の殺人事件の調査に積極的に、まったく見も知らない」専門外の知識のない住民が乗り込んで患者の情報を調べ上げる??_謎です。

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町医者不足、訴訟リスクも高まる 医師会アンケート

産経新聞イザ! 2008/01/26

医師不足や救急医療問題などに対する産経新聞調査では、産科や小児科の医療現場ががけっぷちに立たされる中、麻酔科や救急科、さらに内科にも医師不足の危機が迫っていることもわかった。特定部位ではなく全体を網羅する内科の医師不足は、地域医療の崩壊も懸念されている。

■総合医が不足

大阪市北区の診療所。マンションが林立し、お年寄りの診察がめっきり増えている。お年寄りらの診察内容は軽微なものが大半。勤務する医師は「かかりつけ医として健康状態をきちんとチェックしてあげなければならない」という。
患者の増加で、院長のほか、他の医療機関などに勤める5人前後の内科医が交代で診察。事務責任者は全般を診る内科医探しに追われ「何でも診ることができる医師が少ないのです」と話し、こうした総合医不足が心配されている。
一方、市内の大病院では消化器内科、循環器内科、血液内科など内科でも多くの分野に診療化が細分化。こうした分野にはスキルアップを目指す若い医師の人気は衰えない。大阪府医師会の酒井英雄副会長は「医学部生は専門医になるのがトレンド。学会認定の専門医になるには手術をこなさないといけないので、臨床例の多い都市部を選ぶ」と分析。都市部に集まった医師も専門的な診療科に人気が集中し偏在化が始まっているようだ。

■新制度の功罪

調査では、医師不足の表面化は国が平成16年度に始めた新医師臨床研修制度の影響とみる声が多くの医師会から寄せられた。
新人医師は、出身大の医局が勧める研修を受けることが多かったが、新制度以降、2年間の義務研修後、研修先を自由に選べるようになった。石川県医師会の小森貴会長は「制度開始で研修医が都心部に集中し、医師供給を担っていた医科大学の能力が低下した」と話した。その都市部では総合医を中心にした内科医不足が始まっている。富山県医師会の福田孜会長は「地域偏在、診療科の偏りを招いた大きな要因で、廃止を含め抜本的な見直しが求められる」との見解も示した。

■リスク対応策を

産科や小児科の医師不足では訴訟リスクの高さも影響。救急医不足に対しても小森会長が「救急患者を受け入れた際、患者や家族が期待する結果と異なった場合に不満、時には訴訟になることが増えてきた」とするなど、リスクの程度が診療科間の医師不足の度合いに大きくのしかかっていることがうかがえた。リスクへの対応を求める声は多く、兵庫県医師会の西村亮一会長は「高リスクの診療科に対し、医師が安易に刑事告発されない制度の創設など安心して医療が行える環境整備への努力が必要」としている。

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内科4月から休診 北見赤十字病院 全6医師退職意向 「後任めど立たず」

北海道新聞 2008/01/25

 【北見】北見赤十字病院の内科医師六人全員が三月末で退職の意向を固めた問題で、同病院は二十四日、北見市役所で記者会見し、荒川穣二副院長が「後任の医師確保のめどはついていない」と述べ、二月から新規患者の診察・入院を停止し、四月から内科を一時休診する考えを示した。

 従来の外来、入院患者の対応については「北見医師会などと協議し、転院先を確保していく」とした。約二千人が診察を受けるリウマチ・膠原(こうげん)病の治療が網走管内でできなくなることに関して「管外での治療が余儀なくされるため、責任を持って病院を紹介する」と話した。二十四時間体制で患者を受け入れている同院の救命救急センターでも「内科休診で運営に支障が出る恐れがある」とし、二十二日付で院内に「地域医療維持対策本部」を設置したことも明らかにした。

 道医療政策課は「高度医療を担う地方センター病院で内科が休診になるのは道内初」としている。

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 今後は、道内発とかのニュースで、「昔ならどこでもできたんだけど・・・」ヘリコプターで大都市に患者さんを転送するようになりましたといった、記事が並ぶかもしれません。

 個人的には、拠点病院の強化を行い、人口20万人未満の地区に複数の病院がある場合は政府が指導して病棟や検査システムを共有する、そして外来はお互いに行き来できるようなものにしてみてはいかがでしょうか>同じ市内であれば統一するのは事務的コストの削減にもなりますし、機能分担が違ってきますが、基本疾患をきちんと見てもらえる状況にあるのならば、少なくとも一つは地域に残るのではないかと考えています。

 もう東京や名古屋、大阪から道東の病院からアルバイト医師を集めて、その場をつなぐ時代は終わったのです、残った現有戦力で最大できる医療を提供する事、これに集中する。結果として、医師も看護師、ベッドの数もあるかもしれませんが、無理して同じサイズの病院を残そうとすれば、それは自治体の経営を蝕むことになります。

 どこかで必要な医療(救急医療の受け入れの可否)の線引きを行うしかないかと思っています。
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[救急非常手段]たらい回しを防ぐには・・・ [医療行政]

 相変わらず、「たらい回し」報道のように「病院が何で断るんだ」という報道が目に付きますが・・・それにしても、利用者サイドにそもそも問題があるという指摘がそろそろなされる時期に入っていると思います。

逆にいうと、救急病院が患者さんの押し寄せているのを無視して「お前ら仕事しろよな」というのは「命の現場」を無視していると思います。

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救急搬送10年で4割増 目立つ軽症患者 「適正利用」はモラル頼み

北海道新聞2008/01/08

 救急車の利用が道内で増え続け、二○○六年の救急搬送件数は十年前に比べて四割も増加したことが道のまとめで分かった。特に軽症患者からの依頼が  目立ち、タクシー代わりに利用するケースも後を絶たない。こうした傾向は全国的で、横浜市は昨年末、緊急性がないと判断した場合、患者の搬送を断ることも あるシステムの導入を決めたが、道内の救急医療関係者からは「患者の選別」に戸惑う声が多く、適正な利用には市民のモラル頼みというのが現状だ。 

  「日焼けサロンで焼きすぎた」「入院するので来てほしい」 

  年間の救急搬送数が約七万五千件に上る札幌市消防局には、救急車の出動要請が途切れることがない。 

(以下略)
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インフルエンザ患者 救急搬送神戸市10.5倍

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昨年11月~今月3日63人 乳幼児と高齢者が7割

 全国的に例年より早いペースでインフルエンザが流行する中、神戸市内で昨年11月1日~今年1月3日に救急搬送されたインフルエンザ患者は63人  に上り、前年同期の10・5倍に急増したことが市消防局の調査でわかった。救急患者全体では、年末年始(12月29日~1月3日)が前年同期比10・9% 増になったのもインフルエンザが影響したとみられ、市は「今後も流行が続くと思われる。特に、抵抗力の弱い子どもや高齢者は重症になると死亡する危険性も あるので、注意してほしい」としている。

 市消防局によると、インフルエンザの救急搬送は、昨年11月の9人(前年同期1人)から12月は44人(同4人)に激増。11、12月の計53人 のうち6歳以下の乳幼児は23人、高齢者は15人で、合わせて全体の7割を占めた。正月三が日も10人(同1人)とハイペースで推移し、猛威を振るってい る。

 年末年始の救急患者は1万5454人で、前年同期より1513人増加。外科や小児科は前年同期比1・0~2・6%と微増にとどまったが、インフルエンザ患者を診療する内科は27・2%増の7040人に上った。

(2008年1月8日 読売新聞)

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『たらい回し報道』では見えてこない現実が見えてきますね。インフルエンザなら、救急車ではなく、熱が出た時点でかかりつけ医に受診する窓口を探して出かければいいのですが・・・どうも「あわてて利用」とか「病院探し」に利用されているような気がします。
日焼けサロンの焼きすぎで利用など論外です。救急車は「生命危機」の時の非常手段です。


「たらい回し」の状況を見るにつけ、色々と方法を行政が行ってくれるしかないのですが、「安易な利用」については制限をかけるべきだと考えます。

アメリカやカナダでは下記のように、救急車の使用は、通常のタクシーの初乗り運賃よりもはるかに高い!です。

もちろん、高齢者や低所得者などの方は、無料になる人はいてもいいのですが、公的サービスとは言え、税金でまかなっています。夜間の突然のためと、「開いててよかった・・・」みたいなコンビニ受診目的での利用はそもそも根本からして用途が違います。

救急救命センターはまさに「最後の砦」。それをみんなで「ツブす」真似事をしているのが日本国民だというのはすでに指摘したとおり。

今後、行政側は「運営コスト」と利用者の間で悩むでしょうが、入院にならない軽症者が利用するのは呼びかけだけでなく、ペナルティの時代に入りつつあるのを、地域住民に呼びかける必要を強く思います。

ぽち

  なかのひと 



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アメリカ:救急車の搬送代金が2割値上げ

Maplewoodでは救急車の搬送代が値上げとなる
Ambulance fees will increase in Maplewood

Startribune紙 2008/1/4

 Maplewood(ミネソタ州、人口34,947人)の住民は、今年に入って、救急車を呼ぶと、病院への搬送の基本料金が21%値上げがされ、一回あたり1330ドル(14.5万円)となったのに気づくでしょう。(心臓マッサージなどの)生命維持の処置を含む複雑な搬送の費用は1920ドル(20.9万円)とさらに高額です。
(以下MNJを参照)

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 お隣、カナダについても、ブリティッシュコロンビア州の料金表もこちらにかかげておきます。MSPはMSP(Medical Services Plan)」という健康保険に加入した人(こちらに教えてもらいました)で、2007年10月10日以降は搬送1回あたり80カナダドルです(それ以前は54ドル)。1カナダドル=110円ですから、9000円近い金額です。

 三段目にあるのは保険に入ってない旅行者や労災ですが、すごいです。救急は530ドル、ヘリコプターは1時間あたり2746ドル(一時間30万円ですよ!)。まさに、必要経費はちゃんと取る。加入は必須ですし、気軽に利用はできませんね。


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[医療バブルをぶっ潰せ!?]効率化を行えば患者はがん医療の進歩をもっと享受できるはず? [医療行政]

さて、昨日は経済的な専門家から「お門違いだぞ!」って意見がありましたらすみません(--;)。自分もとてつもなく勉強不足を感じています。ただ、 M&Aが世界で標準なのに、日本だけ「ハゲタカ外資カエレ!」って言い続ければ、結局、窮地に陥ったバイオベンチャーやベンチャー起業を誰も救ってくれません。難しい問題です。

さて、医療費については、今後、高齢化が進行するにつれ、問題が山積しそうです。というのも、「高齢化=医療費激増」なのですから、それは仕方あいません。

さて、ここに医師でありながら元厚生労働省のお役人さん(現在は大学教授です)が、「がん」について自説を開陳しておられます。この考え方も、ひとつの見解なのですが、DPCが導入され、がんの治療は長足の進歩をとげています。今後、外来での治療が当然になり、長期入院も次第になくなり、「手術を受けたらとっとと家に帰れ」という時代になるでしょうね。それを受け入れるか否かですね。

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現場の効率を高めれば、患者はがん医療の進歩をもっと享受できるはず

文芸春秋編:日本の論点PLUS

濃沼信夫 (東北大学教授)

増大するがんの医療費負担
経済的理由によって、がんの治療を変更せざるをえない。これは、患者にとっても担当医にとっても苦渋の選択である。がん臨床医約七〇〇名に対する調査で、こうした厳しい状況の患者が少なくとも一〇〇人いることがわかった。化学療法では一日数万円する薬剤が使用されることがあり、保険の適用であっても患者の負担は大きい。保険がきかない陽子線治療は三〇〇万円近い自己負担が必要となる。身体的、精神的負担に加え、経済的負担は三重苦である。わが国には国民皆保険があり、さらに高額療養費、医療費控除、医療費減免などのセーフティーネットが用意されている。しかしそれでも、自己負担割合の引き上げや最先端の医療技術、長い治療経過などでがん患者の経済的負担は増加している。
がんセンターや大学病院などに通院するがん患者約四〇〇〇名に、領収書などから医療費を合算してもらった。年間の自己負担額は平均九〇万円に達していた。内訳は入院、外来、交通費などの直接費用と、健康食品・民間療法、民間保険料などの間接費用とが、ほぼ半々である。六割の患者は健康食品・民間療法を利用し、その年間支出額は平均二〇万円。また、八割の患者は民間保険に加入し、その年間保険料は二〇万円を超える。
患者の平均年齢は六〇歳を超えており、がん治療の自己負担額はこの年齢層の平均実収入の二割に相当する。患者の半数は高額療養費による償還を受け、四分の一の患者は医療費控除を受け、四割の患者は民間保険からの給付を受けている。これら戻ってくる金額の合計は五〇万円ほどである。一部の患者は、しばらくして一息つける可能性があるが、当座は年間一〇〇万円近い金額を準備しなくてはならない。治療期間は平均三年半である。

制度疲労に陥った国民皆保険
今日、がんは身近な病気である。患者は約一三〇万人であり、死亡者は年間約三〇万人、全死亡の三割を占める。がんの医療費は年間二兆円を超え、一般医療費の一割を占める。また、がん患者が入院することによる生産性の低下は四〇〇〇億円強、死亡による生産性の喪失は四〇〇〇億円弱と試算される。がんに罹患することの社会的損失は、これらを合算しても三兆円を超える。二〇〇四年度にスタートした「第三次対がん一〇カ年総合戦略」が掲げるスローガン、「がんの罹患率、死亡率の激減」の実現は、財政の観点からも重要かつ緊急である。
がんの医療費は今後も増加傾向をたどると予測され、国家の財政と患者の家計を圧迫する恐れがある。がん患者が医療費を心配することなく治療に専念できる環境を早急に整備しなくてはならない。「お金がないため必要な医療が受けられないことがないように」、これは一九六一年(昭和三六年)に国民皆保険を実現した国民の悲願であった。それから半世紀、再び、国民皆保険前夜の事態が生じつつあるようにみえる。国民皆保険のほころびは、患者の医療費に関する切実な訴えからもうかがい知ることができる。

コスト意識のなさが患者負担を増やす
がん医療の進歩を患者にあまねく届けるために、がんの医療財政を破綻させることなく質の高い安全ながん医療を展開するために、臨床現場、制度運用、制度改革の三つのレベルでそれぞれやるべきことがある。
第一の臨床現場では、医療費についての丁寧な説明が第一歩である。調査でみると、医療費について「十分な説明を受けた」とする患者は四分の一にすぎず、半数の患者は「説明がなかった」としている。医師の調査でも、医療費についての説明を「必ずする」と「たいていする」の合計は四分の一にとどまり、過半数は「あまりしない」としている。一般のがん患者が医療費について気軽に相談できる窓口の設置や専門職員の配置が急務である。患者と医療者がともにコスト意識を高めることは、検査や投薬の適正化、入院適用の厳格化など、患者負担を最小化する知恵と工夫を凝らすことにつながる。
臨床現場のもう一つの視点は効率化である。わが国の入院医療が抱える三大課題は、世界標準(主要三〇カ国の平均)に比べ、在院日数が長く(三~五倍)、病床数が多く(二~三倍)、人手が少ない(二分の一~三分の一)ことである。がん患者の平均在院日数は一カ月を超えるが、アメリカは一週間、イギリス、フランス、ドイツは一〇日である。わが国の技術水準は諸外国に遜色はないので、在院日数を現在の二分の一、三分の一に短縮できないはずはない。在院日数が短縮すれば、患者のQOL(生活の質)は向上し、ホテルコストと入院生活の支援にかかる経費が大幅に節約できる。試算では、アメリカ並みの在院日数で三〇〇〇億円強、ドイツ並みで三〇〇〇億円弱の社会的損失の節減が期待できる。
ただし、在院日数の短縮は人員配置の改善とセットでなければならない。在院日数が短縮すると仕事の密度が高まるとともに、早期退院で空いた病床に新たに患者が入院するので仕事はきつくなり、サービスが低下し、ミスが起きやすくなるからである。すなわち病床数は、在院日数の短縮分だけスリム化されなければならない。在院日数が半分に短縮されれば、病床数は半分で足りる。病床数が半分になれば患者あたり二倍のマンパワーを投入できる。
第二の制度運用の工夫としては、三カ月程度かかる高額療養費の償還の迅速化がある。これは患者の要望により、二〇〇七年四月より実現の見通しで、自己負担限度額以上を支払う必要はなくなる。また、新薬などの保険適用の迅速化、高度先進医療の早期保険導入、特定療養費制度(評価療養)の拡大ないし見直し、経済的負担に関する情報提供システムの構築(がん対策情報センターの活用)などがある。

優先度を考慮した医療保険に
第三の制度改革は患者、医療者とも強く望むものであり、改革の核心は人手不足の解消である。がん治療は特に多くの人手を要し、人手不足はわが国のがん医療の致命的な欠陥である。人口当たりの養成数をみると、医師は世界標準の下限、看護師はちょうど世界標準、薬剤師は世界標準を大きく上回る。それでも、人手不足が深刻な最大の理由は、病床数と受診数が世界標準の数倍も多いこと、すなわち、応需可能な限界を超えていることと考えられる。これは、個々の病院や医療者が懸命に努力しても対応しきれない構造的な課題である。社会的入院など、過度に進行した量的拡大、いわゆる医療バブルを総括し清算することがすべての出発点となる。需要から必要な供給を考えるのではなく、供給から適正な需要を考えることが重要である。
改革のもう一つのポイントは、医療の優先度である。医療における優先度は、救急医療におけるトリアージ(患者の選別)と同じく、人手や財源が限られている場合に優先度の高いものに重点配分しようという考え方である。先進国はどこも財政問題を抱えており、医療保険の給付範囲や給付割合について国民的な議論がおきている。アメリカのオレゴン州を嚆矢に、イギリス、フランス、スウェーデン、オランダ、ノルウェー、ニュージーランド等の国々では、医療の優先度を考慮した医療保険のあり方が模索され、一部で実施に移されている。
重い病気などで本当に困ったときに安心を約束するのが医療保険の最大の役割である。フランスでは、補助医療サービスや軽度の疾病の治療薬の自己負担割合を高くするかわりに、がんなど長期で高額な治療を必要とする疾患は患者の自己負担が全額免除される。オレゴン州では、優先度で医療サービスに順位をつけ、休養で回復が可能な病気など優先度の低い医療サービスは、高齢者向け公的保険の給付外としている。わが国に当てはめて試算すると、国民医療費の一割がこれに該当する。こうした制度の導入には、国民の理解と協力が不可欠である。わが国でも、国家予算を医療に重点的に投入することの意義を含め、医療保険の根本に関わる事柄について幅広い議論をおこし、万機公論に決すべき時期に立ち至っているように思われる。
がん対策基本法が二〇〇七年四月より施行される。がん対策の法制化は、多くのがん患者・家族の強い要望に国会が応えたものであるとともに、国を挙げてがんとの闘いに取り組むとの意志を明確にしたものである。患者の経済的負担ができるだけ少ないがん医療の実践に向け、効果的な対策の展開が強く望まれる。がん情報難民ばかりでなく、がん経済難民を回避するために。

濃沼信夫
1948年神奈川県生まれ。81年厚生省に入省、保険局医療指導監査官、WHO本部事務局、国立がんセンター運営部企画室長などを経て、現在東北大学大学院医学系研究科教授。専門は医療管理学、医療経済学。全国のがんセンターや大学病院など 35施設を対象に、がん患者の費用負担などについての大規模な実態調査を実施、06年9月の日本癌学会で発表した。著書に『医療のグローバル・スタンダード』『世界の医療・最前線』などがある。

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それにしても、大学教授は「臨床現場」のことを知りません。お金について、いくらいくらとお話することが「医療費抑止」になるような勘違い・・・。

ちなみに、日本の手術料や入院費は決して高いわけじゃありません。

また、成績も悪くありません・・・。この元厚生労働省のお役人の意見はあくまで「日本の病院は効率が悪い」から患者さんが質の悪い医療を受けているという攻撃です。でも、命がかかるがん治療、金額を聞いても保険が利く範囲ならば、「じゃ、高いので止めます・・・」なんて患者さんや家族はいうでしょうかね。

現在の健康保険では、高額医療費であろうと、ほとんどは患者の支払いに問題は生じません。日本のがん治療が「非効率」なのか?という疑問が生じてしまいます。

日本の在院日数が伸びているのは、療養施設に入れない待機待ちなどが在院日数が伸ばしているように思います。しかし、急性期病院で、外科手術をばんばん行っているような施設が在院日数がそれほど長いとも思えません(まぁ、旧態然とした病院もあると思いますが・・・DPCの在院日数どんどん短くする競争しているのですけどね)。

たとえば、大腸がんの最新の医療に用いられる、分子標的薬。これを年齢に関係なく「破格の値段」(だいたい毎月60万円ていうのが、世界で比べると安いのですが・・・イギリスは毎月100万円♪)、この薬を使うような患者さんが激増している中、高額な薬剤もバーゲンプライスで使える日本といういい環境をやめればいいという話があります(要は地獄の沙汰も金次第♪)。

大学の同門会の時に、ある消化器内科の先生にこう言われて自分は絶句しました・・「ア○スチンなんて高い薬を保険診療で使わせるから医療保険が崩壊するんだぞ!」って・・・。まぁ、これも一つの意見にしか過ぎません。きっと効率化という「難関」を潜り抜ける必要はあるでしょう。しかし、現場の医師は「限界まではたかせといて『お前らの働きが悪い』」みたいな書き方は遠慮なく言わせてもらえば・・・「無礼千万」だと思うのですけどね。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20071214-OYT8T01014.htm

「1か月の薬剤費だけで約60万円と高額だが、保険で認められ、多くは高額療養費制度が適応されるので、年収にもよるが自己負担は月8万円ほどだ。」

高齢者が増えると、自然にがん患者さんも増えます(これは嘘じゃありません・・・当然、病気で必ず我々は死ぬのですから・・・)。

がんとは言え、病気の進行など、個人差もあります。治療費一定に抑える魔法はないと思います。平均寿命を超えたら、自由診療とか、年収が高い人は保険加入拒否して強制的に医療保険を選ばせて強制加入とかやんないとダメかなぁ・・。ま、それにしても、がん患者さんの医療費高騰に目をつけるのはいいけど、「見当違い」のように思いますがね・・・。

「効率化=手抜き医療」と呼ぶのが僕は適切だとおもっています。ぽち→

なかのひと


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患者&医師を見殺しにする国家「にっぽん」 [医療行政]

被害者の願い込めた法案に…薬害肝炎原告らが意見書

 世間では、「医療」の問題は、あまり身近ではありません。むしろ医療訴訟や薬害などの時はここぞと報道するため、「いいイメージ」を持つ人は少なく、逆に「お前ら、きちんと仕事しないくせに・・・」といった、一種の誤解が生じています。
 日本の医療について、あまりご存知ない方が多いのは仕方ありません。
しかし、アメリカの市場原理市場主義によって、何が起きているか?とかそういうニュースをもう少し知っておいたほうがいいかもしれません。

アメリカ:保険会社のせいで移植手術ができず少女が死亡

 また、イギリスでも「混合医療」については問題になっています。こういうニュースは日本では、ほとんど取り上げられません。

イギリス:がんの混合診療について患者が訴える

 社会保険庁の問題はもうずいぶん前から専門家だけでなく、有名な事実でした(少なくとも自分は2年前から社会保険庁のデータベースがいい加減なのは、一般企業の方に聞いておりました)、結局、問題が手におえなくなるまで放置プレイが、この国のお役人の仕事ですし、マスコミも取り上げません。

 薬害訴訟もそうですが、責任を取らされるのを役人は嫌うので、彼らが厚生労働省の本省にいる間はなかなか進みません。
 今回の薬害の実態について把握しながら、何もしなかった当時の大臣やえ官僚さんたちの責任は問われません。マスコミは舛添さんや福田さんをたたくことに熱心ですが、薬害を起こす構造・・・それを直さないと、結局は再発防止は難しいだろうなぁ。
 医師の過労死もそうです。「病院の勤務医の状況」を改善させない厚生労働省のお役人は「医師は偏在」と言いつつ、見殺しにしています。こんな国だから、薬害の被害者である患者さんもそして過労死の医師も見殺しにされるわけです。これを一気に改善するのは難しいのですが、松谷さん(医政局長)とか舛添さんは実は知っているのです、でも自分たちまで責任を取らされるのがいやなので、何も言わない。その結果があとあと被害を招いていると感じます。ぽち 

  なかのひと 

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医師不足影響 浮き彫り 勤務医激務に悲鳴 1108人調査回答

実労働週64時間以上3割

読売新聞 2007/12/24

 勤務医の実労働時間は週64時間以上が3割、産婦人科医の半数が月5回以上の当直――。今年、県医師会が県内の勤務医を対象に行ったアンケート調査で、病院での厳しい労働実態が明らかになった。回答者からは「深刻な医師不足が生じ、地域医療は崩壊している」「何人過労死するまで、この環境で働かされるのか」といった悲痛の声も上がった。調査結果を踏まえ、県医師会は「勤務医の実態を広報していく活動が求められる」と総括している。

 アンケートは、県内91病院の非常勤を含む勤務医約2300人を対象に行い、1108人(うち女性170人)が回答した。質問事項は勤務状態、医療政策など多岐にわたった。

 週平均の実労働時間は、64時間以上が30%で、このうち79時間以上は12%に上った。診療科別では外科医が最も長く、64時間以上は36%。産婦人科医の労働環境も深刻で、当直回数は月5回以上が49%、緊急時の呼び出し回数も月5回以上が43%に達した。

 当直明けで通常勤務をしている医師は全体の7割を占め、「長時間勤務による悪影響」について尋ねた質問では、「健康不安」(71%)に次いで「医療ミスを誘引」と心配する医師が60%もいた。

 「現在の仕事内容や労働時間に見合う収入を得ていると思うか」(以下は複数回答)との質問には、「我慢できないほど不満」と答えた小児科医と産婦人科医がいずれも2割にのぼり、診療科別では最も多かった。さらに、「勤務の上で負担に感じていること」として、「医師不足による過重労働」と挙げた医師が半数を占めた。

 現在の医療政策について不満のある医師は9割に及んだ。関心のある政策に「医師不足と偏在」と挙げた医師が67%と最も多く、医師不足が深刻な県内の医療事情を表した。

 自由回答では、「勤務医は開業医に比べ、肉体的にも精神的にも多くのストレスを強要されている」といった不満の声が多くを占めた。

(2007年12月24日 読売新聞)


医師の過労死6人 今年急増

労災認定4人、賠償2人

 勤務医の過重労働が社会問題となる中、過労死や過労自殺による労災や損害賠償を認められた医師は、今年に入って計6人に上っていることが、過労死弁護団全国連絡会議(幹事長・川人博弁護士)のまとめで分かった。

 1970年以降で同会議が把握したのはこれで21人。労災の認定基準が緩和されたことを差し引いても、今年は突出している。川人弁護士は「医師不足などを背景に、現場の負担はピークに達している」と指摘。医療現場には過労死など遺族が言い出せない雰囲気があるとして、「認定されたケースは氷山の一角で、労働環境の改善が急務だ」と訴えている。

 6人は1996~2006年に亡くなった20~40歳代の医師で、うち4人は03年以降の死亡だった。死因は、3人が急性心不全や心疾患などの病気、3人は自殺。補償の内訳は、労災認定が4人、訴訟での損害賠償の認定が2人だった。診療科別では麻酔科、小児科、研修医が各2人。

 死亡事例以外でも、昨年1月に脳出血で倒れ、半身まひになった広島県の40歳代の産婦人科医が今年8月に労災認定を受けている。

(2007年12月13日  読売新聞)
 
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[レミングスを監視せよ?]病院はDPCに向う・・・ [医療行政]

新規698病院も「軽症含むDPC」の対象 <中医協小委で合意>
Japan Medicine Mail 2007/12/13

 中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=土田武史・早稲田大商学部教授)は12日、今年7月から新規にDPC準備病院に参加した698病院が2009年度に対象病院に移行する際の基準として、軽症の急性期入院医療も含めることで一致した。06年度の準備病院371施設が08年度に移行する際の要件と同様、「データ/病床比」が8.75以上の基準を満たせば、07年度の準備病院も09年度に対象病院に移行できることが、現時点では合意されたことになる。
 ただ、竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は「軽症も含めることについては合意はしたが、DPC制度全体の見直しが行われるまでの暫定措置」と主張。来年度以降にDPC評価分科会で検討することになる

<1>調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数
<2>基準を満たさない病院を対象病院から外す仕組み
<3>対象病院が自主的に撤退できる仕組み

―など、DPC制度全体の見直し議論が進む過程で、基準案の変更もあり得るとの認識を示した。

↓他のニュースソース(メディカルウェーブ2007/12/11)
07年度DPC準備病院は09年度から対象病院に
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 タイトルのレミングスは、ゲームのタイトルです。学生時代に遊んだ覚えがあります。これはレミング(タビネズミ)の複数形です。

 ただ、ウィキペディアのある項目を読むと・・・あんまりうれしくないお話です。

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 『動物の集団自殺としては、レミング(ねずみ)の集団自殺が有名であり、ディズニー製作の映画「白い荒野」では集団を賄うだけの餌が得られずに、本能による個体数調整や地磁気の影響によるものと説明されている。

 これに対し、集団自殺に見える行為は餌場を求めて移動中の群れが進路を誤り、後続のレミングから押し出され海に落ちただけであり、意図的に集団自殺をするように見せかけた可能性が示唆されている。(ディズニーの撮影スタッフが、演出のためにレミングを海に投げ入れていたという証言もあり、レミングの集団自殺に関する実証は何も無い)これら集団で死に至る原因に対する学説はさまざまであり、詳しいことは分かっていない。
 一説には個体数が増加した群れが新たな餌場を求め移動し、レミングの別名タビネズミの名前の通りに旅の途中の障害によって結果的に個体数が減り、新たな餌場に定着した後、餌の豊作等により爆発的に個体数が増え、次の餌場に旅をすることを繰り返している、とされている。』

『ウィキペディア:集団自殺の項より』

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 エサを「診療報酬」、ねずみさんを「病院」に置き換えたら・・・。不謹慎すぎました・・・たとえとしてはよくありませんね・・・。

 ただ、厚生労働省は、「日本では病院の数が過剰」とお考えです。地域医療計画で病床規制を行ったつもりが、逆に病院が爆発的に増えすぎたと考えています。


 DPCの表向きの顔は、医療効率化のための病棟稼働率アップ、在院日数削減、診療内容の平準化、地域格差の削減のツールですが、病院に「生存競争」を強いている側面も大いにあると思います。

 日医も「DPCの撤廃」を要求していますが、政府にとって便利な小道具を手放すとは思えません。病院が「バス」に乗ってくるのなら大歓迎です。ただ、DPC化した病院の黒字経営を保障するものではありません。

 「医療の効率化」という美名の下に都市部も僻地も同じコストでの診療を要求する病院への「市場から退去・・・」をせまるのに活用されておられます。

 今後、問題となるのは、都市部の病院も競争が激化するでしょうが、悲惨なのは「地域の拠点」である公立病院です。

 勤務している医師は、医局から「貸し剥がし」を受け、看護師も人気病院である都市部の病院が集め、7対1看護にして病院を経営を建て直しをするにも困難な状況です。

 今後、病院稼働率低下&人材枯渇で経営基盤が弱体化した自治体病院は、診療所へダウンサイジング、再編を経て、地域医療の集約化(&空洞化)が進められます。

 この流れを「医師」のせいとはいえません、政府の「誘導」です。わかってやっていると考えます。総務省が「リストラ案」を出しました。これを、拒絶することは難しいと考えます。

 病院の再編で通院が困難になってから・・・「不便になった」とか「医者はどこだ」「救急で運ばれたのに助からなかった」などというのは都市部ではなく、地方で顕在化が来年以降、さらに深刻化することでしょう。

 国民が「バブル崩壊」で困惑している間に、不良債権だらけの銀行に税金から資金注入を行い、債務保証を行って、外資に安く売り渡した既往歴がある、政府です。またやっちゃうんでしょうかね?

 もちろん、外資の全てが「ハゲタカ」なんて言いません。ただ、病院は住民が利用するある種の公共財です。それを、銀行と同じように整理されると・・・いいのでしょうか?短期的な利潤が目当ての外資、玉石混交の「再生ファンド」。

 地域住民がのちのち困ることにならないためにも、医師だけでなく、一般市民も注意していく必要があります。
 地元の自治体病院が赤字・・・じゃぁ売ってしまえ!?それで病院が良くなるようなら、歓迎すべきです。しかし、お取り潰しならば「No!!」を言わなければなりません。自衛という意味で「ア○コのがっちり保険」とか加入することは無意味ではありませんが、個人的には病院が地元になくなってから、保険があっても意味ないですよね。ぽち

  なかのひと 

レミングスPSP版


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エイズ医療&外国人医療:これは行政が動かないと・・・ [医療行政]

 あまり最近話題にならない、HIV/AIDSの話題です。良い連載を産経さんもはじめてくれました。ぜひ読んでいただきたいです。

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エイズ企画「上」 感染率高い長野・山梨 遅れる外国人への対応

産経新聞 2007.12.2 02:52

 12月1日は「世界エイズデー」。長野県はエイズ患者・HIV感染者の報告数が全国で2番目、山梨県は4番目と高い(平成14-16年の平均、対人口比)。両県とも現在では患者・感染者の多くを日本人男性が占め、その対策が急務となる一方、言葉や滞在資格、健康保険などの問題で発見が遅れたり、十分な治療を受けず症状を悪化させてしまう外国人HIV感染者への対応が、人道面からみても重要な課題として残る。日本で働き、エイズを発症して帰国した1人のタイ人男性を通し、外国人HIV感染者を取り巻く問題や支援のあり方を「上」「下」2回シリーズで考えてみた。(高砂利章)

 長野県東部に住んでいたタイ人の中年男性、Aさんがエイズを発症したのは2年ほど前。発熱や言動がおかしくなったので医師を訪ねたところ、HIV感染が判明した。すぐに近くのエイズ拠点病院に移され治療が始まった。一時は重篤(じゅうとく)な状態に陥ったが、4カ月ほどで症状は安定。故国に帰ることを望んだため、病院とタイ大使館、外国人患者の帰国支援を行っているNGO「シェア=国際保健協力市民の会」(本部・東京都)が連携を取ってタイへ搬送し、バンコクの病院に引き継いだ。

 帰国して半年ほどが過ぎたころ、そのAさんを訪ねる機会を得た。タイに飛んでみると、Aさんはすでに病院を離れ、同国東北部の大都市から車で30分ほどの郷里に帰っていた。周囲と比べてひときわ立派な平屋建ての家が、日本での出稼ぎでAさんが建てた自宅だ。この地区は日本で稼いだお金で家を建てた人が多い。最初に行った人が家を建てるのを見て、多くの人がそれに続いた。Aさんもその1人だった。

 戸口から声をかけ、しばらくたって奥から出てきたAさんは、5メートル先の椅子(いす)にたどり着くのに3分も要するほど衰弱していた。その2カ月前に日本人学生がAさんを訪れた際に撮影した写真を事前に見ていたが、別人のようにやせ、肌はひからび、顔に表情がなかった。タイ語通訳を挟んでいるのに話が通じなくなることもあったが、彼は時折、思いだした日本語を交えながら日本での生活について語った。

 Aさんが日本に渡ったのは平成5年ごろ。最初は茨城県だったが、すぐに「オリンピックの準備で仕事がたくさんあると聞いたので」長野県の建設会社に移り、主に道路建設に携わった。現場にはフィリピン人やブラジル人も数多くいたという。給料は良かったが、オリンピックが終わると、とたんに仕事はなくなった。その後も農業手伝いや工場労働など仕事を転々と変えたが、「日本の社長はみんな厳しいし、仕事もきつい。働いたのに給料をもらえないこともあった」という。「日本人は優しかったが、もう2度と行きたくない」。そう言って、うつろな表情のまま首をゆっくりと横に振った。

 「汚い」「危険」「きつい」。こうした仕事を日本人がしなくなったこの国で、建設現場や農業、24時間体制の工場、飲食業界を支えているのは、研修生や留学生も含む外国人だ。中にはビザが切れた者も含まれる。

 シェア副代表の沢田貴志医師は「日本で外国人が多く住む県には、いずれも24時間体制で操業する自動車メーカーなどの工場がある。携帯電話のモデルチェンジが頻繁にできるのも、いつでも簡単に辞めてもらえる外国人労働者がいるから」と日本社会の現実を説明する。

                 ◆◇◆

 五輪景気に沸いた長野県に引き寄せられた外国人は、Aさんのように男性の肉体労働者ばかりではない。当時、県東部にあるスナックの女性従業員は場所によっては10人中8、9人が外国人だったといい、その多くで売春が行われていた。

 そのころは、タイでHIV感染が爆発的に増大した時期と重なる。「薬害にはじまり、様々な要因で拡大の一途をたどっているHIV感染。現在はあらゆる人に感染のリスクがあるありふれた病気になってしまった。ただし、五輪をきっかけに県内に出稼ぎ外国人労働者が大量に流入したことが加速させたことは否定できないと思う」と、佐久総合病院の高山義浩医師は話す。

 現在では「死に至る病」でなくなったエイズだが、何より大切なのは早期に発見し適切な治療を行うこと。しかし外国人の場合、言葉、滞在資格、健康保険、費用などの問題が立ちはだかり、適切な治療を受けられないまま症状を重くするケースが多い。

 インタビューを終えた後、よろよろと立ち上がって戸口の所で軽く手を挙げ見送ってくれたAさんがなくなったのは、それから2カ月後だった。

                   ◇

【長野県】 平成16年までの3年間でHIV感染者・エイズ患者の届け出数は対人口比で全国で2番目、平成18年までの3カ年では3番目だった。最近では日本人の報告が7割を占め、「異性間による性的接触」が約8割。またエイズを発症して初めて感染を知るケースが約6割と全国平均の約3割を大きく上回る。平成18年、厚生労働省とエイズ対策について連絡調整を図る「重点都道府県」に選定された。

【山梨県】

 平成16年までの3年間で感染者・患者の届け出数は対人口比で全国で4番目。外国人の患者・感染者が全体の63%と多いが、平成15年以降は日本人が外国人を上回っている。感染原因は「異性間の性的接触」が「同性間」の4・5倍ほどあるが、「不明」がその合計を上回る。長野県と同じく重点都道府県。

【新潟県】 5年前からの感染者・患者の合計は、4人、8人、4人、7人、2人(11月末現在)。感染原因は「異性間の性的接触」が主で、女性の割合が約3分の1と、全国平均(約1割)に比べて非常に高いのが特徴。

                   ◇

 ■甲信越3県のエイズ・HIV感染届け出数(平成19年9月末現在)

     HIV エイズ 合 計  人 口

 長野県 241 148 389 220万人

 山梨県  81  36 117  88万人

 新潟県  57  33  90 240万人
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 産経さん、「良い医療記事」を書かれたと思います。高砂利章さんという記者さんがわざわざタイまで、帰ってった患者さんに会いに行き、現地の状況や日本での医療についても浮かび上がるような、良い企画だと思います。長野の問題は実は日本の問題です。

 こういう連載は、我々はいつでも待っています。実際に長野オリンピックだけでなく、愛知や静岡・群馬なども外国人労働者が多いのですが、そういう地区で医療については「十分」とは言いかねます。

 自分も救急病院で仕事をしていた時に、工場でケガをしたとわかるような外国人(日系人の方でした)の患者さんが運ばれてきて、左下腿はそのまま切断して、病棟で電話を母国かどこかにかけている姿をみました。彼はきちんと医療費や労災のお金を会社に払ってもらえたのでしょうか?それが心配でした。

 外国人労働者は仕事のために母国を離れやってきたのですが、医療について十分なサポートができていたか?と言われると本当に謎です。自分も日系人の友人が居ますが、彼も3世で15年以上、日本に住んでいます。もちろん年金は納めていません。
 幸い日本語は両親は二人とも日本人で、しっかり話せるので、不自由ではありませんが、そんな人ばかりじゃありません。

 法務省の力をもってすれば、日本国から外国人を締め出すのは簡単です。しかし、海外へ輸出するような機械や製品を造る現場の労働力はこれから不足がちになることを思えば、ギブアンドテイクでお互いに「助け合い」で行きたいものです。この新聞記事以外に、イザでは、産経新聞のビギナーズ鎌倉の宮田一雄記者さんも
460 エイズデーは街頭キャンペーン日和でした 

 という具合で、社会的にも大切な運動をこまめに取材してくださっているようです。地道な記者さんたちの活動をこれからも自分は拝見していきます。

 無定見に「産経は御用新聞?」って批判しつづける気はありません。良い記事ですから、今回のようにご紹介させていただきました。

 また、エイズに関して言えば、「国民の理解」が不足しているのもありますが、政府はボランティア団体や啓蒙活動への資金サポートを削減しています。しかもこの状態ですから・・・何とかしないとです。

HIV感染数が過去最悪ペース 歯止めかからず

産経新聞 2007/11/09 

 ちょうどアメリカでは逆で、ブッシュ大統領はエイズ対策の予算を増額するように議会へ働きかけしたそうです。こういうあたりはもう少し突込みを期待したいです。ぽち

  なかのひと 

 自分は「これって資源外交」だと思いますがね・・・南アフリカをはじめとして貧困なサハラ以南はHIVの感染者も多いのですが、豊富な資源があり、各国の政権とエイズ対策支援を取引材料にして立ち回るのでしょうね。中国も資源外交をさかんにやっていますが、ブッシュさんも抜け目ないですね。

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米大統領アフリカ歴訪へ

12/01 13:06更新

 ブッシュ米大統領は30日、来年の早い時期にアフリカを歴訪する計画を明らかにした。大統領のアフリカ訪問は2003年7月以来で、就任後2度目となる。
 米国のエイズ対策支援がどのように役立っているかを現地視察するとともに、アフリカ各国との関係強化が狙い。ローラ夫人も同行する。具体的な時期や訪問国は明らかにされていない。
 大統領は今年5月、アフリカへのエイズ対策支援として今後5年間に300億ドル(約3兆2700億円)を拠出する考えを表明している。ローラ夫人は6月にセネガルやザンビアなどを訪問したばかり。(共同)


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国民の医療よりもアメリカ人の福利厚生が大切? [医療行政]

 日本医師会の頼もしい希望ですが、国家財政の仕組みを変えないともう難しいです。国の予算規模は圧縮ムード。
 ただ、在日米軍へのおもいやり予算(グアムへの引越し予算とかは別枠ですごいけど・・・!)、こんなに予算があるのなら・・・病院の方に少し回してもいいと思いますけどねぇ・・・。まぁ、きっと守屋さんと仲のいい業者さんとか、どっかに流れててってるんでしょうな。

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グアム移転の米兵住宅が8000万円!

萬晩報主宰 伴 武澄
2007年10月30日(火)

 28日のテレビ朝日、サンデープロジェクトで民主党の浅尾慶一郎氏が、防衛省疑惑問題で、一番問題なのはグアムへの米沖縄海兵隊の移転に絡む日本側負担で米軍住宅の建設費が一戸あたり73万ドル、日本円で8000万円にも及ぶ事実を強調していた。米側の試算では17万ドル程度で、4倍以上もするのだという。

 昨年の日米合意で、移転費用の日本の負担は60・9臆ドルとなり、そのうち家族住宅の建設費は25・5億ドル(2800億円)となっていた。政府は3500件を建設するとしていた。単純に割り算をすると一戸あたり8000万円となるのだ。

 住宅面積は150平方メートル程度で、日本の家屋より広めとはいえ、土地代抜きで8000万円とはどういうことなのか。誰でも疑問に思うことが防衛省を含めて日本の官僚や政治家には分からないらしい。

 ネットで検索してみると、この問題は昨年5月、共産党の井上哲議員がすでに参院で額賀防衛庁長官に質問していた。額賀前長官は、建設資材をグアムに運ぶな どどうしてもコスト高になると説明したらしいが、日本の住宅の建材はほとんどが輸入もの、3500件分もの大規模な住宅建設は日本の住宅メーカーの年間の 売上高に匹敵する水準。逆にこれだけの量を注文すれば、普通の住宅より格段に安くなるのが普通の経済感覚である。

 守屋前防衛事務次官の証人喚問が29日(月)テレビ中継され、山田洋行と過去にゴルフを200回以上したことが批判の的になった。しかし、よく考えれば、ゴルフ代などは高が知れている。1回5万円かかったとしても200回で1000万円。そのほかに飲食の供応をうけても1億円には届かないだろう。

 守屋長官のゴルフ接待を見逃していいという話ではないが、メディアが批判しもっと怒るべきは、国家予算の無駄遣いなのだ。アメリカのいうがままに1件あたり8000万円の住宅を3500件分も支出することだ。これは常軌を失しているというようなレベルではない。犯罪である。もしアメリカ並に2000万円程度で建設されるならば、2100億円もの予算を節約できるのである。

 総額60・9億ドルの中には住宅のほかの項目でも同じような“法外”の要求金額があるはずだ。

 軍事費についてはよく、兵器など民間と比較できない要素があると説明されることがある。確かに艦船や航空機の価格はそうだろうが、一般の備品や建設費は本当は民間以下で購入できるはずなのだ。軍隊はとにかく規模がでかいのだ。ワイシャツや靴下だって、一人一枚支給すると27万枚、27万足となる。たぶん納入業者はとんでもなくいい思いをしているはずだ。 

 【思いやり予算】日本は1978年から、思いやり予算として米軍住宅や戦闘機の格納庫などを建設してきた。87年の日米特別協定で、基地内に働く日本人従業員の給与や米軍の訓練費の一部、光熱費を負担することになった。問題はその金額である。スタート時に62億円だった予算が2005年に43倍の2700億円を上 回る額になっている。ちなみに米国防省の報告では、米軍への協力費が04年に44億ドルと、ダントツ。2位ドイツの15億ドルをふくめて26カ国の合計額 39億ドルを上回るのである。 


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 もちろん、財政投融資もかなり削っています。結局、犠牲になったのは「国民」ですねぇ・・・いえ、そう思わないで「これも日本の国民のため・・・」我慢しますか?

 ところで、この記事の最後にある救急患者さんの「軽症患者さんの急増ぶり」これが結局は・・・医療崩壊の促進剤だと思いませんかね?え?夜間もコンビニが開いているように、診るべきだ?じゃぁ、夜間の仕事専用の医療従事者を確保してください。

 むしろ、この激増ぶりなのに「たらいまわし」で何万人も搬送中の死亡者が出ないというのはラッキーだと思いませんか?「根性があれば診れる?」。いやもう限界ですよ・・・ぽち

  なかのひと 



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診療報酬5.7%アップで産科等の建て直しを

更新:2007/11/27   キャリアブレイン  

 

  「地域医療の崩壊を食い止め、国民の安心を守るため、診療報酬の引き上げを要望する」。日本医師会は11月26日までに「国民が安心できる医療のために―産科・小児科・救急医療を守る―」と題した提言を発表した。日医は「診療報酬の5.7%引き上げで、産科・小児科・救急医療の建て直しを目指す」と主張している。

 日医は、たび重なる診療報酬のマイナス改定によって「2007年度には名目GDP(国内総生産)と診療報酬との差が9.3ポイントにまで拡大している」ことを挙げ、「地域医療の崩壊が現実化している」と危惧。病院・診療所の経営に関しては、「ともに減収・減益で、特に利益が大幅に縮小している。損益分岐点比率は90%を超えて『危険水域』に突入している。医業経営基盤が揺るげば、最低限の医療提供体制も維持できない。ましてや質の向上は不可能」としている。(中略)




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