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厚生労働省の「労働行政」がおかしいのだ [医療崩壊]

バス運転手「勤務時間終わり」と放置プレイ
産経新聞 2008/02/16

米テキサス州で女性運転手がハイウエーのコンビニ前でバスを止め「私の勤務時間はこれまで。交代が来る」と言い残し、バスと40人の乗客を置き去りに。

 バスはチャーター便で、乗客は刑務所を出所したばかりの元受刑者。目的地ダラスへはまだ100キロ近くも。

 コンビニの店員から通報を受けた警官が駆けつけたところ、乗客はバスの周囲をぶらぶら。約3時間後に交代の運転手が到着するまで混乱はなく、乗客の行動は「模範的」(警官)だった。(AP)

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まぁ、海外ですとこれは当たり前かもしれませんが、日本だと「サービス残業当たり前」でしょうし、大手企業の会長さんが、「スキル向上のために残業代なしで土日も出社したいという若い人が沢山居るが、ホワイトカラーエグゼンプション制度がないために出社許可が出せない」といった発言がなされるように、残業代なしでも働かせたいというのが「企業側」の考えだと思います。

 日本のファーストフード業界の「何ちゃって管理職」(管理職権限なし、残業代なし)の店長さんの問題だけでなく、医療業界も「残業代」の未払いも問題です。

 また、医療業界では「当直(宿当直)」がいわゆる、夜間診療行為を行うようなものじゃないのに、当直=寝ないで仕事--->これは残業扱いならば「夜間の割増賃金手当て」の対象なのに、いまだに支払いなどを受けている医師はほとんどいません。

 まして、翌朝の続けての勤務など、24時間以上起きていたり、仮眠2~3時間で手術や診療に当たられたら「医療事故」や「指示ミス」も出て患者さんの生命をおびやかしかねない状態だのに、「残業代なし」「代休なし」「年中無休」のようになっています。これは政府のせいですね。ホワイトカラーエグゼンプション(残業代さっぴき法案)は一旦は撤退されましたが、これが導入済みなのが、医療業界です。そういう意味では自分たちの生活がそうなったら・・・仕事やめたり、残業代がもらえなくなる人が増える可能性がいつでもあるということです。

「天漢日乗」さんでも取り上げていますが・・・

2008-02-17

産科崩壊 大阪の市立豊中病院で常勤産科医2人が相次いで病気で倒れる 労基法違反の過重労働のせいじゃないのか


 それだけではなく、未払いも実績がある業界です。
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宮城・大崎市民病院が600人に残業代6千万円未払い

産経新聞 2008.2.16

 宮城県大崎市の市立大崎市民病院が、看護師や事務職員らに残業代などを一部支払っていないとして、古川労働基準監督署から昨年5月に是正勧告を受けていたことが16日、分かった。同病院によると、未払い金は総額約6000万円という。

 同病院は勧告に従い、時効の成立していない過去2年分の勤務記録を調査。未払い対象の職員は退職者などを含めて約600人に上った。未払い金は一人当たり平均10万円で、最高約170万円。総額は約5930万円だったという。

 同病院は未払いが発生した理由について「業務日報の記入などの残務処理が時間外勤務にあたらないと解釈していた」などとしている。

 病院側は昨年8月から未払い金の支給を順次始めており、来月中には完了する予定だという。


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 ここで、ちょっと長くなりますが・・・当直の医療について問題がまとめて載っている
2005/04/23本音医療!メルマガ ~No. 19~当直の夜間勤務化」を転載しておきますね。


2) 日本の夜間休日救急

重病や大けがというのは突然起こるものです。

夜間休日に具合の悪くなる患者はたくさんいますが、コンビニがこれ程普及する以前は、一晩様子をみてみるということもあったのでしょう。

尋常でない症状を伴う「重病」では、緊急処置が必要である可能性もあり、早く受診すればそれだけ救命される可能性が高くなることもあります。

そうした「重病」の他に、「念のため受診」、「かぜっぽい」、「夜だけ受診」を含め、緊急性がないのに夜間休日に受診する患者が急増しています!

こうした夜間休日診療のために多くの病院では「当直」という体制で対応してきました。

そこに大きな問題があったわけです!!

3) 労働基準法第41条に定める「宿日直勤務」

平成14年3月19日付で出された「労働基準局長通知(宿日直勤務に係る許可基準に定められる事項の概要)」ですが、「勤務医」がみると「あぜん」とするような内容です。

(勤務の態様) 常態としてほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、病室の定時巡回、少数の要注意患者の検脈、検温等の特殊な措置を要しない程度の、又は短時間の業務を行うことを目的とするものに限ること。したがって、原則として、通常の労働の継続は認められないが、救急医療等を行うことが稀にあっても、一般的にみて睡眠が充分とりうるものであれば差し支えないこと。なお、救急医療等の通常の労働を行う場合、法37条に基づく割増賃金を支払う必要があること。」

どういうことかといいますと、宿日直業務は、基本的に診療することが想定されていないということなんです!

コンビニ化した夜間休日の「救急」患者診療は、決して「突発的」ではなく「常態的」です。それを「日当直業務」の延長で対処してきた古い体質に問題があります。

さらに、労働基準局長「通知」から続けます。

「(睡眠時間の確保等) 宿直勤務については、相当の睡眠設備を設置しなければならないこと。また、夜間に充分な睡眠時間が確保されなければならないこと。」

「(宿日直の回数) 宿直勤務は、週1回、日直勤務は月1回を限度とすること。」

「(宿日直勤務中に通常の労働が頻繁に行われる場合) 宿日直勤務中に救急患者の対応等が頻繁に行われ、夜間に充分な睡眠時間が確保できないなど常態として昼間と同様の勤務に従事することとなる場合には、宿日直勤務で対応することはできません。したがって、現在、宿日直勤務の許可を受けている場合には、その許可が取り消されることになりますので、交代制を導入するなど業務執行体制を見直す必要があります。」

つまり、「救急」患者がたくさん受診するような救急医療機関は、「交代制」を導入しなさいということなんです。

4) 日本医師の32時間連続勤務

たとえば、朝から夕方まで通常勤務したあとに、「当直」という名目で朝まで夜間通常勤務を行います。その後も夕方まで8時間勤務すると「32時間」、昼まででも「28時間」になります。

こうした長時間労働を強いられている「勤務医」が実際、全国にいます!

睡眠不足に強い医師ならともかく、弱い医師なら体をこわします!!

5) おわりに

日本には、ドラマ「ER」に出てくるような「救急専門医」が非常に少ないことは、第18号でも触れました。

「救急専門医」が少ない「しわよせ」は一般の「勤務医」にきています。

実際、「勤務医」も少ないから問題です!

医師法第19条には、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」といういわゆる応召義務規定があります。

応召義務規定に基づき、押し寄せる「救急」患者を劣悪な環境で診療する日本の「勤務医」にかかる「しわよせ」は並大抵のものではありません。

このような診療を「当直」という形で対処するには無理があります!!

しかし、「交代制」を導入するには、圧倒的に「勤務医」が足りません!!!

このような環境から「勤務医」がバーンアウトしていき、さらに環境が悪くなるという悪循環を呈しています。

みなさんは、「当直中」あるいは「当直明け」で「フラフラ」あるいは「ちょっとハイテンション」の医師に「命」を預けられますか??

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↓労働局長宛の厚生労働省基準局長の通知
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%82%B0%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

この通知を守らず、きちんと「取り締まり」をしない各県の労働局長を一度、裁判所に告発する医師もいてもいいでしょうね。そろそろ官僚の「不作為」は現場でどうにもならないことになっています。

この通知をまもらせたら、どうなるか?知っているからしないのです。「医師不足」を認めても、開業医を苛めれば勤務医を辞めなくなる?そんなことはありません。現場の過酷な状況をかんがみれば、すんなりと「美容形成外科医」になったり、「怪しい健康食品屋」と結託している医師、別に医学部を出てから外資系コンサルタントに勤める医師も出てもおかしくありません(実際に東大や京大の医学生が十人以上、大手コンサルタントに願書を出したとか聞くと驚くに値しません)。

今後、高齢化が一気に進みます。あと15年もすると、今の1.5倍くらいの人が亡くなります。財務省と厚生労働省は「家で死ねばいいじゃん」といいますが、在宅死を看取る人が昔の大家族の時代ならまだしも、今は老人世帯の2人とか1人で住まう人も多くなっています。そういうことを言う前に受け皿はない、開業医には「負荷」を・・・というと、どうなるか?「孤独死」が増えるでしょうし、病院はもっと忙しくなるでしょう・・・だって今よりお客は増えて、病床数が減るん(厚生労働省は国策で病院つぶしをやっていますからね)ですから。

今後、誰もが病気になってもかかれなくするのが政府の考えでしょう(だって医師が足りなくなっても「増やします!」とは言わないのだもの)。
救急医療が崩壊し、病院に受診するにしても予約が必要になるでしょう(開業医の先生を通してしか受診させないと言う風になるでしょうね)。
↓これ読むといいですよ。日本の医療がどういう風になるかよくわかります

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