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[最近の読売新聞:崩壊ネタ満載?] [医療崩壊]

日本で一番読者の多い新聞。読売新聞。ようやく流れが変わったのか?と思いたくなるほど、最近は「医療問題」を熱心に取り上げてくれます。従来の「バッシング報道」を忘れさせてくれる企画が続いています。
 きっと「褒め殺し」なんていうと怒られるかもしれませんが・・・、医師たちの姿を通して浮かび上がるような報道が、きちんと読者や一般の人に伝わってくれるといいけど、「介護殺人の激増」とか「平均寿命の悪化」でもしない限り・・・「医療費の削減&弱者切捨て」の流れはかわんないよなぁ・・・きっと。国会で今問題になっている防衛庁のお役人の「汚職」とか「接待」も大切なんだけど、もうちょっと福祉や国民全体のことを考えてほしいけどな。国会の議論で、医療制度については、しばらくはまともな議論は期待しては行けないみたい・・・です。


ぽち

  なかのひと 

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さまよう地域医療3
小児救急 24時間態勢崩壊寸前     

 「もう、おたくしか頼めるところがないんだ」

 今年8月下旬、草津町の吾妻広域町村圏振興整備組合西部消防署で、同署員は電話で患者の受け入れ要請を続けた。患者は1歳の男児。ホテルの階段を転げ落ち、全身打撲で泣き叫んでいた。救急車は男児を乗せて東進し始めたが、受け入れ先はなかなか見つからなかった。

 近い病院から順に電話したが、「当直が小児科医じゃない」「手術中だから」と受けつけてもらえない。「頭を打ったなら脳神経外科へ」と勧められ、脳神経外科には「子どもなら小児科に」と言われた。8件目にようやく沼田市内の病院が受け入れ、出発から1時間半後に到着。車内では母親がずっと男児を抱きしめ、不安げな顔で毛布にくるまっていた。

 「日曜や夜で患者が子どもだと、4、5回断られることは珍しくない。“遠乗り”になるのは確実」と同署救急救命士田村研さん(36)。親の多くは夜間でも小児科医の診察を望む。一方で当直に小児科医がいる病院は少なく、いたとしても、大抵はほかの患者の対応で手いっぱいなのが実情という。重篤な場合は前橋市など都市部に運ぶことになり、到着までには2時間かかる。

 草津町は年間300万人近くが訪れる観光地だ。都市部から来た患者の家族は、旅先での不安から「病院がそんなに遠いのか」と焦り、パニックに陥る人もいる。だから、救急隊員たちは現場に到着した際、家族にあらかじめ説明するという。

 「小児の場合、1時間以上かかることがあります。診る病院がないので勘弁してください」

     ◇

 重症患者を扱う小児の2次救急は、2001年度から県内5ブロックごとに中核病院が輪番制を敷き、夜間や休日に対応してきたが、小児科医不足から危機的状況にある。04年以降、当直が回せないために、伊勢崎佐波医師会病院(伊勢崎市)など3病院が輪番を降り、残った11の輪番病院に負担が集中している。

 伊勢崎ブロックは輪番が伊勢崎市民病院1か所となり、週2日しか平日夜間の小児救急外来が開けない状態だ。渋川ブロックのうち吾妻地域はゼロ。県医務課は「2次救急の病院が増える見通しはない。現状維持が精一杯」としており、地域ごとの24時間365日態勢は困難になっている。

 病院の負担を軽減しようと、開業医が交代で軽症患者を診る“病診連携”も広がり、休日夜間急患診療所などとして県内13か所で行われている。しかし、日曜日だけだったり、夕方に3時間程度という場所も多かったりするほか、吾妻地域など開業医が少なく開設できないエリアもある。

     ◇

 小寺弘之前知事が「子どもを育てるなら群馬県」を掲げ、大沢知事も小児医療費の無料化拡大を推進している本県。その一方で、小児救急の現場では、抜本的な対策を講じないと、崩壊が目前に迫っている。

(2007年11月15日読売新聞)
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オーストラリア:医師不足で観光地にも影響
↑のように日本の観光地にも医師不足の影響が出てきてないか?という感じですね。

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さまよう地域医療5

患者の意識 ■ 軽症者も安易に利用 

 県内の夜間・休日の救急医療態勢は、前橋、高崎・安中など10の圏域ごとに整備されている。軽症患者を扱う1次救急は、在宅当番医や休日夜間急患センターが行い、入院や手術を必要とする2次救急は、複数の中核病院が輪番制で担当する。重篤な患者を扱う3次救急は、前橋赤十字病院など3病院が担う。同病院には日中も救急患者が集まるが、特に他病院が閉まる夕刻以降は重要性が増し、救命センターは戦場となる。

 一方、患者は振り分け通りに訪れるわけではない。県内の06年の救急搬送は約7万6000件で、その半数程度の約3万5000件が軽症患者だった。同病院にも1次から3次まであらゆる患者が訪れ、救急医は「重症者に手が回らない」と嘆く。

 中には昼間に仕事を終えた後、悠々と救急に来る人もいるという。軽症患者の安易な利用が、相対的に救急現場の医師不足を加速させている。

     ◇

 伊勢崎市の主婦(40)が代表を務める市民グループは、3年ほど前まで、年1回の小児医療勉強会を開いていた。地元病院の医師不足を聞き、「軽症患者が救急に殺到すれば、重症の時に診てもらえないかも」という思いから始まった企画で、地域の母親たちが毎回100人ほどが集まり、地元医師の講演を熱心に聞いたという。

 しかし、「みんな、自分が関係する病気の話は聞き、病院の事情やホームケアの大切さには関心がなかった」と、主婦は当時を振り返って話した。その後、勉強会は地元病院が引き継いたが、以前ほど参加者は集まっていない。

 主婦は「住民が病院を賢く利用すべきなのに」と悔しがるが、一方で自分も子どものせきが止まらない時、慌てて病院に駆け込んだ経験を思い出し、「母親に『行くな』というのは難しいのか」とも考える。

     ◇

 厚労省は今、幅広い診療能力のある開業医を育てようと、「総合科」創設を打ち出している。軽症患者がまずかかりつけ医にかかることで、入院や専門医療を担う病院との役割分担を進めるのが狙いの一つだ。

 県医務課も、症状によって患者を振り分ける無料電話相談「#8000番」などでの利用を呼びかけており、「コンビニエンスストアのように、何でも病院にというのはもう無理」とする。

 病院は、住民の理解なしには立ち行かなくなっている。行政がより利用しやすい制度づくりに取り組むとともに、住民側も地域の医療を守るためには、その意識を高める必要があるだろう。

(おわり)

 (この連載は、横山航が担当しました)

(2007年11月17日読売新聞)

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[過労死110番と医師] [医療崩壊]

「宿直が月10回…」過労死110番へ医師・教師ら続々

読売新聞2007/11/17

 過労死弁護団全国連絡会議(幹事長・川人博弁護士)などが17日、全国20都道府県で「医師・看護師・教師 過労死・過労自殺110番」の電話相談を行った。

 計66件の相談があり、「宿直勤務が月10回あり、過労が原因でうつ病になった」(40歳代男性医師)、「授業や行事の準備に追われ、保護者からの過大な要求もあって精神的に参っている。せきが止まらず、不眠の症状もある」(小学校女性教諭)といった深刻なものが多かった。

 過労死110番は、毎年この時期に全国一斉相談を行っているが、医師や教師が過労死で労災認定されるケースが増えているため、今回は、特に医療従事者や教育関係者に対し、重点的に呼びかけた。川人弁護士は、「医師や教師は、責任感が強くまじめな人が多い。苦しさを訴えられずに症状を悪化させてしまう」と話し、労働環境の改善を訴えている。

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 もっとも、電話をかけて来るような学校の先生や医師は、それどころじゃなくて大変なので少ないと思います。一応、下記のように「当直」や「過重労働」について、対処する方法をのっけておきます。

 これに対して「悪い」とか「患者を無視して・・・」とかいうのはむしろ時代遅れ、患者さんの安全のためにも、きちんとした休暇をとることは大切です。


自分がおかれた労働環境を下記のように(編集中)把握した上で、 疲れたときは、ゆっくりと歩くことも大切かと思います。 地道に遠くに行くことが大切だと考えています。 

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まず、自分の労働時間を記録し、確認する 
↓ 
職場の就業規則があれば、その内容を病院の総務等に確認する 
↓ 
労働時間が週40時間を超える場合は、三六協定(時間外労働協定)を確認する。 
↓ 
三六協定(時間外労働協定)の確認は、以下の行政文書開示請求書を参考に作る 
http://pediatrics.news.coocan.jp/36sample.doc 
↓ 
この書類を各県の労働局長に郵送する。 
http://www.mhlw.go.jp/jouhou/madoguchi01/index.html 
↓ 
三六協定が55時間を超えるものとなっている場合は、労働組合長に撤回させる(一年ごとの更新が必要なので、組合長が知らないといったら、それはウソ) 
↓ 
週55時間を越えた36協定も結べます。 
「研修医のためのやさしい労働基準法」をご覧ください。 
http://pediatrics.news.coocan.jp/kenshu_rouki.htm 
http://pediatrics.news.coocan.jp/kenshu_rouki.pdf 
しかし、週58時間以上であれば、月80時間以上の時間外労働となり、 
過労死させた場合には、病院が安全配慮義務違反で1億円程度の損害賠償請求を請求される可能性(民事訴訟)があります 
↓ 
証拠を揃えて、労働基準監督署 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html 
へ申告、告発する 
http://www.mori-office.net/new_page_11.htmhttp://servicez... 
↓ 
労働基準監督署から病院への勧告がないか、勧告に病院が従わない場合 
↓ 
提訴する。裁判所を利用する。本人訴訟が無理な場合は、弁護士に依頼する。 

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 これだけでは全てではないと思いますが、一般の会社員も同じです、ぜひご参考になさってください。ぽち

  なかのひと 


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[聖地:福島あげいん?]待ち時間30分短縮か?救急患者の引受け不可能か? [医療崩壊]

通院回数、日本が最多・OECD調査 

日本経済新聞 2007/11/14

 【パリ=野見山祐史】経済協力開発機構(OECD)は13日、加盟各国の医療の実態を比べた「図表で見る医療(2007年版)」を発表した。日本は1人が1年間に医者に通う回数が平均約14回と最多のうえ、入院日数も約20日と突出して長かった。医療機関は磁気共鳴画像装置(MRI)などの先端医療機器を備えている半面、医師が足りない傾向も浮き彫りになった。

 日本の1人あたり受診回数は年13.8回でOECD平均(6.8回)の2倍。ドイツ(7回)、米国(3.8回)など他の主要国より多かった。精神病や結核など入院が長引く病床を除いた「急性期病床」での入院日数は日本は19.8日でOECD平均(6.3日)の3倍だった。(07:00)

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 こういう報道を読むと、OECD加盟国30カ国で27位という医師の少なさや、看護師の少なさ・・・が待ち時間を延長させているとも言える。

【溶けゆく日本人】待てない人々 数分間でイライラ
産経イザ2007/11/14

 【メモ】シチズンホールディングスは平成15年に首都圏のビジネスパーソン400人を対象に「待ち時間」意識調査を実施した。各項目で、最も多くの人がイライラすると回答した待ち時間の“リミット”は次の通り。

 ・総合病院30分
 ・通勤時の電車の遅れ5分

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 海外の病院で、「飛び入り」というと、ERだが、よっぽど重症でなければ、何時間も辛抱強く待つのが定めである。日本では、「フルサポートが当たり前」と勘違いをしているので、救急車をちょっと断られたりしようものなら「非難の嵐」。逆に言うと、現場でがんばって困難手術を引き受けて下さった福島県の大野病院「産科医」を当然のように逮捕した司法の横暴さが目に付く・・・まるで曲芸師みたいなものだ。違うのは、曲芸師やピエロが失敗しても観客は笑っているが、日本の医師たちには「法難」が待っている。

 いずれにせよ、「現場はめいっぱいリソース不足」。行政の怠慢を放置しといて、無理難題のしわ寄せを続け、さらに「権利」を振り回さないで欲しいのです・・・。

 医師たちが「睡眠時間を削って」働き続けて、自殺したり過労死する国なんてそうそうないことをこの国の民もマスコミも知らないのだろう。
 もちろん、この患者さんにとっては、気の毒なお話ですが、もはや現場には余裕がない。そんな「貧弱」な救急体制について、福島県は危機感をもって取り組まねば、また事件は再発するであろう。ぽち

  なかのひと 



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4病院が受け入れ拒否 死亡
NHK2007/11/14

 今月11日の午後8時すぎ、福島市で、菊田ミツ子さん(79)が道路を渡ろうとして乗用車にはねられ、頭を強く打って大けがをしました。福島市消防本部によりますと、菊田さんを救急車に乗せたあと、救急隊員が電話で連絡するなどして病院を探しましたが、県立医科大学附属病院や福島赤十字病院などいずれも福島市内の4つの病院からあわせて8回、受け入れを拒否され、治療する病院が決まったのはおよそ1時間後だったということです。
 菊田さんは、病院で事故からおよそ6時間後に脳挫傷で死亡しました。福島市消防本部は「今回のように受け入れ先を見つけるのが困難になったことはこれまでになかった。ベッドがふさがっていたり、専門医が不在だったりするなど悪条件が重なった」と話しています。
 亡くなった菊田さんの妹は「1時間もあれば命を落とさずに済んだかも知れず、無念でならない」と話しています。受け入れを拒否した病院のうち、福島県立医科大学附属病院は「午後8時半ごろとその10分後に消防から要請を受けたが、8床ある集中治療室がすべて埋まっていたため、断らざるをえなかった」と話しています。また、福島赤十字病院も6床ある集中治療室がすべてふさがっていて、受け入れができなかったということです。 


事故救急搬送、4病院が8度拒否/福島 

福島放送 2007年11月14日 10時43分 

 福島市仁井田の県道で11日に起きた交通事故で、亡くなった無職菊田ミツ子さん(79)=同市仁井田字谷地南=を救急車が救急搬送した際、市内の病院で受け入れ先が決まらず、本格的な治療が約1時間も受けられなかったことが13日、分かった。 

 菊田さんと同居していた知人の男性らによると、菊田さんを搬送した福島消防署の救急車は4病院で合わせて8度にわたり、受け入れを拒まれたという。 

 菊田さんは9度目の依頼先となった市内北沢又の病院に収容されたが、事故から約6時間後に死亡した。 各病院が菊田さんを受け入れられなかった理由は分かっていない。 

 知人男性は事故が起きた午後8時15分ごろ、自宅にいた。 約30分後、菊田さんの帰りが遅いことに胸騒ぎを感じて外へ出て、菊田さんが交通事故に巻き込まれたことを知った。 男性が病院に到着した時、菊田さんには意識があり「苦しい。 先生、助けてください」と訴えていたという。 


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日本版Sicko:患者さんダンピング(一部追加修正) [医療崩壊]

産経新聞 2007/11/13 

 「職員に無理やり連れて来られた」。新金岡豊川総合病院(堺市北区)の職員が男性患者(63)を公園内に置き去りにした保護責任者遺棄事件。男性は救急隊員に保護された際、悲壮な表情を浮かべ、こう説明したという。病人を保護する立場にありながら、なぜ非情な手段を選んだのか。職員との確執や入院費の未払い…。男性患者をめぐるトラブルが絶えなかったとはいえ、人間を“モノ

”のように扱う身勝手な行為に、関係者は「信じられない」と絶句した。

 9月21日午後2時23分。消防に119番通報が入った。「60歳ぐらいの男性が公園に倒れている。目が見えないようだ」。慌てたような男性の甲高い声。約10分後、現場に急行した救急隊員が目にしたのは、荷物の入ったバッグを地面に置き、1人でベンチに腰掛ける初老男性の姿だった。

 「
大丈夫ですか?」。隊員の声掛けにも反応が鈍い。男性の不自然な動作から目が見えないこともうかがえる。だが、周囲を見渡しても通報者らしき人影はない。それでも親身に話し掛ける隊員に男性はようやく口を開き、置き去りの経緯を説明した。

 当時の状況を知る消防関係者は「途方に暮れた様子で落ち着きもなかった。しかも38度近い熱があり、事情を聴いた後、すぐに転院先の病院に搬送した」と証言する。

 一方、別の隊員は男性の説明の真偽を確かめるため、半信半疑で豊川総合病院に電話をかけた。すると意外な答えが返ってきた。「(男性の申告は)すべて事実です」。応対した職員は淡々と説明したが、隊員の表情は一変した。

 「信じられない」

 その後、消防からの110番通報で西成署員も駆け付け、男性を車で連れ回し、置き去りに関与した4人から任意で事情聴取。4人は一連の事実を認めたという。

 病院側の説明によると、男性は
糖尿病で約7年前から入院。インシュリンやビタミン剤などによる治療が必要だったが、介助者なしで日常生活を送ることができたため、別の施設への転院を紹介する病院側の打診を男性は断り続けていたという。また、入院費の支払いが約2年半前から滞り、看護師に大声を上げるなどのトラブルもあるなど病院側では対応に苦慮していたという。

 置き去りにされた日は午後1時ごろ、職員から院長に「男性の引き取り先が見つかりました」との報告があり、職員4人が車に同乗し、住吉区内の男性の自宅へ向かった。しかし、職員が自宅にいた内縁関係の女性に引き取りを願い出ると、女性は「どうしても困る」と拒絶。最後は男性本人にも「ごめんね。私は無理やから、引き取られへんから」と話し、その言葉を男性はじっと聞いていたという。

 院長が職員による置き去りを知ったのはそれから数時間後。警察や消防からの問い合わせや、関係職員への聞き取りなどで院内は大混乱に陥っていた。

 元最高検検事の土本武司白鴎大法科大学院長(刑事法)は「家族が病人を放置するケースはあるが、病院関係者が置き去りにした事件は聞いたことがない。今回の場合、内縁関係の女性が引き取りを拒否した以上、保護責任は病院にある。例え病院職員が119番通報したとしても犯罪は成立するし、いやしくも患者を公園に放置するのは医学倫理に反する行為だ」と指摘している。


「僕は言っていない」 遺棄した病院の院長ら一問一答
   

 

 

産経イザ2007/11/13 

 豊川元邦院長と豊川泰樹薬局長との主な一問一答は次の通り。
                      ◇
 --病院経営者として今回の事件をどう思う
 院長「開院してから25年間地域医療に貢献してきたつもりだが、こんなに恥ずかしいことはない」

 薬局長「自宅が見つかり、職員から家に送り届けると聞いたときは正直ほっとした」
 --職員はなぜ患者を公園に置き去りにしたのか
 院長「連れて帰ってくるなとは言ってないが、そういうプレッシャーを本人(職員)が感じたのかもしれない。ただ自宅前に置いて帰ってくればよかった。それなら遺棄にならなかった」

 --職員に置き去りを指示したことは
 院長「それは絶対ない。僕は言っていない。3年前も何とか帰らせようとして弁護士とも相談した。たった1日のことでそういうことをするはずがない」

 --問題行動の多い患者だったのか
 院長「すべての職員があの患者のことは目をつぶろうと弱気になり、腫れ物に触るように扱ってしまった。本当に困っていた。ただそれでも遺棄したことは悪いと思っている」

 --置き去りに関係した職員に対しては
 薬局長「家に送るというだけで経過報告もなかった。病院に連絡してどうすべきか確認すればいいのに現場で判断してしまった」

 --再発防止については
 薬局長「これを教訓にして職員にはもう一度気を引き締めて考え直してもらうしかない」

「医療難民」の受け皿乏しく 全盲患者置き去り

11/13 13:58更新

 長期入院の男性患者が病院職員に置き去りにされた事件の背景には、退院しても行き先のない「医療難民」と呼ばれる患者を受け入れたくないという医療機関の本音が見え隠れする。

 「難民」が生じかねない最大の要因は、厚生労働省が打ち出した療養病床の削減計画にある。療養病床は治療が目的の一般病床とは異なり、長期入院のお年寄りを受け入れる療養目的の病床で、全国に約35万床ある。療養病床の削減は医療制度改革の柱でもあり、厚労省は介護施設などへの転換で5年後までに約15万床に減らし、医療費を圧縮したい考えだ。

 背景には、治療の必要がほとんどないのに家庭で介護が難しいなどの理由で入院を続ける「社会的入院」患者が今後も増え続け、「医療制度そのものが成り立たなくなる」(厚労省幹部)との危機感がある。

 厚労省は病床数の削減だけでなく、病院経営という点でも「圧力」をかけている。昨年7月から医療保険が適用される医療型の療養病床を対象に「医療の必要度」に応じて3段階の医療区分が導入され、診療報酬にも差がつけられた。

 医療の必要度が低くければ、1日の入院料は安くなり、こうした患者を多く抱えるほど医療機関は「もうからない」ことになる。さらに転換促進策として医療機関に対し低利融資や税制優遇などの大幅な支援策を打ち出しており、アメとムチを使い分けたあの手この手の入院患者減らしを推し進めている。

 日本医師会が昨年10月に公表した「療養病床の再編に関する緊急調査」によると、療養病床の削減で医療難民は最大で6万人に達すると試算。大阪府内のある病院経営者は「医療も介護も必要な人を抱えれば抱えるほど赤字になる。正直言えば、受け入れたくない」と本音を漏らす。

 NPO法人医療制度研究会の本田宏副理事長は「今回の問題の背景には日本の医療、福祉の貧困がある。病院は福祉施設などとも相談し、面倒をみてもらう手もあったはずだ。少子高齢化でこうした医療難民はさらに増えることが予想され、国は早急に受け皿を拡充すべきだ」と話している。

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 まぁ、病院を「シェルター」(ホームレスの方向けの緊急避難所)みたいに扱うのはよして欲しいけど、治療を受けるところですな。

 大阪の西成区は「関西」でも有名な地区なのはうわさには聞いたことがありますが、日本の病院も「シッコ@現代アメリカ医療残酷物語」に負けず劣らず・・・でしょうが、まぁ、裏側をみれば「病院」は善意で治療を行っても、「シェルター」(ホームレスの方向けの緊急避難所)のような受け皿ではありません。

 薬価差益を奪われ、保険点数は引き下げられ、「経営効率化」ばかりを政府からおしつけられ、私立病院は公立病院のような補助金もあるわけでもなく、そういう患者さんばっか集まれば「困る」わけですな。

 マスコミが、またもや「センセーショナル」に放置プレイばかりを紙面でぎわせるのもどうかと・・・人道主義を貫くにしても、行政が健康保険料の未納者かあ「保険証」を奪う国だ。

 病院がアメリカ流を真似て、非難轟々というのは、「原因」をつきつめれば、自民党&公明党の市場原理至上主義&土建国家の流れが見えてこないか? 

 魔女狩り報道で病院を責めたてるマスコミはものすごく単純すぎる。問題の病根を掘り出さないから、ちっとも第二第三の事故防止に役立たない。「一部ここより修正

 と書いたのですが、珍しく本田先生に取材したり、厚生労働省の「悪行三昧」ぶりをきちんと指摘している記事がありました。もう少し統一してリンクやら検索性よくして欲しいなぁ>イザ!は。

 こういう「医療バッシング報道」は奈良の妊婦さんの件でも見とれるように、国民の医療への信頼も著しく傷つけます。
 また、日本の医療従事者の「新聞」や「テレビ」への信頼を失わせるには十分ですが。

 きっと明日のワイドショーとかで「自称医療評論家」とかがキレイごとをいうでしょうが、もしも自宅にそういう患者さんが身内にいて、病院から帰ってくるような事態だったら、同じことを言えるかというと、無理でしょうな。

ぽち

  なかのひと 



 「無理やり連れて来られた」 全盲患者置き去り
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[時間外救急]やむをえない特別徴収 [医療崩壊]

 NHKのクローズアップ現代によれば、夜間や休日に病院に殺到する小児科患者さんの97.5%が入院にならない軽症です。要は安心のために来ている、あるいは「昼間は都合が悪い」という利便性や安易な利用がメインです。こういう「コンビニ受診」のために、必要最小限しかない医療従事者が対応して、重症患者さんの見落としや救急患者さんの引き受けが困難になっているのであれば、この対応は仕方ないと思います。夜間の急変をおびえる家族の安心のためにコールセンターの活用や昼間の受診のために「家族が有給休暇」などを取得するのを自由に取得できるようにすべきです。そういう意味で「子育て支援」と言いつつ、母親や父親しかいない核家族支援はまったく政府が支援していないと考えます。夜間受診の無料化を実施している大きな自治体など、コンビニ診療が進んでいます。こういう対応について「国民の理解」は不可欠です。よろしくお願いします。ぽち→

  なかのひと 



NHKクローズアップ現代
 夜間・休日 パンク寸前〜小児治療の現場から〜


時間外救急:軽症者から8400円特別徴収…埼玉医大計画

毎日新聞 2007/11/11

 埼玉医科大総合医療センター(埼玉県川越市)が、夜間・休日の軽症救急患者に対し、時間外特別徴収金として、8400円を自己負担してもらう計画を進めていることが10日分かった。従来は健康保険から徴収していた時間外料金を全額患者の自己負担にかえ、受診者数を抑える狙い。軽症患者急増で診療体制が維持できないことが背景にあるという。専門医は「救急では聞いたことのない制度。必要な医療を受けられない恐れもある」と批判している。

 同センターによると、時間外の救急患者は94年に年間約1万人だったが、06年は約4万人に増加した。診療体制がパンク寸前になったため、軽症の受診者数を減らす方法を模索。その結果、紹介状がなく、入院を必要としない患者に対し、特別料金の徴収で負担を増やし、受診者数を絞ることにした。既に張り紙などで周知を始めている。

 ただ、「緊急性」などを巡り一律に線引きするのは難しい面もあり、現在、院内で基準作りを進めている。例えば、入院しなくても「緊急性あり」と診断された患者には、特別徴収金を求めない。一方、救急車で搬送された患者でも軽症なら徴収する予定。数カ月後の運用開始を目指す。

 厚生労働省は、時間外診療について、病院の裁量によって健康保険を適用せず、特別料金を上乗せできる制度を設けている。地元の社会保険事務局に届け出れば実施でき、同センターは今年3月、埼玉社会保険事務局の了承を得たという。

 日本救急医学会の山本保博代表理事(日本医大教授)は、個人的見解としたうえで「本当に必要な患者が治療を受けられなくなる心配がある。(誰もが健康保険で治療を受けられる)国民皆保険を揺るがす問題だ」と指摘している。【高木昭午、稲田佳代】

 ▽厚生労働省保険局の話 特別料金を徴収できる制度は、時間外受診の希望や保険で決められた回数以上の検査など患者の多様なニーズに応えるためのもの。受診抑制を目的とされると趣旨と合うか微妙だ。

毎日新聞 2007年11月11日 2時30分

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解説:時間外軽症患者負担増 医療体制維持、苦肉の策--「見極め」巡り混乱も

 埼玉医大総合医療センターが、時間外の軽症患者に特別徴収金を負担してもらう背景には、過酷な勤務を嫌う医師が病院を辞める「医療の危機」や「医師不足」がある。同センターは受診者数を減らし体制を守る苦肉の策と強調するが、素人が軽症と重症を見極めるのは難しく、混乱も予想される。

 同センターが診療した時間外救急患者は、昨年、約4万人に達した。仕事などで昼間受診できない人たちが夜間に訪れる「コンビニ化」現象なども進み、受診者が急増しているとみられる。4万人のうち、入院が必要な重症患者は約2800人(約7%)だった。

 救急対応のため医師は月に5~7回の泊まり勤務をこなし、一晩で40~60人を診療。続けて眠れるのは2時間程度という。同センター救急委員会委員長、田村正徳教授(小児科)は「重症患者を助けて外来に戻ると、大勢の軽症患者に遅いと責められる。それで若手医師は『辞めて開業したい』と言い出す。患者が増えれば救急病院の役目を返上せざるを得ない。問題はあるが、追いつめられていることを理解してほしい」と訴える。

 だが患者には、軽症か重症か自己診断するのは難しい。しかも、徴収するかどうかの診断基準も公開されない見通しだ。基準に沿ってうその病状を申告されたら困るからだという。経済的な苦しさから受診を控えて処置が遅れる可能性もあり、議論を呼びそうだ。【高木昭午、稲田佳代】

毎日新聞 2007年11月11日 東京朝刊


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[外国人に門戸開放?]新潟県は医師不足特区を申請? [医療崩壊]

 新潟県は8日、過疎地域の医師不足を解消するため、日本に留学経験のある外国人医師による医療行為を認める構造改革特区の創設や規制緩和を求めて政府に提案書を提出した。政府は厚生労働省などの意見も踏まえ、来年2月までに結論を出す見通し。

 提案では、日本で留学や医学研修を受けた経験があり、母国で日本の医師と同等の経験がある外国人医師に、過疎地域の中核病院で医療行為ができるよう、必要な法改正などを求めている。現在、外国人医師は日本の医師免許がないため、国内での医療行為は認められていない。

 厚労省の調べでは、新潟県は2004年、人口10万人あたりの医師数が179・4人で、全国平均(211・7人)を大きく下回っている。県の担当者は「日本語能力があり、日本文化に理解がある外国人医師なら、過疎地の医師不足解消に貢献してもらえるはずだ」と話している。




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 まさに、今日、自分の職場にいる中国人(医師)の方とこのお話をしていました。ただ、岩手大のように「修練制度」を使っての医師のお手伝いは可能でしょうが、医師免許なしで簡単にオープンするかなぁ?

 もちろん、日本語が話せる、経歴が明らかな外国人医師を考えていますが、中国の医師は実は、日本よりも待遇は悪くないので、くるかなぁって中国人の方はお話していました。

 また、中国の先生も日本に留学して来た時に、診療をさせて欲しいと思って色々と動いたそうです、そしたら「厚生労働省」は厳しくて、申請書類をそろえるだけで大変だったし、日本語で医師国家試験に近いを受ける必要があるし、こういうのって「なかなか簡単にはならなんじゃない?」ってお話でした。 

 もちろん、中国の医師は日本のように32時間も病院に当直明けに連続勤務など、しないそうです(当直明けは午前中に帰れるそうです)。

 また、病院の医師への製薬企業の接待攻勢がはげしく、そういうメリットや利権がなくなって、「日本人の監督下」での診療に当たるってのは・・・どうかな?とおっしゃってました。 

 また、中国の医師の場合、製薬企業の治験のモニターなどになってしまっている先生もみえるようです(その方が給料がいいからだそうですが)。日本の病院の医師の待遇が良いならば続くでしょうが、岩手医大の修練制度の続きが来ていないのは・・・ちょっと「?」って感じです。 

 もちろん、「東京や大阪のような都会で、日本人の監督なしで診療できるんならやりたいけど・・・僻地に飛ばされるなら嫌だな」って正直でした。今、その先生は、僕の職場で年収も悪くないはずです。逆に、北海道や東北で年収を確約しても、「労働条件が悪くて日本人医師が立ち去ったところに中国人」ってのは、どうかな?って言ってました。

↓日本の厚生労働省の外国の医学部卒業された方への方針
医師・歯科医師国家試験受験資格認定について 

 医師を求められるのなら、まず先に日本人の医師の待遇をよくしなきゃ・・・日本に来てくれても、きっと「国際的な立ち去り」が待っているように思います。ぽち
 

  なかのひと 


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[審議会]お役所にとって便利な道具? [医療崩壊]

 財務省の某審議会・・・会長は東芝社長の経済界のトップとそのお友達。ほかは大学の教授とかメディアの方がたくさん並んでいます、ほかには大学の教授ら。医師は矢崎義雄(独)国立病院機構理事長という具合で、非常にバランスが悪い。

 きっと余計な口出しをされたくないのと、財務省の方針にさからうような民間人(消費者団体)のご意見は不要。これは、最初からこういう結論に・・・と御用学者と経済界の団体が好むようなネタでいっぱいですね。

 日本医師会の主張は「値上げ」という医療の苦境を救うための希望でしたが、さらに経済界やお役所の都合で「病院を潰す」という道のりに邪魔なんで、この会には出番すらない。相変わらずメディアコントロールも下手ですね。

 審議会の言うとおりにやると、開業医の医師の収入は・・・減収です。年収が高いという話でしたが、ちなみに診療所の1軒の総売り上げはコンビニ一店舗の年商程度だと聴いたことがあります。

 コンビニの店長の給料よりも、医者が儲かっているとしたらたぶんコンビニの場合あるロイヤリティ(上納金)の支払いがないからでしょうね。

 実際に、診療所ではエコー装置や心電図、レントゲン装置など高額な医療機器を仕入れています。これらはリースとか借金で購入して、建物の減価償却などを考えると、採算が楽々だなんてとても思えません。

 自分が懸念しているのは、最近、開業したばかりの開業医の先生の撤退、またへき地で開業してがんばっている先生の撤退。また、消費税引き上げによる、病院の赤字の深刻化ですね・・・・。これらは病院「医療の質」をあげるよりは、手抜きによる「質を下げる」方向に働きやすいので、今後、日本の老人の社会的入院から退去処分とともに、病院や診療所が「危険な場所」にならないか心配です。ぽち 

  なかのひと 


【【【 Japan Medicine Mail  】】】2007/11/6 byJapan Medicine

財政審「マイナス改定」で合意 <日医の主張は「不適当」> 

 財務省の財政制度等審議会(西室泰三会長)は5日、次期2008年度診療報酬改定についてマイナス改定を求める方向で合意した。今月中に取りまとめる建議に盛り込む見通し。過去4回の診療報酬改定率の累計であるマイナス0.8%は、1999年度以降の賃金・物価動向の累計であるマイナス4.4%と3.6%の乖離(かいり)があるとして、国民負担を軽減する観点からさらなる効率化を図るべきとの考えで一致した。
 一方、日本医師会が診療報酬本体の5.7%引き上げを求めていることに対し財務省主計局は、財政審に提出した資料の中で、「税や保険料などで約2兆円の国民負担が増す」「医師の給与などを引き上げた上で、医療機関の収支を公立病院も含め一律に黒字化しようとするものであり不適当」と指摘。日医の主張に真っ向から反論した。


■ 消費税引き上げなど柱に <政府税調、首相も出席> 

 政府税制調査会(香西泰会長)は5日、今月中の取りまとめを目指す答申について本格的な議論を開始した。香西会長は終了後の会見で、答申について「あまり時間がないという気持ちで、作業を進めていかなければならない」と述べ、次回会合で答申取りまとめの具体的な工程を提示する考えを示した。答申には、高齢化社会の進展などによって増大する社会保障の安定財源として、消費税率の引き上げなどを柱として盛り込む見通しだ。
 この日の総会には福田康夫首相が出席。税制改革の視点として<1>国民の安心<2>経済社会の活力・発展<3>納税者の信頼・公正<4>地方分権の推進―の4点を軸に、答申を取りまとめることが確認された。

■ 療養病床抱える有床診の経営悪化 <日医総研調査>
 
 日医総研が5日に公表した「有床診療所実態調査-2007年レセプト調査報告と方向性に関する考察-」によると、2006年度の入院・外来総点数の対前年度伸び率は、診療報酬改定などの影響により2.3%減(05年度の対前年度伸び率1.0%増)とマイナスに転じた。特に療養病床を多く抱える有床診の入院総点数の伸び率は12.8%減(同0.6%増)となり、長期入院患者を抱える施設で経営へのダメージが顕著に表れた。日医総研は「有床診の入院医療の継続が可能となる報酬の検討が必要」としている。

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[時間外診療休止@埼玉]破綻も近いのか? [医療崩壊]


 東松山市松山の「東松山市立市民病院」(二百三十床)は十二月一日から、診療時間外の救急診療を休止する。今月末で内科の医師一人が退職するなど医師の減少に歯止めがかからず、救急患者の受け入れ態勢を維持するのが困難になったためだ。 (山口哲人)

 同病院によると、二〇〇四年に導入された新医師臨床研修制度などの影響で、〇三年四月に三十一人いた医師は、十月二十六日現在で十六人に減少している。同病院では医師をやりくりしながら、平日の診療時間外に一日あたり五-十五人程度、土日祝日で二十五-三十五人程度の救急診療を受け入れていた。

 金子都雄管理課長は「どの公立病院でも医師の確保が困難になっている」と窮状を訴え、「今年四月、医師給与などを年間約百五十万円増額し、民間の水準に近づけるなど努力したが、これ以上の負担を医師に強いることはできない」と話した。同病院は、診療時間外の救急診療の早期再開に向け、常勤および非常勤医師を募集している。

 12市町、昨年度公立病院事業 

 医師不足や診療報酬の減額改定が、県内の公立病院に大きな影を落としている。県によると二〇〇六年度の県内十二市町の公立病院事業決算の実質赤字は計四十五億二千三百万円で〇二年度の約三倍。累積赤字は計百七億三千二百万円に及んでおり、県は「経営状況は非常に厳しい」としている。

 県のまとめでは、赤字補てんのための一般会計からの基準外繰入金も含めた十二市町の病院事業の総収益は、五百八十四億四千二百万円で前年度比2・9%減。医師数減少や診療報酬の減額改定で外来収益が同10・5%、入院収益が同1・5%、それぞれ減少した。

 総費用は六百十八億六千三百万円で前年度比2・6%減。患者減などで材料費は12・5%減少したが、退職した医師の退職金が増加して職員給与費が増加するなどした。

 この結果、総費用から総収益を差し引いた純赤字額は三十四億二千百万円で前年度比1・5%増。一般会計からの繰入金を収益から除いた場合の実質赤字は四十五億二千三百万円で、〇二年度に比べて三十億円も急増している。八市町が累積赤字を抱え、総額は〇二年度の四十八億千四百万円から二倍強の百七億三千二百万円となっている。

 一般病床の利用率は74・0%(前年度比1・3ポイント減)で六年連続減少するなど、医師不足は患者数や病院の効率運営にも影響を及ぼしている。 (萩原誠)
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 埼玉県の病院の利用率は74%です。総務省は70%以下の病床利用率の病院の再編を考えよとのことです。だいたい、90%以上でないと黒字が難しい病院経営です。この病院の夜間救急停止は、かなりの打撃になりそうな気がします。

 いずれにせよ、赤字の金額が100億を超えるというのは厳しいことです。公立病院は今後、民営化や売却などいろんな可能性があります。大変な時代になってきました。ぽち

  なかのひと 


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[R25さえ取り上げる・・・]小児科救急の混雑ぶり [医療崩壊]

R25という都内で無料で配られているリクルートの無料の雑誌があります。テレビ欄も夜の部しかないのですが、毎週、ニュースや注目されるイベントなどがまとまっていて、若者には便利なものです。

 その中に、こんな文章が掲載されていました。

【コラム】 小児科医はパンク寸前!?夜間救急外来の“奇妙”な混雑

 真夜中の病院に行ったことがおありだろうか。肝試しじゃないですよ。夜間の小児救急外来がここ最近、妙に混雑しているのだ。

 東京西部のある大学病院には、一晩に数十人の親子連れが訪れる。「昼間、熱が出ていたようだ。今は落ち着いたが念のため診てほしい」「他の病院で風邪と言われたが、やはり心配になって来た」――。

 ほとんどは軽症の子どもたち。言っておくが、救急外来は本来、命に関わる重篤な症状や病状の急変を診るための窓口である。「もうコンビニ化してますよ」。この病院の小児科医は苦笑する。

 親を責めるわけにはいかない。共働きでは、「子どもが熱を出した」と保育園から連絡が来ても帰れない。近所に住む親に引き取ってもらい、自分の退社後、ようやく医者に行ける。核家族化も進んだ。昔なら家庭に年長者がいて、適切な判断をしてくれた。「大丈夫。親御さんも安心して」の一言欲しさに、暗いなか、出かけていくのだ。

 しかし、病院の当直医にはたまらない。朝から外来、昼ご飯も食べられず午後も外来。そのまま当直へ突入。回診だってある。患者はぽつぽつ現れるから、ウトウトしたころにたたき起こされ、結局一睡もできずに夜が明ける。翌日はまた朝から外来だ。

 医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)が起きても、これでは仕方ない。なかには、明け方やってきて「今日からハワイ旅行なので予防注射を打ってくれ」とか、「学校に提出する水ぼうそう証明書を書いてくれ」という親子までいる。こうなると、教育界で今、話題のモンスター・ペアレンツならぬ、モンスター・ペイシェント(理不尽な要求を突きつける患者)だ。

 夜間はベストな診療体制ではない。十分な検査もできないし、院外薬局が閉まっているから薬だって1日分しか出ない。「安心の太鼓判」を与えるのなら、病院でなくてもいいはずだ。あなたもいずれは子を持つ身。決して別世界の出来事ではない。
(高橋由里/『週刊東洋経済』編集部) 

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 最後のところにあるように、今週号の東洋経済からの転載ですが、若者にもこうやってアピールする記事ができます。しかし、新聞にはあまり注目されないようです。もちろん、新聞には「防衛庁の不祥事」や「鈴香被告の質問」、「ボクサーの反省」などをおいかける大切な用事があるとは思います。

 先日の「構想日本」で、ある先生が、自衛隊員が日本には27万人、消防隊員が27万人。しかし医師も27万人しかいません。国が他国に脅かされたり、救急車に乗ったり火事になるような事件はそう起きませんが、非日常のために社会的に用意された人数と、「病気」のように誰しもがかかったり、その面倒になる可能性がある「日常的」な出来事に対応する医師がたった27万人でいいのかは、世界第2位の経済大国でありながら、世界中190カ国で人口あたり医師の数が63番目という数が証拠ですね。

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[ドミノ倒し?]舞鶴医療センター 救急体制を休止 [医療崩壊]



救急体制を休止へ 舞鶴医療センター 

京都新聞2007/10/30

 京都府舞鶴市内の四公的総合病院のひとつ、舞鶴医療センター(同市行永)は30日、「24時間365日」実施してきた救急体制を11月から脳外科と精神科を除いて原則的に休止する、と発表した。辞職により整形外科医が年内に不在になるため。整形外科以外の救急輪番には引き続き加わるが、整形外科の対応が必要な市内の救急医療は当面、舞鶴赤十字と舞鶴共済の両病院が対応する。 

 同センターは1999年度から、24時間365日受け入れを実施してきたが、整形外科医が今年1、7月に1人ずつ辞職。残る2人も12月末までに辞職が決まった。 

 市立舞鶴市民病院が医師の集団退職に伴って救急医療を休止した04年ごろに同センターへ救急搬送患者が倍増した。加えて、舞鶴市内だけでなく府北部と福井県からも年間平均約2000件を受け入れており、現在の診察時間外の一次救急患者は年間約1万5000人、という。 

 整形外科は11月1日から新規患者受け入れを中止。1日平均60人の外来患者と入院患者は、舞鶴赤十字病院か舞鶴共済病院に移る。 

 平野伸二院長は「非常事態の臨戦態勢でがんばってきたが、これ以上ハードワークが続くようならさらに医師がどんどん病院を去っていく」と前置きし、「救急輪番の日は責任をもつが、医師不足により、24時間対応の市民病院的な役割が果たせなくなった」と話している。 

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 人口が10万人弱の都市で4つも病院があった病院過密地帯とは言え、救急診療体制はぎりぎり・・・開業医との連携でといっても、簡単じゃありません。こういう風になると残りの二つの病院(舞鶴赤十字と舞鶴共済)がどういう風になるか心配です。

 将来を見据えた医療の供給体制のためには、「無駄な受診を減す」ようにコールセンターや、一時救急&紹介制度の見直し(最初は開業医の先生)など活用するべきでしょうが・・・難しい問題です。

 市民病院のように、市役所のお役人さんが「現場について無知&無理解」で、医師から総スカンをくらったような悪夢を繰り返すのでしょうか?
 とりあえず、この病院が一旦戦列から離れることを責めないでください。遠くの出来事ですが、がんばってこられた先生方が日常診療に疲れ果ててしまわぬように、きちんと余裕をください。でないと、医師不足と医師の過重労働のためにミスが頻発してしまいます。ぽち

  なかのひと 



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