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[最近の読売新聞:崩壊ネタ満載?] [医療崩壊]

日本で一番読者の多い新聞。読売新聞。ようやく流れが変わったのか?と思いたくなるほど、最近は「医療問題」を熱心に取り上げてくれます。従来の「バッシング報道」を忘れさせてくれる企画が続いています。
 きっと「褒め殺し」なんていうと怒られるかもしれませんが・・・、医師たちの姿を通して浮かび上がるような報道が、きちんと読者や一般の人に伝わってくれるといいけど、「介護殺人の激増」とか「平均寿命の悪化」でもしない限り・・・「医療費の削減&弱者切捨て」の流れはかわんないよなぁ・・・きっと。国会で今問題になっている防衛庁のお役人の「汚職」とか「接待」も大切なんだけど、もうちょっと福祉や国民全体のことを考えてほしいけどな。国会の議論で、医療制度については、しばらくはまともな議論は期待しては行けないみたい・・・です。


ぽち

  なかのひと 

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さまよう地域医療3
小児救急 24時間態勢崩壊寸前     

 「もう、おたくしか頼めるところがないんだ」

 今年8月下旬、草津町の吾妻広域町村圏振興整備組合西部消防署で、同署員は電話で患者の受け入れ要請を続けた。患者は1歳の男児。ホテルの階段を転げ落ち、全身打撲で泣き叫んでいた。救急車は男児を乗せて東進し始めたが、受け入れ先はなかなか見つからなかった。

 近い病院から順に電話したが、「当直が小児科医じゃない」「手術中だから」と受けつけてもらえない。「頭を打ったなら脳神経外科へ」と勧められ、脳神経外科には「子どもなら小児科に」と言われた。8件目にようやく沼田市内の病院が受け入れ、出発から1時間半後に到着。車内では母親がずっと男児を抱きしめ、不安げな顔で毛布にくるまっていた。

 「日曜や夜で患者が子どもだと、4、5回断られることは珍しくない。“遠乗り”になるのは確実」と同署救急救命士田村研さん(36)。親の多くは夜間でも小児科医の診察を望む。一方で当直に小児科医がいる病院は少なく、いたとしても、大抵はほかの患者の対応で手いっぱいなのが実情という。重篤な場合は前橋市など都市部に運ぶことになり、到着までには2時間かかる。

 草津町は年間300万人近くが訪れる観光地だ。都市部から来た患者の家族は、旅先での不安から「病院がそんなに遠いのか」と焦り、パニックに陥る人もいる。だから、救急隊員たちは現場に到着した際、家族にあらかじめ説明するという。

 「小児の場合、1時間以上かかることがあります。診る病院がないので勘弁してください」

     ◇

 重症患者を扱う小児の2次救急は、2001年度から県内5ブロックごとに中核病院が輪番制を敷き、夜間や休日に対応してきたが、小児科医不足から危機的状況にある。04年以降、当直が回せないために、伊勢崎佐波医師会病院(伊勢崎市)など3病院が輪番を降り、残った11の輪番病院に負担が集中している。

 伊勢崎ブロックは輪番が伊勢崎市民病院1か所となり、週2日しか平日夜間の小児救急外来が開けない状態だ。渋川ブロックのうち吾妻地域はゼロ。県医務課は「2次救急の病院が増える見通しはない。現状維持が精一杯」としており、地域ごとの24時間365日態勢は困難になっている。

 病院の負担を軽減しようと、開業医が交代で軽症患者を診る“病診連携”も広がり、休日夜間急患診療所などとして県内13か所で行われている。しかし、日曜日だけだったり、夕方に3時間程度という場所も多かったりするほか、吾妻地域など開業医が少なく開設できないエリアもある。

     ◇

 小寺弘之前知事が「子どもを育てるなら群馬県」を掲げ、大沢知事も小児医療費の無料化拡大を推進している本県。その一方で、小児救急の現場では、抜本的な対策を講じないと、崩壊が目前に迫っている。

(2007年11月15日読売新聞)
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オーストラリア:医師不足で観光地にも影響
↑のように日本の観光地にも医師不足の影響が出てきてないか?という感じですね。

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さまよう地域医療5

患者の意識 ■ 軽症者も安易に利用 

 県内の夜間・休日の救急医療態勢は、前橋、高崎・安中など10の圏域ごとに整備されている。軽症患者を扱う1次救急は、在宅当番医や休日夜間急患センターが行い、入院や手術を必要とする2次救急は、複数の中核病院が輪番制で担当する。重篤な患者を扱う3次救急は、前橋赤十字病院など3病院が担う。同病院には日中も救急患者が集まるが、特に他病院が閉まる夕刻以降は重要性が増し、救命センターは戦場となる。

 一方、患者は振り分け通りに訪れるわけではない。県内の06年の救急搬送は約7万6000件で、その半数程度の約3万5000件が軽症患者だった。同病院にも1次から3次まであらゆる患者が訪れ、救急医は「重症者に手が回らない」と嘆く。

 中には昼間に仕事を終えた後、悠々と救急に来る人もいるという。軽症患者の安易な利用が、相対的に救急現場の医師不足を加速させている。

     ◇

 伊勢崎市の主婦(40)が代表を務める市民グループは、3年ほど前まで、年1回の小児医療勉強会を開いていた。地元病院の医師不足を聞き、「軽症患者が救急に殺到すれば、重症の時に診てもらえないかも」という思いから始まった企画で、地域の母親たちが毎回100人ほどが集まり、地元医師の講演を熱心に聞いたという。

 しかし、「みんな、自分が関係する病気の話は聞き、病院の事情やホームケアの大切さには関心がなかった」と、主婦は当時を振り返って話した。その後、勉強会は地元病院が引き継いたが、以前ほど参加者は集まっていない。

 主婦は「住民が病院を賢く利用すべきなのに」と悔しがるが、一方で自分も子どものせきが止まらない時、慌てて病院に駆け込んだ経験を思い出し、「母親に『行くな』というのは難しいのか」とも考える。

     ◇

 厚労省は今、幅広い診療能力のある開業医を育てようと、「総合科」創設を打ち出している。軽症患者がまずかかりつけ医にかかることで、入院や専門医療を担う病院との役割分担を進めるのが狙いの一つだ。

 県医務課も、症状によって患者を振り分ける無料電話相談「#8000番」などでの利用を呼びかけており、「コンビニエンスストアのように、何でも病院にというのはもう無理」とする。

 病院は、住民の理解なしには立ち行かなくなっている。行政がより利用しやすい制度づくりに取り組むとともに、住民側も地域の医療を守るためには、その意識を高める必要があるだろう。

(おわり)

 (この連載は、横山航が担当しました)

(2007年11月17日読売新聞)

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