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[未収金1億円]公立病院の経営を考える [医療行政]

まずは新聞記事を二つほど掲載させていただきます。 

 愛知県立5病院 医療費未収1億

 愛知県は23日、県立5病院で、医療費の未収金が、昨年度までの累計で1億円余りに上っていることを明らかにした。同日の県議会一般質問で、県病院事業庁が答弁した。

 同庁によると、未収金の累計は約1億770万円で、約6割が患者に支払い能力がないケースだった。医療費の自己負担割合が2割から3割に増えたことや、長引く不況の影響とみられる。

 未払い金は2002年ごろから毎年度3000万円前後が発生している。県は昨年10月から回収要領を作って早期回収に取り組んでいるほか、今年度からはクレジットカードでの支払いも可能にするなどの対策をとっている。

 同庁は「時間がたつと、回収も難しくなる。早期回収を心がけ、回収率を上げたい」としている。

2006年6月24日  読売新聞)
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 ま、何にせよ、公立病院はどうしても低所得者からは強引な取立てできませんが‥しかし肉親がゼロというケースは少ないと思うのだが。まぁこれでも愛知県は再編をしているんですが。
 そうそう、もうひとつ埼玉県の報道ですが‥
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県立病院決算

医業収益は過去最高

 県病院局は、循環器・呼吸器病医療センターや小児医療センターなど県立四病院の二〇〇五年度決算を発表した。外来患者数が過去最多の約四十六万六千人(前年度比約一万三千人増)となり、医業収益も約二百六十九億円(同約十三億円増)で過去最高になった。

 外来患者数は増加する一方、入院患者数は約三十五万五千人(同約八千人減)で二年連続の減少となった。経営管理課によると、(1)結核患者の減少(2)精神病患者の効果の高い薬が出て通院治療が可能になった-ことなどが減少の理由としている。

 収支改善の理由として、同課は「厚生労働省の指導で、入院が必要な患者だけを入院させて密度の濃い治療を実施し、入院日数を減らしている。新規の患者数が増えることで収益が上がっている」と説明。〇二年度からは休日・夜間の小児救急医療体制を拡充したことで外来患者が増加。〇二年度から四病院で薬品・診療材料が安価になる一括購入を始め、経費削減にもつながっているという。

 収益増で、一般会計からの繰入金は過去最少の七十七億七千万円(同五億八千万円減)。ピークだった一九九七年度の百三十四億円から半減し、県立病院経営健全化計画で定めた八十二億円以下もクリアした。しかし、本年度から県立精神医療センターで八十床増床する影響で、人件費などが大幅に増加する見込み。同課は「県立病院の使命として、民間ではできない医療を行っている。将来的に繰入金ゼロとするのは難しいが、八十二億円以下になるように経営努力したい」としている。 (藤原正樹)東京新聞6/24

http://www.tokyo-np.co.jp/00/stm/20060624/lcl_____stm_____003.shtml

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 なかなか、「いい見出し」ですね。ところで、「繰入金」ってあの何ですか?税金による赤字補填でしょ。金融機関にいれた公的資金とかと違って、優先株発行を受けられた訳ではないんですよね。これって埼玉県からの資金援助がなかったら、放置すれば「父さん」するしかないんでしょ。

 だいたい、どこの病院でも20億円くらい赤字がつみあがると病院長や事務長の首が飛んだりするのですが、いいんですねぇ埼玉県は。毎年82億円までは、大赤字ではなく、行政もマスコミもお許しになると。

 ちなみに、あの舞鶴市民病院は医師の退職のため、累積赤字が30億円越えました。もうじき最後の医師(院長)が退職されることで、どうなるか不明です。

 夕張市が先日、久しぶりに財政再建団体になったように病院経営を見ていく上で、未収金の問題、地方財政が思わしくないことから、公的資金援助の限界は問題になっていくと思われます。 

  あと、過疎地の病院の場合、医師の確保がままならず、医師充足率を70%を切るとさらに診療報酬が減額になる‥ますます地獄です。

↓鬼のような仕打ちを特例申請で逃れようとする青森のケース

 深刻な医師不足の野辺地病院が県に特例申請(2006/06/24)
 深刻な医師不足に陥る公立野辺地病院が青森県に対し、医師配置基準を緩和する特例適用を申請していたことが二十三日、分かった。同病院の医師充足率が70%を下回り、診療報酬の減額対象となったため、減額を回避するのが狙い。県は二十九日、青森市内で県医療審議会医師配置基準特例措置部会(部会長・村上秀一県医師会副会長)で議論し、問題がなければ特例を認める見通し。
 
 同病院によると、五月の常勤医師は十人で、非常勤医師を含めた医師充足率は67・2%。
 診療報酬の減額対象は今年四月から、医療法改正により、医師充足率60%から70%に引き上げられた。
 国は医師不足に悩む地方からの批判を受け、入院基本料などについては九月までの半年間は減額しない経過措置を設けたが、リハビリテーションに関する報酬などは既に減額が始まっている。
 ただし特例適用が認められると、同法で定めた配置基準が三年間に限り70%の九割に当たる63%に緩和される。同病院の場合、現在の充足率が63%を上回っているため、減額が避けられる。
 同病院は六月五日付で特例適用を申請した。藤谷強幸事務長は「医師確保の見通しは立たず、経過措置がなくなる十月からさらに減額される。これ以上病院経営が悪化しては困るから」と理由を述べている。
 県医療薬務課は「医師確保の努力や、地域に必要な病院かなど総合的に議論し、部会で結論を出す」と話した。(デイリー東北ニュース6/24)
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 過疎地の病院の場合、医師の確保も問題ですが、経営に直撃するような問題が解消されない限り、新規の設備投資はもちろん不可能だが、経営統合は不可避である。
 ハコモノ作りは土建屋にとっては出番ですが、統廃合によってアクセスが悪くなる地域住民にとってはいいことなのか?さて疑問です。
 日医の副会長の講演会が地方でもなされて、出席された先生の感想を引用させて頂きますが
「国民は十分な説明がないまま、知らず知らずのうちに自分たちにとって悪い方向への医療法が成立していき、またそのことを医療の現場で説明され、国民は医療機関などへ怒りをぶつけたりするのです」http://blog.m3.com/kaibo/20060625/1
 残念ながら、これは厚生労働省や与党の連中がやってのけていることです。日本医師会の「広報」とかホームページなどを見ても、あまり本気度を感じません。もっと頑張らないと‥ダメになるでしょうね。私の知人で尊敬している大手監査法人の部長さんからメールをもらいましたが‥このような内容でした。
医療は二通りあるように思います。一つは、福祉としての医療。もうひとつは、産業としての医療です。 前者の代表が日本で、後者の代表がアメリカ、インドだと思います。 福祉産業としての医療は、税金消費型になります。産業としての医療は、競争型医療になり世界中から、最高レベルの医師を集めて、最高の医療を富裕層を相手にどんどん、技術競争をしていきます。インドはITも医療も、アメリカの後追いをして、「最高のITを安い労働力で」伸ばしました。日本のITは、国内需要だけを相手に仕事をしてきたので、世界レベルから脱落しました。医療は、今までは、完全に、国内型、福祉型、税金消費型できました。国はそれを許さずに、どんどん締め付けます。医療産業は、アメリカ型にならないと生き残らないでしょう。が、アメリカのFDAと日本の厚生省とでは全然、権威が違います。この分野でもアメリカ型グローバルスタンダードにこてんぱんに負けそうです。日本の医療はどうなっていくんでしょうか?
  自分としては、両方の長所を生かして、そしてアメリカのように高額医療と福祉医療が分離してしまわないように願っております。とても難しい願いですが、日本の医療は世界水準ではない所があるかもしれない、でも医師はまだ頑張っていたいのです(自分は単なる燃え尽きドロッポなんでしょうが)。

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