受賞祝い[医学記事優秀賞&医療崩壊貢献大賞] [マスコミ]
おめでとうございます。え?あの奈良の大淀町病院の「たらい回し」報道を、奈良県から情報発信し続けた、超大手マスコミには賞なし?ですか。
今年度は少なくとも松谷元医政局長らからは、医療報道として「優れている」とはされなかったようです。がんばったのに・・・残念でしたね。
そんなにがっかりしなくてもいいですよ。当方から、毎日新聞社には「医療崩壊貢献大賞」を差し上げます。受賞理由については…「天漢日乗」さんと拙ブログ「放火犯の消火作業?マスコミのマッチポンプ」を参照ください。
☆医療崩壊貢献大賞:毎日新聞の医療バッシングキャンペーン
「マスコミたらい回し」とは?(その91)毎日新聞奈良支局に以前勤務の元田禎記者 奈良県南部の産科を絶滅させたことには触れず「妊婦をめぐる救急体制の不備を問い続け」たと強弁
東京日和@元勤務医の日々
2006.10.27 20:54
「記者の目:「次の実香さん」出さぬように=青木絵美(奈良支局) 」
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さて、本番の医学記事優秀賞については・・・こちらです。こんな地方紙にも目を通された審査員の方々に本当に頭が下がる思いです。
☆ファイザー医学記事優秀賞:霧の中の処方せん~医師不足にあえぐ県内
東奥日報2007/09/20
第二十六回ファイザー医学記事賞優秀賞に、東奥日報社編集局社会部・菊谷賢記者の医療連載「霧の中の処方せん~医師不足にあえぐ県内」が選ばれ十九日、東京丸の内・パレスホテルで贈呈式が行われた。
今回は昨年四月から今年三月までに掲載された全国の百十紙・九十八点の医学医療関連記事の中から、(1)着眼点(2)構成(3)的確でバランスの取れた情報-などの点で審査され、大賞一点、優秀賞五点が選ばれた。
「霧の中の処方せん」は、昨年七月から今年二月まで掲載。医師不足の現状をリポートし、県内医療のあるべき姿を模索した。
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ということで、最終回をお届けします。これを読んで、いかに毎日新聞の「奈良県の産科医療の救急体制…」といいながら、「病院叩き&医師叩き」を一方的に行ってきた反省の弁がいまだにない点を考えると、まったく説得力がありませんね。 ぽち→------------------------
霧の中の処方せん/医師不足にあえぐ県内/第4部
東奥日報 2007年2月22日(木)
(8)未来の分岐点/地域での議論が大切
死、という言葉が聞こえるようになった。自らの病気をきっかけに医療問題に取り組むようになった角田周さん(53)=五所川原市=に住民から悲痛な声が寄せられるようになった。
「本当に不自由になった」。金木地区の七十代女性はため息をつく。胃がんを患っていた女性の夫は昨年十一月、救急車で金木病院に運ばれ入院。三カ月後、退院を促され民間病院へ転院した。自宅療養の選択もあったが、既に金木病院は救急車受け入れを休止しており、不安がつきまとった。男性は民間病院で今月、息を引き取った。女性は語る。「昔は金木病院にもたくさんの医者がいた。世の中おかしくなってしまった。金木町が市になったらおかしくなった」
近くに住む其田輝夫さん(76)は言う。「一分一秒を争う心筋梗塞(こうそく)や脳卒中になったら、どうしたらいいのか。命の保証はない。死んでしまう。何とか救急を復活してほしい。何とか」
▼「国は実情知らない」
人口十万人当たりの医師数が九十八人と全国の半分、県内でも最も割合が少ない西北五地域。この現状を訴えようと自治労連県本部の金川佳弘さん(45)が昨年九月、厚労省に医師増員の請願に出向いた。
厚労省の担当者は言った。「請願しにくる地域ほど努力が足りない」と。
金川さんは耳を疑った。怒りをこめてまくし立てた。「それは公式見解ですか。だとしたら、問題ですよ」
金川さんは語る。「国は地域の実情を知らない。実情を知らない厚労省が医療政策をつくっていることが問題なんだ」
国は一九九七年の「医学部定員を削減する」という閣議決定後、一貫して医師定員抑制策を維持。日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも、最低水準の医師数となった。
医療の高度化、高齢化の進展、女性医師の増加…。時代が刻々と変化するのに、国は目を向けてこなかった。開業医の増加を無制限に許した。臨床研修医制度には市場原理を導入し、地方大学から新卒医師をはがした。
昨年八月、国が示した医師確保の総合対策では、医学部の定員を前倒し的に増やす自治体に奨学金設定の高い条件を付けた。
難波吉雄・県健康福祉部長は十一月の県議会常任委員会で厳しい表情で読み上げた。「国の対策の多くは地方の努力に委ねられ、国全体の問題として国自身が取り組む真摯(しんし)な姿勢があまり見えていないことが残念です」
医療砂漠-。医師不足を背景に荒涼とした社会が広がり始めている。
青森市の総合病院。中堅医師が後輩に「辞めずに頑張れ」と励ましていた。
しかし、その中堅医師もヘトヘトに疲れ切っていた。
弘大病院の教授。「医師不足の話はしたくない」と顔を曇らせるようになった。
県内病院の事務長。マスコミの問い合わせに一方的に電話を切るようになった。
▼ドクターの心が疲弊
昨年暮れ。金木病院の救急維持を求める活動をしている五所川原市の住職・一戸彰晃さん(57)のブログにメールが届いた。医師らしい。「ごくろうさまでした。(救急維持は)やっぱり駄目でしたね」
一戸さんは語る。「厳しい労働環境の中で、ドクターの心が疲弊してしまっている」
誰の責任か-という問いに「前から医師不足になるのは分かっていたのに、手を打たなかった国、県の責任だ」。
昨夏、医療崩壊を憂う弘大出身の医師が集まって語った。「今の医療崩壊は、国も自治体も大学も、当事者意識を持って取り組んでこなかったツケではないか」。無責任体質が医療砂漠を生んだという。
狭心症を患い、金木病院に何度か命を助けられた角田さんは、認知症の母親を看病しながら思う。「人は自分がかかわらないと真剣に考えない。行政任せだ。住民が医療を自分のこととして考え、議論を重ねることが大切。そして地域が声を上げていくべきだ」
=終わり=
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