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[過信は禁物]サプリメントも摂り過ぎはマイナス [サプリメント]

 時々、テレビの通販番組で「○×は体にいいんです」という怪しげなものがあります(証拠ゼロでたいがい言いますよね)。ま、食事で取る分にはいいですが、これだけ飲んでいれば安心というのは大間違い。医師の中にも患者さんに「サプリメント」をお勧めする商売熱心な方が見えますが、果たして本当に正しいのでしょうか?

 そういう意味では、患者さんに勧める前に、マイナス面もあることを知っていなければなりません。ということで、いつもお世話になっているBioToday.comさんで微量元素であるセレンの文献が紹介されていました。

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セレンのサプリメント摂取は糖尿病リスクを高める

2007-07-11 -
皮膚癌に対するセレンの効果を評価した試験データを2次解析した結果、糖代謝の改善作用を有すると示唆されているセレンのサプリメント摂取は2型糖尿病の発現リスクを高めると示唆されました。

この試験では、約1200人が200μg/日のセレン摂取群かプラセボ摂取群に割り振られました。

およそ8年間の追跡調査の結果、プラセボ投与群に比べてセレン投与群の方が糖尿病の発現リスクが高くなっていました。

解析の結果、ベースラインで血漿セレン濃度が高かった被験者ほどセレン投与による糖尿病のリスクが高くなっていました。

具体的には、ベースラインでの血漿セレンレベルに基づいて被験者を3グループに分け、その3グループのうちセレンレベルが最も高いグループでプラセボとセレン投与群の糖尿病発現率を比較したところ、プラセボ投与群に比べてセレン投与群の方が糖尿病のリスクが2.4倍高くなっていました。

セレンの栄養所要量(55μg/日)を含む食事を摂っている人はセレンサプリメントを摂取するべきではないとエディトリアルには記載されています。



‥> 関連ニュース
Selenium supplements linked to diabetes in U.S. study / Reuters

‥> 関連文献
Selenium and Diabetes: More Bad News for Supplements. Annals of Internal Medicine. 21 August 2007 | Volume 147 Issue 4
Effects of Long-Term Selenium Supplementation on the Incidence of Type 2 Diabetes. Annals of Internal Medicine. 21 August 2007 | Volume 147 Issue 4

 

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  このように「正しい知識」は必要です。そしてこういう知識もないのに、何でもサプリメントを勧めたり、食事以外からの摂取に頼るのは危険だと思いました。

 いつも紹介しているBioToday.comさんですが、無料ニュースだけでもかなりの分量が送られてきます。今日のメールでも…「表示量が入っているかどうかすら怪しいサプリメントなんぞ服用するよりは、血糖値が気になるなら、カボチャを食べた方がよさそうです。」とのことで下記の二つの文献まで紹介してくれていました。

▽カボチャ抽出物は血糖降下作用を有する
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=20769

この報告はラットでの実験結果ですが、以下のように、カボチャ抽出物で血糖値が低下することを示した臨床報告もあります。

▽カボチャ抽出物で血糖値が低下する
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=20798

 

 まぁ、食事でならともかく、毎日取るほど長生きなどという証拠があるサプリメントはいまだに聞いたことがありません。金の無駄遣いというのが一番ふさわしいと思いますが。患者さんの弱みにつけこむような商売がまかり通るのはいかがなものかと思います。ぽち→ 

 

 ちなみに、今年の前半だけで、BioToday.comさんで取り上げられていたサプリメント関連の文献はこれだけあります。

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2007-06-24 vHLとHIFによるヘプシジンレベルの調節によって鉄恒常性が保たれている【オープンアクセス文献】...

肝臓で合成されるペプチド・ヘプシジン(Hepcidin)は、哺乳類における鉄の吸収・ホメオスタシスの重要な調節因子です。 9段落, 899文字

2007-06-20 サプリメントに比べて食事から摂ったカルシウムの方が閉経後女性の骨の健康により好ましい効果をもたらす...

閉経後女性168人を対象にした試験の結果、サプリメントから摂ったカルシウムに比べて食事から摂ったカルシウムの方が閉経後女性の骨の健康により好ましい効果をもたらすと示唆されました。 4段落, 370文字

 

2007-06-10 カルシウムとビタミンDのサプリメントで閉経後女性の乳癌リスクが低下する...

ネブラスカ州の田舎に住む閉経後女性1179人を対象にした4年間のプラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果から、カルシウムとビタミンDのサプリメント摂取により癌リスクが低下すると分かりました。 2段落, 148文字

 

2007-06-07 葉酸サプリメントで結腸直腸腺腫は防げない【オープンアクセス文献】...

結腸直腸腺腫を切除して間もない患者1000人以上を対象にしたプラセボ対照二重盲検試験の結果、葉酸サプリメントでこれらの患者の結腸直腸腺腫は防げず、むしろ進行病変(相対リスク、1.67)や3個以上の結腸直腸腺腫(相対リスク、2.32)の発現リスクを上昇させると示唆されました。 2段落, 185文字

 

2007-06-04 葉酸サプリメントで脳卒中のリスクが有意に低下する...

これまでに発表された8つの無作為化試験をメタ解析したところ、葉酸サプリメントによって脳卒中のリスクが有意に18%低下するという結果が得られました。 2段落, 118文字

 

2007-06-03 食事からビタミンB6、B12、葉酸をたくさん摂取している正常体重以下の人は膵癌になりにくい~サプリメントは逆に...

4つの大規模試験の結果を混合解析したところ、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸を食事からたくさん摂っている正常体重または痩せ型の人は膵癌を発現するリスクが低いという結果が得られました。 3段落, 218文字

 

2007-05-31 貧血ではない妊婦が鉄サプリメントを摂取すると妊娠期間のわりに小さい赤ちゃんの出産や高血圧のリスクが高まる...

ヘモグロビンレベルが13.2g/dl以上の妊婦を対象にしたプラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果から、貧血ではない妊婦に鉄サプリメントを与えることは有害と示唆されました。 3段落, 244文字

 

2007-05-23 糖尿病にクロムは無効...

血糖コントロールを補助する目的で、2型糖尿病患者はしばしばクロム(クロミウム)をサプリメントとして使用します。 4段落, 261文字

 

2007-05-22 緑茶のカテキンは膀胱細胞に炎症が起きるのを防ぐ...

新たな研究の結果、緑茶に含まれるカテキンは膀胱細胞が炎症で損傷するのを防ぐ作用を有すると示唆されました。 4段落, 225文字

 

2007-05-19 リコピンで前立腺癌は予防できない~血清βカロテン(βカロチン)レベルの高い男性はアグレッシブな前立腺癌を発現す...

大規模疫学試験・Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian (PLCO) Cancer Screening Trialにエンロールされた男性28,000人以上のデータを解析した結果、トマトに豊富な抗酸化物質・リコピンで前立腺癌は予防できないと示唆されました。 3段落, 292文字

 

2007-05-18 ピクノジェノールは高血圧による悪影響から心臓を守る作用がある...

マウスの実験から、フランス南西部からスペイン国境にかけて生息するフランス海岸松の樹皮から抽出した天然成分・ピクノジェノール(Pycnogenol)は高血圧によって引き起こされる心臓の損傷を予防する作用を有することが確認されました。 3段落, 211文字

 

2007-05-16 カルシウムとビタミンDサプリメントは閉経後女性の体重増加をほんの少し抑制する...

50-79歳の閉経後女性36,282人を対象にした試験の結果、カルシウムとビタミンD(コレカルシフェロール)サプリメントの併用は閉経後女性の体重増加を抑制すると示唆されました。 3段落, 211文字

 

2007-05-14 超低出生体重早産児の壊死性腸炎はプロバイオティクス(プロビオティクス)で予防しうる/メタ解析結果...

壊死性腸炎(necrotising enterocolitis)は、主に早産児に発現する重症の胃腸疾患です。新生児集中治療部への入院の1%未満~5%がこの疾患で占められており、死亡率は15-30%となっています(1)。超低体重で出生した早産児のおよそ7%に壊死性腸炎が認められます(2)。過去数十年間で壊死性腸炎の頻度低下は認められず(3)、この疾患の予防法の開発は急務となっています。 7段落, 997文字

 

2007-05-04 朝鮮人参やイチョウは医薬品の吸収や代謝に影響を及ぼさない...

新たな試験の結果、人気があるサプリメント・朝鮮人参やイチョウを摂取しても処方薬やOTC医薬品の薬物動態に影響が及ぶことはないと示唆されました。 3段落, 225文字

 

2007-04-07 妊娠中のマルチビタミン摂取で低体重時出産が防げる【オープンアクセス文献】...

タンザニアのダルエスサラームのHIV非感染妊娠女性8468人を対象にしたプラセボ対照二重盲検試験の結果、鉄と葉酸サプリメントと共にマルチビタミン(ビタミンC・E・B)を摂取すると低体重児出産や在胎期間のわりに小さい赤ちゃんの出産(small-for-gestational-age birth)を予防できることが確認されました。 4段落, 339文字

 

2007-03-21 食事からのビタミンCの摂取量が多い男性は口腔前癌病変を発現するリスクが低い...

新たな試験の結果、食事からのビタミンCの摂取量が多い男性は口腔前癌病変を発現するリスクが低いと分かりました。 5段落, 374文字

 

2007-03-18 亜鉛サプリメントで小児の死亡率は低下しない...

ザンジバルのペンバ島の1-36ヶ月の小児を対象にして、亜鉛サプリメントで死亡率が低下しうるかどうかを評価した試験の結果が発表されています。 4段落, 260文字

 

2007-03-15 βカロチンで加齢黄斑変性症は防げない... Free!

40-84歳の健康なアメリカの男性医師22,071人を対象にしたプラセボ対照二重盲検試験の結果、βカロテン(βカロチン)サプリメントに加齢黄斑変性症(ARM)の予防効果はないと分かりました。 2段落, 172文字

 

2007-03-01 抗酸化サプリメントは死のリスクを高める...

 大規模なメタ解析の結果、βカロチン(βカロテン)、ビタミンA、ビタミンEサプリメントは死亡リスク上昇と関連すると分かりました。 6段落, 336文字

 

2007-02-28 ニンニクでLDLコレステロールは低下しない【オープンアクセス文献】...

 無作為化試験の結果、中等度の高コレステロール血症の人のLDLコレステロールはニンニク(ガーリック、garlic)では低下しないと分かりました。 12段落, 1441文字

 

2007-02-18 カルシウムとビタミンDサプリメントは活動的な若い女性の疲労骨折を防ぐ...

イリノイ州のグレートレークス海軍訓練センターで訓練していている17-35歳の女性およそ3700人を対象にしたプラセボ対照試験の結果、8週間のトレーニング期間中に推奨量よりも多いカルシウム(2,000 mg/日)とビタミンD(800 IU/日)サプリメントを服用した女性はプラセボ服用女性に比べて疲労骨折の割合が低くなっていました。 3段落, 320文字

 

2007-02-05 クロミウム・ピコリネートは2型糖尿病患者の血糖コントロールや脂質レベルを改善する...

2007年1月31日、Nutrition 21社は、糖尿病を対象にしたクロミウム・ピコリネート(chromium picolinate)サプリメントの臨床試験のレビュー結果が専門誌に掲載されたと発表しました。 4段落, 383文字

 

2007-01-26 セレンのサプリメントはHIVレベルの低下に役立つ...

HIV感染成人262人を対象にした試験の結果、セレン(セレニウム)はHIVレベルを低下させると示唆されました。 5段落, 334文字

 

2007-01-31 妊娠初期の葉酸サプリメントで口唇裂が予防できる...

1996-2001年にノルウェーで生まれた口唇裂または口蓋裂の幼児573人と健康な幼児763人を対象にした調査の結果、妊娠初期の葉酸サプリメントの服用は赤ちゃんの口唇裂を予防しうると分かりました。 3段落, 284文字

 

2007-01-22 葉酸サプリメントは高齢成人の認知機能に良い影響を及ぼす...

血中ホモシステイン濃度上昇と葉酸レベル低下は認知機能不良と関連します。動脈硬化進行に対する葉酸サプリメントの効果を評価したFACIT(Folic Acid and Carotid Intima-media Thickness)試験のセカンダリーエンドポイントとして、認知機能に対する葉酸サプリメントの効果が評価されました。この評価の結果が医学誌に発表されています。 5段落, 474文字

  

2007-01-21 カルシウムサプリメントの結腸直腸腺腫再発予防効果はサプリメント摂取中止後5年まで維持される... カルシウムサプリメントは結腸直腸腺腫の再発リスクを抑制することが無作為化試験で確認されています。しかしこの腺腫予防作用がサプリメント摂取中止後いつまで続くかは明らかではありませんでした。 3段落, 366文字

 

2007-01-09 コエンザイムQ10は心不全患者の運動能力や心機能を改善する...

平均年齢59歳の中等度~重度の慢性心不全患者23人を対象にしたプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験において、コエンザイムQ10〔CoQ(10)〕(100mg t.i.d.)サプリメント服用でHDLコレステロール、運動能力、心機能が改善するという結果が得られました。 3段落, 241文字

 

2007-01-07 葉酸サプリメントは老化による難聴の進行を遅らせる作用がある...

50-70歳のオランダの男女728人を対象にした試験の結果、葉酸は老化に伴う難聴の進行を遅らせる作用があると示唆されました。 4段落, 248文字

 


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