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[医療訴訟]賠償金では救済されない [医療]

 

軽井沢病院女性死亡訴訟 町議会が和解可決

 

信濃毎日新聞 7月13日(金)

北佐久郡軽井沢町議会は12日、臨時会を開き、町立軽井沢病院で2003年10月、出産後に大量出血し転院先で死亡した鈴木良恵さん=当時(32)=の遺族に対し、賠償金8624万円余を支払う和解案を可決した。遺族が町と担当医を相手にしている損害賠償訴訟の控訴審は13日に東京高裁で和解協議を開くが、遺族側はこの日、町側の謝罪の仕方について意向に相違があることを明らかにした。

 賠償金は、一審の東京地裁が支払いを命じた治療費や慰謝料など計7256万円余に遅延損害金を加算。佐藤雅義町長は本会議で「ご遺族の多大な精神的苦痛に対し、心よりおわびする」と謝罪した。

 ただ、議員の「記者会見など公の場で謝罪する考えは」との質問に、同病院の柳沢宏事務長は「裁判所内で(町長と担当医が)謝罪する。公の場で謝罪しないことは原告側の弁護士に話してある」と答弁した。

 議会を傍聴した鈴木さんの母親の美津子さんは「賠償金額は問題でなく、公の場での謝罪を求め続けてきた。(裁判所内という)密室での謝罪で済むなら、一審で終わっていた」と、公の場での謝罪を主張。町側は「裁判所内で医師が謝罪するのも異例のこと。和解案には原告の弁護士と合意している」としている。
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 難しいですね。「医療の限界」でも小松先生が言及されていますが。こんなに高額のお金を支払うことで、ご遺族が満足するかというと、結局、謝罪を求め続けています。
 その後、この病院には産婦人科医師は居ません。この地域の病院の体制はわかりませんが、当時の状況は決して、満足のいくようなものではなかったようです。そして患者さんを救命できたかもしれないと、当時の新聞でも謝罪をしているように思いますが…?結局、1億円以上の賠償を求め、訴訟となって控訴までして、賠償金を得てまだ「謝罪」を求める。何でしょう。結果が悪いということは確かに信頼を崩壊したかもしれませんが、他の患者さんではやれていた産科診療は、結局、この訴訟で根絶やしになってしまいました。
 そう、これは福島と奈良の事件の序章だったのかもしれません。そして産科医療廃絶のさきがけだったのかもしれません。今後、産科を守るためには、政府はどうしたらいいでしょうか?それが今回の選挙できっちり語られるべきです。ぽち→ 

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 伊関友伸のブログでも伊関先生も去年にこの件については下記のようなコメントを残している。

 

http://iseki77.blog65.fc2.com/blog-entry-175.html

 

「しかし、信頼を裏切られた精神的苦痛を交通事故に比べて重く見て賠償を増額する必要があるのであろうか。

要は、これからの医療訴訟の病院の賠償額は、交通事故に比べて精神的苦痛分だけ重くなるということである。

果たして、そのロジックは正しいのか?
疑問に思う。

医師の立場、患者の立場、それぞれがそれぞれの立場を考え行動をしなければ医療の現場は荒廃する。

この判決は、医療の現場を荒廃させる危険性のある判決であると考える。 」

  
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2004年03月23日(火) 00時00分

救命「可能性あった」 軽井沢病院長「ミス」で会見信濃毎日新聞

 北佐久郡軽井沢町の町立軽井沢病院で昨年十月、帝王切開で男児を出産した同町の鈴木良恵さん=当時(32)=が、手術後に意識不明となり、転送先の病院で出血性ショックのために死亡した医療事故で、軽井沢病院の宮尾陽一院長は二十三日、同病院で会見した。宮尾院長は「出血に気づいていれば、救命できる可能性があった。病院の落ち度と言うことで、遺族に謝罪した。責任があれば償いをしていくことで話し合いをしている」と、あらためてミスを認めた。

 一方、院長は「出血以外の死因があるという疑念もぬぐいきれない」とも述べた。

 病院などによると、鈴木さんは九月二十四日に入院。十月四日午後五時ころ、帝王切開で出産したが、体力の低下がみられたため、ICU(集中治療室)に入った。午後十時二十分すぎに心臓が停止し、南佐久郡臼田町の佐久総合病院に搬送されたが、五日未明に死亡した。佐久総合病院の病理解剖結果で、子宮の縫合部からの大量出血に伴う出血性ショックだった。女性は帝王切開時に約一三〇〇ミリリットル出血していたが、さらに腹腔(ふくくう)内に約二〇〇〇ミリリットルの血がたまっていた。

 心停止後に担当医が駆け付けるなど、病院の診療体勢について、院長は「他の医師が支援するような体制を持っていなかった。私どもの落ち度」とした。

http://www.shinmai.co.jp/news/2004/03/23/016.htm

軽井沢病院女性死亡の控訴審、13日に和解成立の見通し

7月6日(金)北佐久郡軽井沢町立軽井沢病院で2003年10月、出産後に大量出血し、転院先で死亡した鈴木良恵さん=当時(32)=の遺族3人が、町と担当医に1億8100万円余の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、遺族側と町側が和解内容に合意したことが5日、分かった。13日に東京高裁で行われる和解協議で成立する見通しだ。

 遺族、町側とも和解内容は明らかにしていない。関係者によると、町は1審の東京地裁判決に沿い、治療費や慰謝料など7000万円余を遺族に支払う見込み。遺族は、担当医らからの謝罪を求めており、13日の和解協議には佐藤雅義町長と担当医も出席し、遺族に謝罪するとみられる。

 町は12日に町議会臨時会を開く予定。その場で、賠償金支払いの議決を得る方針だ。

 遺族は「担当医が子宮の縫合を十分に行わず出血させ、誤診などで出血に気づかず手遅れになった」とし、2005年3月、東京地裁に提訴。同地裁は06年7月、慰謝料について「信頼を裏切られた精神的苦痛が生じ、交通事故より高額となる」との判断を示し、町と担当医に慰謝料も含めて計7256万円余の支払いを命じた。

 これに対し、遺族側は「謝罪がない」として控訴。町も原告の控訴を受け、付帯控訴していた。

 遺族側は昨年7月、担当医らを軽井沢署に刑事告発。同署が捜査している。


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コメント 2

NOTHING-TO-LOOSE

難しいですね。被害者の病理解剖したかの有名な佐久総合病院でも院内で急変した患者が、司法解剖になりました。

心臓オペ受け、急変した患者のかなりの量心電図を消去してしまい、病院のえらい医師がこう言ったそうです。

”其れがナンだ、うちの病院は、長野県内の救急医療を一身に担う、たかが、心電図を残さない位、ナンだ。”と。

尚、急変の理由は、今も説明できない。主治医も知らないそうです。

合法か、医師のモラルの問題か。。。。大変ですね。
by NOTHING-TO-LOOSE (2008-01-26 22:01) 

skyteam

NOTHING-TO-LOOSEさん>

 おはようございます。その件についてはまったくしらぬお話で、そういう発言が「外側」から聞こえてしまうのは残念です。というか、そういう慢心が今の危機的な状況を生んだひとつの原因です。
 ただ、本当に「叩け」ばよくなるのかは別問題です。医療サイドが問題以上に、「犯人探し」や「謝罪請求」にやっきになっていると、肝心の医療が壊れてしまう点は指摘しておきます。
by skyteam (2008-02-02 09:49) 

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