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[医師の需給]この先あと10-20年待てと? [医療行政]

医師偏在対策、地域限定で大学定員増も検討 政府方針

2006年07月19日22時21分
 地域の医師不足や診療科による偏在の問題で、厚生労働省の検討会は19日、2025年の医師数を約31万人と推計したうえで「長期的には医師は足りる」などとする最終報告書をまとめた。大学医学部の定員増には否定的な見解を示す一方、医師不足が深刻な地域では暫定的に定員増を検討する必要があると指摘した。
 報告書をまとめたのは「医師の需給に関する検討会」(座長=矢崎義雄・国立病院機構理事長)。これを受け、厚労、総務、文部科学の3省の連絡会議は8月中にも「医師確保総合対策」をまとめ、来年度予算概算要求などに反映させる。
 報告書は、病院や診療所で働く医師数は15年に約28万6000人、25年に約31万1000人、35年に約32万4000人と増え、20~25年には必要数を上回ると推定。医学部定員増は「中長期的には医師の過剰をもたらす」とした。
 ただし、地元に医師が定着しない地域の医学部では、定着に積極的に取り組むことを条件に「暫定的に定員調整を検討する必要がある」とした。
 特定の地域や診療科の医師不足解消には、効果的な医師の配置や医療提供システムが必要とも指摘。(1)産婦人科医の拠点病院などへの集約(2)小児科の電話相談や開業医との連携促進(3)看護師などとの役割分担などを提案した。
 検討会や国会審議では、医師不足の実態把握のために診療科ごとに必要な医師数を示すべきだとの意見もあったが、「算定が難しく、地域偏在の解消にはつながらない」(厚労省幹部)として、今回の報告書では見送られた。このため複数の委員からは「現場の医師不足感が伝わらない」と不満も出た。

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 これは…医師が過剰?になるから当座のところ、こんな対応策でいいか?都市に医者が集まるのはそれなりに理由があるんですがね…みんな修行なんですよ>若手はね。それなのに地方にしばりつけですか?
 まぁ、これを元に動いてもまず、奨学金を受け取って自分の未来の可能性を小さくする人はいないな。むしろへき地医療に行くのは「出世コース」とか「自由度が増す」などそういうプランがなきゃダメだと思いますよ。 地方大学の定員を増やしてもいわゆる就職先としてへき地に魅力がなければ残る人は少なくなるわけで…小手先でいいと思ってやると「失敗」しそうだが。

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地方の医師不足は価格メカニズムが解決する

  日本の医療制度が抱える問題の一つに地方の医師不足がある。あまり知られていないことだが、日本の人口当たり医師数は主要先進国の中では最低水準と決して多くない。そのため、医師が都市に集中すると、地方での不足は避けられない。

 医師が都市に集中するのは、都市にいることにメリットがあるからに他ならない。生活面(家族も含めて)において都市が魅力的であるのは医師に限ったことではないし、大学病院などに通いやすいため、日進月歩の医療技術の習得に有利なことも重要である。ほうっておけば医師が都市に集中してしまうのが避けられない以上、何らかの人為的介入が必要だが、これには「配給=共産主義」と「価格メカニズム=自由主義」の二つがある。

 「配給」とは、指導者の命令によって医師を地方に派遣するシステムのことである。しかし、医師の大半は公務員ではないから、政府が医師の地方勤務を強制することはできない。そのために自然発生していたのが、大学医局による医師派遣である。これは、医局のトップにいる教授が、各地病院の要請に応じて配下の医師を派遣するもので、医師不足解消に一定の成果を上げていた。しかし、共産主義が「権力の肥大化」や「賄賂の横行」などの問題を生んで行き詰まったのと同様、医局による医師の配給も、「医局支配」や「名義貸し」などの行き過ぎを招き、批判にさらされることになっている。

 「配給」に限界がある以上、残る解決策は価格メカニズム、すなわち「地方に行けば得をする(少なくとも損にはならない)」という金銭的インセンティブしかない。十分に魅力的な条件(勤務期間も含む)が提示されれば、都市から地方へ医師が自発的に移動し、医師不足は解消に向かうだろう。教員や民間企業の僻地勤務手当が参考になる。

 日本では「医は仁術」という考え方が根強いためか、「金による解決」を頭から否定しがちである。そのため、将来の地元勤務を条件に、地元出身者の優先枠を地元大学医学部に設置することが「抜本策」として真剣に議論されている。しかし、これは自治医科大学を拡大するようなもので、何ら画期的なものではない。優遇枠を拡大しすぎれば医学生のレベル低下は避けられないし、結局は金銭的インセンティブで釣っていることにも気がついていない(現状では医師になれない人でも医師になれるという優遇策である)。また、「孤島で献身的に働く医師」の類の報道も目につくが、いくら例外的個人を出してきても、システムとしての解決策にはなり得ない。

 共産主義の崩壊は、「金銭的インセンティブを無視した社会システムは持続不能」という教訓を残した。日本の医療の現実を見ても、医師派遣の見返りに資金提供を受けていた医局も多かったようだし、僻地医療を目的に設立された自治医大(http://www.jichi.ac.jp/gaiyo_seturitu.htmlを参照)にも、学費免除の金銭的インセンティブが用意されている。既に金銭的インセンティブが浸透しているのは事実なのだから、これを堂々と表に出し、透明な医師の労働市場を形成するのが正攻法ではないだろうか。金ですべてが解決するわけではないが、金がなければ何も解決しないというのが、身も蓋もないこの世の真実なのである。

http://www.dir.co.jp/publicity/column/040427.html

 しごくまともなご意見で…もっとお金を投じたらいい。都市部に医師が行くよりも、もっと魅力的なプランでも作って欲しい。のんびりしたい先生もいるし、実際にへき地医療に取り組むにはちゃんとした基盤整備が必要だ(代務医師の派遣制度や医学研修協力機関の設立など)。

 とにかく、充足までしばらく(10年)はかかるが、奨学金や地域枠の設定など、迅速な対応とは言いかねるような気がしてならぬ(その間に、へき地医療の縮小と撤退を求めているやも知れぬ)。

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