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[国鉄に学ぶ]これ以上の医療費の削減を防ぐ戦略を考える [医療崩壊]

 須田寛JR東海相談役という方が、「週刊ダイアモンド」(2006/6/17)という経済雑誌にインタビュー記事が載っていました。彼は1970年代に国鉄の旅客局総務課長を勤めていました。あの時代に5年間に4度の値上げを担当したそうです。昔のことで覚えていませんか?

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昭和53年

 前年に料金の値下げを行ったものの、国鉄財政は一向に好転する兆しを見せず、この年7月8日に運賃が、10月1日には料金が値上げされた。以後国鉄は分割民営化直前の1986年(昭和61年)まで、1983年(昭和58年)度を除き毎年のように運賃・料金の値上げを実施する事になった。

------------<wikipediaより>---------------

 そうです、国鉄は一日で38億円の赤字が積み上がって行く、典型的な赤字体質でした。結局、ローカル線の大半は廃止されてバス路線となり、本体丸ごと生き残ることは出来ませんでしたが、1987年にJR各社に分社化し、完全民営化を果たした東日本、東海、西日本はもちろんですが、四国、九州、北海道、貨物なども最近は何とか経営的には落ち着いてきたようです。

 

 国鉄の運賃については必ず、国会での採決が必要であった当時どうやって、毎年のような値上げを通したか?須田氏によれば、国鉄としてはメディア戦略をきちんと練って行ってたようです。では、須田氏のインタビューより一部引用します。

 

『値上げには二つの大きな壁がある。一つは、ほとんどの人が反対するという事実。値上げ率事態は上層部が経営的判断によって決定するため、決まった以上、変更は絶対にきかない。反対を押し切って実行するには、かなりの説明力と説得力が必要になる。

 反対勢力には三つのグループがある。まず政界、次に経済団体、そして世論を含めたマスコミ。この三グループがスクラム組んで反対運動を起こしたら、容易に押し返せない。共同闘争されないことが何より重要だった。そのためには分断しなくてはならなかった。

 そこで私は、対象をセグメントし、きめ細かく対象別説明法を工夫した。具体的に言えば、政界用、経済団体用、婦人団体用、プレス用などと、説明資料を造り分けたのだ。」

 

 全面広告で話しかける、「国鉄(わたし)は話したい」という新聞広告を見た覚えありませんか?

 

 「関係議員をリストアップし、夜討ち朝駆けで説明、経済団体にも個別に出向いた。婦人会館には、ご婦人にしかられながら何度も入り、最後には親しくなったものだ。マスコミの方は記者クラブ、雑誌社のグループ、論説委員の集まりなどで説明した特に記者クラブには毎日のように通った。

 もう一つの壁は乗客数の減少だ。値上げをすると必ず影響が出る。だから、値上げの仕方を工夫するしかない。(中略)運賃体系を、競争力や地域に応じて差を付けることを考案。同じ1kmでも運賃を何段階かに分けるなどきめ細かい設定にした。座席指定料金を三種類にしたり、シーズン料金の導入はこれを機にできたバリエーションだ。その結果、職員の努力もあって、1984-86年度の三年度はなんと、値上げしても乗客数が増えたのだ。」

 

 こういう細かい芸当で当時を切り抜けたそうです。僕は国鉄時代に、あか抜けないローカル線の旅を、友人としましたが、国鉄がなんとか工夫で生き残ったのは本当に良かったと思います(国鉄改革が労働組合潰しを狙って行われたという裏の歴史はこの際、割愛)。

 

 今、医療は新時代を迎えつつあります、もうこれ以上へき地医療や周産期医療が縮小して、日本国内で安心して医療が受けられないようになり、それが医師の怠慢のせいだと言われてもいいでしょうか?

 

「安全を確保するために必要なモノ、人にはお金をケチってはいけない!

「福祉の切り下げは結局は住民の不便につながる!」 

「日本の勤務医ほど酷使されている労働者はいない!

 

 というのをアピールしてみる必要はあります。そうでなければ、「医者は患者を金儲けの道具として見ている」「また医療事故を起こす、そんな無能な医者は辞めろ」「勤務医はいばりくさって、時間にルーズ」と間違ったイメージが続くことになり、発言権を失うことになるのですが…勤務医の方々はどうお考えでしょうか?

 

 ちなみに…この春の医師会の署名活動にはそういった文面もあったと思いますが、果たしてどれくらい一般の方に伝わっているでしょうか?マスコミ対策は?日医は会長選挙の活動ばっかやってたんでしたよね。

↓ 「国鉄の末期の苦闘」の様子

http://ja.wikipedia.org/wiki/1976%E5%B9%B4%EF%BD%9E1987%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%9B%BD%E9%89%84%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E6%94%B9%E6%AD%A3

昭和56年

この頃になると国鉄財政の悪化と国鉄職員の悪習慣に対する世論が厳しくなり、次第に国鉄の分割民営化を目指す議論も活発化していった。

 

 きっと、国はマスコミの力を借りて、国民の医療従事者への悪評を広め、医療の崩壊を進め、規制緩和とともに民間の医療保険を導入しようとするでしょう。これは「国策」でしょう。それに対抗するには、メディアを有効的に使った戦略が必要と今の内にいっておきましょう。ちなみに僕は「日本医師会会員」ですから。ご意見ありましたら、本ブログ用のメールアドレスにお送りください。skyteam2007@biz.nifty.jp までよろしくお願いします。


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