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[医師輸入解禁が近い?]外圧を用いて幸せになれるか? [医療行政]

 中国人医師の修練制度を用いての外国人医師の市場開放が近いようです。厚生労働省の役人は否定的なコメントをしていましたが、これは岩手県の産科医師が不足しているという現場の悲鳴に近い状況から考え抜かれた対応策で、何もしない政府にかわって、地方ががんばって考えた成果でもある。

↓報道の概要
>ニュースウオッチ9 :総合/デジタル総合
>放送日 :2006年 6月 8日(木)
>放送時間 :午後9:00~午後10:00(60分)

▽不足する産婦人科医 地方が中国人医師を…患者の反応
>岩手医科大学と岩手県知事が共同し,医師法における,
>『外国人臨床修練制度』を転用.
>中国瀋陽にある中国医科大学には日本語クラスがある
>ため,日本語に堪能な中国人医師がいる.
>今回,岩手医科大学産婦人科は,中国医科大学日本語ク
>ラス出身の30代のベテラン産婦人科医を招聘した.
>なまりはあるものの,流暢な日本語を話し,妊婦さんら
>の評判も上々.診察のほか,手術もできる.
>この例を見た東北各県や北海道などからも,中国医科
>大学日本語クラス出身の産婦人科医を招聘しようと
>する動きが出ている.
>これに対し,厚労省は『外国人臨床修練制度』の目的
>外利用を牽制する姿勢を見せている.
>しかし,地方の医師不足は一刻を争う事態に至ってお
>り,各地方自治体は,もはや医師法や厚労省を無視し
>てでも外国人医師の導入に乗り出している.

 これをニュースとして、日本は鎖国だという方がいたので、しれべてみたところ、諸外国でもこんなに違っている。

>フランスにおける医師業務資格
>奥田七峰子
>●概要
>フランスで外国籍の医師が勤務する際の条件を調べてみた。
>制度上は、外国で3年以上の病院勤務経験があり、フランス
>語が堪能であればいいとされているが、実際は最終決定権を
>握っている医師会や保健省に強力なコネクションでもないか
>ぎり、許可が下りることがない、というのが実情のようだ。

http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=245

>イギリスの医師の半分近くはイギリス人ではない
>医師を輸入するイギリス
>森宏一郎
>●概要
>膨大な待機患者を産んだイギリスの国営医療NHS。ブレア政権は「手術ツアー」を編成して海外で手術を受けされるという苦肉の策を講じている。ところがイギリスはこうした「患者の輸出」に止まらず、国内の医療サービスの3割を外国人医師に頼っている「医師の輸入国」でもあるのだ。

http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=230

 アメリカは市場は大きいので毎年数千人の試験を行って
通過した外国人医師を受入れています。もっとも‥それで
も医療訴訟多発で不人気の産科は足りないようですが。つ
い先日も帝王切開をしないで脳性マヒになったとして訴訟
があり、200億円の途方もない判決(医師病院サイドの敗訴)が出たばかりです。

>すでに欧米では看護職の40%を外国人に依存し、患者の安全問題が起こっており、約10%もの入院患者に、起こってはならないことが発生している(週刊ダイアモンドより)

 

 「産科医不足」は緊急事態ということで、とにかくもう先に言ったモン(やったモン)が勝ちですね。中国人医師による診療について、官僚は否定的なコメントをしてましたが、現実問題として日本語が流暢な医師なら日本で医療行為を行うのが自由となれば、結局、技術習得が目的なら都市部へ、へき地にはお金目当てでしか中国人だろうと来ません。

 

 確かなことは、社会的批判にさらされつつ、医療過誤すれすれの労働環境で、低コストで働いてやろうという働き手など探すのは無理だということです。結局、中国人医師が日本にもたらすのは、どんなに劣悪な医療環境を改善する方向には行かないだろうなという予感ではあります。

 

 そして現場の医師にとってみれば、さんざんこき使われて、代わりに中国人が来るというのなら、少しはましな境遇へいけるという安堵から、かえって立ち去りが進むかもしれないと何となく感じます。医師をへき地に縛り付けられる方策を練っておけと地方に丸投げしても、いい方法などありません。結局、簡単な輸入に走ってるだけで、外圧を使ってでも日本の医師需給が間に合ってないという状況をわからせるためのアピールの道具として利用しているようです。

 こんな典型的な外圧を利用した市場開放を迫っている構図だが、これって諸刃の剣だというのを知っているのだろうか?

 

 外圧といえば、典型的なのに米国研究製薬工業協会(PhRMA)という団体がある。 彼ら曰く、

 

• 多くの先進諸国の患者にとっては既に使用可能な画期的医薬品を、日本の患者が入手できるようになるまでに、依然として相当期間を要し、
• 日本の医薬品産業は、世界の医薬品産業に遅れを取りつつあり、そして
• 他の先進諸国、更には一部のアジア諸国の規制当局と日本の規制当局との隔たりは、今もなお解消されていません。

• 日本の患者は、世界の主要薬100製品のうち、31製品を未だに入手することが出来ません。

 http://www.phrma-jp.org/proposal/pdf/paper_060605.pdf

フォーブス表紙

 今年のゴールデンウィークにアメリカ旅行をした際に購入した「Forbes」最新号。カバーが「Pushing Pills」という製薬業界の内幕について。
 内容は近年の新薬開発力の衰えとともにマーケッティングによる売り上げ増加を図るべく、ゾロ新薬のCM増強にシフトしている様子など、すべて本当のことです。
 アメリカでは、薬の広告はよくテレビで見ます。睡眠薬や
アレルギー薬、胃薬の類など。これらの薬は効かないとは言えないが、CMには誇張が含まれていたり、従来ある薬とそんなに薬効が変わらないものも多い。

 しかしテレビで「ずばり効きます!」とかCMで放映されると、消費者もその気になってしまう…。 あたかも消費者金融の会社がCMでお姉さんやかわいいペットを用いてさも「あなたのことをちゃんと考えてます」なんて言ってお金を貸すがごとく。

   もっともらしいのですが、アメリカは決して善良な市民ではありません。ここ十数年来、欧米の製薬業界では合併を繰り返すことで大きくなりすぎた会社にとって、ある程度売り上げの見込め、かつまた市場となる標的として日本に対して売り込みを簡単にしろという圧力をかけているのです。

 

 アメリカでは数年来、製薬企業が創薬よりもセールスに走りすぎ、単に合剤にしただけで新薬とか、パテント切れの製品をちょっと構造を変えただけでゾロ新薬などで過剰な利潤を得てきた業界が、アイデアも尽き、パテント切れも目前であがいているのが本当の姿ともいえます。

 

 製薬会社はアメリカでパテントが切れた薬を日本で新薬として高く売りつけ(クラリチンは、もうアメリカではOTCです)、そして日本の製薬会社を買収し、子会社化して不要な創薬部門は閉鎖、アメリカの言いなりに役所や消費者を改造することを考えているのではないかというのが、最近の自分の思いではある。

 

 日本のお役所(規制当局)は護送船団方式で金融や医療を外国からの資本流入を防止してきたが、昨今の世界情勢の変化とともに、いわゆる市場開放を進めている。また、すすめねばならない。これが労働市場や医療市場にも同じく適用されようとしている、しかし外圧を用いて行われる市場開放は相手の都合が主に前面には出てなくても、時間が経過するうちに分かってくるかと思うのである。

 

図1:広告費が十年で8倍(最新が48億ドル=5000億円以上)、新薬の承認数は半分以下に

広告費が10年で8倍に
図2:イラスト(医者のまわりにMRだらけ…)のように米国 のメーカーはMRを三倍にしたという。医師9人にMRが1人という具合。

患者にまとわりつくMR

 

 外圧を用いて外国人医師へ門戸開放は、日本の医師不足解消には確かに即効性のある対策かもしれないが、時間が経てばわかると思う。外国人医師にとって日本はお金をたくさんもらえるからであり、最新の医療機器が充実して技術の習得にいいところだから‥だし、間違ってもヒューマニズムからやってきたのではないことを、地方は認識する日がいつか来るとおもう。そうならないことを願ってやまないが。


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