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[連休スペシャル]病院経営セミナー(2) [医療ビジネス]

 お待たせしました。聖路加病院、名物事務長さんの「病院経営セミナー」第二弾となります。

 はっきりいって文字が多いし、経営なんざ関係ないよん♪という先生方は幸せです。逆に「赤字対策」に奔走されている先生方にとって参考になるようなものがありましたら幸いです。

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4. 聖路加国際病院の予防医療センターの年間28億5千万円の売り上げ戦略-日、韓、台プロジェクト-

 さてと、保険外収入というと、ドックなどに力を入れているというと「うちでもやってますよ」という先生が多いかもしれません。もちろん、普通の検診センターでは、日帰り、一泊2日ドックも やっていますよね。

 ここは東京です。同じような病院が同じような価格で責め合っています。虎ノ門だとか有名病院同士でガチンコ、聖路加病院にもきちんと売り込みをかけるべく、セールスを手がける営業さんが複数いるそうですが、発注をかける健保側も、他の病院と見積もりをとって「お宅の検査項目、○×病院とまったく一緒ですよね、なのに、3000円高いのは何故?」とか突っ込まれるそうです。

 

 こうなると、数をこなしても価格競争になってしまうそうです。そうならないために、聖路加タワーを借りて「予防医療センター」を開設したそうです。家賃が年間2.5億円だそうですが、しっかりとペイするそうです。 

 さらにメニューを1泊2日ドックだけではなく、重役向けなどのために2泊3日ドック、1週間ドックなども用意し差別化を図り増収につとめておられます。価格表見たら目をむきますが・・・汗。

http://www.luke.or.jp/dock/pay.html

 

 実は「日本、韓国、台湾」プロジェクトですが、この予防医療センターのためには、台湾の方のノウハウがつまっているそうで、すごい設計図だって見せたくないんだっておっしゃってました。

 台湾の事業とジョイントして見事に完成したドックセンター、年間28億円もの年商で、しかも4ヶ月待ちだそうで、見事です。そしたら、熊本日赤の方がすごいんだ、あっちは30億円だよってました。上には上がいるんですね。

 

5.産婦人科外来と女性総合診療部

 

 さて、「お産」についてです。聖路加病院はブランド病院の名にふさわしい設備を備えています。もう研修医の時代からずいぶん経ってしまっているので、自分は隔世の感ですが。

 聖路加の秘密兵器、それは一室で「LDR」という設備で、陣痛~分娩~回復までを担うように出来上がっているため、家族が一緒に付き添ったり、移動も不要となっています。宮内庁の偉い方も視察にきて、床の材質まで聞いていかれたそうで、事務長さんもぜひ聖路加病院でお世継ぎを・・・と期待していたそうですが、恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院でお生まれになってしまいました…と裏話もされていました。

 

 LDRシステムについてはこちらを参照ください。

産婦人科の「LDRシステム」

自宅分娩の雰囲気で安全に出産
-居間、寝室も兼ねる-

 LDRシステムは米国で生まれた。日本でいち早く導入した聖路加国際病院(東京都)産婦人科の伊藤博之名誉医長は、「自宅分娩の雰囲気で、母子共に安全に出産できるシステムです」と説明する。
 

 このLDRを7床も聖路加病院は完備しているそうです。

さて、その様子についてはちょっと古いですが、データも含めて・・・概要はこちらに。

http://www.web-reborn.com/saninjoho/sanin/tokyomedical/luke.html

 

 うーん。確かにすばらしいですね。そしてお値段も正常分娩の分娩費約¥80万(入院日数…初産7日間、経産6日間、帝王切開10日間)。

 まさに「セレブ気分」たっぷり浸れるというか、昔のように5人も6人も産む時代じゃないだけに、一回のお産にかける費用を勘案すればペイすると考えるご家族が多いのか、年間分娩数も昔は720例/年だったのが、今は1000例/年を越えるそうです。

 また外来スペースの見直しを通して、婦人科外来の独立、ならびに不妊外来の新設(部長先生をTノ門病院からヘッドハントしたそうです)し、外来部門も「女性総合診療部」として整え、患者さんへのサービス向上につとめているそうです。

 

 そうそう、ついでに理想的な自然なお産を勧めるという「吉村医院」のデータもありました、それはこちらを参照ください。

http://www.web-reborn.com/saninjoho/sanin/aichi/yosimura.html

 

 個人的には日本民家が素敵ですっ☆まぁ、どっちがいいかは任せましょう。もちろん、キラーパスとなって2%ほどの方が周辺の病院で危険な橋を渡っているとしても残りの98%は自然分娩ですから、いい成績ですよ(あくまで緊急輸送になった妊婦さんを除くと…ですがね)。

 

 ついでに、例の理事長の解任騒ぎで産科医がゼロになりかけた北海道の天使病院はこちら↓。

http://www.web-reborn.com/saninjoho/sanin/hokkaidou/tenshi.html

 

 そういえば、こんなニュースがありました。

 

大垣市民病院:来春から分娩費値上げ 民間との料金差縮小 /岐阜
毎日新聞 2007/09/13

 大垣市民病院は12日、分娩費を来年4月から5万円引き上げ、13万円にすることを明らかにした。 93年から分娩費が据え置かれており、市内の民間産婦人科との料金差を縮める。年間1000万円の増収を見込む。 この日の市議会委員会で報告された。
 同病院には現在、7人の産科医と25ベッドで対応。同病院によると、同病院で普通分娩し7日間入院すると、現在は分娩費8万円や新生児の入院料、汚物処理量などを含めて28万3005円になる。だが市内の民間産院で出産すると、平均39万4000円という。引き上げで、同病院は34万1025円になる。【子林光和】  

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 えっと「二倍」くらい出してもいいという妊婦さんがいっぱいで受け入れ制限しても十分に黒字の聖路加。かたや地域の住民のために一生懸命働いてもすごく安い自治体病院。もう差がついちゃってません?汗

閑話休題。

 いずれにせよ、「お産」をきちんと診る、そのかわりにお代はしっかり頂くというのはビジネスとして当たり前と言えば当たり前です。

 また、そのための設備投資も惜しむこともせず、そのかわり採算分岐点を越えるだけの症例数を必ずクリアすることを課すそうです。ぽち 
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コメント 3

。

ご指摘の点ですが、大垣市民病院は自治体病院としては
異例といっていいくらい黒字経営の病院です。
聖路加と地方の自治体病院の果たす役割は違って当然です。
それをいっしょに並べて比較することは馬鹿げています。
by 。 (2008-01-15 19:22) 

skyteam

by。さんへ>
 聖路加と違っても、安全のためのコストは必要ですね。要は医師不足、助産師不足、そういう状況です。きちんとしたスタッフ雇うのにお金がかかるようになります。市場原理で値上げされるのは当然です。安い=良いなんてことはありません。
 聖路加の病院の手厚いのは当たり前ではありません。国際的な水準を求めるのでしたら、とうぜんスタッフを集めねばなりません。まぁ、自治体病院の役割が聖路加と違えど、目指す結果(よりよい医療)は同じでしょう。安いことが求められる時代は終わってます。
 
by skyteam (2008-01-20 16:46) 

。

都会のブランド病院はセレブを相手にしていればよいでしょう。それは安全のためのコストというよりは、もともとリスクの少ない「お客様」へのサービスとしてのコストでしょう。そういう医療は地方では民間病院に任せておけばよいのではないかと思います。誤解されているかもしれませんが、安い=良いとはまったく考えていません。ただ、実際問題としては経済・医療の格差は存在しているわけで自治体病院の立場としては簡単には切り捨てはできないのではないかと思います。それぞれ役割分担しているんです。医療崩壊などに関してすばらしい記事を書かれたりと医療の現状がよくわかっておいでのようなので感心しておりましたが、今回の記事は、聖路加のあり方がすばらしいものであり、地方自治体病院のありかたがくだらないというように書かれているように感じたためコメントさせていただいた次第です。これからも良い記事を期待しております。長文失礼いたしました。
by 。 (2008-01-25 23:07) 

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