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[テレビによる報道]これがプロの仕事なの? [マスコミ]

 日曜日の夕方、日本テレビ系「バンキシャ!」って番組で、録画してみましたが「たらい回し・・・深刻な”お産”現場」という15分にわたる巻頭特集は期待はずれでした。最後にまとめられていた、マグロ引越し大作戦の方が見ごたえありましたもんねぇ・・・どっちが大切なのかは順番どおりでしたが、取り上げ方もそうですが問題の掘り下げが浅いままでした。

 さて、その一部をちょっと復活してみました(暇じゃないんだけど・・・)。 

 

 「下手したら死ぬかと思った」なんてセンセーショナルな出だしで始まりましたこの特集は「たらい回しの真相」ということでしたが・・・最初は埼玉県の産科医の現場で未熟児(440g)の出生の様子が出ていましたが、その合間にも産科医の元へ携帯電話で受け入れ要請がやってきて…毎日手術をしているという話でしたが、勤務時間などについてはまったく報じていません。

 

 そして、今回の奈良県の妊婦さんの受け入れが不可能と回答した11の病院を全て調査したそうですが、そのうち対応できなかったのは6件。医師の紹介がない患者さんは引き受けないという2件の病院があったという現実を報道しました。

 

 そこへ、自分も3年前に病院を「たらい回し」にされていたという 奈良県の主婦が紹介され、まだ未受診のまま妊娠2ヶ月で体調不良で救急車を呼んだが、京都も断られて呼ばれて30分以上救急車で待たされ、知り合いの開業産科医に運ばれたが、流産に終わったということでした。

 

 このあとに現役の二人の産科医の本音トークみたいなコーナーがあって、「訴訟が多い」「リスクがあるお産を、あえて自分もリスクを引き受けられない」というリスク回避のを強調するような形でした。

 

 本田宏先生が、出てこられて、待ってました…とおもったら、「ハイリスク出産のために周産期母子医療センターを作ろうと国は努力しているようです」とわずかこの間、30秒?だけ取り上げてくれましたが、画面はそのままシステムの説明にうつり二度と本田先生は画面に現れず、すぐにCMになってしまいました。

 

 そのあと京都の舞鶴医療センターの分娩室が、荷物置き場になっている様子を映し出していました。拠点病院なのに産科医不足で機能できていない状況を映しだしていました。

 

 さらに大淀町立病院の高崎さんの義父さんが登場されて「これで医療が良くなってくれなければ、美香ちゃんの死が無駄になる。こんな馬鹿げたことはこれきりにしてくれよ」というコメントに「教訓が生かされないまま、続くたらい回し、早急な対応が必要だ」と、ナレーションをかぶせる形でレポートは終わりました。

 

 スタジオで、全国で山形、岐阜、奈良、宮崎、佐賀、鹿児島県では周産期母子医療センターが、未整備とのことでしたが、拠点となる277病院のうち10の施設で実質的に稼動していないと追加で報告がなされました。

 

 ゲストコメンテーターは、甥っ子さんが産科医になったという竹中元大臣は…厚生労働省が医師の数を制限してきた「厚生労働省の責任」といっていました。自由化が遅れている分野で、厚生労働省のガバナンスがなっていないといってました。

  もう一人のコメンテーターの医療と法律研究協会副会長の河上和雄(元検察官・弁護士)も「医師不足」だと強調してくれましたが・・・さらにこれから弁護士が増えるので、どんどん訴訟が増える可能性をつけくわえていました。

 今回の番組報道の姿勢は「たらい回し」という言葉で埋め尽くされた感じでした。お二人の「厚生労働省が悪い!」というコメントに少し救われた感じがします。

 結局、医師の過酷な労働状況の様子など、軽く扱われていまして、その改善策までは提言できていません。国に頼るのはいいけど、事前に受診しようよ・・・という啓蒙くらいはやって欲しかったなぁ。

 まぁ、こんな番組でもお金をスポンサーが喜ぶだけの視聴率が取れるようにはしょって作っても許されるんでしょうが・・・。以下はまったくといいくらい触れられていない項目。

 

 当日の奈良県立医大の産科医の状態

 慢性的な産科医の過重労働、

 減少続きの産科医の減少の実態

 患者さんの未受診の件

 

 これらは、大切なキーワードです。僕らは奈良県に勤めている先生がたの士気がこれ以上下がらないように、どうしたらいいのか?もう少し、マスコミの方も「深く」掘り下げるべきですね。本音トークや本田先生のコメントを都合のいいところだけちょん切って番組を作るような姿勢だと、もう誰も協力しませんよ(出たがりのバラエティ専属医師は除きます)。

 

 さて、コメントに「T洲会病院に助けられたので攻撃しないで欲しい」。とありました。

 

 しかし、知人の現役の産科医の先生の証言によれば、神奈川県の有名なT洲会系の病院では「患者さんを断らない」ため、産科医やスタッフが間に合ってないのに、次々と引き受けた妊婦さんが病院にやって来て、ひどいとストレッチャーの上で放置されるような状況だったそうです(まぁ、たらい回しは回避されますが、それもどうなんでしょうかねぇ)。

 

 まさにギリギリなんですけどね・・・とてもそんな状況で安全なお産は出来ないからとその先生は「もう二度とお断り」ということで一度っきりのお勤めだったそうです(名誉のために、これは昔のお話ということは付け加えておきますね)。

 

  まぁ、個人的には「徳洲会病院」を全面否定する気はありません、ただし自分は現場のことを知らぬ院長先生の下で働くことには否定的です(キャノンの会長が派遣労働者の生活についてほとんど無頓着なのと同じで、正社員なみの技術者を彼の会社では、使い捨てにしているので自分は嫌いなだけです)。

 がんばった人には当然、休む時間も給与も与えられてしかるべきではありませんか?腕がいい医師が、睡眠不足で事故を起こしてもいいですか?

 

 家庭や自分の生活を犠牲にして働かされる医師にとっては、ストレスがかかり、ギリギリの状況では患者さんの安全が確保されるとは限りません。確かに患者さんにとって、何でも引き受けてくれるのはいいことだと思います。ただし、その混乱の中で、何かあってからでは遅いと思いますよ…ということです。

 

 24時間いつでも・・・という言葉はきちんとした労務管理の上にあるべきで、病院の医師や助産師、看護師の負担の上に「美辞麗句」はある場合、「何が何でもとれ!」という上層部のプレッシャーは場合によっては早めの燃え尽きを招きかねないと思っています。

ぽち 

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