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[受難と萎縮?]二つの新聞コラムを読む [医療]

たまたま、医療に関するコラムや論説が掲載されていました。もちろん、新聞社によって、温度差があるのは仕方ないのですが、後半のコラムニストさんの意見は???でした。まずは比較的まともに論説を展開している東京新聞さんからです。

【私説・論説室から】お医者さんたちの受難

東京新聞 2007年7月25日

 病院内での暴力や暴言、恫喝(どうかつ)など「院内暴力」をよく耳にするようになった。

 加害者が患者や家族、面会人の場合と病院職員の場合とがあるが、最近増えてきたのは前者という。筆者が入院・手術を受けたことのある東京医科大学病院はその一つ。具体例を紹介すると-。

 最も多いのが外来患者からの暴力で、長い待ち時間にいらいらし、やっと順番が回ってきたとき「お待たせしました」と詫(わ)びなかった医師に腹を立て足蹴(げ)りした。

 糖尿病で通院中の患者が食事療法に取り組まないので医師が「このままでは失明しますよ」と忠告したところ「失明したら(医師の)目をくりぬく」と言って脅した。

 診察が順番通りではないとして大声を出して他の診察を妨害したり、ナイフを振り回す患者や「夫はマスコミ関係者だ。これからそちらへ行くのでタクシー代を払い、すぐに診察しろ」と電話で無理難題を吹っかける患者も。身の危険を感じ、一人で診察できなくなった女医もいる。

 「自分流の理屈をまくし立て、金銭や謝罪を要求するケースが増えている」と病院。直接の暴力など悪質なケースは月数件、暴力に至らない苦情まで含めると二百件近い。

 病院が迷惑行為や診療妨害に対して、転院勧告、場合によっては警察へ通報することを決めたのは当然だろう。

 米国での診療経験が長いコラムニストの李啓充医師は「米国では患者の権利を保障する代わりに患者の義務も求めている」と指摘する。

 患者の視点を離れ医療従事者の視点に立つと、世間ではあまり知られていない生々しい「院内暴力」の実態が見えてくる。  (日比野守男)

【コラム断 評論家・井口優子】地方の医師不足のために…

産経新聞 2007/07/25 朝刊

 先日郷里の長野に帰省したさい、信濃毎日新聞(7月19日付)で、参院選長野県選挙区立候補者4人に、県内の医師不足対策を尋ねる記事が掲載されていた。「二〇〇四年度の新臨床研修制度導入以降、研修医が大都市圏に集中し、医師不足が深刻化。長野赤十字病院(長野市)が分院に当たる上山田病院(千曲市)を来年三月で閉鎖する方針を決めるなど、影響は病院の存続にまで及んでいる」という。
 長野市では、長野赤十字病院が長らく総合病院のキングである。たまたまある検査をする必要性に迫られ、それなら東京ではなく、ここの患者になってみることにした。東京と地方の医療格差がよくいわれるが、どんな格差があるのか、常々興味をもっていたからだ。
 私自身は「患者の自己決定」という考え方にアメリカでなじんでいた。ことに治療の選択肢があるとき、医師はプロとして情報を提供し一緒に考えるが、最終的には患者本人が決め、その結果に責任を持つ。それゆえ、こう言ったなら医師に嫌われると恐れたことはなかった。東京でも同じ考え方を持つ医師を探すことができた。
 ところが、長野赤十字病院では、地域では他の病院の選択肢はないのだからここで嫌われたくないという患者心理が私ですら生じて、聞きたいことを聞けなかった。
 最近、がんがみつかった友人はセカンドオピニオンをとることも躊躇(ちゅうちょ)した。病院側では患者の権利として、「当院ではセカンドオピニオンを推奨しています」との方針を明示しているのにである。 
 地方の医師不足は「選択肢」についての医療格差を広げ、それは患者を萎縮(いしゅく)させることを身をもって体験したのだった。(評論家・井口優子)
(2007/07/25 08:36)
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 要は、地方の医師不足について、悪条件を受け入れたくないのだが、その原因についてはまったく考えもしない。いわば、アメリカや東京なら当たり前だったのが、長野なら受けられないという不幸を呪うのみで、ひたすら受身なだけ。こんな文章を平気で載せる産経新聞は、中国の不祥事などについては熱く報道しますが、医療については取材能力が低いですな。
ぽち→ 

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