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[後発品推薦は国民のため?] [薬事行政]

「後発薬2倍に」政府方針…製薬業界に波紋

「新薬市場1兆円近く縮小」も…企業再編後押しか

読売新聞2007/07/08 

 政府が、新薬と有効成分は同じだが価格が安い後発(ジェネリック)医薬品の医療用での使用量を、2012年度までに現在の2倍程度にする目標を打ち出した。国の医療費負担を軽くする狙いだが、実現すれば、新薬市場が1兆円近い規模で縮小するとの試算もあり、製薬業界に波紋を広げている。業界再編につながる可能性も指摘されている。(松原知基、幸内康)

■半値以下も

 大手後発薬メーカーのテレビCMが増えている。沢井製薬は俳優の高橋英樹さん、東和薬品は黒柳徹子さんと、ともに著名人を起用し、大手に劣る知名度を高める作戦だ。

 後発薬はその名の通り、新薬の有効成分の特許期間が切れた後に発売される。新薬が通常、十数年程度の時間と数百億円程度の費用をかけて開発されるのに対し、公開された特許情報を利用できる後発薬は、開発時間が短い上に開発費が数千万円程度で済み、価格を抑えられるのが強みだ。

 特許切れ直後に発売されるもので価格は新薬の7割程度。その後の薬価改定で、さらに下がることが多い。2002年10月に特許切れとなった第一三共の高脂血症治療薬「メバロチン」は標準的な処方(5ミリ・グラム錠を2回服用)で一日137・8円かかるが、後発薬は94・4~42・8円程度だ。

■欧米並みに

 政府が6月にまとめた「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)」には、医療用医薬品に占める後発薬の割合(数量ベース)を2004年度の16・8%から、12年度までに30%以上に引き上げる目標が盛り込まれた。後発薬が出ている薬は、半分程度を後発薬に置き換える計画だ。これにより、薬剤費の3割(サラリーマンの場合)を負担する患者や、国や健康保険組合の負担を軽減する。

 医療用薬剤費約6・9兆円(04年度)に占める後発薬のシェア(市場占有率)は、業界推計で約5%、3000~4000億円程度とみられている。政府目標が実現すれば、「単純計算で後発薬市場が倍になる一方、新薬市場は7000~8000億円縮小する」(大和総研の水野要シニアアナリスト)と見込まれる。

■市場退出も

 ある中堅新薬メーカーの幹部は、「革新的な新薬を作るか、後発薬を扱うか、それとも市場から退出するか、選択を迫られている」と危機感を募らせる。

 医薬品業界は、年間売上高5000億円を超える4強(武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬、エーザイ)と中堅以下の業績の差が鮮明になってきている。水野氏は、「後発薬市場の拡大が、海外市場や有望な新薬候補などを持たない企業の再編を後押しする可能性がある」と見る。

 一方で、追い風が吹く後発薬メーカーは、沢井製薬が連結売上高を07年3月期の343億円から「数年後には1000億円にする」目標を掲げている。東和薬品も今期の設備投資額を前期比2倍の25億円に増やし、増産体制を整えるなど、業容拡大を急いでいる。

■M&Aも

 成長が見込まれる後発薬メーカー自身、M&A(企業の合併・買収)の標的となる可能性もある。

 4月にはインド製薬大手のザイダスグループが、後発薬メーカーの一角である日本ユニバーサル薬品を買収した。世界最大手の後発薬メーカー、テバファーマスーティカル(イスラエル)など海外の後発薬大手はM&Aを重ねて成長しており、外資がいつ、日本メーカーに狙いをつけてもおかしくない。

 新薬メーカーでも、10月に誕生する田辺三菱製薬は08年度に後発薬子会社を設立する。インドの後発薬大手のランバクシーと提携関係にある日本ケミファも製品数を増やし、後発薬の売上高に占める割合を5割から7割にする計画だ。

 医療用医薬品 医師が患者を診断したうえ処方し、薬剤師が調剤する薬品のこと。消費者が自分の判断で薬局で購入する「一般用医薬品」と異なり、健康保険などの対象となる。

2007年7月9日  読売新聞)
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 マスコミは、ジェネリックを持てはやす向きもあるようですが、実際にこの動きは単純に、保険財政だけの問題ではなく、イノベーションジャパンなどと言いつつ、先発品を開発できないメーカーには都合よく退場を迫るという構図です。
 ジェネリックについては自分はあまり使用経験がありませんので、ここに30年以上に渡って診療をされてきた開業医の先生をご紹介します。
今もなお後発薬品を使う気持になれない理由
 これを拝読して、なるほどと思いました。実際に後発品のメーカーは有効成分以外に、添付剤が異なったり、やはり先発品に比べると切れ味が違うなど、同じとはいえない効果を示すものがあります。
 今後、厚生労働省と財務省によって、製薬企業は厳しい競争に巻き込まれることになります。そして2010年ごろに次々と大型商品の特許切れとなると、ますます大変な競争になるかと思います。
厚労省・武田課長 長期品依存の経営は数年で破たん 日刊薬業2007/06/12」
 といことです。要は薬価の引き下げによって、企業に市場から撤退をせまるのが政府の方針なのです。 この構図はちょうど15年ほど前に13もあた都銀が市場から撤退をされたのと、そして今また赤字病院が国の政策によって倒産あるいは療養型病床からも撤退迫られているのと同じなのです。
 そして、政府がやってきた薬価引き下げ政策によって、国内での製薬企業による新薬開発もあまり熱心ではありません。政策研ニュースNo.22によれば、 「増加する米国での日本オリジン開発品目数世界で臨床開発中の品目の約半数は米国を開発国に含んでいる。そこで、海外先行および国内・海外両方の開発品目を対象に、最大の新薬開発国である米国での日本オリジンの開発状況をみてみよう。図3に示したように、この10年間で米国での日本オリジンの開発品目数は約3倍に増加している。2006年には118品目に及んでおり、全世界で開発中の148品目(海外先行と国内・海外両方)の約8割を米国で開発していることになる」
 
図1.日本オリジンの開発品目数の推移
 
 
図3.米国における日本オリジン開発品目数の推移(開発段階別) 
 
 
 このような国内製薬産業の開発の流出は、国民の医療費を節約するためには仕方ないのでしょうか?ふりかえるとここ数年ずっと経済成長と違い、薬価を強制的に引き下げる政策で、新薬開発が促進されるのか?という疑問をここに呈しておきます。ぽち→ 

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