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[公立病院が売りに出される日]破綻した地方自治体 [医療]

 夕張市という北海道の元炭坑町がまた財政再建団体の指定を受けたようです。今週の週刊ダイヤモンドに実情が書いてありますが、去年とかもう銀行から借金の借り換えでしのいでたようです(財務省のやってることと同じか) 。

 

 アメリカのオレンジ郡が財テクで失敗して破産したのはだいぶ前でしたね(1994年)。あの時は遙か遠い出来事だったのですが、今後、夕張のように赤字のために地方自治体の「破産」というのは増えるでしょう。

↓アメリカでも金持ちが住む自治体が転落したワケなど。
http://www.japanpost.jp/pri/reserch/monthly/2001/150-h13.03/150-topics5.pdf

 昔の炭坑町で急速に過疎になっていると新しい産業も勃興が間に合わず、結局、赤字団体。しばらく夕張市は「国」に何をするにも相談して許可が下りないと何もできなくなります。 このような地方自治体の破綻は増えるでしょう。

 さて、今後何故増えるかというと…合併債の問題もありますが、その他の要因には病院の累積赤字も含まれるでしょう。各市町村が一ずつ持っていた病院。それが昨今の診療報酬引き下げ後の今、見事に赤字を産み続ける構造になっています。合併して複数の施設をかかえることになった財政基盤が脆弱(というか3割どころか1割自治)の自治体にとっては、赤字を垂れ流しつづけるやっかいな存在である以外、何者でもなく、地方公共団体への交付金を削減された場合、数年と持たないでしょう。

 公立病院のコストはとてつもなく高いです。人件費の占める割合は平均50%超え(たいがい50%後半か)、小児科や産科など採算性は低い科を抱え、医療訴訟のため保険費用もかさみ、CTやMRIなどの最新の設備投資も必ず10年おきに必要となるため、回収が間に合わぬ。

 そしてS50年代に鉄筋コンクリート造りであると施設の更新時期(戦後:木造バラック-->S30年前後:一部鉄骨-->S50年代に鉄筋コンクリート)にこれから入るため、耐震設備基準などで今の建物のままだとまた「補強工事」もお金がかかる。

 さらに、医師不足で充足率70%以下となると「診療報酬の減額」が待ってたりします。まぁ、そんなワケでこれから赤字が積み上がって病院の施設の統廃合、診療所化が促進されると思います。

 宮城県で開業している同級生が先日、電話で「地元の公立病院を買ってくれるとこないかな?医者がいなくなってもうどうしようもない…」
(だいたい医者一人あたり1億円の減収になるせいもありますが)って言っても、病院を買ってったら今、それからが大変なんですけど…汗。そこの町は10町村が合併したため、それこそ市立病院と名の付くのがいくつあるのか?オーバーストアならぬオーバーホスピタル(赤字を産むんだから合理化の対象w)。

 地方財政の面がら見て、経営効率化を図るために、今後、こういう施設を負の資産ということで丸ごと売 り買いが始まるまであと1年とみています(来年以後は大変かと)
詳しくは…

「未収金1億円]公立病院の経営を考える」をどぞ。
http://blog.m3.com/TL/20060625/_1_1


 ちなみに、何で来年かというと…病院って冬場儲かるんですよ(老人がいっぱい、インフルエンザがいっぱいで病院が満員になるの)。支払いがその3ヶ月後の4-5月。
 そのあと春から夏にかけては気候がいいからがら空き(赤字)、さらに6月と11月にボーナス支給-->経営悪化。借り入れ積み上がるんですよー>来年の夏以後、だんだん大変なことになるやもしれん…考えたくないですが汗。

 まぁ、国立病院も3月になると「予算がないので高い薬を使う検査できません」とか「4月まで器械を買うことができないので治療できない」という事があるように、案外お金というのは病院にとっても 「血液だったりするわけで…覚えておくといいかと思います。

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 上記までを書いたところ、知人よりコメントがあったのでちょっとだけ引用してみます。


 「来年ー3年後くらいには、医療法人、公立病院の「セーリングクライマックス」が起こるように思います。主役は金融マンでしょう。医師たちは、ただ呆然とみているだけでしょう。官僚が潰し、金融マンが、はげたかにする。ここ10年、行われてきた不良債権処理の定石が医療でも起こるということです。

 

 果たして金融機関と同じようなことが、実際におきるでしょうか?それはわかりません、ただ言えるのは、都市銀行がほんの15年くらい前は「13」あったのに、今はたったの「4つ」しかないこと、そして規制当局がそれまで自由化を拒んでいたのにアメリカの圧力に屈して円高を引き受け、内需拡大を約束したことにはじまります。

 

 バブル経済の始まりは、教科書的には、プラザ合意(円高政策+内需拡大のための利下げ)です。基本的な流れは、対米輸出の増加→貿易摩擦→プラザ合意→急激な円高→輸出不振による円高不況→技術革新と経営合理化による克服→ハイテク産業の輸出増大→平成景気のはじまり→バブルの発生)。このバブル経済が崩壊した時、行政当局は守るべきものを守らなかったという歴史しかありません。

かつてのBANCS加盟13都市銀行

 このうち、名前が残ったものは一つとしてなく、ほとんど生き残るために合併して各店舗の整理が行われたり、力無いものは拓銀のように地銀に買われていきました。

 消えたのは都市銀行だけではありません。長銀や日債銀はすでに破綻し名前もなくなり、他にも大手地銀、第二地銀で消えたもの…書き出したらキリがないようです。

合併によって消滅した第二地方銀行

合併によって存続する銀行の商号が当該合併の直前のものと異なる場合又は合併時点の商号と現在のものが異なる場合は括弧内に記載。

経営破綻によって消滅した第二地方銀行

 これらは旧大蔵省が「護送船団方式」をやめてバブルが収縮して、激変した業界の暗黒時代の記録でもあります。銀行員や会社員でなくってよかったな…て当時は思ったものですが、今のように業界を守るべき「医師会」がアテにならない状況では今後の先行きはとても心配でもあります。

 

 ここまで読んで頂いた方だけに…私立病院の場合、公的な資金援助も不可能であり、診療報酬の引き下げのため経営の先行きが困難とというより、絶望的になっています。ゼロ金利解除目前に徐々に利上げ基調であり、病院の収入減に加え、コスト削減がままならない現在、病院に銀行がお金を貸せなくなった時の倒産は「悲惨」かと。

 明日はそれについて、資料をまじえながら検討していきたいと思っています。


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