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「福島の患者さんを助ける唯一の方法・・・」 [医療行政]

 お仕事が連休明けで忙しく、今日は自分のも含めまったく見る余裕がありませんでした。また、普通に仕事中に気軽に書き込める環境ではありませんので、ご容赦を。

 そして、最初にお断りしておきますが、阿比留記者をはじめとして、マスコミ各社にお勤めの新聞記者の方々は自分の会社の報道の内容に自信とプライドを持つことは当たり前です。しかし、本当のジャーナリストの骨頂は「誤報」を流した時の対応です。
 その対応を例の沖縄の集会について「他社」にも呼びかけるくらいですから、当然、産経新聞さんも「誤報」については真摯な対応を希望しましたが、まともに「取り合われません」でしたね。元読者の一人として、早速電子版の契約をうちきりました。

 建設的な意見ということでしたので、すべて最初の人が呼んでもわかるように書いたのですが、説明不足でしたらすみません。ただいえるのは「搬送時間だけ問題」にしていると、受け入れる施設側のことが忘れてませんか?という指摘が基本にあります。
 これは旧日本軍が、ミャンマーで繰り広げたインパール作戦と同じく補給を無視して負けた悲惨な戦争でした。これを医療でも繰り返してはなりません。

 さて、今回の前にもう一度、あの8月の奈良県の妊婦さんの事件の時、産経新聞社は自分の社説で「妊婦たらい回し また義務忘れた医師たち」と非難しました。しかしこれは、「事実無根で」した。そして書いたであろう論説室にもさんざん苦情が入ったにもかかわらず、今回の報道もまたもや「たらい回し」ですか?

 「たらい回し」という言葉を安易に使う傾向が、このところマスコミさん多いにありますが、当日の様子を聞いて回ったのでしょうかね?まずそこを一つ。

 問い合わせた病院はたった4つです。当直医が対応できる状態じゃなくて、「拒否」は仕方ないのでは?また、重症患者さん用のベッドもなく、一般の病床で寝かせろってのもなし、どうしてかというと手術を受けたあと必ず重症用ベッドが必要ですので。戦地じゃありません。ここは日本です。

 そして、この患者さんが最後に運ばれたのは「脳外科医」がいない病院でした。それでそこから別の施設に移送はなし。これって「いいんですか?」。僕は最初から言っています。各都道府県と競っているのは救急隊の運ぶまでの時間の問題じゃないと思います。正しい施設への搬送の責務を負っています。

 たまに、間違えて「急性心筋梗塞」を嘔吐や嘔気で設備の整ってない老人病院に運んでこられる救急隊、います。また、「大動脈破裂」を腰痛や腹痛だと言って間違えて運んでも許します。

 でも、この患者さん、明らかに「交通外傷」で「脳にも外傷」があったんですよね。それを脳外科医のいない病院に運んじゃまずいと思いません?それは断った病院が悪い?いやそうじゃなくて、福島県は広いけど、郡山市までは高速で30分強なんですよ。

 もしも郡山市の脳外科医のいる病院にも連絡をとってだめなら?それこそ仙台でもよかったかもしれません。救急隊が運ぶべき先を「病院なら何でもいい」というのがそもそものミス。

 最近、こういう話を聞きました。神奈川や東京の妊婦さんを浜松で引き受けている。また逆に福島や静岡の妊婦さんを東京に運びたいと相談を受けている・・・そうです。救急搬送は一刻一秒を争いますが、お産も専門医がいない所に運んじゃだめなんです。

 そもそも根幹にかかわることなので、最悪「大学病院」だったのではないでしょうか?どうしてか?それは教室員が呼べば、助けられたかもしれない。他の小さい病院はベッド以前に医者が足りません。

 最終的にはなくなったかもしれませんが、救急の運ぶ時間を問題にしているあたり、本当に「重症患者さんの搬送」を受け持つ救命センンターの状態についてちゃんと調べて、しかるべき人(役人じゃなくて、現場の医師の担当者)の声を入れた取材であるべきだと思います。

 違います?それとも、皮膚科医や内科医に「脳外科」の患者さんを診たらいい?>それこそ「根性があればB29を竹槍で落とせる」という時代錯誤的な「根性論」。これで戦争に負けたのです、そろそろ捨てるべきで、現実を直視しましょう。

 医学が高度になった今、本当に助けたいのなら「高度医療」を受けさせるところに患者さんを運ぶ。それが出来ていないので、今回の事件は、医療体制をきちんと整えなかった「行政」と「病院」、それに治療が出来ない病院に運んじゃった「救急隊」にそれぞれ複合的に重なって生じたと思いますが・・・
 ↓これが福島県の人口と広がりです。案外こうしてみると、福島と郡山は近いことがわかりますね。

 今後、福島県は人口200万人にふさわしい医療体制をとる・・・つまり救急施設に医師を集めるしかないでしょう。福島市に一つ、いわき市と郡山市にも一つづつ。それでおしまいです。
 三次救急をしない病院に「脳外科医」をちらばらせてしまうと、セーフティネットから零れ落ちます。カナダやアメリカの場合は州に一つか二つの大きな病院のある街以外は、大きな手術はすべて搬送です。

 今の医師不足に加えて、看護師不足・・・どうやっても「各個撃破」されないためには集団で戦うしかないのです。そういう意味で戦略ができてなかったと思います。そして、それのきっかけになると思います。
↓ちなみにこれが福島県立医科大学の脳外科(ちょっと少ない)
http://www.fmu.ac.jp/home/ns/faculty-J.html

以下、たらいまわしの文字が続く・・・各社の報道
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http://www.kahoku.co.jp/news/2007/11/20071115t63035.htm
4病院たらい回し 事故で救急搬送の女性死亡 福島
 福島市仁井田の県道で11日に無職女性(79)が乗用車にはねられた事故で、女性を収容した救急車が福島市内の4病院で8回にわたり救急搬送の受け入れを拒否されていたことが14日、分かった。同市内では通常、15分程度で搬送できるが、今回はほぼ1時間を要し、女性は事故から約6時間後に死亡した。

 福島市消防本部によると、通報を受けた福島消防署の救急車は、事故発生から約7分後の午後8時23分に現場に到着した。全身を打って意識もうろうの状態の女性を見た救急隊員は、設備が整っている病院への搬送が必要と判断。同8時半、福島県立医大病院に受け入れを要請したが、11ある救急患者用のベッドがふさがっていると断られた。

 その後、大原医療センター、福島赤十字病院、あづま脳神経外科病院にも順次、要請。計8回受け入れを求めたが、いずれも「空きベッドがない」「医師が手を離せない」「受け入れても十分な治療ができない」などの理由で拒否された。

 救急車はこの間、病院間を移動。ようやく午後9時25分、市内の福島第一病院に女性を搬送した。市消防本部は「スムーズに搬送できていれば女性が助かったかどうかは分からない」と話している。

 県立医大病院は来年1月、救急救命センターを開設し、救急患者の受け入れ体制を拡充する予定。同病院は「同じ悲劇が二度と起こらないようにしたい」と話している。
2007年11月14日水曜日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071114/crm0711142242037-n1.htm
4病院たらい回し、事故被害女性が死亡
2007.11.14 22:42

このニュースのトピックス:不祥事
 福島市で道路を横断しようとして乗用車にはねられた女性が救急搬送される際、4つの病院に計8回受け入れを断られていたことが14日、分かった。女性は事故から約1時間後に、9回目に依頼した福島市内の病院に搬送され、約6時間後に脳挫傷で死亡。病院は、治療の遅れと死亡の因果関係について「答えられない」としている。

 女性は福島市仁井田の無職、菊田ミツ子さん(79)。福島市消防本部によると、11日午後8時16分ごろ、119番通報があり、約7分後に救急隊が到着した。

 菊田さんは全身を強く打ち、はっきりとした受け答えができない状態。同本部は脳神経外科などの設備がそろう福島県立医科大付属病院に計3回、市内の総合病院3つにも計5回連絡したが、いずれも「処置できる体制にない」などの理由で断られ、同日午後9時25分、市内の脳神経外科のない別の病院に運び込んだ。

 市消防本部によると、昨年救急搬送した約8200件のうち、94%は最初の問い合わせで受け入れ先が決まり、病院到着までの時間は平均で10~15分。「日曜夜間という病院の当直体制の時間帯で、けがも重く受け入れ先がなかなか決まらなかった。異例だと思う」としている。

http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2007/11/20071120t63020.htm
「まず受け入れ」確認 福島の急患たらい回し問題
 福島市で11日夜に交通事故に遭った女性が市内の4病院から1時間にわたり受け入れを断られ、6時間後に死亡した問題を受け、市内の救急指定病院や市消防本部などでつくる市救急医療病院群輪番制運営協議会が19日、緊急会議を開き、再発防止策を話し合った。

 協議の結果、各病院は今後、態勢が十分でなくても患者を受け入れ、症状を見た上で他病院への搬送などその後の対応を検討することを確認した。

 会議には、市内10カ所の救急指定病院と、指定病院ではないものの設備が整う福島県立医大病院の担当者が出席した。

 死亡した女性のケースは、救急隊が総合的治療が必要と判断して県立医大病院に受け入れを要請したが、集中治療室が満床だと断られた。脳神経外科の当番病院など3病院にも断られ、5カ所目でようやく受け入れられた。
2007年11月19日月曜日


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中国で働く日本人医師と国内で不足する医療サービス [医療行政]

 そういえば、来年は北京オリンピックでしたね。自分の知人や友人も今、中国に居るので、行きたいなぁ・・・って思ってましたが、やはり医療については「まだこれから」という話で、救急車を呼ぶにも、点滴治療を受けるのもお金がかかるというので、大変という話でした。 いずれにせよ、海外で働く日本人が増えると同時に、日本人医師が海外で活躍する場面が増えると思います。それにしても、これも一種の人材流出かもしれません。多様性という意味では、日本の医療現場に外国人医療スタッフがいてもいいと思いますし、今週号の週刊文春に「ジーコ監督の脳梗塞で、頼れる人が居なくて、フランスの知人に電話して、さらに京都、そして千葉へと電話のリレーがあって、病院に運ばれるのに1時間以上かかった」という記事がありました。 日本で働く外国人のためにも、もう少しまともな医療サービスを提供させるのは必要ですね。もちろん、利用者からお金を取る必要がありますが。その意味でも、外国人向けサービスなどが完備されていない地方都市でも通訳や看護師など本当に必要なんですから。 ちなみに国内で働く外国人労働者は80万人近くになるようです。外国人労働者数の推移 外国人向けの医療サービス、これからかもしれませんね。ぽち→ 五輪も安心、北京に日本人医師・看護師常駐の診療所読売新聞 2007/11/21  北京五輪を前に、日本のビジネスマンや旅行者のために日本人医師や看護師が常駐する診療所「北京高瑞診所」が今月15日、中国・北京にオープンした。  東京・代々木に今年1月、在日中国人向けに設けられた「日中友好医院」の姉妹医院で、日中の女性医師2人の交流が実った。中国では病院や地域の医療格差が大きいほか、ニセ薬が出回るなどしており、院長の朴順子医師(56)は、「日本人が安心できる医療を提供することで、中国の医療界も変わるきっかけにしたい」と話している。  診療所ができたのは、日系企業や駐在員の自宅が集まる北京市の朝陽区光華路。診療科目は内科、外科、歯科、婦人科などで、乳がん検診のためのマンモグラフィーやカラーエコーなどの最新機器も導入された。  院長に就任する朴医師は、ハルビン医科大の卒業。東大医学部に留学中の1991年に中国政府の指示で、日本の厚生労働省にあたる中国衛生部の東京事務所(渋谷区)を開設した。  立ち遅れていた医療改革を日本から支援するのが目的で、NPO法人「日中医学交流センター」に改編された後も事務局長を務め、中古の医療機器を中国の貧困地帯に送るなどの活動を続けてきた。  活動の中で、目についたのが日本語の話せない在日中国人の存在だ。番号案内を頼りに電話してきて、中国語で症状を訴える人が後を絶たないが、朴医師は日本の医師免許を持たないため診察できない。「中国人のための病院があれば」と思うようになったという。  そんな時に出会ったのが、香川県丸亀市で麻田総合病院を経営する麻田ヒデミ医師(61)だった。2004年の国際女医会議で、共通の知人に引き合わされ、意気投合した。  2人の最初のプロジェクトは、中国人看護師の日本留学。麻田医師は、日本の政府開発援助(ODA)で作られ、北京五輪期間中の日本人向け医療機関にも指定されている「中日友好医院」(北京市)から、これまでに計80人の研修生を受け入れた。中国人向けの医院開設も、麻田医師が出身校の東京女子医大から医師を派遣してもらう約束を取り付けたり、自分の病院から遠隔診療を行える体制を整えたりして、支援している。  今回、北京に開設された診療所は医師、看護師とも日本人で、麻田さんの病院とも電子カルテを共有、日本からの遠隔診療も行えるようにした。  中国は医療水準は欧米並みとも言われるが、治療法や衛生管理などの水準は、地域や病院によってまちまちだ。薬理作用のない「ニセ薬」が投与され高額の医療費を請求されることもあり、北京の大病院で今年7月、韓国公使が点滴中に急死した際も「ニセ薬」の使用が取りざたされた。  四川省の小児科病院では昨年9月、病院の利益至上主義に反発した看護師長が辞職したことが地元メディアで大きく取り上げられるなど、医療への信頼も揺らいでいる。  朴医師は、「中国人の患者も受け入れていけば、中国医療の問題点が中国人にもわかってもらえるはず。この診療所が中国医療を変えるきっかけになれば」と話している。 外国人医師の活用を特区提案/新潟県  地域の医師不足解消を目指して、新潟県はこのほど、日本への留学経験などがある外国人医師にへき地などでの医療行為を可能とする特区の創設や規制緩和の実施を求める提案書を内閣官房構造改革特区推進室に提出した。  現在、日本の医師免許を持たない外国人医師は、日本国内での医療行為を認められていない。一方、日本では、医療技術を学ぶ多くの外国人留学生や研修医を毎年受け入れている。新潟県でも、1983年に中国黒龍江省と協定を締結して以来、新潟大学やがんセンターで計94人の受け入れ実績がある。 これを受けて、新潟県は「留学経験などのある医師は、日本の医療環境にも適応でき、へき地医療拠点病院など地域医療を担う医師としての活躍が期待できる」として、外国人医師の医療行為を可能とする特区の創設、もしくは全国一律の規制緩和を提案した。  提案の実現には、医師法と出入国管理及び難民認定法の改正が必要となる。提案を受け付けた特区推進室は、今後、両法を所管する厚生労働省と法務省などと検討を進めていく。 更新:2007/11/22   キャリアブレイン
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研修医の半分が大学に戻らず・・・ [医療行政]

 うーん、予想していたのですが、やはり戻っていかないようです。研修病院で研修を一通りすませた人にとって、大学は魅力的じゃないようです。
 この数字は大学医局にとって、「いずれは戻ってくるだろう」という予想を打ち砕くものじゃなかったでしょうか?

 結局、大学医局にとってみると、帰局する人が減ってしまったということです。これは研修医が集まらない病院にとってもショックです。いずれにせよ、ますます大学間、病院間の格差は広がっていくでしょうね。ぽち

  なかのひと 



臨床研修修了者の「帰学率」は横ばい <全国医学部長病院長会議>
Japan Medicine Mail 2007/11/19
  全国医学部長病院長会議(会長=大橋俊夫・信州大医学部長)は16日、東京都内で記者会見し、臨床研修修了者の帰学率は52.0%(2007年4月時点)で、昨年の51.2%に続き、ほぼ横ばいで推移し、回復基調にないとの調査結果を明らかにした。
 調査は、80医科大学・医学部から臨床研修修了者の帰学状況について、新臨床研修が制度化される以前の02年、新臨床研修修了の第1期生が誕生した06年、07年の推移を調べた。

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[打開策?研修制度見直し] [医療行政]

医師不足で臨床研修見直しへ
NHK 2007/11/19

 臨床研修は、基本的な診療能力を幅広く身につけてもらうため、厚生労働省が3年前に始めた制度で、医師免許を取った医師に2年間、病院での研修を義務づけています。今の制度では、1年目に最も基本となる内科と外科、それに救急部門を研修し、2年目に入ってから産婦人科、小児科、精神科、それに地域医療を研修することになっています。
 ところが、産婦人科や小児科の研修を経験する前に内科などに志望を決めてしまう医師が多く、医師不足に拍車をかけていると指摘されています。このため厚生労働省は、臨床研修の制度を見直す方針を固め、産婦人科と小児科の研修を1年目から受けられるようにして早い時期から親しんでもらい、志望する医師を増やすことにしています。
 今後、一般から広く意見を募ったうえで指針を作り、再来年の4月から新たなプログラムで研修を始めたいとしています。医療の現場では、診療能力を高めるにはまず内科や外科から学ぶ必要があると長く考えられてきましたが、産婦人科と小児科の医師不足に歯止めがかからないことから、厚生労働省は制度の見直しを迫られることになりました。
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 結局、新しい研修制度が「こういう事態」を引き起こすとは、厚生労働省のお役人は誰も予想できなかった・・・ということですが。
 制度の見直しで、「産科医」や「小児科医」が急増するとも思えません。いや・・・むしろ研修医たちが「現状」を直視する羽目になってしまうのでしょうね。

 結局は、「小児科」や「産科医」を続けている勤務医の先生方にとっても、人手不足を補充するようになればいいのですが、研修医の指導にも時間をかけねばならずマイナス面もあり、負担になりかねないと想像してしまいます。

 いずれにせよ人数が少ない研修医を取り合いするよりも、「医師の人数を増やす」方法を考えない小手先の見直しをいくらやっても無駄なんじゃないか・・・と突っ込んでおきます。

 ちなみに、小児科や産婦人科だけでなく、最近は「内科」や「外科」も不足しています。みんなが開業を目指しているのではなく、以前に比べると「説明」や「カルテ入力」といった細かい仕事が増え続けているせいです。
 保険会社の持ってくる「診断書」とかもそうですが、細かい仕事で医師が疲弊しているのを考えると、マンパワーをどうにかするか、こうなると医師の仕事のうち、医師以外ができるものは看護師やほかのスタッフに委譲していくしかないと思っています。ぽち

  なかのひと 



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[政府の数字を鵜呑み]朝日も政府の犬か・・・ [医療行政]

 根本的に診療報酬で開業医が儲けまくっているイメージを広げているのは政府や与党側。開業医も別に怠けているとは思えない。むしろ都市部で「アンチエイジング」とか「美容形成」に精出している医師まで入れて、「開業医は儲けている」という間違ったイメージを演出しているのは論外です。

 診療を受ける患者さんを困らせるな…なんてのはいいけど、逆に救急医療を崩壊の淵においやっているのもまた患者サイドであります。おおよそ、この意見は現場の「声」を無視して、政府の大本営発表を入れてそのまま体裁よくまとめた感じです。

 開業医がもう少し救急をという意見よりも、医療費全体が増えない見通しで切込み過ぎて、もう地域医療や救急医療の崩壊のスピードどうにもならなくなっているのに、やれ開業医が儲けすぎって「政府の犬」みたいな発言最低ですな(毒)。全体の医療費の伸びの中で医師の給与はそれほど増えていません。むしろ「老人の増えていることによる自然増」をみれば、医師の給与が占める割合を責める意味などほとんどありません。

 きちんと日本医師会もいいましょう。海外の医者はもっと収入をとっているし、きちんと休んでいるってね。(参照:イギリス:家庭医の平均年収2600万円が議論となる
>(イギリスの)病院医師の平均年収は、2200 万円程度(公的保険部分)。但し、民間保険の患者に対する医療行為等で、大きな副収入を得る医師も多い。

↓これを読むと、明らかに政府の意見丸呑み・・・単なる政府の広報にすぎません>朝日も。

新聞報道 開業医黒字、月228万円 のトリック
1)開業医の給与額ではない
 個人立診療所という事業所の黒字ですから、開業医という個人の給与だけでなく、土地や建物などのイニシャルコスト(借金)の返済額、建物・設備の改善や修理に備えるための内部資金など数十万円分の金額も、その中に含まれています。従って、単純に、勤務医の給与とは比較できません。

2)「一般的な診療所」の黒字は、100万~150万円の間(グラフ1
 実際のデータの分布の仕方をみると、100万~150万円の間が一番多く、そこを頂点とした山型の分布をしています。少数の高額の施設が、全体の平均値を引き上げています。

3)平成元年からの経過を見ると、大きく減少したまま(グラフ2
 平成11年から収入は減り続けており、それ以上に、費用を切りつめることで、黒字を保っています。
4)働いた日が1日、前回より多い
今回(平成17年6月)は、前回(平成15年6月)より、曜日の関係で、診療日が1日多いので、その分を割り引く必要があります。


ぽち

  なかのひと 


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診療報酬―患者を困らせないように

 診療報酬の議論が本格化している。そう聞かされても、自分には関係ない、と思う人がほとんどではないか。 

 しかし、どんな医療を受けられるかは、診療報酬の決め方で大きく変わる。だれもがいつ病気になるか分からない。本当は無関心ではいられないはずだ。 

 診療報酬は、健康保険から病院や診療所に支払われる治療や薬の価格だ。どんな病院でどのような治療をすれば、いくら払うか、というようなことを決める。開業医より病院に手厚くすることもできるし、産科や小児科の取り分を他科より多くすることもできる。 

 この診療報酬をうまく使えば、患者にとって、もっと便利で安心できる仕組みをつくることができるのだ。 

 診療報酬の議論の場は、中央社会保険医療協議会(中医協)だ。政府はこの議論をにらみながら年末の予算編成で医療費の総額を決定する。その後、中医協は具体的な医療費の配分を決める。 

 まずは、病院の勤務医を少しでも増やし、過酷な勤務を軽くすることを求めたい。いまのような病院の状態では患者も不安だからだ。病院への報酬をもっと手厚くし、病院の内容ごとにきめ細かく配分する必要がある。 

 医師不足は産科や小児科などで目立つ。特に産科は医師数も減っており、お産ができない地域すら出てきている。 

 地方の中核病院の医師不足も深刻だ。東京の周辺でも、忙しすぎる勤務に耐えかねた医師が辞め、内科や外科が閉鎖されている。 

 患者の生き死ににかかわる病院は診療報酬を高くし、医師をたくさん雇えるようにしたい。そうすれば、きちんと交代制で働き、休みもとれる。当直明けの医師がそのまま夕方まで患者を診るようなこともなくせる。 

 そのためには、開業医の取り分を病院に回す荒療治が避けられない。たとえば、開業医の初診料や再診料を引き下げることが考えられる。 

 日本医師会は強く反発している。しかし、厚生労働省の調査によると、開業医の年収は約2500万円で、勤務医の約1400万円を大きく上回る。勤務医から開業医への転身が増えているのも、収入が高く、仕事が楽だからだろう。 

 一方で、休日や夜間も診てくれる身近な開業医の報酬を増やすことも忘れてはならない。自宅で最期を迎えたいというお年寄りが増えており、医師が24時間体制で往診し、緩和ケアをすることがますます必要になっているからだ。 

 小泉政権の5年間、診療報酬の伸びはマイナスやゼロが続いた。そして医師不足など病院の疲弊が目立ってきた。 

 財務省は引き続きマイナスを求めていく方針だ。しかし、深刻な医療の状況を考えれば、「初めに引き下げありき」でいいのかどうか。本当に必要な医療には資金を手当てし、患者をこれ以上困らせないようにしてほしい。 
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[表裏一体:診療報酬ゼロと患者置き去り]根っこは同じ [医療行政]

 「食品偽装」と同じです。問題の原因をたたないから、「この手の問題」はなくなりません。この報道を読んでも「病院が悪い」とばかりは言えません。むしろ、退院については「患者さんの病状が安定」していれば、退院もやむを得ません。
 また、病院側の説明にあるように、患者さんにもまったく問題がなかっとも思えません。ある程度、入院を続けるためには、共同生活を強いられるのは仕方ないかと思っています。

 さらに経済的に困難であれば、患者さんは「公的」な支援などが必要になります、その仕組みをきちんと整備されていないため、今回の事件が繰り返されたとも言えます。医療を効率化をあげよと言う民間の経済団体は、きっとこの点をまったく無視しています。

 これまで槍玉にあがってきた「社会的入院」で医療費が上がっているとか攻撃してきて、病気が良くなった患者さんを病院かr追い出せば「マスコミから攻撃される」ではねぇ。どうしたらいいんでしょうかね?逆に、マスコミや政府の偉い人に来てみたいけど、病院の在院日数をアメリカ並みの平均10日以下で、効率化を図れば、こういう患者さんの行き場はどうなると思っているのでしょうか?ぽち

  なかのひと 


診療報酬「ゼロ改定」見通しが強まる

産経MSN 2007.11.18 19:16

 平成20年度の診療報酬改定率をめぐり政府・与党内で「ゼロ改定」との見方が急速に広まっている。財務省が求めている2200億円の社会保障費抑制の代替案としてあてにしていた、政府管掌健康保険(政管健保)の国の補助金を健康保険組合に肩代わりさせる案に見通しが立たず、診療報酬を下げるぐらいしか選択肢がなくなりつつあるためだ。危機感を強める医療関係団体は巻き返しを狙っており、年末決着に向けた攻防は激しさを増しつつある。

 「われわれの調査ではみな減収減益。なぜこういう分析をするのか理解に苦しむ」。14日の厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会中医協)で、日本医師会の中川俊男常任理事は黒字続きの開業医の厚遇ぶりを指摘した健康保険組合連合会健保連)の配布資料にかみついた。医師会がこうした資料に過敏に反応する背景には、政府・与党内で医師の技術料である診療報酬本体部分は「ゼロ改定」との見方が広がりつつあることへの焦りがある。

 診療報酬改定は小泉構造改革のもとで平成14、16、18年度と過去3回マイナス改定が続いた。この間、地域医療の疲弊や産科・小児科医不足が社会問題化したこともあり、与党や厚生労働省内では当初、「これ以上の引き下げは医療現場の混乱が避けられない」と引き上げ意見が強かった。

 政府・与党内の風向きが変わってきたのは、診療報酬アップのために厚労省が提示した、政管健保の国庫負担2200億円を健保組合などに肩代わりさせる案が、負担増となる健保組合や大企業の猛反対で頓挫しかかっているためだ。

 「伸びを抑制しなければならない社会保障費2200億円のうち、1000億円は後発薬の普及など薬の関係で何とかなりそうだが、もう一方の大きな柱のめどが全く立っていない」。17日夜に都内で開かれた薬剤師団体の会合で講演した丹羽雄哉元厚相は、まだ社会保障費抑制策の半分ほどしか見通しが立っていないことを明らかにした。

 自民党内では肩代わり額を圧縮する妥協案を模索する動きも出てきているが、実現には健康保険法の改正が必要。民主党が「安易な財源の付け替えには断固反対する」との姿勢を示し、公明党も「このようなやり方は受け入れられない」(渡辺孝男厚労部会長)としており、妥協案ですら見通しは暗い。

 与党が高齢者医療費の負担増凍結を決めたことも影響している。凍結で今年度の補正予算案に1500億円超を新たに計上することになり、財務省は20年度予算案でこれ以上の社会保障費の伸びを認めない方針。「他に代替案がない以上、診療報酬を上げる環境ではなくなった」(自民党中堅議員)というわけだ。

 福田康夫首相が14日の経済財政諮問会議で「必要なところは充実させ、効率化できるところは大胆に削る」との方針を示したこともあり、「たとえ肩代わり案が実現しても、薬価の引き下げ分は医師不足対策などの懸案事項に充てられ、今回の診療報酬の本体部分はゼロ改定が精いっぱいだ」との見方も出始めている。

 こうした風向きの変化に危機感を募らせる医師会などは、自民党の厚生関係議員を中心に働きかけを強化しているが、どこまで功を奏するかは不透明だ。


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患者置き去りの病院、8月にも駅前で患者降ろす

産経新聞イザ 2007/11/18

 全盲の男性患者(63)を9月下旬に大阪市西成区の公園に置き去りにしていた新金岡豊川総合病院(堺市北区)の職員が8月下旬にも、糖尿病などで入院していた住所不定の男性患者(54)を行き先も決めないまま退院させ、車に乗せて大阪府岸和田市の南海岸和田駅前で降ろしていたことが18日、わかった。病院側は退院手続きの不備を認めたが、「男性が退院に合意し、希望する場所まで送り届けた。置き去りではない」としている。

 同病院によると、今回のケースでは9月の置き去りに関与した渉外係の男性職員(47)と医事課の男性職員(32)に加え、看護部長の女性看護師(52)の計3人が関与したという。

 男性患者は昨年10月、十二指腸炎などの治療のため大阪市内の病院から転院。糖尿病の持病もあったが病状は安定し、通院治療が可能だった。生活保護を受けており、入院費の未納はなかったが、転院を断る▽別の入院患者と金銭問題を起こす▽無断外出をする-などトラブルが絶えなかったという

 男性は8月23日午後2時から、本人が希望した奈良県の病院に転院する予定で、同日午前中は転院に同意していた。だが、午後になって転院を拒否。病院側ともめ、渉外係の男性職員らが行き先を決めずに男性を車に乗せて病院を出発した。

 男性は車内で「大阪市内の姉の家に行く」と言い出したため、午後6時すぎに南海岸和田駅前で降ろした。その後、男性は駅前の公衆電話から「全身に倦怠(けんたい)感がある」と119番通報して保護を求め、駆けつけた岸和田市消防本部の救急隊に「病院の職員に車で連れて来られ、降ろされた」と説明した。

 救急隊員は約1時間後、男性を岸和田市内の病院に搬送。男性は現在大阪市内で暮らし、通院治療を受けているという。

 病院側は同日、記者会見し、豊川泰樹薬局長が「本人から退院の了解は得たが、よく話し合わないまま車に乗せたのはまずかった。深くおわびします」と謝罪。「職員から報告があったのは、当日の夜か翌日の朝だった」と述べ、「病院として指示していない」と述べた。

■堺市、本人から事情聞かず

 新たな男性患者の連れ出しが発覚した堺市の新金岡豊川総合病院に対し、市が男性から事情を聴かず、同病院に対する調査だけで口頭注意をしていたことが18日、分かった。市は今後も男性本人からの聞き取り調査はしないという。

 堺市保健所に10月15日、同病院について「患者の強制退院をした」との情報提供があり、市が2日後に同病院から事情聴取。病院側は男性と退院をめぐるトラブルがあったことを認めたが、車に強引に乗せたとの疑いは否定した。市は同病院に対し「誤解を与えないように」と口頭注意。今後、再び同病院から事情を聴き、警察、消防署からも聞き取り調査を行う予定だが、男性については全盲患者と同様に「市は調査機関でもないので本人からは聴かない」と説明している。
 男性は今回の退院をめぐり11月7日、堺東署に相談に訪れたが、同署では事件性はないと判断している。

別の患者、強制的に退院 全盲患者放置、堺市の病院

 End of Headline 

asahi.com 2007年11月19日

 全盲の入院患者を公園に置き去りにした問題が発覚した堺市北区の新金岡豊川総合病院(豊川元邦院長)で、別の元入院患者の男性(54)についても今年8月、職員が行き先を決めないまま車で連れだし、大阪府岸和田市の駅前で降ろしていたことが分かった。男性は119番通報し、救急隊員に「職員に『自分で119番して』と言われた」と訴えたという。同病院は、退院は合意済みとして「車内で相談して駅前で降ろした」と主張し、119番するよう指示したことは否定している。 

 病院側の説明によると、男性は十二指腸炎などを患い昨年10月に別の病院から転院してきたが、入院の必要は無い状態だった。生活保護を受け、入院費の滞納はないが、大声でわめくなどトラブルが多かったという。 

 8月23日に別の病院に転院することで男性も承諾していたが、当日になって拒否。病院内で騒ぎだしたため、職員3人が車に乗せて出発した。車内で男性は「大阪市内の知人の家に行く」などと言ったため、南海岸和田駅前で降ろしたという。 

 豊川泰樹・院長室長は「退院した患者さんを希望する場所まで送っただけだが、行き先を決めずに出たのはまずかった。厄介払いと思われても仕方ない」と話した。 

 堺市保健所は10月15日に来所した人物から「男性が強制退院させられた」と経緯を知らされた。同17日に病院側から事情を聴いた上で「誤解を招かぬよう患者に配慮してほしい」と口頭で指導したが、男性からは事情を聴いていないという。 


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[混合診療と診療報酬改定] ところで国民の立場は? [医療行政]

Japan Medicine Mail 2007/11/16

■ 混合診療解禁を「最重要課題」に <規制改革会議「大臣は控訴断念を」>

政府の規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船会長)は15日、混合診療を受けた場合でも患者に公的保険給付を受ける権利があるとする判断を示した東京地裁判決を受け、「混合診療全面解禁」に向けた議論を再開した。同会議医療チームの松井道夫主査(松井証券社長)は同日の会見で、「国が控訴するかどうかが最大のポイント。控訴を断念すれば全面解禁が確定する。大臣には政治的に踏み込んだ判断をお願いしたい」と述べ、控訴の意向を示している舛添要一厚生労働相に方針転換を促した。国が控訴した場合は、同会議の最重要課題として来月の答申にも盛り込むという。

■ 財務省との議論平行線 <08年度改定でカトレア会>

自民党の医系議員で組織する「カトレア会」(会長=中山太郎衆院議員)は15日、財務省主計局が出席して議員会館内で開かれ、2008年度診療報酬改定などについて意見交換した。財務省は、5日の財政制度等審議会に提示した資料を用いて、08年度改定ではメリハリをつけながら、さらなる効率化を図る必要があると主張。これに対し出席議員からは「このままでは国民医療が崩壊する」といった危機感が示されるなど、議論は平行線に終わった。
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 ところで、証券会社の社長がなんで医療チームに?そして、混合診療をどうのこうの言うのだろう?そこまで積極的な理由をお聞かせ願えませんかね。
 まぁ、この規制改革会議とか、具体的には「民間企業の設けやすくする会」だからそこそこ仕方ないのかもしれない。しかし、株屋や金融関係は自分たちが商売にしようとしている医療をアメリカの医療関係の会社に売り飛ばすことになるかもしれないという危機感はないんだろうね。

 いや、逆にいうと、病院再生ファンドとか保険屋さんと仲良くなって、なるべく安く買い叩き、高く売るのだからいいのかな?

 あとは、国民医療について崩壊するといいながら、自民党の医系議員だけに説明をなさる主計局もなかなか・・・国民をなめているのかも。このまま、終わってしまうのでしょうかね。

 さてと・・・自分は「医療の明るい未来」をまだ描けません。医療費を民間保険が気前良く支払ってくださるのなら、文句は言いません。しかし、あれだけ「変額保険」とか怪しげな商売でたたかれ、昨今は保険金の未払い騒ぎや、アリコのような「広告偽装表示」とか見ていると、また加入者軽視が繰り返されるのではないでしょうか?ぽち

  なかのひと 


アリコに業務改善命令 誤った表示で契約2万6000件

 End of Headline 

Asahi.com 2007年11月16日20時49分

 金融庁は16日、新聞広告やパンフレットに誤った表示をして通信販売の医療保険を募集したとして、外資系生命保険のアリコジャパンに業務改善命令を出した。過去5年間にパンフが誤表示の状態で契約が成立し、虚偽または誤解の恐れがあったのは計2万6588件に上ったという。 

 不当表示が指摘されたのは、同社の全172商品のうち「新少しであんしん終身医療保険」など23商品。本来は保障対象にならない「加入前のけがの再発・悪化」を保障対象にしたり、数字のけたを間違って給付金額を表示したりしていた。 

 「元気によくばり保険」の新聞広告では、上皮内新生物と診断されれば一時金60万円が支払われると受け取れる表示があったが、実際には入院中に一定の手術を受けることが条件だった。 

 金融庁は、12月17日までに改善策と役職員の責任明確化などを明記した業務改善計画を出すよう命じた。また、生損保の全84社と業界団体にパンフの表示に問題がないか自主的に調べ、適切に表示するよう要請した。 



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医療小国にっぽん:看護師不足が深刻化 [医療行政]

訪問看護ステーションの休止相次ぐ 愛媛県内

愛媛新聞2007/11/11

 在宅医療を担う訪問看護ステーションの休止が、県内で相次いでいる。運営する母体病院自体が看護師確保に苦慮し、同ステーションに配置する看護師を確保できないことが主な要因。2006年4月の診療報酬改定で、手厚い看護体制を整えた病院は診療報酬が上乗せされるようになり、大病院を中心にした看護師の争奪戦が、同ステーション運営に大きく影響している実態が浮き彫りになった。 
 訪問看護ステーションは、看護師や保健師らが患者の自宅などを訪問し、主治医の指示書に基づき点滴や投薬などの医療行為にあたり、人工呼吸器の管理、リハビリや排せつの介助などの介護にも携わる。全国に5480カ所(06年10月現在)あり、患者や家族の在宅療養を支えている。 
 県長寿介護課などによると、県内の訪問看護ステーションは07年4月現在、97カ所あるが、うち17カ所が休止している。事業所数は介護保険制度がスタートした00年は72、03年91、06年97と増加。その一方、毎年2―3事業所が休止しているため、この数年、運営を続ける事業所数は横ばい状態が続いていた。特に今年は新たに5カ所が休止し、新規参入もなかったことから、運営を続ける事業所数が前年を大きく下回る事態に陥った。同課は「看護師不足が大きな要因」と分析している。

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 先輩の勤務している大きな市民病院のそばに新しい民間病院ができるらしく、やはり看護師の引抜があいついで、病院にとってダメージが大きいということでした。
 結局、ゼロから育てるのは難しいため、そういう手段をとるのでしょうけど・・・元々少ない医療従事者を取り合いしている構図はなんともなりませんかね。もちろん、職場復帰できるような仕組みも必要ですけど、根本的に「医療従事者」が世界的にみても少ないかはほとんど認識していませんよね>一般の人もまたマスコミも。
 「在宅で看取り」なんて耳障りがいいお言葉で…病院ではなく、自宅に患者さんを帰えして、看護師さんを派遣しようという制度には「行政」はまったく、準備不足ですね。ぽち 

山口義行の“コレが言いたい” より

第16回 日本の医療危機!深刻化する看護師不足

  なかのひと 

今、全国の病院で、看護師不足が深刻化している。看護師を確保できず、閉鎖に追い込まれる病院が増えれば、国民の健康が脅かされることになりかねない。今、看護師不足の解消に求められているものは何なのか。 

ますます深刻化する看護師不足

2006年10月、全国から5300人が集結し、医者・看護師を増やしてほしいと訴えた。「看護師が足りない」という病院が全国で増え、今、日本の医療現場は深刻な事態に陥っている。看護師は「4~5年経つと心から疲れ切ってしまう」「有給も取れない。週休も消化できない」。さらに、去年4月の診療報酬改定が、病院同士での看護師争奪戦を過熱させている。看護師の数を増やして、看護の質を高める狙いが予想外の動きを引き起こしたのである「コレが言いたい」の第16回は、日本の医療が直面しているこの問題に斬り込んでいきたいと思う。

入院基本料改定が拍車

昨年4月の診療報酬改定によって「入院患者7人に対して看護師1人」という 新基準が導入された。それは、一般病棟の場合、入院患者数と看護師数の割合が「7対1」という基準が満たされていれば、入院患者1人当たり1,555点(15,550円)が入院基本料として病院に支払われるが、この基準を満たしていないと入院基本料が減額されるという仕組みである。例えば「15対1」の場合、9,540円にしかならない。仮に「15対1」を満たせないとなると575円にしかならず、経営の悪化が余儀なくされる(図表1)。

(図表1)2006年4月に改定された入院基本料

区分 改定前(点) 改定後(点)
7対1   1,555
10対1 1,209 1,269
13対1 1,107 1,092
15対1 939 954
15超対1 842か783 (特別入院基本料)575

資料:厚生労働省

このように、看護師の数が多いほど病院が受け取る診療報酬が増加する仕組みが導入されたことで、看護師の囲い込みや争奪戦が起き、地方の中小病院から都会の大病院へ看護師が引抜かれるなどの現象が起きてきている。その結果、もともと経営が苦しかった地方の中小病院の収入がますます減少し、病院間格差がさらに拡大するという悪循環が始まっている。

もちろん、「7対1」入院基本料の新設によって看護師数が増えた病院では、「患者さんのケアにあたる時間が増えた」「新人の指導・サポートにあたる時間が増えた」「超過勤務が減少した」など新制度の導入を評価する声もある。しかし、他方では「看護師を募集したが足らなかった」「看護師を引き抜かれた」「病院の維持が困難になった」と窮状を訴える病院も少なくない。回答した病院もあった。

現在「7対1」を満たしている病院は13%程度しかない。そうした数少ない「恵まれた」病院でも、看護師たちは口々に現状の厳しさを語る。「新生児・未熟児センターで働いている看護師は、2交代なので12時間ぐらいの勤務なんですけど、さらに1日2~3時間の残業があります。休憩時間中も人によっては食事をしながら赤ちゃんを見なくてはいけない日もあります」「毎年100人くらい辞めて、100人くらい新しい看護師が入ってきます。早い人だと1~2ヶ月で辞めていく」。

潜在看護職員55万人

看護師の就業者数は、全体では過去5年で年平均3万人増え、病院勤務に限れば、年平均約1万人増えている(図表2)。その限りでは、看護師の供給は増加傾向にあると言えるが、他方需要の方はそれをはるかに上回る規模で拡大することが予測されている。「7対1」基準を満たそうとすると、図表3に示されているように、2007年4月には2006年10月と比べて、4万人の需要増2008年には7万人、2009年には8万人の需要増加が見込まれている。看護師不足が今後ますます深刻化することは容易に推測することが出来る。

(図表2)看護師・准看護師就業者数 最近の動向 日本図2 看護師・准看護師就業者数 最近の動向 日本

(図表3)病院における看護職員の需要予測図3 病院における看護職員の需要予測

ただし、看護師の資格を持っている人数が上記の需要と比較して圧倒的に不足しているのかというと実はそうではない。資格を持っているけれど、現在看護関係の仕事をしていない人、いわゆる「潜在看護職員」の数は約55万人にも上っている。この人々が看護師としての仕事に復帰してくれれば、供給不足も大いに緩和することになる。

しかし、現状ではそれが如何に困難であるかを現役の看護師たちは、次のように語っている。「一旦看護業務から離れた人達が復帰するのは医療レベルのブランクなどがあり、大変難しい」「もう一度、現場に入ってもどってこようと思うと、ブランクになっていた間の医療の進歩、看護の進歩がすごく、自分の目の前に立ちふさがる最大の壁になる。変化があまりにも大きすぎて、なかなか続かない。仮に復職してもなかなか続かない。復職した場合のつらさは、現場を離れていた期間の長さによっても違うでしょうが、なかなかスムーズには現場に溶け込んでいけないというのが実際ところです」。

もちろん、看護師の離職を防ぐことも、看護師不足への重要な対策となる。日本看護師協会によれば、病院に就職した新人看護師の1年目の離職率は9.3%。(図表4)その数は約4,500人に上る。それをどれだけ減らせるかが課題である。しかし、これもなかなか難しい。

(図表4)看護師の離職率図4 看護師の離職率)

かつて看護師は「9K」と言われた。きつい・汚い・危険の3Kに加えて「休暇が取れない」「規則が厳しい」「化粧がのらない」「薬に頼って生きている」「婚期が遅い」「給料が安い」の6K(※1992年新語・流行語大賞 銀賞)である。

 医療の現場を知る医師でもある桜井充参議院議員は言う。「労働条件が良くならないと、看護師は辞めていきます。給料も安すぎる。アメリカの看護師と比べると、半分以下だと思います。そういう点で言うと、もう少し給料を上げないと、看護師は増えないでしょう。辞める人たちがすごく多いのは、給料だけの問題ではなくて、自分たちが学校で勉強して、身に付けた技術以上のことを要求されていることもあります。医者の研修制度が始まりましたが、看護師にももう少しきちんとした研修制度が必要です。それから、正規の雇用となると、日勤から夜勤も全てこなさなければいけない。例えば、子育て中の人にしてみると、日勤だけやりたい、夜勤は子供がいるのでできない。しかし、皆同じ労働条件を求められてしまうので、勤務を続けるのが難しくなる。その辺りの労働条件も変えないと看護師は増えないでしょう」。

コレが言いたい!――医療小国を脱せよ!――

看護師不足問題を解決するためには、上記のように様々な改善策が講じられなければならない。そのためにも、多くの国民が認識する必要があるのは、「日本は医療小国なのだ」ということを正しく認識することである。それが、問題解決に向けた出発点である。

患者に対する医者・看護師数を見てみると、日本の医療レベルが実は先進国中で最低であることがわかる。図表4に明らかなように、100床あたりの医師数はアメリカが66.8人、ドイツでも37.6人であるのに対し、日本は13.7人でしかない。100床あたりの看護職員数ではアメリカでは233人、フランスでも91.1人であるのに対し、日本は54人である。

(図表5)患者に対する看護師数図5 患者に対する看護師数

医療費を比較してみても、日本は明らかに「医療小国」である。医療費の対GDP比は図表6に明らかなように、主要先進国中最低である。こんな状況で、規制によって看護師数を増やすように病院に強制しても、それが看護師の引き抜き合戦や病院間格差を引き起こしてしまうのも当然であろう。

(図表6)先進国のGDP比医療費図6 先進国のGDP比医療費

政府は財政問題を医療比支出の抑制で解決せんとして、近年日本の医療費の増加ぶりを懸命に宣伝している。しかし、上記のように日本はむしろ「医療小国」なのであって、むしろ医療分野への支出を増やし、それを呼び水にして医療産業をより成長させることこそが肝要なのである。それが、雇用や税収を増やすことにもなる。医療費のむやみな抑制は医療サ―ビスを低下させ、政府に対する国民の信頼を損なわせる。結果として、政府は国民に正当な負担を求めることができなくなり、財政赤字も拡大しかねない。適正な医療支出の規模を明示し、国民の合意を得ながら医療サ―ビスの向上を図っていくこと、それこそが政府に求められる責務である。看護師不足問題も、こうした解決方針のなかに明確に位置づけられながら、様々な施策が講じられていくべき問題である。

(2007/5/19 執筆)

上記は、2007年03月04日に放映された「こちら経済編集長」(BSジャパン)というTV番組の中の「編集長のコレが言いたい」というコーナーで、私自身が主張した見解を基礎にしている。しかし、その際の内容を訂正したり、それに新たな情報を付け加えたりした部分もあり、けっして番組での発言をそのまま文章化したものではないことを留意されたい。


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[空虚な政府]道路は続くよどこまでも・・・ [医療行政]

もはやこの国のお財布には「余裕」がありません。公立病院をリストラしたり、消費税を上げて、道路は作るそうです。
 そのかわり利用率の低い病院は「リストラ」です。仕方ありません、病院は建築の期間は土建屋さんを潤しますが、そのあとは自治体にとり、それほど旨みがありません。
 道路となれば、周辺にインターを増やしたり、長期のトンネル工事などで雇用も期待できます。もちろん、与党の政治家も道路は続く~よ、ど~こま~でも~♪ですね。地方自治体には「選択の余地」はなさそうです。国がこのように、決まったことは残念ですが、国民が無関心なうちにどんどん「崩壊」が続きます。

ぽち

  なかのひと 




道路財源「余るなんて机上の空論」 冬柴国交相

asahi.com 2007年11月12日

 冬柴国土交通相は11日、和歌山県田辺市で開かれた阪和自動車道開通式のあいさつで「(道路特定財源が)余れば一般財源(にする)というが、余るはずがない。地方へ行けば本当に道路が必要だと分かる」と述べた。政府は昨年末の閣議で「真に必要な道路整備」の歳出を上回る余剰分を一般財源化する方針を決めたが、道路財源を道路歳出に使い切る考えを示したものだ。 

 冬柴氏はその後、記者団に「道路整備や補修・管理の費用はどんどん増えている。余ってるなんていう机上の空論はやめてもらいたい」と強調。同席した自民党の二階俊博総務会長も「(冬柴)大臣の主張を全面的に支持する。道路をストップさせてやろうというようなことは絶対に承服できない」と同調した。 


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 低利用率ならば病床数削減…公立病院改革で総務省懇が指針

読売新聞 200/11/12

 地方自治体が設立した公立病院の経営改善策などを検討する総務省の「公立病院改革懇談会」(座長・長隆公認会計士)は12日、病床利用率が3年連続で70%未満の病院に対して病床数の削減や診療所への転換などを求めるガイドライン(指針)案をまとめた。

Click here to find out more! 過疎地の不採算病院などに対する抜本的な見直し策を自治体に求めるものだ。

 総務省によると、病床利用率が2006年度まで3年連続して70%未満の公立病院は全国968病院の約15%にあたる146病院となっている。経常赤字の病院数も、06年度は約4分の3近い721病院に達し、公立病院経営は悪化の傾向にある。

 指針案は、08年度中に各自治体が「改革プラン」を策定し、病床利用率や人件費比率の改善などを通じて、黒字化達成の道筋を示すことを求めている。

 都道府県は市町村と共同し、公立病院の統合やネットワーク化を進め、可能ならば、公立病院の民間譲渡も検討すべきだとしている。

 総務省は、指針案に対する自治体側の意見を聴取した後、同省の新たな財政支援策と合わせて、年内に各自治体に指針を通知することにしている。

市町村、赤字20%で「破綻」 財政基準で総務省

asahi.com 2007年11月12日15時31分

 総務省は自治体財政の改善を促すために導入する4指標のうち2指標の基準値を固めた。一般会計などに占める赤字割合を示す「実質赤字比率」では、早期健全化基準を自治体の地方債発行に許可を必要とする現行2.5~10%以上を基本に詰め、財政破綻(はたん)と認定する財政再生基準は都道府県5%以上、市町村20%以上とする方向だ。 

 自治体収入に占める借金返済額の割合を示す「実質公債費比率」は、現行制度で起債が制限される基準値に着目。早期健全化基準は単独事業の起債が制限される25%以上、財政再生基準は一般公共事業などの起債制限となる35%以上を基本に具体的な数値を詰める。 

 総務省は地方自治体財政健全化法に基づき、健全化計画の策定を求める「早期健全化基準」と「財政再生基準」の2段階で自治体財政を判断する4指標(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)の基準値を年末までに確定する予定だ。 

 実質赤字比率では、早期健全化基準は現行制度で地方債発行に許可が必要な「都道府県と政令指定都市、標準財政規模500億円以上の市は赤字額が標準財政規模の2.5%▽同50億円未満の市町村は10%」を踏まえ、2.5~10%以上を基本に具体的な数値を詰める。 

 財政再生基準は、自治体財政の破綻認定の基準値。基準値を超えれば、北海道夕張市が指定された現行の財政再建団体に代わる「財政再生団体」とされ、国の管理下で財政再建を求められる。現行法では破綻認定の基準値を「実質収支の赤字比率が都道府県5%以上、市町村20%以上」とし、財政再生基準もこの数値をそのまま使う方向だ。 

自治体病院の不良債務156億
 東奥日報 2007/09/29

県内市町村が運営する三十自治体病院の二〇〇六年度決算見込みで、支払い能力を超えた借金である「不良債務」(資金不足)の総額が前年度比15.0%増の百五十六億五千七百万円と過去最高になることが二十八日、県のまとめで分かった。県は、〇六年の診療報酬引き下げや医師不足による収益悪化が影響している-とみている。

 三十病院の総収益は八百七十億五千七百万円、総費用は九百二十億九千三百万円。入院収益、外来収益ともに前年度より減っており、それぞれの赤字の合計は総額五十三億五千四百万円、累積赤字は五百七十九億九千四百万円となった。

 不良債務(資金不足)がある病院は前年度より一カ所増え、十九病院。不良債務総額は、百五十六億五千七百万円と過去最悪となった。

 〇七年一月から救急車受け入れを中止した金木病院の不良債務が七億七千万円(不良債務比率56.9%)に上ったほか、八戸市民病院十五億四千百万円(同13.8%)、黒石病院が十二億三千百万円(同29.3%)、板柳中央病院は九億一千二百万円(同135.1%)などと、軒並み苦しい運営を強いられている。

 経営健全化を進めるむつ総合病院は約七億三千万円の黒字となり、不良債務比率が15ポイント圧縮し29.7%となった。


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ジェネリック薬はたった一つの救世主ではない・・・ [医療行政]

 安い薬は保険財政(医療費に)好ましいのは了解ですが、患者さんも医療費の節約に協力下さい。また、政府は節約したお金を医療に回してくださいね。医療事故の対策や、看護師さんの数、当直した医師などの時間外勤務手当てなどで。
 あえて言います。「後発品」をチョイスする権利は患者さんにあってもいいでしょう。ただ、先発品でなれた患者さんがそのメリットをお金だけに求めるかは疑問です。使い慣れた薬を「聞いたこともない会社」の薬や、在庫切れを起こしたりするために、毎回変更を伴うのは危険だと思います。

 というか、日本の診療の場合、毎回同じ処方箋のために、毎月受診するという、受診回数が多すぎるのが問題です。患者さんの指導を細かく行えるのは日本型診療のいい点だと思いますが、外来は基本的に予約制にして今後は、「一回の診察時間をゆっくり」で「しっかりとした指導」を行うのであれば、割り増し料金でいただけるようにするのがいいかなと思ったりします。
 日本の診察時間が短いことで不満が高いのですが、医療を抑制するのであれば、受診回数を減らす仕組み(需要を減らす)、診察回数が少なくてもきちんとした体制をとれば、クリニックや病院が経営できるようにするべきです。
 日ごろの健康指導は「別枠」で、それこそ保険外でもいいかもしれません。人間ドックやがん検診は自費で受けるという方が増えています。医療費抑制のためには、本当に必要な「受診」、本当に必要な「薬」はカバーして、そうでない無駄な診療を減らすのもいいのかもしれません。

 外来で3時間待って3分では「不満」が高いのです、30分相談に乗って上げられる、そのかわり予約制できちんと「専門医」の上乗せ、何でも大病院ではなく、まずは近くのかかりつけ医師に受診することで、健康の相談に乗れる体制にするべきです。夜中にやっているからと2次救急、3次救急に押し寄せる患者さんには悪いけど、「相談」する先をイギリスのようにコールセンターで振り分けるような仕組みが必要かなぁ・・・って思います。ぽち

  なかのひと 



イギリスつまみ食い
ゆりかごから墓場まで~イギリスの国民医療制度(1)

イギリスの国民医療制度(2)~その問題点(1)

イギリスの国民医療制度(3)~その問題点(2)


↓もう、「絶滅危惧種」はさらに危険水位に・・・ですね。
激務で小児科勤務医減 「崩壊寸前」山口県の救急現場
中国新聞 2007/11/9

 「あすにも辞める先生が出てもおかしくない」。三次救急指定の独立行政法人国立病院機構岩国医療センター(岩国市)で、小児科の守分正・成育診療部長が打ち明けた。


後発医薬品、一定以上調剤した薬局に報酬上乗せ

産経イザ!2007/11/10 

 厚生労働省は9日、先発医薬品と同じ成分・効果を持ちながら価格が安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及策の全体像を、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。一定割合以上の後発薬を調剤した薬局の調剤報酬を引き上げることを新たに打ち出したほか、後発薬使用を前提とした処方箋の様式変更などを盛り込んだ。平成20年度の診療報酬改定で実現を目指す。

 一定割合以上の後発薬を調剤した薬局への報酬上乗せは、流通量の少ない後発薬の在庫管理コストの負担軽減が狙い。具体的基準は今後検討するが、6月に実施した医療経済実態調査では、法人薬局での後発薬の調剤割合(処方箋ベース)が平均31.1%だった。このため、数カ月間に受け付けた全処方箋のうち、後発薬調剤が3~4割を超えた場合に調剤報酬を加算する考えだ。

 一方、処方箋の見直しは、現行では、医師が後発薬に変更してよいと判断したときに、「後発薬への変更可」とした欄をチェックする様式となっている。だが、今回の全体像では、これを180度転換し、医師が後発薬への転換を認めない時にのみ署名する方式に改める。中医協は9日、大筋で了承した。

 厚労省は、後発薬が前提の処方箋様式への変更に伴い、「変更不可」欄に署名のない処方箋が大幅に増加するとみられることから、後発薬を含んで薬を処方した場合に医師の診療報酬を加算している現行の後発薬優遇制度は廃止する考え。

 在庫がない場合に薬剤師の判断で別銘柄の後発薬への変更を認めることや、「お試し期間」を設けることなども盛り込んだ。

後発薬「お試し調剤」患者に選択権 来年度導入へ

産経新聞 10/18 06:01

 先発医薬品と同じ成分・効果を持ちながら価格が安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及策として、厚生労働省は17日、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に対し「お試し調剤」(分割調剤)制度を導入する考えを示した。患者に後発薬を「お試し期間」として1週間程度使ってもらい、問題がなければ本格的に使用してもらう。後発薬への不安を和らげ、「お試し調剤」を実施した薬局に調剤報酬を上乗せすることで普及を促す。平成20年度の診療報酬改定で実現を目指す。
 長期保管ができない薬の分割調剤は現行制度でも行われているが、後発薬の普及を目的とした「お試し調剤」を厚労省が打ち出したのは初めて。ただ、「お試し」後の再調剤には調剤報酬が付かず、薬局側が「手間がかかるだけ」と敬遠することが予想されることから、来年度の改定で再調剤の調剤基本料を上乗せすることにした。
 厚労省によると、「お試し調剤」の対象は、主に慢性疾患などで60日や90日といった長期の薬剤処方をされている患者。医師の処方箋(せん)に基づき初めて後発薬を使う際に、患者の同意を得た上で、まず1週間程度分の後発薬を調剤する。「お試し」の結果、患者は後発薬を使い続けるか、先発薬に変更するかを選ぶことができ、それを踏まえて改めて薬局が調剤する。
 一方、厚労省は、医師が処方箋で指定した後発薬が在庫切れだった場合、医師が処方箋に「医学的な理由から別銘柄への変更不可」などと明記しない限りは、薬剤師独自の判断で、同じ成分の別銘柄の後発薬への変更を認める考えも示した。医師が流通量の少ない銘柄を扱う特定の薬局と“癒着”するケースもあるためで、医師には別銘柄を調剤したことを後日通知する仕組みとする。
 後発薬は、厚労省が18年10月に実施した調査では、医師が使用を認めたのは全体の17・1%で、このうち実際に調剤されたのは5・7%にすぎなかった。政府は社会保障費の伸びを20年度予算で2200億円圧縮する考えで、後発薬の使用が拡大すれば医療費削減につながるとみて、数量シェアを24年度までに「30%以上」に拡大させる計画を立て、具体的な普及策の検討を進めている。
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【用語解説】先発医薬品と後発医薬品
 先発医薬品は、製薬会社が巨額の研究費を投じて開発した薬。開発後20~25年は特許で守られ、開発会社だけが製造できる。後発医薬品は特許が切れた後に別メーカーが製造した薬。成分や効果に違いはないが、開発費用がかからないため安価となっている。


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