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「倒産続出」病院ビジネスに明日はない [医療崩壊]

 我々医師からみると、『国民の期待』を裏切り続けているのは、医師ではなく、厚生労働省や財務省のお役人さんたちであります。

 もちろん、国庫が空っぽで、赤字国債を刷りつづけて、年寄りを養うことはできない・・・税金を上げると産業界が工場ごと逃げ出す・・・というジレンマも感じますが、政治家は「福祉」よりも「道路」を大切にしていますし、今回のガソリン税も政争の具になって、どうも国民生活のためなんかじゃないように見えます(しかし、灯油やガソリンがあがって困ってるのは、離島(離島航路やフェリーがどんどん廃止になっている)や寒冷地のようですが、ほとんど生活者の声などはのぼりませんな>産経さんや大手の新聞は)。

 さてと、タイトルは自分のセリフじゃありません。元厚生労働省の大学教授が述べておられます。官僚は嘘をつきませんが、言わないこともあります。その意味では、正直に「お前ら覚悟しろよ」と病院経営者とかを震え上がらせているんでしょうが、本当は一般市民や患者さんに伝えるべきメッセージですねぇ。

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「倒産続出」病院ビジネスに明日はない

病院業界は血の海、焼け野原と化す」。厚労省出身の専門家が、ただならぬ未来を警告。

FACTA 2007年10月号 

 医師の不足や偏在が原因で産婦人科、小児科などの診療科が閉鎖され、医療崩壊の危機が叫ばれている。これに追い討ちをかけるように病院の倒産が急増している。

 信用調査会社の帝国データバンクによれば、今年に入って医療機関の倒産件数は33件(7月末現在)に及び、 2001年以降で最多だった04年1年間の32件をすでに上回っている。このうち、病床数20以上の病院倒産が12件で、やはり最多の05年8件を大きく上回る。ちなみに他の医療機関別では、診療所の12件、歯科医院が9件。「明日は我が身かも」と、不安を募らせる病院関係者は少なくない。

 01年から07年5月までの倒産190件の原因を帝国データが分析した結果では、「販売不振」が55件と最も多く、次いで「放漫経営」39件、「設備投資の失敗」22件と続く。販売不振は、ずばり診療報酬の減少を指す。02年から3回続いた診療報酬マイナス改定、とりわけ昨年の3.16%減が病院経営を直撃した。一方で、不足する医師の確保が人件費増につながり、医師不足が患者減少を招く、「売り上げ」減少の悪循環を引き起こしている。

 看護基準の保険点数見直しも深刻な影響を与えている。看護師の労働環境改善を図る目的で、急性期一般病棟の患者7 人に対し看護師1人という「7対1 看護」を実施し、夜勤時間を月平均72時間以下に軽減する病院に、手厚い入院基本料を算定する新基準の導入である。その結果、大病院のなりふり構わぬ看護師集めを、慢性的な看護師不足に悩む中小の病院は、指をくわえて見ているのが現状なのだ。

患者を奪い合う公立病院

倒産件数の増加は民間病院が冬の時代を迎えた証拠だが、地方自治体が経営する自治体病院(公立病院)も存亡の危機にある。全国982の公立病院の約 3分の2に当たる626病院が赤字経営に苦しんでいる。大阪府の南部にある公立忠岡病院は今年3月、56年の歴史に終止符を打ち、閉院となった。医師不足による外来・入院患者数の激減、診療報酬改定による減収が直接の原因だった。

その背景には04年度からスタートした新人医師の臨床研修制度がある。大学病院を希望する研修医が減ったため、全国の大学で派遣医師の引き揚げが始まった。大学病院からの医師派遣に依存していた公立忠岡病院の場合、前年度に9人いた常勤医が5人、3人と減り続け、昨年度は院長を含め2人だけになってしまった。医業収入も02年度の12億5800万円から、05年には6億4100万円と半減した。赤字も毎年膨らみ、悪化する忠岡町の財政事情では一般会計から補填できなかった。

 閉院に至らないまでも、公立病院同士の統合はすでに始まっている。山形県酒田市内にある県立日本海病院と市立酒田病院は患者を奪い合い、慢性的な赤字経営に陥っていた。生き残り策として来年春、統合して独立行政法人に移行する。高知市でも一昨年、県立と市立の自治体病院が統合して高知医療センターが誕生したが、オリックスを代表とする企業グループが、設計・施工から設備管理・運営まで、診療業務を除く大半の業務を請け負うPFI方式として注目された。公共事業に民間資金とノウハウを活用した自治体病院再生のニューモデルでもある。

厚生労働省の「医療施設調査」によれば1990年に1万96もあった病院が07年には8883(5月末現在)に減った。それでも世界最多の病院数だが、最大の減少要因は倒産とされる。帝国データの分析では、かつては放漫経営がトップを占めていたが、前述したように近年は販売不振――診療報酬の減少に変わってきている。きちんと経営をしているにもかかわらず、収益が悪化し、倒産に追い込まれたケースだ。

恐怖の「改定デフレ・スパイラル」

診療報酬のマイナス改定が倒産を引き起こす構図を、病院経営戦略を専門とする工藤高(たかし)メディカル・マネジメント・オフィス代表は、改定デフレ・スパイラルと呼んでいる。「診療報酬が下がる」と「医業収入が減る」。当然「利益が少なくなる」ので「赤字幅が大きくなる」。その結果、「職員の給料を減らす」、「職員が辞める」、そして「病院倒産」に行き着く。この改定デフレ・スパイラルにより、公立、私立を問わず病院の閉院や診療所化、病院間の M&A(合併・買収)、自主廃業などの動きが加速するというのが、大方の医療制度スペシャリストの見方である。

2年に1度の診療報酬改定を来年に控え、この秋から本格的な論議がスタートする。厚労省の基本的な考え方は、医療費適正化を最重要課題の一つに据え、平均入院日数を短縮するために、一般病床数を減らして療養病床への移行を進めることだ。その布石として、いわば改定デフレ・スパイラル戦略が必要になる。旧態依然たる中小病院の退場はその延長線上にある。これは総務省の管轄になるが、自治体病院の広域統廃合、民活による独立法人化も、多すぎる病院の淘汰という射程内にある。

国立病院の統廃合にはいち早く手がつけられ、独法化や民間への払い下げなどが進んだ。国立大学病院はどうだろう。地方の国立大学の中には、臨床研修医が集まらないため、派遣業務だけでなく大学病院本体の日常診療に支障を来し始めている医局が少なくない。早晩、つぶれる医局も出るだろう。

都会の大病院も安閑としてはいられない。東京都内の社会保険中央総合病院やNTT東日本関東病院といった名門病院で、診療科によっては病床稼働率の低下現象が見られるようになった。患者が東大病院や東京医科歯科大病院などに吸引されているのだ。04年の国立大学法人化に伴い、殿様商売だった国立大学病院が「営業」に力を注ぎ始めた表れでもある。いずれ、中小病院にとどまらず、名門病院の倒産も現実味を帯びてくるかもしれない。

外科医出身で厚労省技官のキャリアを持つ長谷川敏彦・日本医大教授(医療管理学)は、講演の場で「今後3~5年間は病院業界は血の海、焼け野原」と物騒な発言をし、聴衆を驚かせた。具体的な中身を紹介する。長期ケア(慢性期)の病院が1千~2千、急性期病院が数百はつぶれ、その第1グループが自治体病院(院長に権限がなく、ビジネスセンスもない)、第2グループは地方の国立大学病院(いずれ身売りが起きる)、第3グループが私立の中小病院(7対1看護と医師不足にどれだけ耐えられるか)。

おぞましい時代が目前に迫っている。しかし、病院を弱肉強食の世界に委ねるべきではない。行政は病院倒産を政策誘導するのではなく、地域に必要な良質の病院を維持するためにも、全国の病院実態調査を早急に実施して結果を公開し、国民各層の判断を仰ぐ必要がある。

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 読んで一言「つーか、もう滅んでますが・・・何か? 」


 最後に出てきていた、「患者を奪い合い」は仕方ありません。補助金たっぷりで支えられていた公立病院の経営を、ベッドの回転率をあげるように仕向けると政府が決めたから、今まで1ヶ月入院してた急性心筋梗塞でも今は2週間くらいの入院です(もっと短くしているだろうか?)。空いたベッドではお金は稼げないので、どんどん入れるしかないのです。

 しかも、奪い合っているのは患者さんだけでなく「看護師」さんや、「医師」なども奪い合いしていますから。

 「自治体病院再生のニューモデル」として、持ち上げるように紹介されていた高知医療センターはPFIの先駆けで、非常に注目をあびましたが、さすが規制緩和のためなら何でもするOリックス社、贈収賄で捕まりました。
 また、滋賀県でもPFIの病院は赤字経営となり、持続がすでに困難なビジネスモデルになってしまいました。

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PFI方式契約、初の解除の可能性 滋賀・病院が経営難

End of Headline

中日新聞2008年01月20日

 自治体の財政負担を軽減する目的で、公共施設の建設や運営に民間資本を活用するPFI方式を取り、06年10月に開院した滋賀県近江八幡市立総合医療センターが経営難に陥ったことがわかった。

『高知医療センター やはり最高責任者退職!』~全国のPFI信奉者に冷水!~(長 隆)


 企業長が任期4年なのに2年余して2007年3月末で退職することを橋本知事・岡崎市長が了承したと報道された。少なくとも2006年度決算承認がなされて退職されるべきである。2006年度決算の責任を取らず逃亡したことになる。退職金は支払われるのか?
高知医療センターは、材料費などの経費をこのまま圧縮できなければ、2008年度には資金ショートを起こすという試算…


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 「改定デフレ・スパイラル」は、お財布に限界があるから、毎年、わずかなお金を右から左へ移すだけで、医療市場の成長をゆがめています。官製不況といわれている『ゼネコン不況』と同じで、今の病院経営には、プラスなんてありません。
 あるのは、生き残りのチキンレース。儲かっている病院も安楽な地位に残ることはできず、たえずDPCの中で競争を続けることになっています。

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RisFax 2008年1月28日 

原医療課長 7対1入院基本料据え置き、DRGは試行的導入

 厚生労働省保険局の原徳壽医療課長は26日、都内で開かれた三保連(内保連、外保連、看保連)合同シンポジウムで 08年度診療報酬改定について講演。終了後、本紙などに対し、新たに看護必要度によって要件を厳格化する一般病棟の7対1入院基本料は1555点のまま据え置くことを明言した。また、18日にまとまった改定の骨子で「高度な専門性、集約性が求められる手術の評価を引き上げる」としている手術料については、「トータルで数%アップになる」との見通しを示した。

 講演では、「15歳未満の鼠径ヘルニア手術」(5日以内)に、1入院単位の包括払い方式(DRG)の導入を明記したことにも言及。「ほとんどの病院が3日間で対応しているため、試行的に導入する。個人的には無理にDRGを入れると患者さんのためにならないことがあると感じているが、将来を見据えては(1日単位のDPCから)1入院のDRGが拡大していく方向だろう」と述べた。
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 こう、「現役」の厚生労働省のお役人が、DRGの拡大を明言しているので、もうDPCの病院は、この流れに乗っていくしかありません。無駄な検査、無駄な投薬、無駄な入院期間は認められなくなります。そういう意味では標準化を続け、アメリカのようにさらに現場のベッドを早く回転させて、仕事の密度をあげるしかありません。

 いずれにせよ、のんびりできないゾ!というのが今の病院の経営者の危機感につながっているのではないでしょうか?

 それにしても・・・病院がなくなるってこと、どれくらいのマスコミが報道しているんでしょうかね?表向きは「医師が退職」というのですが、結局、公立病院の場合、補助金カットがそのまま累積赤字の積み上げにり、人件費の圧縮に走ってしまし、現場の残業時間や手当ての切り詰めになっています。
 この枠組みは、患者さんにとってはいいのでしょうかね?もちろん、そんなつもりはないと厚生労働省は言わないでしょうが、もっと減らす!というのはもう10年前から聞いていたので、規定の路線です。

 さて、こんな情報を、マスコミは流す価値はないからでしょうね。全て「経営不振」「医師不足」「救急崩壊」みんな表面的な記事ばっかり。

 年金の改革もそうですが、官僚は自分たちの失敗の責任追及を受けたくない・・・だから、福島県や奈良県の事件でも、医政局はコメントをまともにしなかった。
 そして「医療崩壊」。医療崩壊の責任者は誰でしょうか?その場限りの「魔女狩り報道」はうんざりですな。ぽち

  なかのひと 


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