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もう逃げるしかない?処方箋なき医療崩壊 [医療行政]

さて、ある新聞社では、アンケート調査を行い、その結果について淡々と乗っけているのですが、おわかりでしょうか?産経新聞さん。医療崩壊は開業医が儲けすぎだからじゃありませんよ。今日も俎上にあげておきます。
 アンケートの結果だけで書いた記事は、医師の不足の解決方法については一切、書いてありません。こういう新聞会社にとって、医師が足りないのはもう常識になっている医療従事者からみれば、「時代遅れ」だと思いますが、いまだに「救急車で運ばれたら必ず助かる」という幻想を打ち砕いてくれるかもしれません。 

 まぁ、新聞の記事や社説を見るにつけ、日本の医療の未来が悪くならないよう、新しい建設的なお話を期待しています。

ぽち

  なかのひと



産科医だけでなく内科医も不足 医師会アンケート

産経新聞イザ! 2008/01/26
 
医師不足問題を中心に地域医療について産経新聞は近畿、北陸、中国、四国地方の府県単位の18医師会に調査を実施した。診療科別の医師不足で最も深刻なのは「産科」などとあげた医師会が大半だった。しかし、大阪府や兵庫県では「内科」が最も医師不足に陥っていることがわかり、診療科の細分化で全般を診る総合的な内科医不足が心配されている。
医師不足の診療科5科の回答では「産科」、「産婦人科」をトップにあげたのが中国、四国全県を含め15府県。島根県医師会の中島雪夫会長は「当直、日直という仕事も多く、訴訟も生じるリスクも大きい」とし「なり手も減り、手が足りなくなれば、さらに負担がかかる」と産科医不足が進む悪循環を指摘。「産科」などに続いて医師不足が深刻なのは「小児科」で奈良や和歌山県など12府県が第2位にあげ各地で「産科」、「産婦人科」、「小児科」の医師が足りない全国的な現状を裏付けた。
一方、大阪府や兵庫県では「内科医」不足を深刻度第1位に回答。大阪府医師会の酒井英雄副会長は「内科でも消化器内科、循環器内科など多くの科があるが、内科一般を診る医師が少なくなった。専門化が進むと医師が分散され、全体としては手薄になる」とした。また、三上裕司理事は「産科、小児科だけでなく生死にかかわる内臓関係の科目は敬遠され、過重労働は深刻な問題となっている」と話した。両府県のほか、「内科」や「内科循環器科」を5位以内にあげたのは京都、和歌山、岡山、広島で、医師不足による「産科」医療などの疲弊のかげで、最も身近な「内科」にも危機が忍び寄っていることがわかった。
調査では、「麻酔科」の医師不足を石川が第2位にあげ、広島や高知など8県が第3位に回答。「救急科」を5位以内にあげる医師会も目立ち、「産科」や「小児科」に続き医師不足が深刻になっていることが判明。広島県医師会の碓井静照会長は救急医療で「麻酔医や救急医が不足しているときは対応できない」とし、麻酔、救急医不足が救急病院の患者受け入れ拒否に絡んで今後、課題となりそうだ。
このほか、看護師不足についても回答を求めたが、全医師会が「不安を感じる」とした。中島会長は「高卒女子の10人に1人が看護師にならないと県内の看護師養成学校の定員を満たさない事態になる」と窮状を訴えた。

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まぁ、この記事の下にあった広告が笑ってしまいましたが・・・

 まぁ、特に下のように「刑事罰容認」という立場の新聞を読んだ医師は「逃げなさい」ということなのかもしれませんが。

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【主張】医療事故調 信頼取り戻す制度とせよ

産経新聞 2008.1.23

 「医療事故調査委員会」制度の厚生労働省原案が固まってきた。医療事故の原因を究明して再発防止に結び付けるのが、この制度の趣旨である。今後、政府・与党の最終合意を得て法制化し、平成22年度までにスタートさせるという。

 現在、医療事故を調査する専門の第三者機関はない。医療事故は、警察の捜査や刑事・民事の裁判で原因は明らかになっても、再発防止策にまでは結び付きにくいのが現状だ。

 近年、医療事故が続き、民事訴訟が増加している。医師の刑事責任が問われるケースも目立つ。医療事故調を早く制度として確立しなければ、医療に対する信頼回復は難しいだろう。

 医療事故調は、事故原因を報告書にまとめて公表し、再発防止策を提言する中央委員会を厚労省内に置き、その下に医療事故ごとに調査を行う地方委員会を設ける。委員会のメンバーは、医療従事者、法律関係者、遺族代表者らで構成される。

 委員会には調査権限が与えられる以上、当然ながら中立性や公平性、秘密保持の義務が課される。

 医療事故の原因解明には、高度な専門知識が求められる。それだけに、警察の捜査に対しては医療関係者が強く反発するケースもある。民事訴訟は、遺族に費用と時間の両面で重い負担を強いることになる。

 専門知識を持つ医療事故調が機能するようになれば、患者側、医療側の双方にメリットは大きいはずだ。

 ただ、制度運営にあたっては、なお解決しておくべき課題が残っている。ひとつは、事故調の調査と警察の捜査との関係をどう整理するかだ。

  原案では(1)死因がはっきりしない診療関連死は、まず事故調が受理する(2)診療関連死については病院に届け出を義務付け、怠った場合は罰則を科す (3)故意や重大な過失、悪質なケースは事故調から警察に通報する-となっている。だが、刑事責任の追及などはこれで問題がないのだろうか。

 原案では、医療事故調の調査対象は死亡事故に限っている。しかし、大事故の背後には多くのインシデント(一歩間違ったら大事故になりかねない事例)が隠れている。死亡以外の調査も医療事故を防ぐには必要だろう。これも検討を求めたい。

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 きっとこの記事を読んだ人は・・・この広告をみて、どこかに逃げることを考えるのでしょうかね?気のせいか。
 事故調での運用次第で、崩壊が加速するに10カノッサですね。そして義務付けられた事故調査委員会には「病院で死んだ」という通報が山のように。それも医療過誤だったとかに関係なく診療中の死亡は全例届出とか。

 審査には、中立性や公平性、秘密保持の義務が求められつつ、他の医療事故の被害者家族が入ってくるなど・・・つまり「近所の殺人事件の調査に積極的に、まったく見も知らない」専門外の知識のない住民が乗り込んで患者の情報を調べ上げる??_謎です。

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町医者不足、訴訟リスクも高まる 医師会アンケート

産経新聞イザ! 2008/01/26

医師不足や救急医療問題などに対する産経新聞調査では、産科や小児科の医療現場ががけっぷちに立たされる中、麻酔科や救急科、さらに内科にも医師不足の危機が迫っていることもわかった。特定部位ではなく全体を網羅する内科の医師不足は、地域医療の崩壊も懸念されている。

■総合医が不足

大阪市北区の診療所。マンションが林立し、お年寄りの診察がめっきり増えている。お年寄りらの診察内容は軽微なものが大半。勤務する医師は「かかりつけ医として健康状態をきちんとチェックしてあげなければならない」という。
患者の増加で、院長のほか、他の医療機関などに勤める5人前後の内科医が交代で診察。事務責任者は全般を診る内科医探しに追われ「何でも診ることができる医師が少ないのです」と話し、こうした総合医不足が心配されている。
一方、市内の大病院では消化器内科、循環器内科、血液内科など内科でも多くの分野に診療化が細分化。こうした分野にはスキルアップを目指す若い医師の人気は衰えない。大阪府医師会の酒井英雄副会長は「医学部生は専門医になるのがトレンド。学会認定の専門医になるには手術をこなさないといけないので、臨床例の多い都市部を選ぶ」と分析。都市部に集まった医師も専門的な診療科に人気が集中し偏在化が始まっているようだ。

■新制度の功罪

調査では、医師不足の表面化は国が平成16年度に始めた新医師臨床研修制度の影響とみる声が多くの医師会から寄せられた。
新人医師は、出身大の医局が勧める研修を受けることが多かったが、新制度以降、2年間の義務研修後、研修先を自由に選べるようになった。石川県医師会の小森貴会長は「制度開始で研修医が都心部に集中し、医師供給を担っていた医科大学の能力が低下した」と話した。その都市部では総合医を中心にした内科医不足が始まっている。富山県医師会の福田孜会長は「地域偏在、診療科の偏りを招いた大きな要因で、廃止を含め抜本的な見直しが求められる」との見解も示した。

■リスク対応策を

産科や小児科の医師不足では訴訟リスクの高さも影響。救急医不足に対しても小森会長が「救急患者を受け入れた際、患者や家族が期待する結果と異なった場合に不満、時には訴訟になることが増えてきた」とするなど、リスクの程度が診療科間の医師不足の度合いに大きくのしかかっていることがうかがえた。リスクへの対応を求める声は多く、兵庫県医師会の西村亮一会長は「高リスクの診療科に対し、医師が安易に刑事告発されない制度の創設など安心して医療が行える環境整備への努力が必要」としている。

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内科4月から休診 北見赤十字病院 全6医師退職意向 「後任めど立たず」

北海道新聞 2008/01/25

 【北見】北見赤十字病院の内科医師六人全員が三月末で退職の意向を固めた問題で、同病院は二十四日、北見市役所で記者会見し、荒川穣二副院長が「後任の医師確保のめどはついていない」と述べ、二月から新規患者の診察・入院を停止し、四月から内科を一時休診する考えを示した。

 従来の外来、入院患者の対応については「北見医師会などと協議し、転院先を確保していく」とした。約二千人が診察を受けるリウマチ・膠原(こうげん)病の治療が網走管内でできなくなることに関して「管外での治療が余儀なくされるため、責任を持って病院を紹介する」と話した。二十四時間体制で患者を受け入れている同院の救命救急センターでも「内科休診で運営に支障が出る恐れがある」とし、二十二日付で院内に「地域医療維持対策本部」を設置したことも明らかにした。

 道医療政策課は「高度医療を担う地方センター病院で内科が休診になるのは道内初」としている。

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 今後は、道内発とかのニュースで、「昔ならどこでもできたんだけど・・・」ヘリコプターで大都市に患者さんを転送するようになりましたといった、記事が並ぶかもしれません。

 個人的には、拠点病院の強化を行い、人口20万人未満の地区に複数の病院がある場合は政府が指導して病棟や検査システムを共有する、そして外来はお互いに行き来できるようなものにしてみてはいかがでしょうか>同じ市内であれば統一するのは事務的コストの削減にもなりますし、機能分担が違ってきますが、基本疾患をきちんと見てもらえる状況にあるのならば、少なくとも一つは地域に残るのではないかと考えています。

 もう東京や名古屋、大阪から道東の病院からアルバイト医師を集めて、その場をつなぐ時代は終わったのです、残った現有戦力で最大できる医療を提供する事、これに集中する。結果として、医師も看護師、ベッドの数もあるかもしれませんが、無理して同じサイズの病院を残そうとすれば、それは自治体の経営を蝕むことになります。

 どこかで必要な医療(救急医療の受け入れの可否)の線引きを行うしかないかと思っています。
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