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人材分捕り医療から育てる医療へ [医療崩壊]

 医療の崩壊が報道されるようになって、久しいのですが、未だに「まだまだ、医療崩壊の味が染みていないようだな」とssd先生がおっしゃるように、感情的になって現実を直視できない狼狽気味の正義感の勘違いのマスコミが目立ちます。

 
まぁ、これは仕方ありません。マスコミはいまだに人気産業ですから、書類審査でお断りするほど応募者が来る。まかり間違っても不人気になったことなどありませんし、多少の「誇張」や「粉飾」でも視聴率や紙面の反響が良ければ、お咎めなし。特ダネで他社を抜いてればまず、処分なんてありません。
  まして、医療崩壊ネタなんて他社に先駆けて取り上げると、一面飾れますから喜んで報道する。繰り返される「魔女狩り報道」で、一向に解決しないのは、マスコミ各社が放火魔のように、国民の憎悪の炎にガソリンをまきながら、消火活動している振り(病巣をえぐる記事をみたことがないな・・・)をしているからですが。

  ちなみに、医師や看護師からみると、病院には不人気病院(別名:奴隷病院)と人気病院(スタッフ充実&スキル獲得可能病院)の差がひどいです。
しかもその希望者の数(蛇口から出る水道の水)が同じなのに、地域と都市部の大病院で取り合っている構図なのですから、医療従事者が立ち去るほど、労働環境やトレーニングが出来ないような医療崩壊寸前のへき地病院など、大変です。

 さて、北陸のごたごたしていた病院が、無事スタッフを確保できて「トキの声」をあげて喜んでおみえです。さすが大学病院のネームバリューです。

 まずはおめでとうございます。ただ、個人的には、人手が増えたと言っても、人口が限られている自治体の病院、稼働率が今は57%ということなら、360 床から減床したとしても250床も要らないし、救急医療を行うにしても「絞込み」をしないと過酷な労働条件でまたも奴隷医は早晩、退職するでしょう。

 自分は、財政のためにも、
人口5万人ちょいの自治体に適切なサイズ・・・せいぜい150~180床にして、大きな病院は隣町へというのが正解ではないかと思います。その方が自治体のお財布にやさしいのです。
 患者さんにとって、通院の不便は仕方ありません。人口が大きく増える見込みがない地区で、土建屋のためにはいいかもしれませんが、病院の改築&新築で巨額の投資はやはり無駄です。

 そして、病院に医師や看護師を集めても、この地区ならではの「医師教育」システムを作らないと、早晩、再び崩壊するでしょう。タイトルの「分捕り医療」というのは大学から医師を分捕って世転ぶ時代は終わったのです。地元で必要な医師は地元で育てねばなりません。

 日本は戦後、高度経済成長の時代、食料確保のために安い魚を求めて、遠洋まで漁業を行っていましたが、エネルギー問題で大陸棚や領海12海里の時代から経済水域200海里となり、漁業から撤退をする羽目になりました。その結果、「取る漁業から育てる漁業」へと移行し、養殖や蓄養で今やマグロまで育てることに成功しつつあります。

 いずれにせよ、限られた医療人材は漁業とまったく同じ、遠洋漁業ではなく地元で育てるような病院しか生き残れません(夕張は残ったのは地元で医師を育てる意思のある先生を取ったからですよ)。

 それを認識している自治体病院&自治体の首長はどれくらいいるのでしょうか?
ぽち

  なかのひと

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氷見市民病院の医師確保

 金沢医科大学と氷見市は25日、氷見市民病院の医師確保について少なくとも現在の32人を4人上回る36人の医師を確保したことを発表しました。

氷見市民病院では現在勤務する医師のうち、内科をはじめ、富山大学の医局に所属する医師15人など、合わせて18人が病院を離れますが、常勤医がいない耳鼻咽喉科や泌尿器科の医師も含めて、研修医2人と、金沢医科大学から20人のあわせて22人が新たに派遣されます。

これで医師の数は現在の32人から、少なくとも4人多い、36人となるということです。

一方、看護師などの医療技術者の確保については、市と組合との交渉が難航していますが、金沢医科大学側はここ2、3日で、組合員の一部からも再就職の応募があることを明らかにしました。

現職の職員を対象とした2次募集は今月28日が締め切りです。


氷見市民病院 4月1日、公設民営化で再スタート /富山

毎日新聞 2008年1月21日

 ◇金沢医科大を指定管理者に

 医師や看護師不足で経営が悪化した富山県の氷見市民病院(加藤弘巳院長)は4月1日、指定管理者制度を導入し公設民営の「金沢医科大学氷見市民病 院」として再スタートする。私立大学が受け皿となる公設民営化は全国2例目。自治体病院の維持が社会問題化するなか成否が注目されるが、制度移行を前に課 題も多い。経緯をまとめた。【上野宏人】

 ◇看護、薬剤師の身分保証など問題山積

 ■経営悪化

 「脳神経外科の医師が2人から1人になったのが大きい」。同病院の丸山隆司事務局長は07年度の医業収入が落ち込んだ理由を説明する。緊急手術への対応が難しくなり、同科の1日平均の入院者数は昨年度までの31人から5、6人に激減。今年度は約3億円の減収になりかねない。

 病院全体のベッド数は368床だが看護師不足で一部を休止しており、今年度の稼働率は約57%(07年12月現在)まで悪化した。経営は苦しく、今年度の不良債務は約5億円、累積では約6億6000万円に上る見込み。減価償却などを含めた累積赤字は、約37億4000万円になるという。

 市は一般会計から毎年6億~7億円程度を繰り出したが、市の財政も厳しい。建物は老朽化が進み新病院建設が望まれるが、「改革なしでは新病院はおろか市も立ち行かなくなる」という。

 ■改革決定

 07年5月の外部有識者らによる経営改革委員会の答申を受け、堂故茂市長は、土地や建物は市が保有したまま民間経営を導入する「公設民営」を決断した。昨年11月、臨時市議会で金沢医科大(石川県内灘町)を指定管理者とする議決を経て、基本協定を締結した。

 4月の公設民営化後の赤字は原則、金沢医大の責任で解消されるようになり、市の負担は救急医療やへき地医療など、不採算部門を支援する年間2億5000万円程度の支出に限られる。おおよそ60億円と試算される新病院建設費も、半分は金沢医大が負担。医師を除く職員の給与は、平均9%下がると見込まれる。

 ■医師確保

 常勤医師は04年のピーク時で40人いたが、同年4月の新医師臨床研修制度の影響で、大学の医師引き揚げが続き32人まで減った。出身大学別では ▽富山大20人▽金沢大7人▽その他5人。医師確保のため4月に富大、金大、金沢医大の3大学による協議会設立も決まり、市は「3大学が立場を乗り越えて もらえる」と期待した。

 ところが、富大が07年12月、公設民営化に向けた大学付属病院長らで構成する「協議会準備会」から離脱した。「金沢医大」がつく病院名の再考と、身分が医療職から教育職に変わることなどから、試行期間を求めたが認められなかったため。ある関係者は「富大のプライドと医局が影響力を残そうとした」とささやく。

 内科を中心に富大の派遣が少なくなる可能性が高まり、4月に予定する医師35人の確保が危ぶまれるが、市は「32人のうち半数は残る見込み。不足は金沢医大の努力で補う」と打ち消す。こうした中、「金沢医大が氷見の医師確保のため、他の病院の医師を引き揚げないか」と波紋を懸念する声も出てきた。

 ■公務員身分

 看護師や薬剤師らの今後も道筋が見えていない。市側は「全員雇用に努める」との姿勢だが、4月から公務員身分を失う事情もあり、氷見市職員労働組合員約220人は公設民営化に応じていない。

 組合は交渉権を自治労富山県本部に委任し、昨年5月から交渉を重ねたが平行線のまま。今のところ残留は非組合員の管理職15人など一部に限られる。

 市側は4月から2年間は現在の給料を保障し、その後3年間で段階的に削減する案を提示するが「組合側が公務員身分を譲らない」と主張する。

 組合側は「激務の看護師らに経営責任はない。市側は結論ありきで拙速。話し合いにならない」と批判する。

 在職者対象の職員募集は1月10日に締め切られたが応募はなかった。続けて、28日締め切りの2次募集をかけているが、見通しは暗い。

 病院を訪れた男性市民は「形がどうであれ、4月からも病院がちゃんと存続し、きちんと診察してほしい」と願いながら、成り行きを注視している。

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 ◇氷見市民病院

 1948年に氷見郡厚生病院として開設。66年に現在地(氷見市幸町)に移転した。一般病床363床、結核病床5床。内科、小児科など20の診療科目があり、救急医療やへき地医療を担う地域の中核病院。公設民営化後も診療科目は維持し、土曜日診療を始める。ベッド数は250床になる予定。

毎日新聞 2008年1月21日


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