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[医療崩壊]マスコミが報じない格安医療費 [医療崩壊]

 読売新聞の昨日(1/19)のトップ記事ですが、とりあえずのっけてみます。まぁ、当日は「針きゅう院5400万円不正受給」のニュースが三面にさりげなくのっていたのですが・・・マスコミにとってはこっち(病院)の方がニュースバリューがあるという判断なのでしょうね。

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川鉄千葉病院、重病名で医療費請求

「めまい」を「脳梗塞」「肺炎」は「肺がん」

 疾病ごとに定額の医療費を支払う「診断群分類(DPC)別包括評価」を巡り、JFE健保組合川鉄千葉病院(千葉市中央区、病床数360)が、実態とは異なる病名で市町村などに医療費を請求し、千葉社会保険事務局と千葉県に不適正分の返還を求められていることが18日、わかった。

 医療費返還を伴う事例が明らかになったのは全国で初めて。このほかにも不適正な請求事例は複数報告されており、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)小委員会は同日、DPCによる請求の透明性を高める見直し案をまとめた。

 DPCは、病名や症状、治療内容別のリスト「診断群分類」(1438項目)ごとに、1日当たりの医療費(定額)が決まる方式で、2003年に導入された。医療費請求の際には、カルテに記載された内容をもとに選択した分類名をレセプト(診療報酬明細書)に記入することになっており、薬や検査など、診療内容ごとに医療費を積み上げていく従来の「出来高方式」で起こりがちだった不要な検査・投薬が抑制されると期待されている。

 DPCを06年6月に採用した川鉄千葉病院では、千葉社会保険事務局と県が昨年8月に健康保険法に基づいて行った個別指導で、不適正な請求が指摘された。不適正が疑われる病名の患者80人を抽出したところ、DPC関連では国保などの23人分で約274万円が不適正だった。県などは文書で指導内容を通知。過去1年間の自主的調査と不適正分の返還を求めた。

 同病院の患者(06年度)は入院が1日当たり約290人、外来は同1100人。1か月当たりの医療収入(06年度)は6億5000万円前後(健診と新生児関係分を除く)。

 病院関係者によると、診断病名のほか医師に検査しただけの病名や併発症も登録させ、DPC分類で高額の医療費が得られる病名などを事務担当者が選んで請求した事例があり、カルテとレセプトの内容が食い違っていたという。

 例えば、「めまい」で入院した患者に脳梗塞(こうそく)の可能性があるかどうかを調べるコンピューター断層撮影法(CT)検査を行った場合、診断群分類に「脳梗塞」を選択したり、胸部CTを撮った「肺炎」の患者について「肺がん」と選択したりしていた。いずれも本来の「めまい」「肺炎」を選択しなければならないケースで、患者も本来の自己負担額より多く支払わされた可能性があるという。

 同病院の山本義一院長は05年10月~昨年7月、中医協の「DPC評価分科会」で委員を務めていた。山本院長は「指導を受けて改善を求められたことは事実だが、指導内容などについてコメントするつもりはない」と話している。

[解説]定額支払制の「穴」露呈

  現行のDPCは、医療費を請求された側が、レセプトからは病名などの分類名しか把握できず、実際の投薬・検査から請求の誤りを見破ることができない。川鉄千葉病院で発覚した不適正請求は、投薬・検査内容がすべて記載される従来の「出来高方式」と比べて矛盾点の発見が難しいという欠点を、露呈する格好となった。

 不適正な請求は医療費抑制に逆行するばかりか、患者が余計な負担を強いられることにもつながり、制度の趣旨が損なわれる。

 不適正な請求をしていたのは、川鉄千葉病院だけではない。中医協のDPC評価分科会が昨年秋に行った病院に対するヒアリングでも、「医師の知識不足で誤った診断群分類を選択した」などの実例が次々と報告されていた。

 国際医療福祉大の高橋泰教授(医療経営管理)は、故意による不正請求が行われる余地を視野に入れ、「DPCは当初、大学病院など公的病院を対象としていたため、性善説を前提に制度設計された。だが、利益を重視する病院も多く入ってきている」と指摘する。

 中医協が18日にまとめた見直し案は、分科会での議論を踏まえて診療内容がわかる情報をレセプトに添付するなど、不適正な請求を見破りやすくする狙いだ。
DPC導入の最大の目的は医療の効率化。厚労省には、制度運用の“穴”を埋めるよう万全の対策を早急に実施するよう望みたい。(千葉支局 針原陽子)

 診断群分類(DPC)別包括評価 アメリカの公的医療保険「メディケア」を参考に導入された。国立病院などで採用された後、民間病院にも広まっている。07年度末には採用したか採用準備に入った病院が全国で1433となる。病床数は約46万床となり、一般病床全体の半数を超える。中医協のDPC分科会は、対象病院の関係者や有識者ら20人弱で構成され、導入の影響などに関する効果の評価などを行っている。

(// date_start //2008年1月19日// date_end //  読売新聞)


重い病名で医療費請求 川鉄千葉病院、県が返還指導

 End of Headline 

朝日新聞 2008年01月19日23時18分

 JFE健康保険組合川鉄千葉病院(千葉市中央区、山本義一院長)が、実際の診断名よりも重い病名で医療費を請求していたことが19日、分かった。入院治療費を病気の種類ごとに定額払いにする「診断群分類別包括評価」(DPC)で過大請求があったといい、千葉社会保険事務局は、自主調査のうえ返還するよう指導している。   

 DPCは03年度に導入され、病気の分類ごとに1日あたりの医療費が決まっている。従来の注射や投薬など診療行為ごとの料金を合計して費用を出す「出来高払い方式」では、過剰診療を招きやすいという指摘があり、医療費抑制などが期待されている。川鉄千葉病院は06年6月に採用した。   

 千葉社会保険事務局と千葉県が07年8月、同病院に立ち入り調査し、80人の入院患者の診療報酬明細書(レセプト)を調べたところ、不適正な請求が見つかった。「めまい」を「脳梗塞(こうそく)」、「肺炎」を「肺がん」とするなど、実際の診断よりも重い病名に分類して請求していたという。   

 このため、千葉社会保険事務局は、過去1年間にさかのぼって自主調査をして過払い分を返還するよう指導した。同病院が、内部調査を行い不適正な請求分を試算したところ、80人のうち23人分で約274万円になったという。   

 同病院の尾上慎一事務部長は「指導を受けたのは事実だが、意図的に行ったつもりはない。医師や事務の知識が不十分だった」としている。今後、さらに入院患者のレセプトとカルテを照合し、過大請求があれば返還するという。   

 川鉄千葉病院は360床で、1日あたりの患者数は入院が約300人、外来は約1000人。 


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一般病院の利益率、過去最悪を更新
06年度WAM調査、実調を裏付け
~医療経済実態調査を裏付け~ (2008/01/17)
Japan Medicine じほう

【2008年1月16日】

福祉医療機構(WAM)がまとめた2006年度の医療機関の「経営分析参考指標」によると、一般病院(民間)の医業利益率は初めて1%を割るなど過去最悪を更新した。7%前後で安定していた療養型病院の医業利益率も2ポイント以上落ち込んだ。看護職員らの増員によって人件費が膨らみ、収支を圧迫した。中医協の医療経済実態調査で明らかになった病院経営の厳しさがあらためて裏付けられた。

06年度の一般病院(全病床に占める一般病床の割合が50%超)の医業利益率は0.8%で、前年度に比べて0.4ポイント落ち込んだ。診療報酬のマイナ  ス3.16(本体1.36)%改定のあおりや、平均在院日数が短縮する一方で病床利用率が低下したことなどを受け、1床当たりの医業収入は前年より約 50 万円の減額となった。

これに加え、7対1入院基本料の導入などの影響で看護師増員を迫られ、患者100人当たりの職員は2.7人増加。支出の人件費割合が50%を超え、経営を悪化させた。

療養型病院(全病床に占める療養病床の割合が50%超)の医業利益率は、診療報酬本体が初めて引き下げられた02年度以降も7%前後で推移していたが、  06年度は5.0%に悪化した。1病床当たりの医業収入が約30万円減となったほか、支出面では患者100人当たりの職員が0.8人増えた。さらに、職員 1人当たりの給与が8万1000円増え、支出増の要因が重なった。

本体0.38%増が決まった08年度診療報酬改定率の判断材料となった中医協の実調(昨年6月時点)では、国公立を除く一般病院(介護保険収入のある医  療機関含む)の医業利益率は0.4%。療養病床60%以上で国公立を除く一般病院(同)の医業利益率は4.7%で、医業収入の中に介護保険収入も含めてい  るWAMの一般病院、療養型病院の経営分析の傾向とほぼ重なる。

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まぁ、日本の医療制度では、提供者側である病院は、利益がもう出ないんですよ。そこそこ繁盛していても「つぶれる」ような医療費抑制政策。いわゆる貧乏に追い込まれたところがやること。それは「故意による不正請求」?。
しかし、病院が窮状にあるのを読売新聞も朝日も知らないか、知ってても書かない(まぁ、厚生労働省は病院を減らしたいから、記者クラブに出入りしている記者にはそんな記事を書かせないのしょう・・・・)。

マスコミにとってみれば、鍼きゅう院よりも、病院の方が「ニュース価値」が高いのであろう。しかし、この病院が「仕組み」を悪用といわれても、最初の受診の段階で、脳梗塞を疑えば、そのために「CT」をとっても良いというのが従来のやり方。

新しいDPCだと、最後が単なる耳鳴りだと「CT」も含めて診察料を下げるような形になる。要は、診察行為にまつわる検査を強制値引きをさせるのだ。

脳腫瘍や脳梗塞が見つからなくても念のために検査をするのが今までの医療側のやり方でしたが、こういう報道によって「病院がズル」しているという風に描写されるわけですね。
いずれにせよ、病院をこういう風に「悪者」にすればするほど、一見、軽症患者さんの検査が減る。医療費は減る。しかし中には検査をしなければわからないような病気も見逃されるようになる可能性は大いにある。

医療費抑制は「両面」あるのだ。医療費が安くなること=良いことばかりではないことを肝に銘じておくべきでしょうね。どっかの掲示板にあったそうだが・・・

某掲示板で見かけた書き込み↓ 
日本の医療費は先進国中、他の追随をゆるさないほど安いんだよ。 
初診料日本2400円に対して、アメリカ平均20000円。 
物価がはるかにやすい中国よりも日本の方が安い。  
これでもまだ高いっていう奴が多いけど、 
水道トラブル5000円トイレのトラブル8000円で、おまえの体のトラブル2400円だぞ。  
便器のトラブル以下って事を知ってるの? 


まさに、安さにかけては便器以下なのが、日本だ。その数百円をめぐって[開業医が儲けすぎだ]とか見苦しい話である。いずれにせよ、過度の「価格抑制」が医療崩壊を招いていること、価格が安いことが医療の安全確保には向かないこと、すでに日本の医療界では認められていると思うが、一般の方もマスコミも不勉強だから仕方ないかな。ぽち

  なかのひと 


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コメント 1

Bundo

日本のDPC制度の問題は、出来高制度時代からもともと安い診療費を基礎データにして各疾病の1日単価を決定している事です。
これではブログ主様のおっしゃるように経営破綻になるのは当然です。(まあ、この千葉の病院を正当化するわけにはいけませんが・・)
厚労省のお偉方は「DPCには、ドクターフィーの概念を盛り込んで・・」などと言ってますが、意味が不明です。
by Bundo (2008-01-21 08:35) 

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