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ITシステムは救急病院にトドメになる? [医療崩壊]

 研修が終わって、自分は思い出します。200床くらいで医師が15人くらいしかいない病院で、当直をしていました。
 経営が思わしくなかったせいか、病院としてできるだけ、たくさんの「救急車」を引き受けよと院長先生には言われました。もちろん、今よりも10年前で「当然」だと思いました。
 ところが、当直してみると、医師は一人、看護師は婦長さんだけ。検査技師さんや放射線技師の人は不在でした。
 もちろん、患者さんを引き受ける場所は通常の外来のスペースを転用し、患者さんを引き受け、入院が必要かを判断するために採血をしたら、患者さんの状態を看護師さんにお願いして、医師である自分が検査技師に早変わり、遠心分離機と検査機器に向かう・・・。つまり、病院としては特にお金を出さなくても救急をやっている顔が出来ますが、あとになってみれば、「よくそんなところで救急を・・・」と思いました。もちろん病棟患者さんの急変にも対応しなければなりません。いよいよ何役って感じでしたね。

 そんな自称「救急病院」がどんなに多いか?そういう目でみると・・・次の記事はいかがでしょうか?

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 自民、公明両党は十八日、救急患者が病院に受け入れを拒否され、手当てが遅れて死亡する「たらい回し問題」の深刻化を受け、受け入れ可能な医療機関に関する情報を提供する救急医療情報システムを全国的に整備、強化するための「救急医療情報システム整備法案」(仮称)を、同日召集された通常国会に議員立法で提出する方向で検討を始めた。

 救急医療情報システムは、地域の医療機関と消防機関をオンライン回線で結び、医療機関側が対応可能な診療科目や手術ができるかどうかなどの情報を入力して消防機関に提供するもの。

 救急車や消防本部からその都度、各病院に電話して搬送先を探すより、即座に受け入れ可能な病院を確認できる利点がある。

 すでに四十三都道府県、七百四十五消防本部で導入されている。

 しかし、統一された運用基準がなく、近隣のシステム間の連携が悪かったり、病院側の情報更新が遅かったりなどの理由で53%の本部が利用しておらず、システムを全国的に整備し、積極的に活用する必要があると判断した。

 法案には、システムの整備、運用にかかわる基本方針を定めることを盛り込み、同方針で、集中治療室(ICU)の稼働状況、妊産婦、小児の受け入れができるかどうかなど提供すべき情報の種類や、システム同士の広域連携、協力体制の在り方を定める。

 また、地元の医療事情に精通した医師らが搬送先を調整する「救急患者受け入れコーディネーター」の配置も求める。

 システム未導入の地域での整備を促すため、自治体の努力義務をうたい、国が関係費用の補助を行うことも定める。システムの運用に当たっては、関係機関の連携強化のため、医師や消防職員、学識経験者らが参加する協議会を設置する。


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 東京新聞。朝刊トップでした。個人的には情報システムが完備されたとしても、現場の状況が改善しない限り、あふれるのは産科を見ればよくわかります。

 中には「情報システムさえ良くなれば何とかなる」といった風に書いてありますが、日本の救急医療は貧弱な現場のマンパワーに支えられているというのを直視しない限り、良くなりません。

 自分は、いまだに、救急病院としてがんばっている病院にとって、このシステムで受け入れられる状況は改善しません。患者さんを診る側の都合に関係なく考えられたシステムは、さらに病院側へ「救急からの撤退」を決意させるに十分かもしれません。ぽち

  なかのひと


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