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まったくアテにならない産経新聞の医療報道 [マスコミ]

 今日は、知り合いの現役医師の先生とお食事をしてきましたが、「産経新聞の医療関連の記事はひどい」という意見では一致しました。

 もちろん、日本の未来を憂うような立場から、日本政府の財政に心を砕くのは大切なことですが・・・まぁ、そうじゃないことは、下記の読売新聞の社説を読むと、産経新聞のアンバランスぶりが突出していることが、容易に読みとますね。

 自分も、医療費の過度の増加は日本の国の財政にとっても、国民にとっても「好ましくない」とは思っていますが、「産経新聞」がいうように、高齢化や医療の技術の進歩による医療費増大をまったく無視した社説の展開には「妄言」といっても間違いないでしょう。

 いずれにせよ、読売新聞の社説を読んで、もっかい、産経新聞のいう「医療費増=医師の丸儲け論」には問題があると言う指摘はしておかねばなりません。

 ま、拙ブログも総務省やら財務省、厚生労働省・・・などのお役人が遊びにおみえですが(勤務時間中お疲れ様です)、「異論」はないようです。
 納得づくで様子観察を決め込まれておられるようです。自分たちが書かせた記事や社説が「歪曲」や「捏造」だということを。

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医療関連予算 機械的削減の限界が露呈した

2007/12/19 読売新聞 社説

 医師や看護師の不足が深刻化し、「医療崩壊」という声すらある。こうした現状を考えれば診療報酬の一定の引き上げもやむを得まい。

 来年度予算案の閣僚折衝で、診療報酬のうち、治療の技術料などに充てる「本体」部分については、0・38%引き上げることが決まった。

 本体部分は2002年度以来、引き下げか現状維持が続いていた。プラス改定は8年ぶりだ。医療費の国庫負担を約300億円増やすことになる。

 救急医療や産科、小児科など、勤務が過酷で医師不足がより顕著な分野に配慮すべきだ、との声が、今回の引き上げにつながった。報酬の具体的な配分を決める中央社会保険医療協議会は、メリハリのある議論を展開して、配分先を大胆に見直す必要があろう。

 医療をはじめとする社会保障関連の予算折衝はほぼ決着した。しかし、従来になく苦し紛れの措置が目立った。

 社会保障費は、高齢化によって年に約8000億円ずつ自然に増える。この伸びを毎年2200億円ずつ圧縮する、というのが、政府の方針になっている。

 厚生労働省は、診療報酬の「薬価」部分を1・2%引き下げたほか、安価な後発薬の使用促進などで計約1500億円を抑制することにした。

 問題はその先だ。厚労省は、中小企業の従業員が加入する政府管掌健康保険への国庫補助を1000億円削り、その分を大企業の健保組合と公務員の共済組合に支援させることで、診療報酬本体の引き上げ財源を含め、帳尻を合わせた。

 大企業の健保組合などが中小企業の健保組合を支援する、と言えば聞こえはよいが、国庫負担分を民間に肩代わりさせるものだ。大企業の健保が反発したのは当然だ。結局、暫定的な窮余の策ということになった。

 一方で政府は、来年4月から始まる新高齢者保険で、予定していた窓口負担の引き上げなどを凍結する。このために1700億円の補正予算を組む。

 新たな歳出抑制策はその場しのぎのものしか浮かばず、前年までに決定していた医療費抑制策は先送りする。これはもはや、機械的削減路線の限界がはっきりした、ということではないのか。

 無論、社会保障費が野放図に膨張せぬよう、厳しく監視しなければならない。だが、超高齢社会に必要な予算はきちんと確保すべきである。

 それには消費税率の引き上げが避けられないことは明白だ。その議論を先送りしたままでは、社会保障の予算編成は毎年、迷走することになろう。

(2007年12月19日1時45分 読売新聞)

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 そうそう、産経新聞の「診療報酬」の抑制に失敗したような書き方は、どの新聞でも同じような傾向がありましたが、逆に医療従事者向けの記事としては、こんな報道もあります。
 このキャリアブレインは、医師会の回し者でもなければ、厚生労働省や財務省の敵でもありません。単に、病院に人材派遣をしたり、病院関係の報道を独自でしているだけです。

 これを読むと、75歳以上になると、「誰でも今の保険制度から追い出される」ことが明確に書かれています。
 それを産経新聞は「すり替え」「捏造」「歪曲」などを用いて、日本の医療費の増加は、医者が儲けすぎと書くことで、自分たちのステークホルダー(まぁ、官僚さんや産業界の偉い人、外資系ファンドでしょうか・・・)の言うとおりに書いています。国民の健康を犠牲にすることで、誰が儲かるのか?

 読者の方へ、「産経新聞」が言うことは全て正しい・・・なんてことは思わないことです。朝日新聞や毎日新聞も時々やらかしてくれますが、産経新聞の医療についての「歪曲報道」は、自分が読者なら「金返せ」と言いたくなるほどです。

 ま、日本医師会も病院の売店などから、産経新聞を撤去すべきですな・・・


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「後期医療制度」高齢者直撃

 キャリアブレイン2007/12/19

 来年4月から実施される予定の75歳以上を対象にした「後期高齢者医療制度」に伴う各都道府県広域連合の保険料が12月19日までに出揃った。厚生労働省が「平均的な厚生年金額」としている年金収入208万円の単身者でみると、42道府県で厚労省の試算(年額7万4,400円)を上回ることが判明。同制度をめぐっては、政府が75歳以上の保険料負担の6か月間凍結などを決めているものの、全国各地で見直しや廃止を求める動きが広がっており、今後の動向が注目される。

 制度が始まると、75歳以上のすべての人が現在加入している国保や健保を脱退させられ、後期高齢者だけを対象にした独立保険に組み入れられる。都道府県ごとに設置された後期高齢者広域連合が制度の運営に当たるが、地域に暮らしている高齢者の人数や高齢者が使った医療費が保険料額に反映されるため、保険料は都道府県によって異なる仕組み。保険料は原則として年金から天引きされる。

 保険料を決定する広域連合議会は12月18日までに全都道府県で終了し、来年4月からの保険料が確定した。
 中央社会保障推進協議会の集計によると、年金208万円の場合の保険料が高いのは、福岡県の10万1,750円(月額8,479円)▽高知県の9万 7,409円(同8,117円)▽香川県の9万7,000円(同8,083円)▽沖縄県の9万6,840円(同8,070円)▽北海道の9万6,100円(同8,000円)-の順で、この5道県を含む42道府県で厚労省が当初に試算していた7万4,400円を上回った。最低は、長野県の7万1,700円で、最高と最低では3万円強の差が生じている。

 保険料に関しては、患者の増加や医療技術の進歩などで医療給付費は今後も増えると予想される中、その1割を後期高齢者の保険料で賄うように設定。医療給付費が増えれば、それに応じて保険料も増加するほか、後期高齢者の人口が増えると保険料を引き上げる仕組みとなっている。厚労省は2015年度には後期高齢者の負担率が10.8%になるという試算を公表。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」を基にすると、負担率は2035年度には14.6%にまで達するという推測もある。

 高齢者を別建ての医療保険にする制度は、ヨーロッパ諸国など「国民皆保険」が確立している国では存在せず、各地で異論が続出。11月28日現在、10県議会をはじめ、全国の295議会が同制度の見直し等を求める意見書を採択している。
 各地に「反対」の声が広がる中、政府・与党は75歳以上の保険料負担の6か月間凍結などを決めているものの、「凍結では、いずれ解凍される」という関係者の指摘も多数に上るほか、「総選挙対策のための一時しのぎに過ぎない」との批判も根強い。
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 ま、目先の選挙のためにリップサービスはどこの国でも政治家の常套手段ですから、文句は言いますまい。

 ただ高齢者の負担率が上昇しすぎると、誰がかわいそうか?医師?病院?違います。保険料が払えなくなったり、治療費の自己負担が支払えなくなった患者さんです。

 そういう意味では、「医者が余っている」だとか関係ないのです。もう「限界」を超えました。年を経るごとに、医療費は安くしようと思っても、思うようにいかないでしょうね。産経新聞の記事だけを読むことは、政府にとって都合よく洗脳される「危険性」が高いですね。
ぽち

  なかのひと


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