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医師会と看護協会:分断された我々は失敗する・・・ [看護]

 「東京日和」はマスコミの報道を問うことばかりが、最近の仕事になって、嫌になっています(別に自分はもっと気楽なのがいいのです・・・マイル修行のお話の方が楽しいかなぁって)。

 さて、そろそろ気づいてもいい頃だと思いますが・・・医師会は「医療費削減」について、深刻に考えています。

 一方、看護師さんたちの団体、日本看護協会は「看護師がもっと安心して現場で働き続けられるように・・・」という形で下記のような提案を10月に要望を出しています。


平成20年度予算・税制に関する要望書

国家予算に関する要望
1.資質の向上
  1)看護師基礎教育4年制化の推進
  2)新人看護師臨床研修制度の推進
  3)教育基盤の整備の推進
2.離職の防止・再就業の支援
  1)看護職の就業継続を図る事業の推進
  2)助産師確保総合対策事業の充実
3.補助金事業
  1)間接補助事業から直接補助事業への転換
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 これ、「医療費削減」についてまったく触れていません。また「看護職の増員や教育」にはお金がかかります。人件費が増えるのです。
 それをどこから調達するのでしょうか?政府は「医療費を抑制」しようとしています。それを考えると空虚な文言でしかありません。

 たとえば、「開業医」の診療報酬を引き下げられた開業医はどうするでしょうか?経営が困難となれば、自分の給料を下げるだけでなく、常勤の看護師さんよりは、安いパートにするかもしれません。

 また、病院も経営が困難になった場合、医師不足の折、医師がいないと病院はどうにもなりませんから、「医師」の給与は圧縮できません、つまり他の費用を削減するしかありません、薬や医療機器などのコスト圧縮は簡単じゃありません。

 まして、医療機関の経費のうち人件費が50%以上です。これを圧縮するとなると・・・そうです、看護師や技師さんや事務職員などパラメディカル、コメディカルなどにしわ寄せが来る可能性があります。

 そういう意味で、もはや「医師会」と「看護協会」が雇用者側である医師と対立するのはまったくそぐいません。

 アメリカでは、医療訴訟による医療保険の上昇と、薬の価格の高騰などで、ひどく医療費が増加しました。そして、個人の破産の半数が医療費の支払いによるものです。そして企業にとっても医療保険の高騰で社員の医療保険の負担で世界第一位の自動車メーカーGMが倒産寸前です。

 このため、産業界や患者さん、そして家庭医の学会も参加して「Divided We Fail」という活動を開始しました。この活動は超党派です。なぜならマスコットは・・・共和党のマークの象と民主党のシンボルのロバが半分づつ交わったものです。

アメリカ:家庭医協会も医療制度改革キャンペーンに参加


 日本もそろそろ診療側と看護側、そして患者さん側でみんなで「医療の未来」を考える時期だと思います。また、開業医が楽して儲けすぎと反感をもってみえる勤務医の先生方もお見えですが・・・ちょっとまずいでしょうね。分断されると支配する側はとても簡単です。各個撃破すればいいだけです。

 もうすでに、この対立は時代遅れなのです。開業医も勤務医も提携して、患者さんの診療を行う時代になりました。

 勤務医の労働条件の悪化は、開業医が力を握る日本医師会の怠慢もありますが、お互いにきちんと情報交換できていなかったり、医師不足に陥った病院が、地元の医師会と連携して、患者さんをお願いするような仕組みが不足してたりしませんか?

 先週の土曜日に元厚生労働省の医系のお役人だった先生が「勤務医はとにかく不足だ・・・」というのに対して「先生の地元の開業医の先生がたの医院では患者さん不足じゃないですか?病院は医師不足でしょうが、開業医は患者さん不足ではないですか?」って突っ込まれていましたが、その院長先生は地元の開業医の先生方の診療所の状態をほとんどご存知ない様子でした。

 またマスコミも「病院が悪い」とか「医師が・・・」というのは簡単ですが、厚生労働省がこれまで現場を無視して、僻地医療や産科医療、救急医療を軽視してきたツケが来ています。
 明日にでも、壊れそうな日本の財政も問題ですが、「開業医の給料を下げておしまい!」ではありません。看護師さんたちや患者さんが求める「安全性の高い医療」を提供したいのは我々、医師とて同じです。

 そろそろ、考えてください>看護師さん、開業医も、そしてマスコミも

 医療費がこれ以上増えないようにしたい・・・だから開業医の給料を半分に引き下げよう・・・は一度きりの魔法です(1200万円×開業医10万人としても、たった1.2兆円にしかすぎません)。次は看護師の給料でも半分に下げますか?(辞めるねみんな・・・間違いなく)

 さらにそのあと、高齢化(今の年間100万人死ぬ時代から、ほんの15年先の未来は160万人死ぬ時代になります)や医療の技術進歩で医療費高騰はどうするんですかね?>政府の偉いみなさん。それにマスコミのみなさんも・・・。
 また、開業医の先生方の収益を下げれば、勤務医に戻る?不可能です。初期投資も含めて、借金があります。

 その返済を肩代わりでもしてくれなければ、絶対に戻れません。むしろ怪しげな「アンチエイジング」「プラセンタ注射」「キレート療法」「デトックス」のような自由診療に走るのが目に見えています。

 本当に必要なのは、総合的に診察できる医師。それを育成してこなかった医療界(だいたい医師を育てる大学病院の教授はみんな専門医ばっか・・・)も悪いのですが、そういう医師を評価してこなかった行政が一番悪いと思いますけどね。
 もちろん専門医も大切ですが、何でも相談に乗ってくれるという意味での「家庭医」が、あまり機能していません・・・小児でも何でも病院、困ったらすぐに救急車ぢゃ、病院がてんてこまいしますわな。さて、医師会と看護協会、そしてコメディカル・・・これらの共同戦線を張れるかが最終的には医療費について未来が決まるでしょう(だって看護師さん127万人いるんですよ。それに比べりゃ医師会はたった28万人、医療界で内ゲバやっているうちは、官僚には勝てませんな)
ぽち

  なかのひと 



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