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「福島の患者さんを助ける唯一の方法・・・」 [医療行政]

 お仕事が連休明けで忙しく、今日は自分のも含めまったく見る余裕がありませんでした。また、普通に仕事中に気軽に書き込める環境ではありませんので、ご容赦を。

 そして、最初にお断りしておきますが、阿比留記者をはじめとして、マスコミ各社にお勤めの新聞記者の方々は自分の会社の報道の内容に自信とプライドを持つことは当たり前です。しかし、本当のジャーナリストの骨頂は「誤報」を流した時の対応です。
 その対応を例の沖縄の集会について「他社」にも呼びかけるくらいですから、当然、産経新聞さんも「誤報」については真摯な対応を希望しましたが、まともに「取り合われません」でしたね。元読者の一人として、早速電子版の契約をうちきりました。

 建設的な意見ということでしたので、すべて最初の人が呼んでもわかるように書いたのですが、説明不足でしたらすみません。ただいえるのは「搬送時間だけ問題」にしていると、受け入れる施設側のことが忘れてませんか?という指摘が基本にあります。
 これは旧日本軍が、ミャンマーで繰り広げたインパール作戦と同じく補給を無視して負けた悲惨な戦争でした。これを医療でも繰り返してはなりません。

 さて、今回の前にもう一度、あの8月の奈良県の妊婦さんの事件の時、産経新聞社は自分の社説で「妊婦たらい回し また義務忘れた医師たち」と非難しました。しかしこれは、「事実無根で」した。そして書いたであろう論説室にもさんざん苦情が入ったにもかかわらず、今回の報道もまたもや「たらい回し」ですか?

 「たらい回し」という言葉を安易に使う傾向が、このところマスコミさん多いにありますが、当日の様子を聞いて回ったのでしょうかね?まずそこを一つ。

 問い合わせた病院はたった4つです。当直医が対応できる状態じゃなくて、「拒否」は仕方ないのでは?また、重症患者さん用のベッドもなく、一般の病床で寝かせろってのもなし、どうしてかというと手術を受けたあと必ず重症用ベッドが必要ですので。戦地じゃありません。ここは日本です。

 そして、この患者さんが最後に運ばれたのは「脳外科医」がいない病院でした。それでそこから別の施設に移送はなし。これって「いいんですか?」。僕は最初から言っています。各都道府県と競っているのは救急隊の運ぶまでの時間の問題じゃないと思います。正しい施設への搬送の責務を負っています。

 たまに、間違えて「急性心筋梗塞」を嘔吐や嘔気で設備の整ってない老人病院に運んでこられる救急隊、います。また、「大動脈破裂」を腰痛や腹痛だと言って間違えて運んでも許します。

 でも、この患者さん、明らかに「交通外傷」で「脳にも外傷」があったんですよね。それを脳外科医のいない病院に運んじゃまずいと思いません?それは断った病院が悪い?いやそうじゃなくて、福島県は広いけど、郡山市までは高速で30分強なんですよ。

 もしも郡山市の脳外科医のいる病院にも連絡をとってだめなら?それこそ仙台でもよかったかもしれません。救急隊が運ぶべき先を「病院なら何でもいい」というのがそもそものミス。

 最近、こういう話を聞きました。神奈川や東京の妊婦さんを浜松で引き受けている。また逆に福島や静岡の妊婦さんを東京に運びたいと相談を受けている・・・そうです。救急搬送は一刻一秒を争いますが、お産も専門医がいない所に運んじゃだめなんです。

 そもそも根幹にかかわることなので、最悪「大学病院」だったのではないでしょうか?どうしてか?それは教室員が呼べば、助けられたかもしれない。他の小さい病院はベッド以前に医者が足りません。

 最終的にはなくなったかもしれませんが、救急の運ぶ時間を問題にしているあたり、本当に「重症患者さんの搬送」を受け持つ救命センンターの状態についてちゃんと調べて、しかるべき人(役人じゃなくて、現場の医師の担当者)の声を入れた取材であるべきだと思います。

 違います?それとも、皮膚科医や内科医に「脳外科」の患者さんを診たらいい?>それこそ「根性があればB29を竹槍で落とせる」という時代錯誤的な「根性論」。これで戦争に負けたのです、そろそろ捨てるべきで、現実を直視しましょう。

 医学が高度になった今、本当に助けたいのなら「高度医療」を受けさせるところに患者さんを運ぶ。それが出来ていないので、今回の事件は、医療体制をきちんと整えなかった「行政」と「病院」、それに治療が出来ない病院に運んじゃった「救急隊」にそれぞれ複合的に重なって生じたと思いますが・・・
 ↓これが福島県の人口と広がりです。案外こうしてみると、福島と郡山は近いことがわかりますね。

 今後、福島県は人口200万人にふさわしい医療体制をとる・・・つまり救急施設に医師を集めるしかないでしょう。福島市に一つ、いわき市と郡山市にも一つづつ。それでおしまいです。
 三次救急をしない病院に「脳外科医」をちらばらせてしまうと、セーフティネットから零れ落ちます。カナダやアメリカの場合は州に一つか二つの大きな病院のある街以外は、大きな手術はすべて搬送です。

 今の医師不足に加えて、看護師不足・・・どうやっても「各個撃破」されないためには集団で戦うしかないのです。そういう意味で戦略ができてなかったと思います。そして、それのきっかけになると思います。
↓ちなみにこれが福島県立医科大学の脳外科(ちょっと少ない)
http://www.fmu.ac.jp/home/ns/faculty-J.html

以下、たらいまわしの文字が続く・・・各社の報道
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http://www.kahoku.co.jp/news/2007/11/20071115t63035.htm
4病院たらい回し 事故で救急搬送の女性死亡 福島
 福島市仁井田の県道で11日に無職女性(79)が乗用車にはねられた事故で、女性を収容した救急車が福島市内の4病院で8回にわたり救急搬送の受け入れを拒否されていたことが14日、分かった。同市内では通常、15分程度で搬送できるが、今回はほぼ1時間を要し、女性は事故から約6時間後に死亡した。

 福島市消防本部によると、通報を受けた福島消防署の救急車は、事故発生から約7分後の午後8時23分に現場に到着した。全身を打って意識もうろうの状態の女性を見た救急隊員は、設備が整っている病院への搬送が必要と判断。同8時半、福島県立医大病院に受け入れを要請したが、11ある救急患者用のベッドがふさがっていると断られた。

 その後、大原医療センター、福島赤十字病院、あづま脳神経外科病院にも順次、要請。計8回受け入れを求めたが、いずれも「空きベッドがない」「医師が手を離せない」「受け入れても十分な治療ができない」などの理由で拒否された。

 救急車はこの間、病院間を移動。ようやく午後9時25分、市内の福島第一病院に女性を搬送した。市消防本部は「スムーズに搬送できていれば女性が助かったかどうかは分からない」と話している。

 県立医大病院は来年1月、救急救命センターを開設し、救急患者の受け入れ体制を拡充する予定。同病院は「同じ悲劇が二度と起こらないようにしたい」と話している。
2007年11月14日水曜日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071114/crm0711142242037-n1.htm
4病院たらい回し、事故被害女性が死亡
2007.11.14 22:42

このニュースのトピックス:不祥事
 福島市で道路を横断しようとして乗用車にはねられた女性が救急搬送される際、4つの病院に計8回受け入れを断られていたことが14日、分かった。女性は事故から約1時間後に、9回目に依頼した福島市内の病院に搬送され、約6時間後に脳挫傷で死亡。病院は、治療の遅れと死亡の因果関係について「答えられない」としている。

 女性は福島市仁井田の無職、菊田ミツ子さん(79)。福島市消防本部によると、11日午後8時16分ごろ、119番通報があり、約7分後に救急隊が到着した。

 菊田さんは全身を強く打ち、はっきりとした受け答えができない状態。同本部は脳神経外科などの設備がそろう福島県立医科大付属病院に計3回、市内の総合病院3つにも計5回連絡したが、いずれも「処置できる体制にない」などの理由で断られ、同日午後9時25分、市内の脳神経外科のない別の病院に運び込んだ。

 市消防本部によると、昨年救急搬送した約8200件のうち、94%は最初の問い合わせで受け入れ先が決まり、病院到着までの時間は平均で10~15分。「日曜夜間という病院の当直体制の時間帯で、けがも重く受け入れ先がなかなか決まらなかった。異例だと思う」としている。

http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2007/11/20071120t63020.htm
「まず受け入れ」確認 福島の急患たらい回し問題
 福島市で11日夜に交通事故に遭った女性が市内の4病院から1時間にわたり受け入れを断られ、6時間後に死亡した問題を受け、市内の救急指定病院や市消防本部などでつくる市救急医療病院群輪番制運営協議会が19日、緊急会議を開き、再発防止策を話し合った。

 協議の結果、各病院は今後、態勢が十分でなくても患者を受け入れ、症状を見た上で他病院への搬送などその後の対応を検討することを確認した。

 会議には、市内10カ所の救急指定病院と、指定病院ではないものの設備が整う福島県立医大病院の担当者が出席した。

 死亡した女性のケースは、救急隊が総合的治療が必要と判断して県立医大病院に受け入れを要請したが、集中治療室が満床だと断られた。脳神経外科の当番病院など3病院にも断られ、5カ所目でようやく受け入れられた。
2007年11月19日月曜日


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