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[妊婦救急問題]マスコミ報道の改善には程遠い [産科医療]

 いずれにせよ、「受け入れ不可能」という現状を考えて欲しいのは、問題の根底には、「医療従事者」の数やキャパシティの問題があります。
 
 簡単に言えば「周産期救急医療が政府の怠慢のせいで崩壊しかけ」ているのです。日本では「不幸な目に遭った患者さんばかりを気の毒だという一方、過労死寸前の状態で働き続けている産科医を何かあると一斉に非難するマスコミ」があります、そのために日本中でお産の引き受け手がいなくなっています。それにつられてテレビやブログで「けしからん」という自分勝手な論理を展開する人が多い。問題の深刻さはここにあります。

 現場を理解しないまま「非難」するのは自由だが、結局、それが「離職」という形でマイナス効果が出ています。

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憂楽帳:医師不足の裏に 
毎日新聞 2007年10月25日 12時20分

 以前、取材に応じてくれた女性産科医(38)が、常勤職をやめた。非常勤の今は、泊まりも、休みがつぶれることも、ない。「未練はあるけど、限界でした」

 それまでは、朝8時から深夜まで働きづめ。月6回の宿直をこなし、週に1度は深夜に呼び出された。疲労が抜けないまま、メスを手にすることが怖かった。それでも彼女は、「きついだけならまだ頑張れた」と漏らす。

 患者に「おめでとう」と言ってあげられるのは産科だけ--そう思って志した。しかし、そこには「うまくいって当然」という誤解も生まれる。04年、産科医が裁判に訴えられた件数(医師1000人当たり)は11.8件。他の診療科に比べ、群を抜く。

 「医療ミスでしょ」「訴えるから」。リスクの高い高齢初産などの増加につれ、心ない言葉を吐かれることが増えた。患者と心を通わせにくくなったのが、最もこたえたという。

 「日本人は変わっちゃったんでしょうか」

 最後に、ポツリと言った。【吉田啓志】
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 悪いけど、毎日新聞のこの記者、もっと現実を知ろうよ。月に6回の当直で「労働基準法違反」だし、週1度くらい呼び出しなんて現場じゃもっとひどいという話もあります。

 しかも毎日新聞は、去年の奈良県大淀町立病院で、亡くなった患者さんを巡って明らかに「偏向報道」や「誤報を垂れ流し」といて、これはないよな・・・と思う。

 バランス感覚がまったくない>マスコミ各社。「たらい回し」だという見出しで誤報を伝えて、世論を操作しておいて、産科医のやる気をそいで、この記事はない。


 引き受けが困難だったのは、
東京185件を筆頭に神奈川県、大阪府でも多い・・・大都市でおきているんですけどね。「マスコミ」は報道するだけしておいて、何も解決になっていなません。3回以上断られたケースが670件という数がゼロになるように・・・願っていますが、今のやり方ではたぶんもっと増える。犠牲者を生んだのは「政府」のやり方がいかにまずかったか・・・それは今の「C型慢性肝炎の問題」とよく似ています。責任官庁が責任を取ってないからですが。
ぽち

  なかのひと 


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妊婦搬送全国調査 受け入れ拒否は最多の26回

「医師不在」「満床」切迫流産も

読売新聞2007/10/26

 「別の妊婦に対応中」「ベッドが満床」「医師不在」――。速やかに対応してもらえると信じて119番通報したにもかかわらず、いつまでたっても搬送先が決まらない。各地で起きている妊婦の「たらい回し」の実態が明らかになった総務省消防庁などの調査。救急搬送の現場からは、いらだちと不安を募らせる声が高まっている。

 千葉県八千代市では昨年5月、かかりつけ医のいない妊娠7か月の26歳の女性が14病院に計15回受け入れを断られた。近隣の病院に搬送されるまでに、通報から約2時間半が経過。女性は切迫流産となった。「医師がいない」「ベッドが満床」「新生児集中治療室(NICU)がない」などが理由で、同市消防本部では「あんなに受け入れ要請を繰り返したことは、ここ数年なかった」と話す。

 福岡県では昨年夏、水巻町の30歳代の妊婦が13回、苅田町で31歳が10回、医療機関への受け入れを拒否された。このうち水巻町では、町内や隣接する北九州市の病院に「かかりつけではない」との理由で断られ、女性はその間に破水した。県消防防災安全課では「たらい回し事案がどんな時に起きるのか分析中だが、消防としては病院に頼み込むしかないのが現状だ」という。

 大阪市でも昨年7月、30歳代の妊婦が「満床」などを理由に19病院で受け入れを断られた。女性は救急車で待機していたが、陣痛が激しくなり、自宅で出産。その後、受け入れ先が見つかったが、救急要請から約2時間15分かかっていた。

 東京消防庁によると、拒否された回数が最も多かったのは26回で、病院に収容されるまでに3時間37分もかかった。現場の救急隊と指令室の双方から照会を行うため、照会回数が多くなる傾向にあるというが、同庁救急管理課は、搬送に長時間かかっているケースもあることから、「各事例を分析し、今後、改善していく必要がある」としている。

 札幌市で昨年、5回以上、病院から受け入れを断られた妊婦は5人。市消防局救急課は「受診歴のない妊婦は救急隊が受け入れ先を探すことになり、時間もかかってしまう」と、早期の受診を勧めている。

(2007年10月26日 読売新聞)

妊婦搬送 受け入れ態勢が不備
NHK 2007/10/26

 この調査は、ことし8月、奈良県で救急車を呼んだ女性が医療機関に相次いで受け入れを断られて死産した問題を受け、総務省消防庁と厚生労働省が初めて行いました。それによりますと、妊娠中の女性を救急車で運ぶ際に医療機関から3回以上受け入れを断られたケースが去年1年間に全国で667件に上り、このうち5回以上が220件、10回以上も45件ありました。3回以上断られたケースを都道府県別に見ますと、東京都が185件、神奈川県が154件、大阪府が76件、千葉県が36件、兵庫県が31件と、東京・大阪とその周辺の大都市部で多くなっています

 また、救急隊が到着してから受け入れ先が見つかるまでに30分以上かかったケースは1012件、1時間以上かかったケースも105件ありました。受け入れを断った理由では、医師や医療設備の不足で「処置困難」が27%と最も多く、「手術や患者の対応中」が17%、「ベッドが満床」が11%などと、医師不足などが原因で受け入れ態勢が整っていないことが明らかになりました。

 一方で、10回以上受け入れを断られたケースでは妊娠後も産婦人科を受診していない人が目立ち、掛かりつけ医のいない妊婦を医療機関側が避ける傾向を示しています。総務省と厚生労働省は、今回の調査結果を基に、受け入れ態勢の整備や効果的な救急搬送の方法について検討を急ぐことにしています。

 舛添厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で「たらい回しの回数がもっと多いケースがあるかと思っていたので、若干ほっとしている。しかし、急きょ帝王切開が必要になり、大きな病院に搬送する場合、受け入れを断られることもあるので、こういうことを含めて大きな改善をしたい」と述べました。


拒否10回以上45件 妊婦救急搬送実態調査
産経新聞 2007/10/26


 平成18年に妊婦の救急搬送で、医療機関から受け入れを10回以上断られたのが45件あることが26日、総務省消防庁と厚生労働省が全国の消防本部を対象に実施した妊婦の救急搬送の実態調査結果で明らかになった。

 調査は奈良県で救急搬送中の妊婦を受け入れる医療機関が見つからず、死産した問題を受け、16~18年の3年間について実施された。

 結果によると18年中の搬送された妊婦は約3万9000人。医療機関へ照会した件数のうち9割以上は最初の連絡で受け入れ先が決まっているが、3回以上断られたケースは667件(全体の1.9%)あり、うち5回以上が220件、10回以上が45件あった。

 未集計の消防本部も多く、実際の拒否件数はさらに増えるとみられる。

 地域別の傾向をみると、首都圏や近畿圏、政令指定都市など都市部で受け入れを断られるケースが多く、地方部では少なかった。また、医療機関への受け入れの照会、連絡回数が多くなるケースが増加傾向にあることもわかった。

 受け入れ先が見つからず現場に留まった時間は、30分以上60分未満が907件、60分以上90分未満が84件、90分以上が21件となっている。

 最も拒否が多かったのは東京の留置場に拘置中の妊婦で、27回目で受け入れられ、医療機関収容まで217分もかかった。

 受け入れを断った理由については、「処置困難」(1306件)が最も多く、続いて「手術・患者対応中」(842件)▽「専門外」(572件)▽「ベッド満床」(513件)▽「医師不在」(342件)▽「初診(妊婦のかかりつけ医がいない)」(148件)-など。

 結果をうけ、消防庁は同日、全国の消防機関に対し、医療機関との連絡には救急救命士などの有資格者があたることや救急隊と指令センターが連携して受け入れ照会をすることなどを通知した。


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