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[加速する産科医療の衰退]霞ヶ関や県庁には問題意識がないようです [産科医療]

 細る産科医、妊婦のリスクどう管理? 京都で考える集会

2006年07月18日朝日新聞

 医師不足から病院の産科が閉鎖に追い込まれている状況について、妊産婦や医療者が話し合う「どうする? 日本のお産」の京都大会が16日、京都市伏見区の京都医療センター付属看護助産学校であった。今年4月に分娩(ぶんべん)を休止した京都府舞鶴市の国立病院機構舞鶴医療センターの助産師らが、地域の母親や助産師ら142人を前に、府北部のお産の現状について報告した。

 舞鶴医療センターは府の地域周産期母子医療センターで、新生児集中治療室(NICU)6床を持つが、産科医3人全員が相次いで退職し、分娩の取り扱いをやめた。同市内では03年8月に舞鶴市民病院が産科を休診している。地域の年間分娩数約900件は舞鶴共済病院と二つの診療所にのしかかった。残った産科医の負担を減らそうと、舞鶴医療センターの助産師8人が、助産師外来で妊婦健診を請け負い、5月から産後2日目以降の産褥(さんじょく)入院も受け入れている。同センター病棟師長の吉田美和子助産師は「助産師たちは研修を積み、自力でお産が扱える体制が整いつつある。近隣の病院に嘱託医や連携医療機関になってもらい、院内助産所を早く開設したい」と話す。

 同センターの小児科は救急車で出産した病院まで新生児を迎えに行く「出前NICU」に取り組んでいるが、赤ちゃんに負担が大きく、危険度が高いため、妊娠27週以前の早産は、原則として、出産前の母体を京都市内の病院まで搬送している。だが、見舞いに片道2時間かかるなど、妊婦の家族の負担は大きい。

 同府綾部市の塩尻佳代さん(43)は97年に生まれた次男が1236グラムの未熟児だった。「舞鶴医療センターが近くにあったから、今、元気な子どもの姿が見られる。田舎だからこんな医療でいいと思わずに、行政や医療関係者は意識を高く持って、私たちを助けてください」と訴えた。

 今年4月、娩を休止した京丹後市立弥栄(やさか)病院。同市内のお産年500件を分け合ってきた丹後ふるさと病院には、産み場所を求める妊婦が殺到した。産科医1人、助産師5人の体制では受けきれず、分娩予約を月20件に制限している。府は弥栄病院に府立医大、京都第1、第2赤十字病院から6人の産科医を交代で派遣し、10月から分娩を再開すると発表した。だが、非常勤のため、対象は正常産が見込める経産婦のみだ。ふるさと病院の中谷朱美助産師は「リスクの高い初産婦や高齢出産は遠方の病院へ行けという本末転倒が起きている。行政は補助金をつけてでも、へき地に医師を確保してほしい」と話した。

 会場の女性からは「ハイリスクの妊婦を救うため、ヘリコプター搬送のネットワークを充実させてほしい」などの提案があった。

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 患者さんサイドの要望は、自分の所で安心して産みたいという希望だが、集約化の前にそれは願うべくもないような…過労死になるまで産科医が放置されて、それでお産を安全でというのは結構、難しい要望だ。ましてリスクの高いお産を医師が少ない地域で引き受けさせて、万が一のことがあれば、福島の二の舞ではないかという懸念がある。

 補助金を付けてでもというが、紀伊半島の南で産科の開業医をリクルートして年俸に5800万円も払っただけでマスコミが騒ぐワケで、どう考えても難しい。

 それよりもきちんと人口割り当てで配分していく、複数の施設の統合による安全の確保が今は一番大切だと思うのですが…アクセスを確保すれば、結局は産科の撤退が加速するという現状はどうも見過ごされているような気がしてなりません。マスコミはその場にいた意見だけをまとめるのではなく、実情を知っている筈だ。どうして産科医が減っているのか?現状、どういった施策があるのか?単に現場の意見を垂れ流すのはいかがかと思われる。

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22道府県「把握せず」…厚労省調査

 小児科や産科の医師不足が全国各地で問題となっているにもかかわらず、両科の医師数など、基本的データの実態把握が進んでいない都道府県が半数近くに上っていることが、厚生労働省の調査でわかった。

 同省は昨年12月、小児科医と産科医の確保が困難な地域について、中心となる病院に医師を集中させ、24時間体制の小児救急医療などを実現させる「集約化、重点化」の方針を打ち出した。その実施の必要性について、都道府県ごとに今年度中に検討するよう求めており、調査は、今年4月25日現在で、その進展度合いをたずねたもの。

 小児科と産科のある病院と、そこに配置されている小児科医、産科医の数について把握状況を聞いたところ、「既に把握している」が22都県、「小児科のみ把握」が3県だったのに対し、22道府県は「今後把握する予定」「把握していない」だった。

 また、集約化、重点化の必要性の検討を既に始めていたのは、静岡、三重など7県のみ。今後の検討スケジュールが決まっていたのも、奈良、千葉など19府県にとどまり、出足の鈍さが目立った。

 その一方で、同省に対する意見、要望としては、「集約化、重点化に協力する医療機関に対する財政的支援が必要」「小児科医、産科医の育成、確保は全国的な課題であり、国が実効性のある施策を始めるべきだ」などの声が多く、自治体の自助努力に頼る厚労省への不満もにじみでていた。

2006年7月17日  読売新聞)

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 地方も危機感が薄ければ、霞ヶ関も薄い。役人はしょせん数字合わせが得意なだけで、医師が将来間に合うからいいのだと述べる。危機感がなければ、当然対策は遅れる。役所としてはもっと遅れて、「医師が怠慢」だと世論を焚き付けたいのか?

 

お産ができない
人口8万人の管内 産婦人科ゼロの危機(北海道・浦河町)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-07-19/2006071903_01_0.html


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